トーナメント終了後、ゲイザーはミスターレディの店にベンと一緒に来ていました。
「ううっ…ゲイザーにオレの今月の小遣い、全部突っ込んでたのに…。最後の最後で負けちまいやがって、ちくしょう!」
「すみません、ベン殿。私の力が足りなくて、負けてしまいました…。今日は私の奢りですので、どうか許してください」
「ゲイザーなら奢ってくれると思ってたぜ!」
「私もゲイザー様に一枚だけ賭けていたのですけどね。最後の試合には応援に行ってたんですよ」
ナンバーワンのミスターレディがお酒を注ぎながら言いました。
「ええ、応援席にあなたの姿が見えたので、カッコ良いところを見せようと思って、少し緊張してしまって…」
「あら、ゲイザー様は私のせいで負けてしまわれたのですか?」
「いえ、そんな事はないです。むしろあなたが見ていたので、あそこまで頑張れました」
その頃、リリムとナタがリビングでアークを慰めています。
「家に住む事、おじさんから許可してもらえて良かったね、アーク?」
「はぁ…、勝者の余裕だろう?敵に情けをかけられるなんて、ますます惨めなだけだ…」
「あの勇者さま、初めて会った時に私の魅了の術をかけたのに全く効いてなかったのよぉ。多分、魅了の術を見切ってしまってて、かからなくなってるんだと思うわぁ」
「えっ、リリムにおじさん、メロメロになってた気がするんだけど?」
「あんなの普通の反応よぉ?魅了の術にかかってたら、あの程度じゃ済まないわぁ」
「えっ…じゃあ…あの時…私にキスしたけど…おじさん…魅了の術に…かかってなかったの?」
「多分ねぇ。私の魅了の術が効かないなんて、すごい!って思っちゃって仲間になったんだもん」
「私…初めておじさんに…キスされて…、めちゃくちゃ…ドキドキしてたのに…、魅了の術に…かかったふりを…してただけなんて…、おじさん…いくらなんでも…、酷過ぎるよ!」
「あなたってパパの恋人なんでしょ?どうして勇者さまにドキドキしてるのよぉ?」
ナタは恥ずかしくて家から飛び出してしまいました。ティターニアが追いかけて来ます。
「ねぇ、ニア…。おじさんはなんで私にキスしたんだと思う?」
「そうねぇ、ナタの事が嫌いならしないと思うわ」
「もしかしておじさんも私の事、好きだったのかな?」
「人間の父親は娘を嫁にやる時に、あんな男にくれてやるくらいなら、いっそ自分が!とか思うらしいわよ?」
「そうなんだ?おじさんでも嫉妬するんだね」
「きっとアークさんにナタを取られてしまって悔しかったのね」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第155話です。