ゲイザーが寝室に戻って行ったので、アークも寝室に戻りました。十年前からナターシャの寝室で護衛の任務に就いていたので、アークには寝室がありません。天使だった頃は睡眠欲もなかったからです。
「ナターシャ様、起きておられるのですか?」
「…どうして起きてるってわかったの?」
「いびきをかいておられなかったので…」
「私、いびきかいてるの?恥ずかしい…」
「とても可愛い、いびきですよ」
「アークには嫌なところ、全部知られちゃってる」
「ナターシャ様に悪いところなど一つもありませんよ」
「私、自分の悪いところしか思いつかないよ」
アークはナタの布団の隣に潜り込んで背後から抱きしめました。
「ナターシャ様には良いところがたくさんありますよ」
「私の良いところって何?」
「心が美しいところと賢いところでしょうか?たくさんありすぎて話すと長くなります」
「私ね、人から嫌われるのは慣れてるんだけど好かれるのは慣れてなくて、なんで私のこと好きになってくれたのかわかんないの」
「ナターシャ様は愛されてるのに愛されてることに気付いていらっしゃらないだけです」
「大体、私のこと好きって言ってくる男は私の顔が好きって言うの。それですぐエッチなことしようとしてくるから、嫌になって別れてた」
「ナターシャ様はお顔も愛らしいですからね」
「アークはエッチなこと全然したがらないし、アークとならエッチしてもいいかな?って思ってたんだけど…」
「後悔しているのですか?私としたことを…」
「ううん、後悔はしてない」
「人間になると性欲を抑えられなくなって、ナターシャ様にご迷惑をおかけしてしまって、反省しております」
「迷惑と言うか…ただ、思ってたより良くなかったなぁ…って」
「私のやり方が…下手だったということでしょうか…」
「アークは上手だと思う。初めてだったのにそんなに痛くなかったし…。初めての時ってすごく痛いって聞いてたから、覚悟してたのに…」
「では、何が良くなかったのでしょうか…?」
「もっとこう…!なんかおじさんとフラウおばさまみたいな感じに…?なるのかなぁ…って」
「燃え上がらなかった…ということですか?」
「うーん、よくわかんない。私がまだ子供だからかも?アークも本当は大人の女の人が良いんじゃない?」
「他の女性には興味ありませんよ?」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第96話です。