二千年前、魔界。通称・地獄と呼ばれる場所でルシフェルと妻のリリス、娘のリリムは仲良く暮らしていました。リリスは足がないのでいつもルシフェルがおぶって出かけていたのです。
「歩けないと不便だろう?ヘビの尻尾で悪いけど下半身に付けてあげるよ」
「そうね、リリムはまだ小さいから、私の代わりにリリムをおぶって欲しいし」
ルシフェルの魔力でリリスは下半身がヘビになりました。鱗がビッシリと敷き詰められた、畝る尻尾は美しさと恐ろしさが入り混じっています。
「それとリリスには悪い噂が立ちすぎているから名前を変えた方が良いね」
「それではラミアと呼んでください」
「ラミアか…。良い名だね。僕の事はルシファーと呼んで欲しい。上級天使に多いエルの名は神への忠誠を意味するから、ルシフェルと呼ばれたくないんだ」
それからルシファーはリリムをおぶって出かけるようになって、ラミアは一人で出かける事が増えました。
「パパ、だいちゅき!」
「ははは!パパもリリムが大好きだよ?」
「ママとリリムのどっちがちゅき?」
「それは…どっちも大好きだから、一人には決められないなぁ」
「やだやだやだ!ママよりリリムのこと、ちゅきって言って?」
「リリムは本当に可愛いなぁ。ママにそっくりだよ?」
「リリムはママなんか嫌い!パパはリリムのものなの」
「リリム、どうしてママを嫌いになっちゃったんだ?」
「だって、ママはパパを独り占めにしてるんだもん…」
「それは違うよ?パパがママを独り占めにしてるんだ」
「リリムがパパのお嫁さんになる!ママとは別れて?」
「リリムはパパの娘だから、結婚はできないんだよ?」
「ううん、近所のおばちゃんが言ってた。ママは色んな男の人と遊んでるから、リリムはパパの子供じゃないって!」
「だ、誰がそんな事を…!リリムは間違いなくパパの子供だよ?ママは一途で心の綺麗な女性なんだ」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第85話です。