数日前に時間は遡ります。ナタはティターニアと一緒にアラヴェスタに遊びに来ていました。アークが噴水広場でリュートの練習をしています。
「アーク様だわ!久しぶりに見た…」
「アーク様の背中の翼がなくなってる?」
「あの翼は衣装の飾りだったんでしょ?」
「アーク様は本物の天使だから、あの翼は本物だって噂もあったのに…。アーク様が空を飛んでるのを見たって目撃証言も多いのよ?」
「本物の天使だとしてもおかしくないくらいの超絶イケメンだよねー」
アークの演奏が始まると集まったファンはうっとりしながら唄に聴き入っています。
「ファンのみんな!今日は大事な発表があってここに来ました」
「大事な発表?まさかアーク様がご結婚なさるとか…」
「僕は今日でアイドルをやめます…」
「イヤーッ!やめないでー!アーク様!」
「僕はアラヴェスタの総選挙に出馬して議員になります。みんなの清き一票を、僕の本名であるルシファーに投票してください!」
「アーク様の本名ってルシファーだったんだ?本名も素敵」
「僕はこの国をいじめのない平和な世界にしたいのです。どうか、どうかルシファーをみんなの力で議員にしてくだい!」
「選挙なんか興味なかったけど、絶対に投票に行きます!頑張って、アーク様」
「必ずこの国を変えてみせます!いじめを撲滅するのが僕の宿命だと思っています」
「アーク様が議員になったら、平和な世界になりそう」
アラヴェスタ城の玉座の間。テオドールに次の総選挙立候補者リストが手渡されました。
「ん?このルシファーと言う名は初めて見る名前だな」
「ゲイザー様の部下のようです。メサイアで活動をしていた際のアークと言うのは芸名で、本名はルシファーだそうです」
「まさかメサイアのアークが議員に立候補するとは…」
「巷ではこの話題で持ちきりですよ…。いつもは政治に無関心な若者まで期日前投票をする為に役所の窓口に殺到しています」
「恐ろしいほどのカリスマ性だな…。この調査結果だと当選確実じゃないか?」
「ええ、でも現議員の中には元アイドルの議員当選は賛成出来ないと言ってる者が多いです」
「ゲイザーの部下ならば優秀な人材である事は確かだがな」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第84話です。