ナタはまた深くて大きなため息をつきました。
「アークと話してると私、どんどん嫌な子になって行く気がするよ…」
「前にもそう言われましたよね…。私はゲイザー様のようにナターシャ様を叱らないからダメだと。娘のリリムの事も叱った事が一度もなかったのです」
「アークっていつもハッキリしないじゃない?愛してるけど別れるって言うのもそうだけど、嫌いってハッキリ言ってくれた方が、傷付かないんだよ?」
「嫌いだと言えば、ナターシャ様は傷付かなくて済むのでしょうか?」
「うん、そう言ってもらえた方が気持ちがラクになるかな」
「わかりました。私はナターシャ様の事がき…き…き…き…き…き…」
「どうしても言えないの?」
「思ってもいない事は言えません…」
「嫌いじゃないなら、まだチャンスがあるのかな…って思っちゃうじゃない?」
「チャンス…ですか?」
「他の人を好きになれなくなるんだよ。誰か良い人が目の前に現れても、アークのせいでチャンス逃しちゃうかも?」
「ゲイザー様はどうやってフォン様とサラ様をくっつけられたのでしょうか?不思議です…」
「うーん、おじさんはチャンスがないってわかるからじゃない?私の事も全然、好みじゃないってわかるもん」
「なるほど…。下手に相手に期待を抱かせないのが良いのですね。勉強になります」
「好きになって欲しいけど、望みがないってわかってるから諦められるよ」
「ゲイザー様はやはり恋愛の達人のようです」
「フラウおばさまも、かなりの手練れよ?あのおじさんを堕としたんだもん!」
「確かに…ゲイザー様を堕とすのは相当、骨が折れそうですからね…」
「アークも堕とすの大変そうだよ?」
「私はもう堕ちるところまで堕ちてしまってます。これ以上は堕ちません」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第76話です。