怒り心頭に達しているティターニアをナタとアークの二人は宥めています。
「その手の卑劣な魔法の秘薬で人の心を奪おうとするとは…。私が同じ事をされたら、絶対に許せません。お気持ちお察しします」
「私もお師匠様に魅了の術は二度と使ってはならん!って言われてるから、惚れ薬とかも作った事ないよ」
「私の事をリリスが魔法で虜にしたなどと言う噂を立てられていましたが、仮にリリスがそのような魔法を使えたとしても、おそらくはアダムに使ってますので、私に使うのはあり得ません」
「でもルシフェルは天界で一番モテる超イケメンだったんでしょ?リリスがアダムよりルシフェルが好きだった可能性もあるんじゃないかなぁ」
「それは絶対にないと思います。リリスには私を魅了させても何もメリットがないからです」
「メリットならあるでしょ?イケメンと付き合えるなら!」
「ナターシャ様はなぜリリスを悪者扱いするのです?あなたの前世ですよ」
「悪者扱いって言うか、事実を言ってるだけ」
「ナターシャ様は私の容姿以外は好きではないと言う事なのでしょうか…」
「うーん、頭の良いところも好きだし、強いところも好きだし、唄も上手いし、天は二物どころか与えまくりじゃない?」
「私の才能を羨む者は多いですが、私はその為に血の滲むような努力をしているのです。努力もせずに羨むだけなら誰でもできます。容姿が良いだけで得していると言われるのが一番傷付きます」
「二人とも喧嘩しないで…」
ティターニアが二人の間に割って入りました。ナタはすぐに謝ります。
「ごめんなさい。アークを傷付けるつもりはなかったの…」
「ナターシャ様に対して怒ったわけではありません。私を羨んでいた者たちに対して怒っているだけです」
「私、アークと付き合えると思ってなかったんだ。アークは女に興味ないと思ってたし」
「リリスにも同じ事を言われました。リリスだけでした。私の唄を聴いて歌詞を褒めてくれたのは…」
「えっ、たったそれだけでルシフェルはリリスの事、好きになっちゃったの?」
「たったそれだけの事をしてくれる人が誰もいなかったんです」
「リリスにはどんな風に褒められたの?」
「この唄は繊細な歌詞だと言ってました。死と言う単語が一度も使われてないのに、死を連想した…と。私の飼っていた猫が亡くなって、その哀しみを唄にしていたのです」
「ルシフェルは猫好きだったんだ?」
「ええ、あの頃の私は猫と結婚しても良いと思うほどに溺愛していました」
「私もそう言う経験ある!猫、可愛いよねー」
「その日から私は猫の代わりにリリスを愛するようになったのです…」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第72話です。