ナタはソファーに座ったアークの膝の上に乗せられて後ろから抱き締められていました。
「ナターシャ様がご無事で…本当に良かったです」
「ねぇ、アーク。人間になりたくない理由って食欲のせいで太っちゃうからなの?」
「確かに天使には食欲がありませんが、私は毎朝の鍛錬が日課ですので、人間になったとしても太る事はないかと…」
「じゃあ、どうして人間になりたくないの?」
「人間には七つの大罪がありますからね…。三大欲求と言われてるのが、食欲、性欲、睡眠欲ですが、私が最も畏れているのは性欲ですよ」
「うーん、性欲って悪い事なのかなぁ?」
「子を成す為に必要な行為ではありますが、子を育てる気などない者が性欲だけに溺れるのは良くありません」
「確か私の前世のリリスは、赤ちゃんを作ろうとしてただけなんだよね?」
「そうです。だからリリスは何も悪くなかったのに…。悪いとしたらリリスを誘惑した私の方でした」
「じゃあ別にアークに性欲があっても悪くないと思う。アークなら子供ができても可愛がりそうだし」
「ええ、娘のリリムの事も目の中に入れても痛くないほど可愛がっていたのですが、あまりにもお父さんっ子になってしまって、嫁に行きそびれてしまったので、私が子離れするべきでした」
「それは…ルシファーみたいなイケメンがお父さんだったら、他の男が全部クオリティ低く見えちゃって、リリムも目が肥えちゃってたんだと思うよ?」
「うーん、確かにパパのお嫁さんになる!と可愛い事をよく言ってくれてましたね」
「だって私もおじさんとかアークとか若返ったお師匠様とか見てたら、学校の他の男子がクオリティ低すぎて好きになれないもん」
そこへティターニアがナタの膝の上に乗って来ました。
「ナタ、男を容姿だけで判断してはダメよ?」
「だって…やっぱりイケメンの方が良いよ?」
「私が初めて好きになった人はロバみたいな顔だったの。みんなから醜男って言われたわ…」
「えっ、どうしてニアはそんなブサメンの事が好きになっちゃったわけ?」
「私にもわからないわ。とても優しい人だったからかも?」
そこへパックもやって来ました。
「それは浮気草の汁のせいだよ」
「浮気草の汁って何?」
「瞼に塗っておくと目が覚めて最初に見た者を好きになるって言う魔法の秘薬の事さ?」
「パック、なぜそう思ったの?」
「それ、ボクがティターニア様の瞼に塗ったから」
「パックのいたずらだったの?」
ティターニアはショックを受けている様です。
「それでニアはブサメンの事を好きになっちゃったんだ…」
「初恋だと思ってたのに…」
「オベロン様の命令でね。おっとこれは話しちゃいけないって約束だった」
「まさか…太ったオベロンの事を好きだと思ってた事も?だとしたら許せないわ!」
「ニア、大丈夫?離婚の危機かも…」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第71話です。