ナタはまたお菓子を鷲掴みして頬張りました。
「ニアは好きな人いるの?」
「ええ、私の愛する人は国王のオベロンよ?」
「えーっ、あの王様ちょっと太ってるし、どこがいいの?」
「オベロンも昔は痩せていたの。最近太ってきちゃって…」
「ふーん、私にはどこが良いのかわかんない」
「ナタはアークさんが太ってしまったら嫌いになっちゃうの?」
「えっ…アークが太ったところなんて想像できない!」
「もしかしたらアークさんも太ってしまうかもしれないわ」
「えーっ、そんなのやだー!太ったアークなんて気持ち悪いよ」
「食欲のない天使には太るなんて事はないかもしれないけど、人間になったら太っちゃうかもしれないわねぇ」
「あっ、それでアークは…人間になりたくなくなっちゃったのかな?」
「アークさんが人間になりたくなくなった理由は私にはわからないけど、天使だった頃より人間になった後は色々と苦労するはずよ?」
「私…アークの気持ち全然、考えてなかった」
「翼のない人間には翼をもがれた者の苦悩はわからないでしょうねぇ」
「翼がなくなると大変そうって言うのはわかるよ」
「本当にわかると思う?わかってると思い込んでるだけかもしれないわよ」
「うーん、私には翼がないから歩くのが面倒…って事しかわかんないかも」
「人間に恋をした妖精が人間になった後にとても苦労したの。私はその子の悩みをいつも聞いてあげてたのよ」
「私の悩みは聞いてくれる人が誰もいなかったよ」
「ナタが太れば嫌われるって思ったのはね、ナタが太った人が嫌いだからなの。太ったくらいで嫌いにならない人は、太ったら嫌われるなんて考えないから」
「確かに…太ってる子ほど太ってる人の悪口言ってる」
「人が誰かに嫌われるって感じる事は自分が嫌だと思ってるところだけなの。自分の事が嫌いだから人を好きになれないのよ」
「私も自分が嫌い…。だから誰も好きになれないのかな?」
「アークさんはナタが太っても愛し続けるでしょうね」
「私…アークが太っても好きなままでいられる自信ないよ」
「本当に愛していたら、容姿なんて気にしないはずよ」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第69話です。