朝食の時間になってもゲイザーとフラウは食堂に現れませんでした。
「昨夜は明け方近くまで私の昔話に付き合わせてしまったので、ゲイザー様はまだお部屋で、お休みなのかもしれませんね」
「アークは眠くないの?」
「天使は眠くなりませんので…。ナターシャ様も昨夜はあまりお休みになっておられないようでしたが、眠くないのですか?」
「私は平気!徹夜で魔導書読んでた時も起きてた事あるよー?」
「金のリンゴの在り処はわかったのじゃろう?あんなに早く採りに行きたいと言っておったのに…。一体、どうしたんじゃ?」
「天界で色々とありまして、お疲れなのだと思いますよ?」
「わしらだけで取りに行くのはダメかのぉ?」
「それはちょっと…。ゲイザー様がいないとリンゴの樹の番人を倒せるかわかりませんし…」
「わしとフォン、ナターシャとアーク殿がいれば倒せるのではないかな?」
「ゲイザー様の思考は私にも容易には読めませんので、ゲイザー様がどんな手で番人を倒すのか見てみたいのですよ」
「なるほど、それはなかなか楽しそうじゃな」
昼過ぎになって瞼の重そうなゲイザーが食堂に現れました。
「うーん、少し前までは夜勤明けでも平然としていたのに、歳には敵いませんね…」
「何を言っておる?お主、まだ歳は三十八じゃろが!」
「一晩中考え事をしていたのです。良い手は浮かびませんでしたが…」
「番人を倒す手でも考えておったのかのぉ?」
「はっ!番人を倒す方法を考えるのを忘れておりました…」
「なんじゃ?それなら一体、一晩中何の手を考えておったと言うんじゃ…」
「ナターシャ、ちょっと話があるんだ。こっちに来なさい」
「おじさん、お話ってなぁに?」
「もし…アーク殿が…ルシファーに覚醒してしまったら…お前にお願いがあるんだ」
ゲイザーはナタの耳元で何やらボソボソと囁きました。
「えっ、おじさんにあの魔法をかけるの?どうしてそんな事するの?」
「こんな方法でルシファーが倒せるかわからないが、他に良い方法が思いつかなかったんだ。アーク殿には言ってはいけないよ?」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第42話です。