普段冷静なアークが珍しく怒りを露わにしたので、ゲイザーは冷や汗を流しながら宥めます。この時、ナタが部屋の前から去って行く気配にアークは気付いていました。
「お、落ち着いてください!もしミカエル様がルシフェル様に…恋愛感情があったとしても、それならなぜナターシャとアーク殿が出会う様に計らってくださったのでしょうか?むしろナターシャとアーク殿は引き離した方が安全だと思うのです」
「私は何千年かけてもリリスの魂を見つけ出したでしょう。必ずリリスを見つけてみせる!と思いながら転生しましたので…」
「でもアーク殿がミカエル様にお願いした通りになっていますよね?」
「ミカエル様にはもう一つお願いしていたのです。次に転生したらアダムのような男に生まれ変わりたい…と」
「アダムは私の前世でしたよね…。なぜアダムのような男になりたかったのです?私が言うのも何ですが、あまり男らしいとは言えない駄目夫だと思うのですが…」
「リリスは私に抱かれながら、ずっとアダムの影を追っていました。ナターシャ様もゲイザー様の影を追っておられます」
「うーん、私が話を聞く限り、リリスはルシフェル様を好いておられたと感じたのですが…」
「リリスの心はずっとアダムのものでした。私はリリスの心までは奪う事が出来なかった…」
「私にはアーク殿が私に嫉妬する理由がわかりません。男の私から見ても私よりアーク殿の方が遥かに魅力的だからです」
「まだ気付いておられないのですか?フラウ様にしてもサラ様にしてもグロリア様にしても、ゲイザー様に心を惹かれる女性はあなた以外の男に興味がありません。しかし私に惹かれる女性たちは、私以外の男にも心惹かれています」
「確かにフラウはそんな感じですが、サラとグロリアさんは別の男性と結婚されてますよ?」
「他の男性と結婚されてもあなたを忘れることはありません。そしてあなたを愛する女はあなたの愛する女を傷つけない。私を愛する女は私の愛する女を傷つける」
「それは単に私がアーク殿ほどモテないだけだからだと思いますが…」
「ゲイザー様がそれを計算してやっているのだとしたらとんでもない策士です。私には到底、真似出来ません」
「計算などしていませんよ?私は恋愛経験に乏しくて女性の気持ちをわからない男ですから」
「私から見たらゲイザー様は女心を操る達人です。恋愛経験豊富な百戦錬磨に見えます」
「アーク殿は私の事を買い被りすぎですよ…」
「私はあなたのようになりたかった。あなたの愛した女は誰一人不幸になっていません」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第40話です。