時間を少し前に遡って、ゲイザーはミカエルと応接間で話をしていました。
「ミカエル様に一つ、質問があるのです」
「はい、何でしょう?」
「ミカエル様はルシファーに覚醒したアーク殿を倒したと聞きましたが、どのように倒されたのか参考までにお聞きしたいのです」
「私は何度もルシファーに敗北しました。その度にウルドが時間を巻き戻して、倒せるまで何度も何度もルシファーに戦いを挑んだのです」
「ミカエル様は時間を巻き戻しても記憶が残るのでしょうか?」
「はい、私は記憶を消さずに甦れます。もう無理だ…、私には決してルシファーは倒せない!と諦めかけていました」
「さぞかし熾烈を極める戦いだったのでしょうね」
「何百回目…いや、何千回目の戦いだったか…忘れましたが、私はもう勝てる見込みはないと思って、鎧を着込まずに戦いに赴いたのです」
「最初から勝機を捨てていたのですか?」
「はい、どうせまた負けるのはわかっていましたし、行かなければ神に叱られます。鎧を着るのが面倒になったのかもしれません」
「それでなぜルシファーに勝てたのですか?」
「ルシファーの攻撃で私の衣が破れて、胸がはだけました。その時に隙のなかったルシファーに初めて隙が出来たのです」
「アーク殿が他人とは思えないです。私もおそらくミカエル様の胸がはだけたら動揺して…」
「ルシファーを倒すのはとても困難です。だからもうルシファーを覚醒させないでください」
「ルシファーの覚醒の引き金になるのがナターシャなのですよね?覚醒させない為に私は何をすれば良いのでしょうか…」
「ルシファーの鍵がナターシャの箱を開けてしまうと、覚醒してしまいます…」
「それは…その…アーク殿がナターシャと関係を持ったら…、と言う解釈で間違いありませんか?私の思い違いならすみません…」
「はい、生命創造の魔法は膨大な魔力を放出します。最も高難易度の魔法の儀式ですから…」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第38話です。