No.966847

スマブラ Abandon World 13「魔よりも恐ろしきは人」

Nobuさん

この荒廃した世界で、本当に恐ろしいのは人間かもしれませんね。という回です。

2018-09-11 07:22:29 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:611   閲覧ユーザー数:611

 ルイージ、ドクター、シークは、仲間を探すために先に進んでいった。

「しかしまぁ……ここはとっても広いね」

「しかも、何もないな……」

 現在、ルイージ達が見つけたものは、廃墟からの携行食糧のみであり、

 それ以外は何も手に入れていない。

 シークの言う通り、この世界はほとんど何もなく、それが探索の困難さをさらに強めていた。

「せめて何かの痕跡があればいいんだけど、こんなところで見つかるわけがないよね」

「もしくは、あっても極めて分かりにくいものだ」

「はぁ……」

 なんて不親切な世界なんだろう、と嘆くルイージ。

 しかし、グダグダと文句を言っていても仕方ない。

 先に進まなければ、道は開かれないのだ。

 

―ガサゴソ、ガサゴソ

「……ん?」

 ふと、シークは遠くで何か音を聞いたようで立ち止まる。

「どうしたの、シーク?」

「向こうで、何かが聞こえる」

「何の音だろう……」

 ルイージ、ドクター、シークは慎重に、音源に近付いていった。

 すると、三人の男女が死体から使えそうなものを漁っていた。

 ルイージは恐る恐る、その中の一人に話しかける。

「あ、あの……何をやってるんですか……?」

 だが男性は一心不乱に死体漁りをしていて、ルイージの話を全く聞いていない。

「どうやら僕達の事は目に入ってないみたいだね。気にしないで、先に進もうか」

「うん、そうだね」

 男女を無視して先に進もうとすると、女性はドクターの膨らんでいるポケットを見た。

「それは……?」

 女性はドクターに話しかけたが、下手に答えるとまずいと判断したドクターは何も言わなかった。

「……」

「何なの……?」

「……」

「ねぇ、教えてよ……」

「……」

「お願い……」

「……」

 女性の言葉を只管無視するドクター。

 すると、痺れを切らした女性の形相が変わり、ルイージ達に襲い掛かってきた。

 同時に、男性達も女性に続いて襲い掛かる。

「よこせぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「まずい、みんな逃げるよ!」

 ルイージ達は大急ぎで逃げ出した。

 仲間を探したいという気持ちよりも、携行食糧を奪われたくないという気持ちの方が勝っていたようだ。

 数分走った後、男女の姿は見えなくなった。

 だが、思ったよりも男女は執念深かったため、かなり離れてしまったようだ。

 といっても、目印がないこの世界ではそんなのは無意味だと思われるが……。

「ここまで逃げれば、もう大丈夫かな?」

「体力は消耗してしまったが、彼らに食糧を取られるよりはマシだ」

「ここって、魔物以外にもこんなのがいたんだね。僕達の世界では、想像もつかない事だよ」

「魔物よりも性質が悪いんじゃない? この人達は」

「ああ……人の欲望は、恐ろしいものだ。このような強欲な者は、恐らく自滅するだろう」

「でも、あの人達は多分……必死だったんだと思う。そうしてあげなきゃ……」

「甘いな」

 ルイージの甘さをシークは指摘した。

「君はこの世界にいる全ての人達を救えるのか?」

「えっ? できる、けど……」

「それがいけないのだ!」

「えっ!」

 シークの声が大きくなったためルイージは驚いた。

「僕が言った『この世界にいる全ての人』とは『スマブラメンバー全員』の事ではない。

 先ほど出会った人達も含まれるのだ」

「あ、あんな人達も……?」

「そうだ。僕達が生き残るためには、他の人を犠牲にしなければならない。

 利己的かもしれないが……それがこの世界の理だからな」

 それでも、スマブラメンバーだけは絶対に犠牲にしたくない、とルイージはシークに言った。

 シークは当然だ、とでも言うように頷く。

「今は自分の身を守る事を大事にしろ。仲間を助けるのは、その次だ」

「う、うん……」

 

 その頃、ラストホープでは……。

 

「マリオさま、マリオさま」

「なんだ?」

 アスティマがマリオの肩をポンポンと叩く。

「遠くの方から、人の気を感じますよ」

「ん……精神集中してないのに感じるのか?」

「ええ。少しだけ力が戻ってきていますから。まだ、完全には戻っていませんが……」

 アスティマはスマブラメンバー全員をこの世界に召喚してからは力の大半を失っていた。

 しかし、徐々にその力も戻ってきているらしく、

 精神集中せずとも遠くにいる者の気を感じる事ができるようになった。

「一体、どこから聞こえてきたんだ?」

「分かりません……」

「だが、行ってみる価値はあるな。おーい、リンク、カービィ、ピカチュウ!」

 マリオは大声でリンク、カービィ、ピカチュウを呼んだ。

「なんだ?」

「アスティマによれば、遠くの方に誰かいるみたいだぞ」

「もしかして、バラバラになった仲間かな?」

「そうかもしれないな。早めにここに連れて行かなければ大変な事になる」

「よぉし、善は急げだ。行くぞ! アスティマ、しっかりここを守ってくれよな」

「……はい!」

 仲間を探すため、マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウはラストホープを出るのだった。

 

「……なんだか、ここに来てからは僕達」

「影が薄くなっちゃったね~」

 ネスとリュカはぽつりとそう呟いた。


 
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