三十年前、アラヴェスタ。ミス・アラヴェスタを選ぶ為のコンテストが開催されていました。
「優勝はミネルヴァ!賞金百万が授与され、王宮に入る事を許可されます」
「私がミス・アラヴェスタに選ばれるなんて、思いもしませんでした!本当に嬉しいです…」
ミネルヴァは王宮の侍女になりました。侍女たちが噂話をしています。
「見て見て?ユリアーノ様よ!素敵…。最年少第一級魔術師って言われてるの」
「あの若さで、第一級魔術師試験に一発合格なさったんでしょう?しかも歴代最高得点だったそうよ」
ミネルヴァはユリアーノに一目惚れしてしまいました。
「ユリアーノ様…。なんて素敵なお方なの?あんなイケメン、街の中では見た事ないわ」
「ミネルヴァ!国王様がお呼びよ?」
「あっ、はい!ただいま、参ります」
前アラヴェスタ国王も膨よかな体型をしていました。まるで出荷前の豚のような顔をしています。
「そなたがミス・アラヴェスタか?」
「はい、国王様にお目にかかれて光栄です!」
「余はそなたが気に入ったぞ?余の寵愛を受けよ」
「あの…、どう言う事でしょうか?」
「あなた、まさか知らなかったの?ミス・アラヴェスタコンテストは、国王様の寵愛を受ける為の女を選ぶ為にやってるって」
「そ、そんな事聞いてません!」
「結構、有名な話だけどね。嫌がって出場しない娘が増えてるのよ。知ってて志願して来たのだと思ってたわ」
「い、嫌です!私には心に決めたお方がいますので、どうかお許しください…」
「何をごちゃごちゃ言っておる!?早く余の寝室へ連れて参れ」
嫌がるミネルヴァを無理やり、侍女たちは寝室に連れて行くと、両手両足を押さえ付けて、前国王からミネルヴァは寵愛を受けました。
「こんな穢れた身体ではユリアーノ様に想いを告げる事なんて私にはもう出来ないわ…」
ここで侍女長はハッと目を覚ましました。
「またこの夢…。三十年前なのに今でも鮮明に思い出せるわ。あの豚に穢された最低最悪の厄日を…」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第117話です。