サラと入れ替わりに今度はユリアーノが、フラウの執務室に訪ねて来ました。フラウはユリアーノに教えてもらって調合した丸薬をユリアーノに見せました。
「ユリアーノ様に教わった配合通りに作ってみたのですが、上手く出来たか心配です…」
「どれどれ?一つわしが試しに飲んでみよう」
ユリアーノが丸薬を飲むと、素敵な老紳士に変身しました。
「ビックリしました!ユリアーノ様、人間の頃はとても素敵なお姿をなさっていたのですね」
「ん?そうかな…。この姿ならば、嫁になってくれる女が、わしの前にも現れるだろうか?」
「きっとモテますよー」
「わしもまだまだ捨てたものではなかったか!よし、この姿で街に行って来よう?」
ユリアーノは意気揚々と出かけて行きました。フラウは丸薬をゲイザーに渡します。
「これでゲイザー様が獣人化しても、私が丸薬で元に戻して差し上げられます」
「もう作れるようになったのですか?この丸薬はとても難しい配合だとユリアーノ様は仰ってましたが…」
「はい、配合が細かくて苦労致しました」
「フラウの才能には脱帽です…」
「ゲイザー様の為ならなんでも出来ます」
執務室にある秘書の机でアークが作詞をしています。ゲイザーが覗き込んで尋ねました。
「アーク殿、良い歌詞は書けましたか?」
「それが…。オチが上手くまとまらなくて…」
「どれどれ…。新曲はステーキの唄ですか?」
「はい、でも今までとノリが違って、少し暗いです…」
「別に暗くても良いと思いますが?私ならこんな感じでまとめますね」
ゲイザーはペンを取って、サラサラと続きの歌詞を綴りました。
「これは…私とゲイザー様の合作と言う事で新曲を発表させてもらいますね?」
「ファンから苦情が出たら私のせいにしておいてください」
「いえ、ゲイザー様に責任転嫁などする気は毛頭ありませんが、今までと作風が違うので兄との合作だとファンに説明してから歌う事にします」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第116話です。