No.955217

ビーストテイマー・ナタ112

リュートさん

昔、書いていたオリジナル小説の第112話です。

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2018-06-05 18:33:19 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:101   閲覧ユーザー数:101

次の日からアークはバンド活動を休止したので家で退屈そうに過ごしています。

 

「私がオズワルド様の部下だった頃、獣人の国を探して来いと命じられた事があったんです」

 

「アーク殿なら空が飛べるからすぐ見つかりそうですが、見つからなかったのですか?」

 

「ええ、すぐ見つけました」

 

「なぜオズワルドに報告しなかったのです?」

 

「言わなければオズワルド様は手柄を上げられませんし、言えば平和なこの国が地獄と化します。私には全く利益がないのに、言う必要がありますか?」

 

「アーク殿が黙っていてくれたおかげで、マルヴェールの平和は保たれました。ありがとうございます…」

 

「私は待っていたのです。私を救い出してくださるメサイアの存在を」

 

「それがナターシャだったと言うわけか」

 

「はい、ナターシャ様が現れた時、メサイアだと直感でわかりました」

 

「ナターシャの命を救ってくれたのもアーク殿でしたね。その節はありがとうございました」

 

「私も救われたのです。今こうして幸せに暮らしているのが、私にはとても有り難い事です」

 

「アーク殿のおかげで私も助かっております」

 

「私にはテオドール様がメサイアを必要としている気がしてならないのです…」

 

「メサイアとはバンドの方の話ですか?」

 

「いえ、救世主の方です。今のテオドール様の状況は、昔の私と酷似しています。暴君に仕える哀れな僕」

 

「神父を拷問しなかったのは神を信じているからだからな」

 

「テオドール様は待っておられるのではないでしょうか?メサイアが現れて暴君から解放してもらえる日を…」

 

「おそらくテオドールも国王の暴君っぷりにはうんざりしている事だろう」

 

「活動休止中だと言うのにインスピレーションが湧いてきました。創作活動に入ります」

 

「また新曲を思い付いたのか?私はまだ何も思い浮かばないと言うのに…」

 

「私はテオドール様をお救いしたいのです。宮廷楽士になればお救い出来るかもしれない…」

 

「飛んで火に入る夏の虫だが、敵の罠にわざと飛び込むと言うのか?」

 

「新曲が完成したら噴水広場に行ってもよろしいでしょうか?」

 

「その時は私も一緒に行こう。私もメサイアの一員だからな…」

 

…つづく


 
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