ゲイザーとアークは魔法屋にやって来ました。アークは念の為にゲイザーを芸名で呼びます。
「ダーク、これがピーターです」
「これか…。しかしピーターだけ他のウェアラットより高いのはなぜだ?」
ゲイザーの背後に店主が近付いて来ました。揉み手をしながらゲイザーに話しかけて来ます。
「お客様、お目が高い!そのウェアラットは特別なんですよ?」
「店主よ、このウェアラットが高いのはなぜなのか答えてくれ」
「カードのステータスをご覧になればわかります。少々、お待ちください」
店主はガラスケースの鍵を開けるとピーターと他のウェアラットを机に並べました。カードに指を乗せるとカードの表面に数値が表示されます。
「ピーターはスピードのステータスが高いな」
「このスピードは異常です。これよりスピードが高いウェアラットは見たことがありません」
「なるほど、それで五百万も高いのだな」
「しかし割高ですので売れ残っていたのです」
「これをもらおう。現金で一括払いだ。身分証はないが構わないか?」
「一括払いでしたら、身分証は必要ありませんよ」
ピーターを買い戻すと店を出ました。
「ピーターが高くて逆に助かったよ。おかげで売れ残ってくれていた」
「次は楽器屋に行きませんか?ダーク用のリュートを買おうと思ってます」
「そうだな、騎士団の目を欺く為に多少は練習して置いた方が良いだろう」
楽器屋に来ると赤いリュートに近付いてアークは手に取ります。
「これがオススメですよ?」
「俺も店に入ってすぐそれが目に入っていた」
店員が近付いて来ます。
「それ人気がないから一万で良いよ?在庫処分したいんだ」
「人気がないのですか?安く買えるのは有り難いです」
「こっちの青いのは人気があるんだけどねー」
「僕のリュートはこれです。ナターシャ様が選ばれました」
「赤は裏にドクロの絵があるのだな」
赤いリュートの裏には死神のような鎌を持ってローブを着た、気味の悪い髑髏のイラストがプリントしてありました。
「それが不吉だからかな?人気が出ない理由はわからないが…」
「僕のリュートの裏は月と星の絵ですよ?表は翼の絵がありますね」
「そっちは天使をイメージしてあるんだ。お客さん、その背中の翼は衣装の飾りかい?」
「ええ、こう言うデザインの服です」
「俺はこっちの方が気に入った」
「確かにお客さんの衣装にはこっちの方が合ってるね」
赤いリュートを購入して家に帰りました。
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第103話です。