騎士団長は国王に報告する為に城に帰還しました。
「国王陛下にご報告します!教会のシスターや孤児たちは忽然と姿を消しておりました。シスターも全員、元孤児だった者たちなので身寄りがおらず、消息不明であります」
「はて?孤児の女はメイドに雇っておったはずだが…」
「国王のお気に召さずに返された者たちのようですね。あるいは国王の寵愛を拒否して逃げた者もいたでしょうが…」
「余は不細工には興味はない…。フラウも元孤児だったようだが、なぜ最初にメイドに志願しなかったのか?」
「神父の拷問の結果、フラウは獣人の国で育っており、成人してから戻って来て教会に就職したと白状しております」
「獣人の女があれほど美しいとは…。この世のものとは思えなかった」
「奪われた宝石もおそらく質に流したと思われますので、店の方へ行って調べましたが、ゲイザーは足の付きにくい、無加工の宝石だけを持ち去っています」
「ゲイザーめ!どこまでも忌々しい奴だ」
「一億以上の価値の宝石ですので、店主たちも返還したくないので、宝石を買ったかどうかさえ口を割りませんし…」
「全て奴の計画通りと言う訳か?おのれ、盗人猛々しいとはまさにこの事だ!」
「奴は我々の何百…いや、何千手も先を読んでいます」
「なんとか出来ぬのか?いや、なんとかせよ!出来ぬと申すなら其の方の首も飛ぶぞ?」
「とりあえずパトロールを強化します。金品を奪ったのはアラヴェスタの街で何かを購入したかったのではないかと推測します。マルヴェールとは通貨が違う可能性が高いからです」
「ふむ、怪しい奴がいたら捕らえよ」
「これだけ手配書をばら撒いても、ガセネタばかりで、大した情報は手に入らないですが…」
「懸賞金を三億にしたからな。ゲイザーを発見して捕らえた者は一生遊んで暮らせる。必ず奴を捕らえて、極刑に処す!フラウは奴隷として生かしておくがな。わしの寵愛を受けさせる」
「フラウも殺した方がよろしいかと…。生かしておくと国王陛下のお命を狙う可能性が高いです」
「フラウはか弱い女だ。わしの命を取るなど無理だろう?ゲイザーはただでは殺さん!苦しめて、苦しめて、フラウの目の前でゲイザーを殺してやる…」
「オズワルドを殺害したのは、フラウだったと守衛たちが供述しております。油断してはいけません」
「其の方…。余に逆らうと申すか?」
「いいえ、めっそうもございません!国王陛下が全て正しいです。私が間違っておりました」
「うむ、わかればよろしい」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第102話です。