ゲイザーとアークはアラヴェスタの街にやって来ました。誰もゲイザーが手配書と同一人物だと気付きません。ゲイザーの手配書は街中の至る所に貼り付けられています。人相書きには目つきの悪い黒髪ロングストレートの剣士と、獣人の剣士が両方描かれています。
「まさか自分の懸賞金が三億にもなっていたとは…。こんな高額の懸賞金は今まで見たことがないぞ」
「おや?この前は確か一億でしたが、値上がりしていますね…」
「国王の怒りを買ったのだろう。あれだけの事をしでかしたから、仕方がないか…」
「質屋に行く前に洋服を見て行きませんか?」
「アーク殿はまだ私をアイドルにしようなどと考えているのではあるまいな?」
「いえ、鎧が手配書の物と同じなので、変えた方が安全かと思いまして…」
「既製品だからどこにでもある鎧だよ?」
「万が一、と言う事も考えられますし、なるべくゲイザー様だと悟られない服装が好ましいです」
「そうか、アーク殿の意見は筋が通っているからな。その店に連れて行ってくれ…」
アークが現れると店員が嬉しそうに駆け寄って来ます。
「アーク様!この前のライブ最高でした」
「おひねりをありがとうございます。今日は兄を連れて来ました」
「まあ!アーク様のお兄さんも超イケメンですね」
「アーク殿。なぜ私が兄…」
すると、ゲイザーの言葉を遮るようにアークは突然、大声を上げます。
「兄貴!僕と一緒にバンドを結成しよう」
アークはいつもと喋り方が変わっていました。ゲイザーはアークの考えを一瞬で察してわざと口調を変えて答えます。
「俺はバンドなどする気はないと何度も言ってるだろう?」
「お兄さんと一緒にバンドをやるんですか?素敵です」
「では、兄に似合う服をコーディネートお願いします」
「お兄さんはこういうダークな感じが、お似合いだと思いますよー?」
店員は黒を基調としたゴシックの衣装を選びました。ゲイザーはそれを試着します。
「お兄さん、アーク様と違ったタイプで人気、出ると思います!頑張ってくださいねー」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第99話です。