マルヴェールの自宅に帰るとゲイザーは久々に自分の顔を鏡で眺めました。
「耳が前より尖って来ている…」
「獣人化を繰り返していると伸びて来ますよ」
「そうだったのか…。このままでは変装しても獣人だとバレてしまうな。耳を隠せる良い方法はないものか?」
「男性ですと兜をかぶるのが良さそうですが」
「兜などかぶっていたら、真っ先に疑われて騎士団の者に職務質問されるだろう。自然に耳を隠す方法を考えている」
「ナタの魔法で髪型変えるよー」
ゲイザーの黒髪のロングストレートをナタは魔法でパンクさせました。
「この前のアーク殿の髪型と同じだな…」
「ゲイザー様も私と共にアイドルデビューしませんか?その方が逆に騎士団の者から怪しまれないかもしれませんし」
「このような派手なファッションは人目を引くと思うのだが?」
「そこが盲点なのです。まさかゲイザー様がそんな派手なファッションをするとは、誰も思いませんからね?」
「確かにこんな髪型は私なら絶対にしないからな。私ではないように見える…」
ゲイザーは鏡の中の自分を見つめながら言いました。まるで別人のようで、自分には見えず、少し気持ち悪いと感じます。
「これだけ爆発していたら耳も隠せるし、良いかもしれない…」
「衣装は私の服を買った店で調達しましょう」
ゲイザーとアークが奇抜なヘアースタイルで外に出ると、ロレインが通りかかりました。
「あらあら、ゲイザー!髪型を変えたの?素敵なヘアースタイルねー」
「すぐに私だとバレましたね…。母上の目はごまかせませんか?」
「自分がお腹を痛めて産んだ我が子を見間違うわけないでしょ?眼を見ればすぐあなただとわかりますよ」
「こんなすぐにバレるようでは危険ですね…」
「いえ、ゲイザー様のお母様は心眼の持ち主のようです。人間にもたまにそういうお方がおられるので、悪人をすぐ見抜けるのですよ」
「悪人を見抜けるなら、なぜ父上と結婚なさったのか謎ですよ?母上ならばもっと良い男を捕まえられたはずなのに」
「いいえ、ゲイザー様のお父様は悪人ではありませんよ?私にも心眼がありますのでわかります」
「私から見たら父の顔は犯罪者にしか見えませんよ?」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第98話です。