再会の挨拶が終わるとゲイザーは単刀直入に話を切り出すことにしました。
「ユリアーノ様、私を人間の姿に戻す事は可能でしょうか?戻れないと非常に困るのです…」
「無論、可能じゃ…。わしが調合した、この丸薬を飲むが良いぞ?獣人化が解けるはずじゃ」
「ありがとうございます。これでアラヴェスタに行ける…」
ゲイザーが丸薬を飲むと獣人化が解けました。
「うむ、丸薬がなくなったら、また取りに来るが良い…。わしもここにおったら退屈でのぉ。お主のような面白い話し相手がおると楽しいもんじゃわい」
「私のどこが面白いと言うのでしょうか?私の話はつまらないと、よく知人から言われていたのですが…」
「それは理解が出来んからじゃろう?知能の低い者は知能の高い者と話すと、話がつまらぬと感じるものじゃからな」
「私もユリアーノ様やフォン様やアーク殿と話すのが楽しいと感じます…」
「それは同等の知能がある者同士ならば、会話が成立しやすいからじゃよ?知能の高い者もまた、知能の低い者と話すのは、つまらぬと感じるものじゃ」
ここでフラウが二人の会話に割って入ります。
「お話の邪魔をして、すみません。ユリアーノ様、私に先ほどの丸薬の作り方を教えてくださいませんか?お願い致します!」
「あの丸薬を作りたいと申すのか?少々、複雑な配合なので、わし以外には無理じゃと思うのだが…」
「私は薬草学に精通しております。知能の低い私には無理だと思われるのでしょうけど、私が調合出来れば、ゲイザー様はすぐにあの丸薬を手に入れられますので」
「フラウ殿が知能が低いとは思っとらんよ?うーむ、そうするとわしには会いに来てくれなくなるのか?寂しいのぉ」
「ユリアーノ様がお望みなら、何度でもお伺い致しますよ?用がなくても遊びに来ます」
「ふむ、しかしわしも最近ナターシャがおらんで退屈で仕方ない。そうだ!ナターシャ、わしをカードに封印しなさい?」
「えっ!お師匠様もナタの使い魔になるの?」
「お前と離れて暮らすのも、そろそろ限界のようじゃ…。わしも連れて行ってくれんかのぉ」
「ユリアーノ様が仲間になれば、こんなに心強い事はありません!私からも是非、お願いしたいです」
「この前、ナターシャが帰って来てから、ポッカリと心に穴が開いておってのぉ。もうナターシャと離れたくないんじゃよ…」
「じゃあお師匠様と侍従関係を結ぶねー」
ナタが呪文を詠唱すると真っ白なカードに獣人の魔導師の絵が浮かび上がりました。
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第97話です。