No.92656

『真・恋姫†無双』「もう一つの赤壁」(「序」)

山河さん

設定としては、蜀ルート完結後となっております。

たぶん続き物になるはずです。

よろしければ、お付き合いくださいませ。

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2009-08-31 19:16:48 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:6261   閲覧ユーザー数:5278

「むぅ……」

星が不満そうな声を出す。

こういっちゃなんだが、趙雲はけっこう活躍してたと思うぞ?

まさか容姿か? 容姿に不満なのか!?

「私もあんなおじさん嫌だよぉ……。それに私、髭なんて生えてないし……」

と、今度は桃香。

まぁ……劉備はしょうがない。

「鈴々はかっこよかったからいいのだ! 鈴々の大活躍を見たか! なのだ!」

うん、よくわかんないけど、鈴々は納得してくれたみたいだ。

虎の髪飾りをしてるくらいだし、あの虎髭も気に入ったのか?

鈴々の趣味はよくわからん。

しかし問題は……。

「あのぅ……華琳……さん……?」

俺は、さっきから不機嫌な表情のまま一言も発しない華琳に声をかけた。

はい、無反応。

だから嫌だったんだ……。

真桜の奴が、DVDプレイヤーなんか作るから……。

つか、ホントこの世界。何でもありだな。

というわけで俺たちは、何故か俺の制服のポケットに入っていたハリ×ッド映画『レ×ド・ク×フ』をみんなで鑑賞していたのだが……。

「いいよなぁ、桃香たちは。私なんか、存在がなかったことにされてるんだぞ……。いくら影が薄いからって、あんまりじゃないか? なぁ、北郷?」

ちょ、ちょっと白蓮さん?

うん、まぁ、なんだ。

生きててよかったね、公孫賛、としか言えないぞ、俺は……。

「なによ、ボクと月が出てないじゃない! まぁ、ボ、ボクはいいとしても、月が出てないのは納得いかないわ!」

いや、だからね。

この映画、題材が赤壁だからね。

そのぉ、何というかね……。

お察しください!

「ちょっと一刀さん? どうしてあのクルクルおちびさんが出ていて、このわたくしが出ていないのかしら? 名門出身で、しかも容姿端麗・博学多才の、この、わ・た・く・しが」

「そうだぜ、アニキ。麗羽さまはともかく、あたいが大活躍しない映画なんかつまんないぜ。きっと観客も、あたいの大活躍を待ってるはず!」

だから察してくれ!

そ、そうだ、助けてくれそうなのは……。

って、朱里!

「は、はわわっ! わ、私も、かっこよかったし、名軍師でよかったなんて、ち、ちっとも思ってませんから!」

ああ、朱里は満足なのね。

まぁ、諸葛亮はこの映画の主役だしな。

同じ理由で、呉の皆さんも概ね満足、と。

孫権はイケメンだし、周喩は主役級の扱いだったからな。

まぁ、雪蓮は……。

仕方ない!

しか、しか……。

「い、痛い! 痛いってっ!」

俺は足を雪蓮に踏まれ、耳を華琳に引っ張られ、思わず悲鳴を上げる。

桃香も不機嫌そうな表情だ。

いったい、俺にどうしろと!?

いっとくけど、この映画撮ったの、俺じゃないから!

俺が三人に取り囲まれるようにしていると。

「ねぇ、雪蓮?」

か、華琳さん……?

「そうねぇ、華琳」

しぇ、雪蓮さん……?

こ、怖いって! 二人とも怖いってっ!

アイコンタクトで何かを確認した華琳と雪蓮の二人は、不敵な微笑みを浮かべている。

桃香は、そんな二人の様子を見てぽかーん。

「真桜」

華琳は、後ろに控えていた真桜を呼ぶ。

「はいな! 準備ばっちりでっせ、大将!」

何? 何が始まるの……?

続々と運ばれてくる何だか怪しげな絡繰りを眺めながら、俺は嫌な予感がしていた。

いや、嫌な予感しかしなかった……。【続】


 
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