No.101634

『真・恋姫†無双』「もう一つの赤壁」(第一章「貧乳はステータス」)

山河さん

設定としては、蜀ルート完結後となっております。

たぶん続き物になるはずです。

よろしければ、お付き合いくださいませ。

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2009-10-18 04:24:24 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:7318   閲覧ユーザー数:6461

四百年続いた漢王朝はすでにその力を失い、ただ崩壊へと向かっていた。

各地では次々と反乱が起こったが、もはや朝廷に為す術はなかった。

天下はまさに、乱世の時代へと突入していったのである。

 

そんな時代にのし上がってきたのが、貧乳帝国を率いる、曹操、字は孟徳、真名は華琳。

曹操軍は(貧乳だけに)“一枚板”(「岩」ではない、念のため)で、勢力を伸ばし続ける。

今や、曹操の「人類貧乳化計画」の野望を阻める者は、巨乳共和国代表・劉備、字は玄徳、真名は桃香と、巨乳公国元首・孫策、字は伯、真名は雪蓮だけとなっていた。

 

208年。

ついに曹操は、80万の大軍を率いて動き出す。

まず標的となったのは、孫策よりも胸の大きかった劉備。

劉備は(「もうすぐ、おっきくなる予定なんですっ!」の、未来の巨乳軍師、つまり今は貧乳軍師)孔明を従え南へと向かうが、(凸がないだけに)進軍速度が(滑るように)速い曹操軍に追いつかれてしまう。

 

おっぱい三国志最大の激戦、赤壁の戦いに向け、時代はまさに大きく動こうとしていたのである。

 

 

       -勝つのはバインバインか、

                   それともツルペタか-

 

                『おっぱい三国志』

 

             全国劇場にて、10月公開決定!!

「主……。こんな昼間から、貧乳だ巨乳だとは、あまり感心しませんぞ……」

ぬぁっ!?

星!

まさか俺の独り言が聞かれていたとは……。

って、おっぱい蓮…………じゃなかった、白蓮は何でいじけてるんだ?

「どうせ私は並乳だよ……。巨乳にも貧乳にもなれず、中途半端なままさ……」

いや、白蓮の魅力は普通なことだぞ。

だからおっぱいも普通でいい!

むしろそれがいい!

「ごほんっ! 白蓮殿、それにご主人様」

おっと、愛紗だ。

「これは軍事演習も兼ねているのです。もっとまじめにやっていただかないと……」

確かに今回の撮影は、対五胡の軍事演習も兼ねている。

だからこれだけの軍勢を動かしているわけだが……。

俺は、ずらりと連なった蜀軍を振り返る。

まさに、地平を埋め尽くさんばかりの人・人・人。全員蜀軍兵士の皆さん。

しかしここまでやるかねぇ……?

パンがなければお菓子を食べればいいじゃない。

そう言った王妃がいたらしいが、まさにそれ。

納得いかなければ自分で作ればいいじゃない。

そう言った国王がいた。

しかも三人。

だからこその今日の映画撮影なのだが……。

知らない人が見たら、また戦争が始まったと誤解しかねんぞ、実際。

加えて魏と呉も、ほぼ同数の軍勢を動かしているはずだから……。

スケールでかすぎ!

総制作費何億だよ!?

俺が何となく適当に人件費を計算していると、横から出てきた星。

「愛紗よ、お主は国で留守番をしていてもよかったのだぞ?」

「い、いや、私にはご主人様と桃香様をお守りするという役目が……」

およ?

何だか愛紗の歯切れが悪い。

「道楽で軍を動かすなどと」

そう言って最後まで反対していたのが愛紗だっただけに、ちょっと意外だ。

「みんなして、なに話してるんだ? おっと、そうだそうだ。ご主人様、そろそろ曹操達が来るって朱里が」

と、翠。

そういえば、俺たちが、ここ長坂で戦っている間に仲間になったのが、翠と蒲公英だったっけ。

長坂か……何もかも皆懐かしい。

「おまえは艦長か、なのです」

って、ねね。なぜ君はこの台詞を知っているんだい……?

「そんなことはどうでもいいのです。それよりも、今回は恋殿の武勇を天下に示す好機!おまえもちゃんと協力するのですぞ」

「………………ねむい………………」

…………。

あのぉ、ねねさんや。

協力するも何も、当の本人はあくびなんかしてますぜ……。

「ちょっ! 恋殿ぉ。起きてくだされぇぇぇ」

そんなやりとりをしているうちに、遠くにだが土煙が見え始める。

華琳達の到着か?

さてさて、我らが蜀の面々は……。

「みんなは後ろに下がってるのだ! ここは鈴々の出番、なのだ!」

うん、現実の長坂では鈴々こと張飛が活躍するよね。

でもね……。

「姉さま、たんぽぽ達の力を見せる好機だよ!」

ほら。

「よし、行くか、たんぽぽ!」

「翠は下がってるのだ! ここは鈴々の出番なのだ!」

「いや待て鈴々、翠。“えいが”を見ていなかったか? ここは私が曹操を追い詰める……」

って、愛紗さん!?

何だかんだ言ってたのに、ノリノリじゃないか!?

「まったく、愛紗も素直ではありませんな。出たいなら出たいと、素直にそう言えばいいものを。…………いや、あれは愛する誰かに、自分の活躍するところを見てもらいたいのか」

星が愉しそうな目つきで、そう話しかけてくる。

「あれ? 星は加わらなくていいの?」

俺は、誰が一番槍になるかで争いを始めた面々を見ながら、星に問いかけた。

「正義は遅れてやってくるもの。私の出番は、もう少し後です」

なるほど。

長坂の戦いでの趙雲の活躍場所と言えば、最高にして最大の見せ場。

劉禅救出ミッションがあるもんな。

「その通りです。主の世界の趙子龍も、なかなかに粋なことをしたものだ」

なんか愉しそうだな、星……。

「おーっほほほほっ! この優雅にして華麗な、袁本初様の出番ですわね! あぁ、わたくしってば、何て罪作りなのかしら。何もしていないのに、目立ってしまうだなんて」

「あのぉ、麗羽さま……?」

「なんですの、顔良さん?」

「私たち、完全に“かめら”から外されてますよ……」

「はぁ……。何を言ってますの、この子は。わたくしのように、容姿端麗、成績優秀、風光明媚な名門の出ですと、何もしなくても自然に目立ってしまうものですわ」

「……最後の風光明媚って、意味違ってますよ、麗羽さま……。ねぇ、文ちゃんからも何か言ってよぉ。このままじゃ私たち、何の見せ場もないまま終わっちゃうよ?」

「ですよねぇ、麗羽さま。あたいの活躍、ちゃんと見ててくださいよ!」

「その意気ですわ、文醜さん! 特別に、わたくしの次に目立つ権利を差し上げますわよ。おーっほほほほほっ!」

「はぁ……」

と、斗詩が深いため息をついた頃、もう一人深いため息をついた人物がいた。

そう、俺。

北郷一刀。

未だ決着のつかない先陣争い。

そして、残念な白蓮。

はたして、長坂の戦いはどうなってしまうのか!?

 

ちなみに、事の次第はこうだ。

「白蓮お姉ちゃんは、後ろに下がってるのだ」

「ちょ! 鈴々!?」

「そうだぞ、白馬長史」

「翠!? それにその名で呼ぶなぁぁぁー!」

「白蓮殿は桃香さまをお願いします。って、待て鈴々! ここは私の出番だと何度も……」

「えっ! 愛紗まで!?」

と、完全にないがしろにされてしまった白蓮は、すっかり意気消沈してしまっていた。

「どうせ私は影が薄い並乳さ……。普通だけが取り柄の、普通人間だよ……」

「白蓮殿、そう気を落とされるな」

「……星……?」

白蓮は、同じく後ろに下がっていた星に慰められ、一瞬だが、顔に再び明りがともった。

しかし……。

「おっと、そろそろ私の出番のようだ。後は頼みましたぞ、主」

「星!? この裏切り者ぉぉぉぉぉぉー!」

と、叫んだ白蓮。

おいおい、俺にどうしろって言うんだよ……。

「まぁ、何だ。白蓮。この面子の中では、普通な方が逆に目立つっていうか、何つうか……」

もう無理っす!

「そうだよ、白蓮ちゃん。私も後ろで待機なんだし」

って、その割には余裕の表情ですね、桃香さん。

さすがは巨乳共和国の代表。

顔以外には、劉備の活躍に不満はなかったらしい。

まぁ、三国志演義っていや蜀だからな。

「はわわっ! どうしたんですか、白蓮さん?」

と、ここで真打ち。

映画では大活躍の諸葛孔明こと、未来の巨乳軍師(?)朱里の登場。

でもね。

朱里は控えめな性格だし、あれを見ると今回は……。

俺は未だ決着のつかない面々を眺めながら、朱里の肩をたたいた。

「はわわっ! 何です、ご主人様?」

「いや、頑張れって」

胸とかいろいろ。

「はわっ! い、今、何だかとっても失礼な言葉が聞こえた気がします!」

まぁ、人生色々。

おっぱいも色々。

「朱里はそのままでいいんだよ」

「??? よくわかりませんが、私そろそろいってきます」

ああ、行っておいで。

呉には巨乳軍師しかいないから気をつけるんだよ。

俺は、呉との同盟の使者として旅立つ朱里の薄い胸を見送った。【続】

〈今日の白蓮〉

 

「って、やっぱり私だけ空気扱いかよぉ~~~~~~っ!」


 
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