No.913066

マイ「艦これ」「みほ2ん」第55話<侮れない艦娘>(改1.2)

しろっこさん

そして予想外の司令の実家では、これまた予想外の出来事の連続だった。

2017-07-06 21:53:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:668   閲覧ユーザー数:664

 

「艦娘に慣れない殿方は無理も無いのじゃ」

 

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マイ「艦これ」「みほ2ん」

 第55話 <侮れない艦娘>(改1.2)

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 私は日向と寛代と一緒に降車する。

軍用トラックは妖精に任せて一旦、鎮守府へと戻した。

 

私の袖を引きながら寛代がボソッと言う。

「司令の家、初めて入る」

 

「そうだな」

今回は母親の受け入れ体制が万全だ。

 

 そのせいか、この前に夕立が来たときとは実家の雰囲気からして全然違う。不思議なものだ。

 

すると日向が確認する。

「私たちも入って宜しいでしょうか?」

 

「ああ、そうだな」

私は自ら実家の玄関ドアを開けると日向と寛代を招き入れた。

 

「ただいま」

「お帰り」

奥から母の声。実家だから、これで間違ってないはずだ。

 

 しかし艦娘たちが居ると妙に違和感がある。だからと言って尺時定規に『墓参部隊。到着した』なんて言えないよ。

 

実家の洋間に入ると艦娘たちが並んで座っていた。これも異様だ。

 

「へい、テートクぅ。やっと到着したネ!」

開口一番、金剛。

 

「ああ」

……としか言えない。

 

 艦娘たちが普通の家に勢ぞろいしている構図は威圧感タップリだ。

改めて、こんな連中を招き入れた母親も肝が太いとしか言いようが無い。

 

 その母親が顔を出した。

「もう夕方だから、ご飯でも食べていくか?」

 

「え? でも準備が……」

「それなら、もうしてあぁけん、大丈夫だわ」

なんと母親は艦娘の人数分、夕食を準備していたようだ。

 

私が不思議そうな顔をしていると彼女は説明する。

「その祥高さんだっけ?」

 

「はい」

秘書艦が頷く。

 

母親も続ける。

「お前が部下を連れて訪問するかも知れないって電話くれてな。『ご無理なら遠慮します』って言うだけン『良いよ来なさい』って答えただわ」

 

「え?」

私は絶句。

 

「別に、えぇが? たまには」

「うん……まぁ」

母親もすごいが、やはり侮れないのは秘書艦だったか。

 

「お母様、お手伝いします」

「あ、私も」

「それじゃあ私もぉ」

秘書艦と北上、それに龍田さんが軒並み配膳の手伝いを立候補した。

 

 なるほど戦艦や空母だと、ちょっと不器用そうだし。駆逐艦では人数が足りない……巡洋艦なら、適度に小回りが利いて配慮も行き届いているから適任だな。

 

「お前は座っちょれ」

母親に諭されて私は床の間の前に座る。

 

そこには順当に山城さんと金剛姉妹が居た。

「戦艦が上座か……」

 

「私は下座でも良いのですが」

山城さんが消え入るような声で呟く。

 

すると比叡が突っ込む。

「ダメです! 偉いとか偉くないじゃなくて、物事には秩序というものが有るんですよ」

 

「そうネ、だからテートクはトコノマの前デス」

金剛も妙に和風に馴染んでいるな。

 

ふと気付くと日向は下座だ。

「あいつは良いのか?」

 

私の言葉に怪訝(けげん)そうな表情になる山城さん。

「航空戦艦には負けたくないの……」

 

(どういう理屈だ?)

 

ただ日向自身は平然として上下は気にしないようだった。

何となく彼女のほうが上手な気がした。

 

 さっきから青葉さんがノンストロボで盛んにシャッターを切っている。

「おい、写真の取り扱いには注意しろよ」

「心得てますよ」

 

 彼女も普段から鎮守府で写真を撮っているから問題ないと思うのだが、なぜか私の実家が写っているとなると写真が流出しないかと不安になるのだ。

 

 そうこうしているうちに祥高さんたちはテーブルの上に次々と料理を運んでくる。母親も奮起したな……。

 

そういえば彼女は私が小さい頃から料理が得意だった。今日のメニューも、ほとんどが手作りだろう。

 

「これ手作りだよね」

「すごいわねえ」

北上や龍田さんも敏感に反応している。

 

……ていうか敏感だな、お前たちは。私は北上がサンドイッチを作っていたことを思い出した。

 

ある程度料理が揃ったところで、全員が着席して母親もやってきた。

「あれ? お父さんは?」

 

「恥ずかしいだって」

エプロンをしたまま入って来た母親が言う。

 

「そうじゃな、艦娘に慣れない殿方は無理も無いのじゃ」

利根が妙に理解を示している。

 

「……じゃ食べるか」

 

私が言うと直ぐに

『えっ』……という反応が艦娘たちの間から湧き上がる。

 

「なんだよ、それは」

 

すると珍しく祥高さんが全体を代表して意見を言う。

「司令、ここは乾杯を……ということです」

 

「なるほどね」

秘書艦に言われたら抵抗できない。

 

私は床の間の前で立ち上がると言った。

「えっと、今日は図らずも墓参に加えて実家訪問となりました」

 

シンとなる洋間。

 

 私はちょっと焦った。五月雨や日向、赤城が真面目なのは分かるとして、なんで金剛姉妹に青葉さん、利根までが真剣な表情でこっちを見ているんだ。

 

だが、それなりにまとめなければ司令としての名が廃る。

 

長過ぎないように、それでいてピリッとしたことを……と一瞬、考えていたら北上が突っ込んできた。

 

「緊張しなくて良いからさ、早く食べたいから簡潔にね」

「あ、ああ」

 

 負けた、こいつには。だがお陰で場の緊張が解けて和やかになった。

 

「では簡潔に……実は私は最初、どうなるかと思った」

「何が?」

突っ込んで来る北上。

 

「その墓参が……いや、そもそも着任して君たちと出会った当初からだな」

『あぁー』と、一同頷く。

 

「日向や北上は面識があったけどな。その次は青葉さんに救われた」

「えぇ? 別に助けてないですよ」

青葉さんが反応する。

 

「いや、そういう意味ではなくて」

ここで全員大爆笑。

 

「艦娘の部隊という状況に緊張していたんだ。もちろん比叡や金剛の明るさ、それに利根のストレートさ。山城さんや五月雨の純粋さ……」

ここで二人はうつむいて赤くなっている。

 

「そして要のように締めてくれる龍田さんに祥高さん」

「あらぁ、やだ」

龍田さんはそう言いながらも微笑んでいる。

 

すると私の脇を突く者。

「ああ、お前もな。寛代……」

 

そこで私はグラスを手にした。艦娘たちもそれに倣う。

「艦娘と指揮官の距離、それはどうあるべきかと思っていた。だが今日実家に来て分かった。私は美保鎮守府を一つのファミリーにしたいと思う。この墓参はその第一歩だろう」

 

「……で?」

また北上。

 

私は苦笑する。

「まぁ、人前で話すのは得意じゃない。まとまらないが美保鎮守府の発展を願って乾杯と行こう」

 

その言葉を合図に全員が立ち上がる。

「では、乾杯」

 

『かんぱーい』

 

 

 

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中~(^_^;)

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PS:「みほ2ん」とは

「美保鎮守府:第二部」の略称です。

 


 
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