No.911725 英雄伝説~光と闇の軌跡~エレボニアカオスルートsoranoさん 2017-06-26 22:48:34 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2954 閲覧ユーザー数:2471 |
~パンダグリュエル・パーティーホール~
「クスクス……それじゃあ、次は”副将”の出番よ、フォルデお兄さん、ステラお姉さん。」
「御意。という訳でステラ、まずはお前から自己紹介な。俺は基本オマケで”副将”としての主な仕事はお前に任せるつもりだしな。」
レンに促されたフォルデは答えた後ステラに先に自己紹介するように促し、フォルデのステラに向けた発言を聞いたその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「先輩も”副将”に命じられているのですから、ちゃんと”副将”としての仕事をして下さいよ、先輩……」
リィンは疲れた表情でフォルデに指摘した。
「フフ…………――――メンフィル帝国軍所属”特務部隊”の”副将”を務める事になったステラ・ディアメル特務大佐と申します。以後お見知りおきを。」
一方その様子を苦笑しながら見守っていたステラはアリサ達を見回して自己紹介をした。
「!?」
「”ディアメル”だって………?まさかとは思うが君は”ディアメル伯爵家”の関係者なのかい?」
ステラの自己紹介を聞いたマキアスは血相を変え、オリヴァルト皇子は眉を顰めた後驚きの表情でステラを見つめた。
「”ディアメル伯爵家”……?オリヴァルト皇子が知っているって事はもしかしてエレボニアの貴族?」
「うむ………――――”ディアメル伯爵家”。”四大名門”に次ぐエレボニアの名門貴族の一角だ。」
「ええっ!?し、”四大名門”に次ぐエレボニアの名門貴族!?」
オリヴァルト皇子の言葉を聞いて首を傾げているフィーの疑問に答えたラウラの答えを聞いたエリオットは驚き
「へ~、なるほどね~。そう言えば”ディアメル伯爵家”の末娘がメンフィルに亡命した可能性があるって推測されていたけど、ホントにメンフィルに亡命していたんだ~。」
「ミリアムちゃんはステラ特務大佐の事について、何か知っているのですか?」
興味ありげな様子でステラを見つめて呟いたミリアムの言葉を聞いたエマはミリアムに訊ねた。
「うん。”ディアメル伯爵家”も”貴族派”で、しかも”貴族派”の中でも”四大名門”に次ぐ有力貴族だから、当然”情報局”も”ディアメル伯爵家”の家族構成とかも詳しく調べたんだけどね~。3年前に末娘であるステラ・ディアメルが行方不明になっていたんだ~。」
「ゆ、”行方不明”って………!」
「?何故その”ステラ・ディアメル”という人物が行方不明になったのに、メンフィル帝国に亡命したとミリアム達は推測していたんだ?」
ミリアムの説明を聞いたアリサは信じられない表情をし、ある事が気になったガイウスは自身の疑問を口にした。
「………ステラ嬢の足取りを追って行った所、彼女の足取りはリベール王国の”ロレント市”から出た所で消えた為、ステラ嬢はロレントの郊外にあるメンフィル帝国の大使館を訪問し、異世界にあるメンフィル帝国の本国に亡命したと推測されていたのです。」
「そういや、リベール王国にある各国の大使館の中でも、唯一メンフィルの大使館だけは王都(グランセル)じゃなく、リベール王国の中でも辺境であるロレント地方にあったな………」
「ええ……エステル達の話によるとメンフィルの大使館がある場所に異世界とゼムリア大陸が繋がる転移門とやらがあるから、メンフィルはその転移門を管理する為にロレントに大使館を作ったとの事よ。」
「なるほどね………要するにメンフィルは世界同士を繋ぐ転移門を独占する為に、ロレントに大使館を作ったのね。」
クレア大尉の説明を聞いてある事に気づいたトヴァルの説明に続くようにサラは答え、トヴァルとサラ教官の話を聞いてある事を察したセリーヌは目を細めてレンを見つめた。
「うふふ、最初にゼムリア大陸に繋がる転移門を見つけたのはメンフィルなのだから当然の権利でしょう?――――話を戻すけど、ステラお姉さんはそっちの情報通り、元エレボニア貴族である”ディアメル伯爵家”の令嬢で、3年前にロレントにあるメンフィル大使館を訪れてパパにメンフィルへの亡命とメンフィル軍への入隊の嘆願をしたのよ。で、その結果ステラお姉さんは色々な審査を受けて亡命の嘆願を受理してもらった後、本国にあるメンフィルの帝都―――ミルスにて訓練兵として色々な事を学んだ後リフィアお姉様の親衛隊に配属されて、今に至るって訳♪」
「ええっ!?く、訓練兵からいきなり皇族―――それもメンフィル帝国の跡継ぎであられるリフィア皇女殿下の親衛隊に配属されたんですか!?」
「そんな普通に考えたらありえない抜擢がされたのだから、彼女は相当優秀なんだろうね………」
「ハハ………やっぱりリウイ陛下も彼女の事を知っていたのか………ちなみにリウイ陛下―――いや、メンフィル帝国は何故ステラ嬢の事についてエレボニア帝国に何も教えてくれなかったんだい?彼女はエレボニアの貴族―――それも”四大名門”に次ぐ名門貴族の令嬢なのだから、せめて行方不明になっていた彼女の事について教えて欲しかったのだが………」
レンの説明を聞いたトワは驚き、ジョルジュは複雑そうな表情でステラを見つめ、オリヴァルト皇子は疲れた表情で呟いた後レンに訊ねた。
「メンフィルは”全ての種族の共存”―――つまりは”光”と”闇”、両陣営の共存を謳っているから、その関係で何らかの理由で祖国にいられなくなった”訳あり”の人達もメンフィルに亡命する事は割とよくある事なのよ。で、その亡命してきた”訳あり”の人達も”メンフィルの民”になるのだからメンフィルは”国として”当然その人達を守る義務が発生するのだから、貴族の令嬢でありながら祖国や家族を捨ててまで亡命する程の”訳あり”の人物の一人であるステラお姉さんの事をエレボニアに教えてあげる訳がないでしょう?もし、エレボニアにステラお姉さんの事を教えちゃったら、ステラお姉さんの実家がステラお姉さんを連れ戻す為に全てを捨ててまで、メンフィルに亡命して新たな生活を送っているステラお姉さんの人生を滅茶苦茶にするかもしれなかったのだし。」
「それは……………」
「……何故そなたは名門貴族の令嬢と言う平民達や下級貴族達と比べれば恵まれている立場でありながら、故郷や家族を捨て、メンフィル帝国に亡命したのだ?」
レンの正論に反論できないオリヴァルト皇子が複雑そうな表情で答えを濁している中アルゼイド子爵は静かな表情でステラに訊ねた。
「”恵まれている”……ですか。確かに平民や下級貴族の方達からすれば、私の実家や”四大名門”のような上級貴族の生活は恵まれているように見えるしょうね。――――その代償に多くの者達が”名門貴族”という自負によって、人が持つべき大切な心を忘れ、欲深い存在へとなっている事も知らずに。」
「それは一体どういう事なんですか……?」
「………………」
アルゼイド子爵の問いかけに対して答えたステラの答えが気になったジョルジュは不安そうな表情でステラに訊ね、ステラの答えを聞いて心当たりを思い出したマキアスは複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「……これ以上は私達”特務部隊”の仲間でもない今の貴方方に話すつもりはありません。―――ただ、これだけは言っておきます。私は祖国や家族を捨てた事に未練はありません。今の私はメンフィル帝国の騎士の一人であり、私の忠誠は当然メンフィル皇家である”マーシルン家”に捧げています。」
「ハハ………頭で理解はしていても、正面からハッキリとそんな事を言われるなんて、結構グサッとくるね……」
「エレボニア皇族のオリヴァルト殿下の前で堂々とエレボニアを捨てた事に未練がない事や、忠誠はメンフィル皇家に捧げている事を言うなんて、とんでもなく肝が座ったお嬢さんだな………」
「……………」
ステラの答えを聞いたオリヴァルト皇子とトヴァルは疲れた表情で溜息を吐き、マキアスは複雑そうな表情でステラを見つめていた。
「ちなみにステラお姉さんはリィンお兄さん同様、今回の戦争で手柄をあげたから、褒美としてステラお姉さんをメンフィル帝国の貴族にしてあげる事になってね………将来はステラお姉さんの希望通り元エレボニア帝国の領地であるケルディック地方の領主に任命される事が内定しているわ。」
「ええっ!?ケ、ケルディックの!?」
「しかも”元エレボニア帝国の領地であるケルディックの領主になる事が彼女の希望”との事だが……何故貴女は元エレボニア帝国の領主になる事を希望したんだ?」
レンの説明を聞いたアリサが驚いている中ガイウスは不思議そうな表情で首を傾げてステラに問いかけた。
「例え実家と縁を切っても、私が貴族の家に生まれた娘である事は事実ですから”貴族の義務(ノブレスオブリージュ)”までは捨ててはいません。そして私がメンフィル帝国に亡命するまで生きて来れたのは民達が治めてくれた税でしたから、貴族の家に生まれた娘として……民達から受けた恩に報いる為に元エレボニアの民達が豊かで平和な生活を送れるようにしてあげたいと思い、希望しました。」
「”貴族の義務(ノブレスオブリージュ)”……ユーシスがいつも口にしている言葉だね。」
「ええ………若輩でありながら皇族の親衛隊に抜擢される程優秀かつ実家や故郷を捨ててもなお、エレボニアの民達を大切にする心を持つステラ様が他国に亡命した事は、エレボニアとしても痛い話でしょうね……」
「シャロンッ!」
「ハハ、実際その通りだから、反論できないね…………」
「殿下………」
ステラの答えを聞いて静かな表情で呟いたフィーの言葉に頷いたシャロンの話を聞いたアリサは声を上げてシャロンを睨み、疲れた表情で肩を落としている様子のオリヴァルト皇子をアルゼイド子爵は心配そうな表情で見つめていた。
「そんじゃ次は俺の番か。――――俺の名はフォルデ。フォルデ・ヴィント特務大佐だ。ステラと同じく特務部隊の”副将”を務める事になった。もしお前達が俺達の指揮下に入るんだったら、メンフィル軍の指揮下だからと言ってリィン達もそうだが、俺も細かい事やどうでもいい事に対して五月蠅く言うつもりはないから、お互い気楽にいこうぜ。」
ステラの自己紹介が一通り終わった事を悟ったフォルデは自己紹介をし、フォルデの自己紹介の仕方にその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて脱力した。
「フフ、フォルデ先輩らしい自己紹介ですね。」
「お願いしますから、自己紹介くらいまともにして下さいよ、先輩……」
「ハア……リィンとステラの成長を考えるとまさに”反面教師”ね……」
我に返ったステラは苦笑し、リィンは疲れた表情で指摘し、セシリアは呆れた表情で溜息を吐いた。
「”先輩”………?フォルデ特務大佐はリィン特務准将とステラ特務大佐とどういう関係なんだ?」
一方ある事が気になったガイウスは不思議そうな表情でリィン達に訊ねた。
「メンフィル軍は訓練兵を指導する方法として、まずグループごとに指導する担当教官が存在して、更にそのグループ内で二人一組のペアを組ませて、ベアごとに既に一人前の軍人として務めているメンフィル帝国軍の人達が指導する事になっているのよ。で、フォルデお兄さんは訓練兵時代ペアになったリィンお兄さんとステラお姉さんを直接指導する”先輩”として二人を指導していたのよ。」
「メンフィル軍の新兵にはそのような訓練方法があるのですか………」
「なるほどね………指導する人数を絞れば、指導する内容も濃密にできる上現役の軍人からも指導内容を自分のものにする為の”コツ”とかも直接教えて貰えるから、合理的な指導方法ね。」
レンの説明を聞いたクレア大尉とサラはそれぞれ真剣な表情で考え込んでいた。
「ま、俺の場合後輩たちが二人とも優秀なお陰で、他の連中と違って楽ができたけどな♪」
親しみのある笑顔を浮かべて答えたフォルデの答えを聞いたその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて脱力し
(………何だかどこかの誰かさんを思い浮かべるような性格をしているようだね、フォルデ特務大佐は……)
(うん………(クロウ君………))
寂し気な笑みを浮かべているジョルジュの小声の指摘にトワは辛そうな表情でクロウの顔を思い浮かべて頷いた。
「うふふ、ちなみにフォルデお兄さんも今回の戦争で手柄をあげたのだけど………何とその手柄はアルフィン皇女の捕縛よ♪」
「何だと!?」
「そなたがアルフィン皇女殿下を………」
小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンの説明を聞いたアリサ達がそれぞれ血相を変えている中トヴァルは驚きの声を上げ、アルゼイド子爵は真剣な表情でフォルデを見つめた。
「やれやれ………別に俺は皇女さんを傷つけていない所か、指一本も触れてねぇんだから、そんな大人数で睨まないでくれますかね。」
アリサ達に注目されたフォルデは疲れた表情で答え
「”指一本も触れてない”って言っているけど、一体どうやってアルフィン皇女を捕縛したの~?」
「ミリアムちゃん!」
ミリアムのフォルデに対する疑問を聞いたクレア大尉は声を上げた。
「ん?そんなに難しくない事だぜ。味方に手強い連中を始末してもらった後、貴族連合軍の兵達の中に紛れ込んでいた俺が残った貴族連合軍の兵を始末してアルフィン皇女に武器を突き付けて、投降を促しただけさ。」
「貴族連合軍の兵達の中に紛れ込んでいたって………」
「うふふ、エレボニアとの戦争を決定した後メンフィルはエレボニアに多くの諜報兵達を投入して、その諜報兵達に貴族連合軍の兵達を暗殺してもらった後メンフィル軍の兵達がその暗殺された兵達と入れ替わっていたのよ♪」
フォルデの説明の中に出て来たある言葉が気になって不安そうな表情をしているエリオットにレンが説明した。
「ええっ!?」
「なるほど……エレボニア帝国に戦争を仕掛けて日が浅いにも関わらず、メンフィル帝国が皇女殿下を含めた”アルノール皇家”の方々の居場所を掴めたのは、貴族連合軍に自国の兵達を紛れ込ませて貴族連合軍内部での情報収集を行わせていたからでしょうね。」
「そんな古臭い諜報活動の仕方、まさに”獅子戦役”みたいな遥か昔にされていた諜報活動じゃない……」
「メンフィル帝国軍の諜報部隊に暗殺された貴族連合軍の兵達の数はどれだけいるのかしらね………」
レンの説明を聞いたアリサは驚き、シャロンは納得した様子で呟き、セリーヌは呆れた表情で溜息を吐き、エマは辛そうな表情で呟いた。
「ちなみにフォルデお兄さんもステラお姉さん同様、メンフィル帝国の貴族―――”男爵”になる事が内定していて、治める領地はオーロックス地方だから、特に”アルゼイド家”の人達は今の内にリィンお兄さんもそうだけど、ステラお姉さんやフォルデお兄さんとも仲良くなった方がいいと思うわよ♪将来クロイツェン州の大半を統括する立場であるリィンお兄さんは当然として、レグラム地方に比較的近いケルディック地方やオーロックス地方の領主達であるステラお姉さんやフォルデお兄さんとも仲良くなっておいた方が、後々のレグラムの為になるでしょう?」
「それは……………」
「ラウラ………」
「…………………」
レンの指摘に複雑そうな表情で答えを濁している様子のラウラをフィーは心配そうな表情で見つめ、アルゼイド子爵は目を伏せて黙り込んでいた。
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第40話