十九話 新たな仲間
「まずは名前を教えて。」
詠は、あの選定で優秀な成績を出した三人を宮殿に呼び出し、名前を聞き出そうとした。
「私は、戯志才と申します。」
眼鏡をかけた凛とした少女は名乗った。その表情はとても凛々しく、自身に溢れている。
「程立です。」
不思議な帽子をかぶった少女も名乗る。
「姓は趙、名は雲、字は子龍と申す。」
彼女たちの自己紹介が済んだ。
「まずは、お見事、と言っておくわ。あなた達には正式に我が軍で働いてもらう事にした。これからはこの洛陽のために働いてもらうわ。」
詠はさも誇らしげに言う。自分たちの軍に入れて嬉しいだろうと言わんばかりに。だが、詠の気持ちも解らんでもない。実際の所、袁術、董卓軍に士官したがる人間は山のようにいるだろう。倍率で言ったら、千や万は行くかもしれない。その事が詠にとってとても誇らしい事なのだ。
だが、三人の答えは詠の予想を超えるようなものであった。
「その事ですが、少し考えさせて頂く。」
趙雲はきっぱりと言った。詠はズルッとコケそうになったが、何とか踏みとどまった。
「ちょっ!!な、何でよ!?私たちの所に士官したいから先の選定に出場したんでしょう!?」
詠は激昂した。自分たちがせっかく仕官させてやろうというのに、そちらが自分たちを裁定するなんてあまりにも図々しすぎる。詠は腹を立てながら彼女たちを叱りつけたが、彼女たちは怯みもしない。
「我ら三人は、仕えるべき君主を探すべく、旅を続けてまいりました。自分たちの仕える君主は自分たちで決めまする故。」
詠の眼力にまったく怯む様子はない。それどころか。彼女たちのあまりにも堂々とした態度に、詠の方がたじろくほどであった。
「詠ちゃん。どうしたの?すごい大声を出して。」
そこに月が現れた。友人がいきなり大声を出したものだから心配になってやってきたのだ。
「ゆ、月!?」
趙雲たちは理解した。詠というのはこの賈詡の真名であるだろうと。真名を許されるほどだ。しかも服装からしてかなりの位の高い人物と思われる。彼女たちは理解した。彼女が董卓なのではないかと。
「貴公は……?」
だが、確信があったわけではない。彼女たちはそれとなく月に名を聞いた。
「私は董卓と申します。今、この洛陽の相国の任に就いている者です。」
趙雲たちは予想していたとはいえ、驚きは隠せなかった。豪傑と噂されるあの董卓がこのような可憐な少女であったなどと誰が思うだろうか?
「ちょ、ちょっと、月!こんな奴らなんかに名乗る事なんかないよ!」
詠は月を諫めた。名を名乗るという事はその者を認めるという事だ。優秀な成績を出したとはいえ、相手は名もないただの武人と文官だ。しかも先ほどから無礼な態度しかとらない。そんな奴らに神聖な名を名乗るという事がとても許せないのだ。
「詠ちゃん。その人たちは私たちの仲間になるかもしれないんでしょ?だったら、ちゃんと名乗らなきゃ失礼だよ。」
月はさも同然のように話す。だが、それが幸いしたのかどうかは分からないが、趙雲たちは月の器の大きさを垣間見たのだろう。彼女たちは月の前に跪き、問いだした。
「董卓殿。董卓殿にお聞きしたい。」
「……はい。」
趙雲は神妙な顔つきで言う。月はこの趙雲の圧迫するような緊張感に生唾を飲んだ。
「貴公は今や洛陽の相国。その力、その影響力は大陸でも随一と言えるでしょう。だからこそお聞きしたい。貴公の理想というものを。」
「り、理想ですか?」
「しかり。貴公の権力は絶大であります。貴公が命を出すだけで思い通りの世の中になりましょう。だからこそお聞きしたいのです。これから貴公等の思う理想を。」
趙雲は頭を垂れながら聞く。その姿勢には一種の覚悟のようなものにも見える。あまりの迫力に詠も何も言う事が出来ない。
月は改めて思ったのだ。相国という任の重さを。それは自分の言葉一つで世界を変える事のできる絶大な力だ。自分の発する言葉で何千、いや、何万もの人間が巻き込まれてしまう。
それは諸刃の剣だ。力とは人間を狂わせる事のできる魔物と行っても過言ではないだろう。確固たる理想を持っていなければ権力という魔物に飲み込まれてしまい、悪政の限りを尽くしてしまう。
趙雲は頭を上げ、心の中を覗き込むかのような目で月を見定めた。最初は怖かったが、月はすぐに自分の理想について語った。その口に迷いなどは無い。
「私は……私はみんなが笑って暮らせる、そんな世の中にしていきたいです!」
月の言葉には迷いなどは無い。だが、月の言った言葉はあまりにも理想論だ。趙雲はその理想論に問いかけた。
「素晴らしい理想をお持ちのようだが、貴公の言っているのは理想論にしかすぎませぬ。貴公の理想に参加出来ぬ者たちが、ここ洛陽に攻め入ればどうなさいますか?」
「そ、それは……」
月は口ごもった。戦になれば民たちには大なり小なり必ず被害が出る。そこには笑顔なんてものは存在しないのだ。だが、月はすぐに迷いをふっ切った。
「そ、その時は戦ってでも、自分たちの理想を守って見せます!」
あの争いの嫌いな月が戦うと言った。この事には幼馴染の詠も驚きを隠せない。
「ふむ、力ずくで自分たちの理想を教えこませる、という事ですかな?」
「聞こえは悪いですが、その通りでしょう。」
嫌にネチネチと突っかかる趙雲だが、月はもう怯んだりはしない。見事、趙雲との舌戦に対抗していた。
「ふむ。話は分かりました。もう一つだけお聞きしたい。力で自分たちの理想を実現する貴公方も、傍から見れば、他の人間と同じではないのですかな?」
趙雲は言う。力で理想を実現するというのは今まで宦官たちが行ってきた事と同じだ。人にはそれぞれの理想がある。月のような理想もあれば、戦乱を望むような狂人的な理想を考える人だっている。自分たちだけが良いという理想もある。
人間にはそれぞれの想いや考えがあるのだ。それらを無視して自分たちだけの理想のみを力ずくで教え込ませるというのはあまりにもおこがましい事だ。
「それは重々承知しております。ですが同じに見えるからと言って何もしないなんて、そんなことは出来ません。」
月は言葉を続ける。
「私たちは私たちのやり方が力ずくだという事は理解しております。だけど、私たちの目指しているところが、きっとみんなのためになると。そう信じております。」
月はいつものおどおどした月ではない。相国として自分たちの『理想』を語る。そしてその事が民たちの明日につながると言う。
「……それは結局、独りよがりでしか無いのかもしれません。でも、今の世の中はおかしいと思うから、傍観せずに行動するんです。」
趙雲たちは月の言葉に耳を傾けていた。月の言葉はそのすべてが妄言である。しかし、聞かずにはいられなかった。
「世の中、何も変わらない……って、嘆くだけでは何の進展もありませんから。」
趙雲たちは月に改めて跪いた。月の器の大きさと理想。そして理想に溺れない、自分たちを客観視できる冷静さ。そのすべてがあまりにも気高かったのだ。
「みんなが笑って暮らせる世の中。それが、私の……うんうん。私たちとご主人様の『理想』です。」
詠は月のあまりの変わりように驚いた。これもあの一刀の影響だろうか?どちらにしても月の言葉は彼女たちの心に深く刻み込まれたのだ。
「ふむ……申し訳ありませんでしたな。試すような問いを出してしまった事を深くお詫びいたしましょう。」
趙雲は深々と頭を垂らした。月も趙雲の姿を見てオロオロするばかりだ。
「い、良いんですよ!………ちょ、趙雲さんでしたよね?貴方のおかげで自分たちの理想を再確認出来ました。」
月もあわてて礼をした。相国が普通名もない相手に礼をする事などあり得ないのだが、月はそんな事まったく気にしてなど無かった。
「星ちゃん、良かったですね。星ちゃんの眼鏡に適って。」
「ふ、そうだな。」
「ところで、先ほど気になる事を言いましたね。『ご主人様』と。失礼ですが相国の貴方様の主とは一体何者なのでしょうか?」
相国はすべての役職のトップだ。それ以上の役職など聞いたことが無い。一応『帝』というものはあるがそれは役職ではない。戯志才と名乗る少女は聞いたのだ。
「私たちのご主人様は『天の御使い』と呼ばれる御人なんです。とってもお優しい方なんですよ。」
月は顔を赤くしながら誇らしげに答える。
「ちょ、ちょっと月!ぼ、僕はまだあいつを主と認めたわけじゃあ………」
詠は否定するものの、その顔は先ほどと違って幾分も柔らかくなっている。名前を出しただけで安らげるような存在なのだろう。
「ふむ。あなた方のような方にそれほど言われるとは………さぞかし、素晴らしい御仁なのでしょうな。」
「はい♪」
「ゆ、月~……」
先ほどの緊張感が嘘のような感じになった。なんともほのぼのとした空気だ。
「オッホン!オッホン!…………それじゃあ、もう一度聞くけど、改めて私たちの仲間になってくれるわよね?」
詠はわざとらしい咳払いをした。それほどまでにこの場の空気が緩みきっていたのだ。
詠は改めて三人に訊ねた。自分たちの仲間になるのかと。先ほど、この三人は仕える主は自分たちで決めると言ってきたのだ。月の器の大きさに感激した今なら間違いなく仲間になってくれるだろうと思っていた。
だが、三人は互いに顔を合わせながら渋っていた。
「ど、どうしたのよ!?月は仕える価値が無いって思っているの!?」
「え、詠ちゃん……」
詠は怒鳴りだした。先ほどあんなにも感激していたっていうのに何が足りないのかと思ったのだ。
「いや、董卓殿の器の大きさは理解しました。しかし、まだ、『天の御使い』と呼ばれる人物にもお会いしておりません。」
戯志才は聞いてきた。その通りだ。この洛陽は袁術と董卓の二大看板がいるのだ。董卓の器のでかさ、人柄は理解できたが、袁術に関しては何の情報も無い。これから一生ここで仕えるのかもしれないのだから彼女たちが袁術に会いたいと思うのは当然だろう。
「それに、相国はもう一人いますからね~。袁術という人間を見て置かなければなりません。」
程立も同様みたいだ。董卓だけじゃ足りないと思っているようだ。これは趙雲も同じだったようだ。
「そ、それは……」
詠はかなり動揺した。一刀はなんの問題も無いだろう。だが問題はあの美羽だ。もし、この三人に会わせたりなんかしたら、とんでもない事になる。あの美羽と月が同等などと思われたら考えただけでも背筋が凍る。
「え~と………袁術は今、風邪で寝込んでいて……その…・…今はここに来る事が出来ないのよ!」
詠は決して美羽の事が嫌いという訳ではない。だが、お世辞にも優秀な君主様とは言えないだろう。長い間、一緒にいると少しは理解できるが、初見の人にとってはただのわがまま娘にしか見えない。
詠はせっかく見つけた優秀な人材をこのままなくすには惜しいと考え、危惧していたのだ。
だが、詠の想いはすぐに粉砕された。
ド ド ド ド ド ド ド ! !
何かものすごい音を出しながらこっちに何かが迫ってきた。その時、誰かの大声が響いたのだ。
「こらあああ!!待てえええ!!美羽ううう!神楽あああ!」
ド ド ド ド ド ド ド ! !
ものすごい声だった。その声の主は言わずも知れた月たちの主、北郷一刀の声であった。足音はだんだんこちらに近付いてくる。
「美羽!お前のせいだぞ!」
「うるさいのじゃ!妾に黙って一刀とお祭見学に行った奴が何を言っておるのじゃ!」
「それは関係ないだろう!?」
声は一刀だけではなかった。袁術こと美羽も。皇帝である神楽もまた大きな声を出しながら走っていた。
「待てといっているだろおお!!」
「待てと言われて待つ馬鹿いるわけないじゃろう!?」
遂に一刀たちは玉座の間まで来てしまった。趙雲たち、三人は驚くのも無理はなかった。いきなりの事だったから、状況の整理がつかないのだ。
「捕まえた!!」
「こ、こら!一刀、放すのじゃ!」
「一刀、それだけは許してくれ!放してくれ!」
「はい分かりました…って行くわけ無いだろう!」
一刀はようやく逃げ惑っていた美羽と神楽の捕獲に成功した。それを脇から見ていた詠たちは開いた口が塞がらなかった。
「あ、あいつらは私たちと何の関係も無い人間だから……!」
詠はすぐに趙雲等三人に言い訳を言った。まさか、あの三人が『天の御使い』『相国』『皇帝』などと知られたら、それらに仕えている自分たちは物笑いの種だ。どうか、ばれませんようにと、詠は神様に願ったのだが、神様は詠の言葉を無視したようだ。
「ご主人様、何をしていらっしゃるのですか?」
先にネタばれさせたのは他でもない、親友と思っていた月であった。趙雲たちはこの言葉を聞き逃すはずがなかった。
「………ご主人様?」
戯志才はボソッと言った。まだ、この場の状況が理解できないのだろうか?開いた口をふさぐ事が出来なかった。
「ああ、月か。手伝ってくれ。こいつら、医者の先生たちが出してくれた薬を飲まないんだ。」
「あんな苦い薬など飲めるわけ無いじゃろうが!それに妾はもう治ったと言っておるじゃろう!」
「何、言ってんだよ!?病み上がりなんだからきちんと言われたとおりにしろ!相国ともあろう人間が……情けない!」
趙雲たちの顔がまた変わった。だが、変わったのは趙雲たちだけではない。詠の顔はものすごく引きつっていた。
「………相国?」
程立と名乗る少女もボソッと言った。
「か、一刀!余は、余は関係ないだろう!」
「何言ってんだよ!昨夜は美羽の風邪が移ってあんなに苦しんだって言うのにもう忘れたのか?」
「そ、それは………もう治った!」
「そんなわけ無いだろう!お前もさっさと薬を飲め!風邪をぶり返しても知らないぞ。」
「う~……か、一刀~……」
「駄目ったら駄目だ!この前言っただろう。帝は体を大事にする事も仕事だと。」
「む~……」
詠はもはや何も言えなかった。だが、趙雲が驚いたように口にした。
「………帝……だと?」
詠はすべてが終わったような顔をしていた。そんな詠の気持ちも知らずに一刀たちはギャーギャーと騒いでいる。月も一刀たちに混ざって喧騒の中にいた。
「あ、あんたたち………」
詠はわなわなと体を震わせていた。だが、そんな詠を横に一刀たちの騒ぎは止まらない。
「あんたたち、いいかげんにしなさーい!!!」
その時の詠はあの三国志最強の武将、呂布も震え上がらせるほど憤怒の形相をしていたらしい。
詠は一刀たちに正座をさせて説教をかましていた。恐れ多くも皇帝である神楽も正座をさせられながら説教を聞かされていた。だが、神楽は詠のあまりの形相に何も言えず、ただただ聞くしか出来なかった。
説教は小一時間ほど続いただろうか?まだ、詠の説教が終わる気配は無い。さすがに一刀たちも限界だったようである。それを見かねた趙雲たちは詠に進言した。
「賈詡殿、そろそろその辺で終わりにしたらどうでしょうか?」
戯志才だった。その時、詠はキッと戯志才を睨みつけた。目つきだけなら、戯志才も負けてはいないのだろうが、今の詠の迫力には誰も適わないだろう。
「え、詠ちゃん……もう、それくらいにした方が……ご主人様たちも反省しているし……趙雲さんたちも怖がっているよ。」
その通りであった。趙雲と桯昱は分からないが、睨みつけられた戯志才はまるで石になったかのように硬直していた。
「ゆ、月~……月がそう言うなら………」
そんなこんなで、ようやく詠の怒りが取れたのだ。
「ふむ、話は終わったようですな?」
いい加減、後ろの客人たちである趙雲たちはうんざりしていたようだ。程立など鼻ちょうちんを出しながら眠ってさえいる。
趙雲は桯立を起こし、固まっていた戯志才もなんとか普通の状態に戻した。
「あれ?君はあの時の………」
「ようやく気付かれたのですか?先ほどからずっと居たというのに……」
一刀は趙雲の顔を見て思い出した。あの時、祭りでガラの悪い男たちに絡まれていた時、助けてくれたのは他の誰でも無い。この趙雲だ。
「星ちゃんのお知り合いですか?」
程立は起きたばかりのせいか、とても呆けた顔で聞いてくる。
「うむ。ちょっと街で知り合った程度だがな。」
趙雲も一刀の事を覚えているようだ。事情を知らない詠たちは一刀に訊ねてくる。
「あんた、こいつらと知り合いなの?」
「ああ。俺がガラの悪い男たちに絡まれた時、助けてくれたんだ。」
「ちょ、ちょっとあんた!そんな大事な事どうして言わなかったのよ!」
詠は驚きつつ、一刀に怒りを感じていた。一刀はもはや董卓軍の首領であり、月の主でもある。護衛も付けずに街を出歩いた事に憤慨しているのだ。なんだかんだ言って、詠も一刀の事が心配だったのだ。
「そんなに怒鳴りなさるな。その方は悪人どもに襲われそうになった人たちを助けるため、身を呈して守ろうとしたのですぞ。」
「か、一刀!あんたって奴は……」
詠は怒っている。絡まれていた人たちを助ける行為はとても素晴らしい事だと理解は出来るのだ。だが、一刀の体はもう一刀一人のものではない。もし、何かあってからでは遅いのだ。
とは言うものの、一刀は言って聞く様な人間ではないとも理解している。一刀はそういう奴だ。困っている人を見ると後先考えずに助けに言ってしまう。そう理解していたから、詠の怒りは収まって行ったのだ。
「……もう。そんな無茶はもうしないでよね!」
「ごめんな、詠。心配をかけて。」
「ふ、ふん!別に心配なんかしてないんだから!」
一刀は詠をあやす様に頭を撫でていた。それを傍から見ていた月たちがうらやましそうな顔で見ていたのは言うまでもない。
「良い雰囲気の所申し訳ないが、そろそろ、よろしいですかな?」
良い雰囲気の所に水を注した趙雲。詠と一刀は慌てながらお互いに離れたのだ。その時の詠の顔は真っ赤であった。
「それじゃ、自己紹介をするよ。俺は北郷一刀。世間では『天の御使い』などと言われている。そして袁術の側近だ。」
一刀は簡単な自己紹介を交わした。趙雲たちは自分たちの名を名乗って行く。
「性は趙、名は雲、字は子龍。こちらは桯立に戯志才と言います。」
「程立です。」
「戯志才です。」
三人とも簡単な自己紹介をしてくれた。
「こら、美羽。名を教えてもらったんだから、ちゃんと自分も名前を教えろよ。」
「そ、そんな事分かっておるのじゃ。妾が袁術じゃ。こ奴の主じゃぞ!」
何ともぶっきらぼうに答える美羽。一刀はため息をつきながら情けなくなった。こんなのが自分のご主人様だなんて。
「余は『献帝』劉協だ。そなたたちは優秀な人材であるらしいな。」
その時、趙雲たち三人は膝を床につけて頭を垂らした。忘れがちだが、神楽は皇帝なのだ。彼女たちの反応が普通であり、美羽たちの行動の方が非常識なのである。
「な、なんじゃ!?この差は!?」
自分とは明らかに態度が違う。その事に美羽は憤慨した。
「皇帝と張り合ってどうするんだよ。」
一刀は突っ込みながら、美羽を抑えた。そんな器の小さい美羽と違い、神楽は、
「そのように畏まらなくてよい。優秀な人材はそれだけで国の宝だ。頭を上げよ。」
何とも器の大きい事を言う神楽。本当に見習わせたいと真摯に思った一刀であった。
…………………
「しかし、あなたが『天の御使い』であったとは………いやはや、驚きを隠せませぬ。」
趙雲は物珍しい感じで見てくる。一刀を初見で見る人間はいつも驚くのだが、彼女はあまり驚いた様子は無かった。
他の二人もそれぞれの違う感情を出していた。程立はジーと見つめており。戯志才はなぜか鼻を押さえながら悶えていた。何で?
「おや、稟ちゃん、いつものアレですか?トントンしますから後ろを向いてくださいね。」
「ふがふが……」
桯昱は戯志才の後ろ首をトントンしていた。あれはいったい何なのかは分からないが、なんとなく、一刀は嫌な予感がした。
「と、ところで、三人は仕官するためにここに来たんだよね?」
一刀は話を進めようとした。変わった行動をしていた三人もすぐに真剣な顔に戻る。
「はっ!ですが、あなた方に仕えるかどうかはこちらで決めまするゆえ……」
趙雲はかなり真剣だ。彼女たちの目に適う事が出来なければ、彼女たちはどっかに行ってしまうかもしれない。
「分かった。必ず、君たちを納得させて見せるよ!」
「ふ、楽しみにしております。」
趙雲は微笑した。一刀は必ず彼女たちを仲間にしようと真剣に彼女たちの話を聞こうとしたのだ。
「別に難しい事を聞くのではありませぬ。そのように緊張なされなくてもよい。」
「は、はあ……」
趙雲にはすべて見透かされているようだ。下手に自分を着飾るより、素のままの方が良いのかもしれない。彼女たちに自分たちの想いを伝えるために。
「あなたの『理想』をお聞かせ願いたい。」
その問いはシンプルであるがとても難しいものだ。人の理想など人それぞれだ。彼女たちも自分たちの理想と違うからと言って、身を翻すような愚かものではないはずだ。だとしたら、彼女たちは何を聞きたいのか?
だが、そんなことはどうでもいい。自分に嘘はつきたくない。この世界に来て、その理想を追いかけて行ったんだ。彼女たちは確かに欲しいが、そのために自分たちの理想を変えるわけには行かなかった。
一刀は自分の理想を彼女たちに語りだした。奇しくもその内容は先ほど、月が言ったのとほとんど同じであった。
「………ご主人様。」
月は目頭に涙を浮かべていた。自分の理想が好きな人と一緒だったなんてとてもうれしい事だ。月はその事に感激しているのだ。詠も感心したかのように一刀を見ていた。
「ふむ、先ほどの董卓殿と同じ理想ですか………ですが、一刀殿。そのような事をなさって、貴公に何の得があるのでしょうか?」
皆が笑って暮らせる世を創る。だが、困っている人間を助ける行為に得などあるのだろうか?いかに理想が気高くともそこに得が無ければ何の意味もないのではないだろうか?
「そうだね。そこには何の得なんかないよ。」
一刀はきっぱりと言う。それではただの自己満足だ。そんなのに皆が付いてくるはずがない。
だが、一刀は続ける。
「でもさ、趙雲さんも損得を考えながら俺を助けてくれたわけじゃないだろ?」
「!!」
趙雲は目を見開いた。確かにあの時の自分は、ただ困っている人を見捨てる事が出来ず、あのような行動をとったのだ。そこには損得なんて下賤な考えなどは無い。ただ純粋に『助けたい』それだけであった。
「ふふふ……これは一本取られましたな。」
趙雲は一刀の徳の大きさに心から感心したのだ。
趙雲を始め、桯昱も戯志才も一刀と月に感心した。この人たちならお仕えしても良いのかもしれない。そんな風に考えていたのだが、突然、戯志才がとんでもない事を言ってきた。
「袁術殿はどうか?」
一刀たちは一斉に美羽の方を見た。その顔は冷や汗をたっぷり含んだ余裕のない顔であった。一刀だけではない。詠も、神楽も、あまつさえ月さえも生唾を飲んだ。
相手はその場のノリだけで行動する美羽だ。もしここで、余計な事を言ったら先ほどの感動は跡形もなく粉砕されるだろう。
「何がじゃ?」
美羽は聞いていなかったらしい。戯志才は改めて聞いた。お前の理想を教えろと。
一刀たちの緊張は臨界点を突破するほどであった。いつの間にか息切れをしている。趙雲に、大丈夫か?と聞かれたがそんな事はどうでもいい。
(頼む!美羽!余計なことは言わないでくれ!)
一刀は心の底から願った。だが、そんな一刀たちの願いなんか分かるはずの無い美羽だった。
「そうじゃな………妾は大陸をハチミツでいっぱいにするのが夢じゃ!」
「………………………」
「………………………」
「………………………」
………終わった。
一刀たちは真っ白になった。美羽の理想は民たちのためにではなく、自己欲のためのものである。そこには義や侠のような素晴らしい感情は無いのである。
「は、蜂蜜ですか?」
戯志才は美羽の性格も知らなければ、好物すらも解らない。だから、最初はこの理想がどういう意味なのか理解できなかったのだ。
「うむ♪ハチミツは良いぞ!甘い物を食べればとても幸せになれるのじゃ!」
美羽はハチミツの素晴らしさを語りだした。一刀たちはもう終わったと思っていたが、予想に反して、戯志才たちは美羽の話に耳を傾けている。
一刀は奇妙に思った。あの人たちは間違いなく『義』に生きるような人たちだ。なのに、美羽の自己中心的な話に食らいついている。それどころか、美羽の事を関心さえしているようだ。なぜだ?美羽はさっきから、ハチミツの素晴らしさについてしか語っていない。
「……という訳じゃ!ハチミツを食べればみんな幸せになって、自然と笑顔になるのじゃ!」
一刀は美羽の話をちゃんと聞いていた。間違いなく、ハチミツのの事しか言っていない。ハチミツを食べれば幸せになるだの、笑顔になるだのと………
「………待てよ?」
一刀は思った。よく考えたら、趙雲たちは美羽の事は何にも知らないはずだ。もしかして、何か勘違いをしているのだろうか?
そのように考えていたら戯志才が感心したように美羽に言った。
「なるほど。確かに今はどこも飢饉状態。戦の勝利によるものではなく、糧食面で庶民の心を掴むという事ですね。………方法は違えども素晴らしい考えです。」
「…………………」
やはりそうだ。みんな、勘違いしているんだ。このチャンスを逃すことは出来ない。詠も一刀の考えを瞬時に理解した。
「うん?何を言っ「いやあ!さすがだな美羽!お前がそんな高等な事を考えていたなんてちっとも知らなかったよ!さすが美羽!さすが俺のご主人様だな!詠もそう思うだろ!?」
「そうそう!糧食面を先に思い浮かぶなんてさすが相国!すごいよ美羽!」
「そうか?妾がすごいのは知っているが、そんな風におだてられるとこっぱずかしいぞい!うはっはっはっは!」
これ以上美羽に余計な事を口にされる前にこの場を速やかに切り上げた一刀と詠。何とか誤魔化せたようだ。
趙雲たちはぽかんとしながらこの場は収まったのだ。
その夜は、趙雲たちのために酒宴が設けられた。これも褒美のひとつなのだ。
一刀は趙雲と酒を飲みながら話をしていた。
「へ~。最初は公孫賛の所にいたんだ。」
「はい。ですが、黄巾党が滅び、客相としての仕事がなくなりましてな。仕えるべき主を探しに流浪の旅を続けて居りましたところ、あの二人と再会したのです。」
「ふ~ん。」
趙雲は身の上話をしてくれていた。彼女は悩んでいるようでもあった。一刀は彼女に仲間になってほしいと本気で思っているのだ。
「ねえ、趙雲。」
「なんですかな?」
「まだ悩んでる?」
「………申し訳ない。」
「あ、いや、謝るような事じゃないよ!」
彼女は本当に悩んでいるようだ。自分たちの仲間になるかどうか、という事に。その時、趙雲が口を開いた。
「もう納得はしておるのです。しかし、私は武人です。」
趙雲は続ける。
「貴公等は、もはや天下に一番近い存在と言ってもよいでしょう。貴公等に戦を仕掛けるような輩はもはや居ないのでしょうな。」
一刀は理解した。彼女は武人だ。戦場こそが自分の生きる場所なのだろう。
一刀たちの勢力はすでに大陸随一だ。だから、戦を仕掛けてくる勢力が存在しない。戦争は無いに越したことは無いのだが。だから、これから必要になってくるのは武官ではなく文官なのだ。したがって彼女たちのような武人は必要なくなってしまう。
「う~ん……しょうがないか。悩んでいる人に無理強いはさせたくないし。」
「申し訳ありませぬ。ですが、私も一晩だけ考えますので。」
「うん。いっぱい悩んだ上で結論を出してね。」
「はい。」
一刀と趙雲はお互いに意気投合しながら杯を交わした。素晴らしい時間だった。途中、戯志才が一刀の元にやってきた。
「か、一刀殿!一刀殿にお聞きしたい事がありまする!」
「俺に?どうしたの?」
酔っているのか、戯志才はとても顔を赤くしていた。そして、一冊の本を取り出したのだ。
「単刀直入に聞きます。貴方と天子は本当にこのような関係であらせられるのか!?」
一刀は飲んでいた酒を吹きこぼした。戯志才の持っていた本は随分前に一刀が打ち切りにした本。『皇帝の御使いの情事』そのものであった。
「い、いや、そんなわけないだろう!」
「う~む……むきになりながら否定するところがまた怪しいですな?」
「ちょ、趙雲さん!」
趙雲はニヤニヤしながら一刀を見ていた。絶対に楽しんでいる感じだった。
戯志才は何かを妄想したみたいで、鼻血のアーチをみんなに拝ませた。程立も混ざってきて大混乱だ。
酷い一日であったが、酒宴の席でのことであったため、とても楽しいと感じた一刀であった。
そうして、その日の酒宴が終わりみんな寝床に着いたのだ。一刀は趙雲たち三人に部屋を貸し与え、自分も床に就いた。
こうして騒がしい一日は終わったのだ。
トントン……
誰かが戸をノックする音が聞こえる。
トントン……ガチャ。
誰かが入ってきた感じだ。一刀はうっすらと目を開けてみた。部屋はまだ暗い。だが、鳥の鳴き声が聞こえる。どうやら、朝日が昇ろうとしているのだろう。
「……さん。」
誰かが一刀を読んでいる。だが、一刀は昨夜は酒宴だったのだ。お酒がまだ体に残っている。だから、いまだにボ~としている状態だ。
「……刀殿、起きてください。」
誰かが、一刀の体を揺さぶっていた。一体なんだと思い、呆けている頭を無理やりに起こした。
視力を回復させ、目の前にいる人を見定めた。その時、一刀の頭は思いっきり覚醒したのだ。
一刀の目の前にいたのは桯立と戯志才であった。一体何事なのかと一刀は問い出した。
「一体どうしたのこんな朝早く。」
朝早いというより、あまりにも早すぎる。まだ、外はうっすらと暗いのだから。その時、程立と戯志才はベットに座っている一刀の前にいきなり跪き、言った。
「私たちは、貴方に仕えます。」
「………………え?」
まだ早いが、一刀は詠と月を連れて、玉座の前に来た。そして、改めて申し開きをさせたのだ。
「え~と………結論から聞くと、俺たちの仲間になってくれるんだよね?」
「はい。」
戯志才はしっかりとした口調で言う。程立も首をうなずいたのだ。
「嬉しいけどさ………いきなりどうして決めたの?」
いきなり仕える何て言うからにはそれなりの理由があったのだろう。そしたら、風が語ってくれた。理由を。
「風は、夢を見ました。とても不思議な夢を。」
「………夢?」
「風が、太陽を支える夢でした。」
「太陽を?」
「はい。」
いきなり分からない事を言いだした桯立。だが、彼女は続ける。
「太陽とは、この世に光り輝く『英雄』の事。私はその『英雄』に仕え、支えよ。というお告げに違いないのです。」
彼女の言う英雄は一刀だと、彼女は誇らしげに言う。一刀たちは呆気にとられていた。そんな夢だけで仕官して良いのだろうかと。だが、戯志才が言葉をつなげた。
「一刀殿。呆気にとられているところ申し訳ありませんが、風の直観は並みのものではございません。」
戯志才は程立を庇うというより、事実として語っている。
「彼女の予言が本当であるならば、貴方は天下を太平へと導く英雄。ならばこそ、お仕えするのに何の疑問がございましょう!?」
彼女たちはものすごい覚悟だった。あまりの覚悟に一刀は彼女たちに魅入ってしまっていた。
「今日から、風は程立から程昱と名を改め、お兄さんに仕えたいと思います。」
「どうか、我らを貴方の家臣にして頂きたい!」
彼女たちは一刀の前に跪いた。そんな風に頭を下げられる事に慣れていない一刀は、彼女たちに行った。
「ちょ、ちょっと待って!顔を上げてくれないかな?」
桯昱たちは顔を上げて一刀の方を見た。
「主君とか、家臣とか、そんな堅苦しいのは無しにしてさ、俺としては……なんと言うか、仲間?そう、仲間になってほしいんだ。主君とか、家臣なんて関係なくさ!」
一刀の提案に戯志才と桯昱はお互いに顔を合わせ、軽く噴き出した。
「ふふふ………風。もしかしたら私たちは、大変な人を主に選んでしまったようですよ。」
「……ですね。ふふ。」
二人はお互いに笑った。一刀はどうして笑われたのか理解できなかった。横でも月も優しく笑っており、詠は手を頭に抑えていた。
「では、改めて自己紹介を。名は程昱、字は仲徳、真名は風ともうします。これからは風と読んでくださって結構ですよ。」
桯昱は真名を許してくれた。続けて戯志才が名を名乗った。
「戯志才というのは仮の名。私の名は郭嘉、字は奉孝、真名は稟と申します。今まで偽名を名乗っていた非礼をお許しください。私の事も今後は稟とお呼びください。」
戯志才が偽名である事に少しは驚いたが、そんなことはただの小事だ。それよりも真名を教えてくれた方が嬉しかった。
「それじゃあ、俺も。………北郷一刀。俺の事は好きに呼んでくれて結構だよ。これからよろしくな。風と稟。」
「はい!」
「はい~。」
こうして、程昱こと、風。郭嘉こと稟は一刀たちの仲間になったのだ。
朝が来て、一刀と趙雲は城門の前にいた。
「ほう……風と稟は貴公に仕える事を選んだのですな?」
「うん………やっぱり、趙雲さんは来てくれないんですか?」
「………申し訳ありませぬ。」
一刀は、趙雲の見送りに行っていた。趙雲は、一晩中考えた末、一刀たちとは違う道に行く事を決めたのだ。
「やっぱり、俺たちの理想に参加してくれないんですか?」
「まさか……貴公の理想には感銘を受けたまったほどですぞ。」
「それじゃあ、どうして?」
一刀はまだ趙雲を諦めきれないようだ。だが、決して正史の歴史を知っているからではない。彼女が趙雲という名で無くとも、一刀は彼女を仲間にしたがるはずだ。せれほどまでに『義』に忠実な義人だったのだ。
「……大陸にはまだ、戦火に怯える庶人たちがおりまする。私は、違う方向から彼らを助けたいのです。」
それはここ洛陽にいても出来るはずなのでは……と、口にしようとしたが一刀は彼女の事を理解しようとした。
確かに、洛陽もまだまだ安全とは言えない。だが、それでも他の地域よりはとても安全だ。他の地域では、圧政に苦しむ民、盗賊に怯える民、そして、戦火に巻き込まれて死んでいってしまう民。
この洛陽が天国ではないかと思われるほど、もっとひどい場所がいくつも存在するのだ。
趙雲は、そんな人たちを助けたいと言っているのだ。ならば誰が止める事など出来ようか?
「そんな顔をなさるな。我らの理想は同じ。ならばこそ、お互いに頑張ろうではありませんか!」
「うん。お互いに頑張ろう!」
そうして、一刀と趙雲はお互いに熱い握手を交わした。一刀はここ洛陽で、趙雲は違う土地で同じ理想を追いかけて行く。
「貴公もこれから大変ですな?」
「……え?」
「貴公の主……袁術でしたかな?いやはや、あの者のハチミツの話はとても笑えました。ですが、それよりもそれを必死に隠そうとする一刀殿たちの方が幾分も笑えました。」
やっぱり、気付かれていたみたいだ。一刀は苦笑いをしていた。
「それに天子が、あのようなかわいらしい女子であるならば、いろいろと苦労をなさるかもしれぬ。」
一刀はギクッとした。そう言えば、趙雲にはあの時、女の子の姿をした神楽を見られているんだった。
「あ、あの……趙雲さん。この事は……」
「心配しなさるな。この事はどこにも口外などいたしませぬ。」
彼女は真の義人だ。人を陥れるような事などは絶対にしないだろう。だからこそ、趙雲の言葉はとても安心のできる事なのだが、趙雲はこれに付け足した。
「とはいえ、言葉だけでは信用できませんな?」
「い、いや。そんなことは……」
「一刀殿。代わりと言っては何ですが、我が真名を貴公に預けましょう。」
「え?……いいの?」
人質ではなく名質とでも言うのだとうか?そんな事をしなくても信頼しているから大丈夫なのだが………
「貴公なら何の問題もありませぬ。」
「うん、ありがとう。星。」
「ふふふ……では私はこれにて……」
「ああ。」
「今度会うときは、同じ理想郷のもとで再会をしたいものですな。」
「ああ、そうだね。じゃあ、さよなら、星。」
「一刀殿もお元気で。」
そう言って、星は去って行った。だけど、自分たちの目指すものは一緒なのだ。近いうちにまた出会える。そんな気がしていた。
一刀の予感は的中する。この後、一刀と星はもう一度再会を果たすのだ。
だが、それは彼らが望んだような形ではなかった。
今、大陸に変なうわさが流れていた。
『天子さまは男ではなく女である』という噂が。今はまだ小さい噂にしか過ぎない。
だから一刀たちはこの噂をまだ知らない。しかし、ゆっくりだが、確実に広がって行く
一刀たちが気付くころには、大きな波紋となり、手のつけられない状態にまでなってしまうだろう。
それほど大きなうなりへとなるのだ。
続く
こんばんわ、ファンネルです。
どうだったでしょうか、今回の本編は?
皆の作品を見ると、星、風、稟の三人の人気はものすごいものだし、素晴らしく書かれていますが、
私の話ではこの三人はあまり、活躍しません。
あくまで、主人公は、一刀、美羽、雪蓮、神楽の四人ですから。
ですけど、ものすごく大切な役割を持っています。
これからも応援、よろしくお願いします。
では、次回もゆっくりしていってね。
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こんばんわ、ファンネルです。
月のカッコよさが5上がった。
詠の不幸指数が3上がった。
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