No.853188

ポケットモンスター トライメモリーズ 第43話

フウイさん

今のところ、これの連続更新を守れているよね?
今回はクウヤの道中、そして人間関係が少しわかるかも

2016-06-14 10:32:08 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:321   閲覧ユーザー数:321

第43話:長い道を越えて

 

「じゃあ気をつけて」

「うん、バイバーイ!」

 

ヒワマキに別れを告げたクウヤは次のジムがあるというトクサネシティを目指して再び旅立った。

 

「確か次の街は・・・っと」

 

トクサネシティへ向かうにはまず大きな港町、ミナモシティへ向かいその港から出る船に乗っていく必要がある。

水ポケモンがいれば海を渡れるのだが生憎ヒーンはまだ小さく、ミナモからトクサネまでのクウヤをひっぱって長距離を泳ぐ力はまだ身についていないのだ。

 

「よーし、いくぞ!」

「ピィカ!・・・・ピーカ?」

「ん、なんだこれ?」

 

ピーカが発見したのは宙に浮かぶ赤いギザギザ模様。

少々気味悪いな、と思いつつクウヤはまじまじとそれに少しずつ近づいていく。

ピーカがそれに触れようとしたら、突然吹っ飛ばされた。

 

「ピーカ!・・・今のは?」

「ピィ~~~!」

「攻撃してはダメだ」

「ピッ?」

「あっ!」

 

10万ボルトを放とうとしたピーカを制止させたのは以前ムロの石の洞窟でであった男だった。

 

「ダイゴ!」

「久しぶりだね、クウヤくん」

 

 

「ああ、ホントに久しぶり!

どうしてここに?」

「うん、ちょっと色々仕事が入っててね。

ここで調査をしていたんだ」

「そっか。

でもさっきのギザギザは一体なんだったんだ?」 

「カクレオンだよ」

「かくれおん? ポケモンなのか?」

「そうだよ、ほら」

 

ダイゴが軽く指差した先に、さっきの赤いギザギザがあった。

やがてそこから色が出てきて一匹のポケモンが姿を現しそのまま再び草むらに潜っていった。

その光景に、クウヤも驚きを隠せない。

 

「すっげぇ・・・あんなポケモンがいるのかよ・・・」

「どう、驚いた?」

「おぅ、はじめてみた!」

 

そう笑ってはしゃぐクウヤ。

本当に無邪気で元気の良い子だ、とダイゴは思う。

ふと、先日自分がであったあの男のことを思い出す。

 

「ところで君、唐突だが、ミクリという男を知っているかい?」

「え、ダイゴってミクリにいちゃんの知り合いなの?」

「ミクリにいちゃんか、いわれてるなぁ・・・・」

 

ダイゴはふふ、と笑う。

 

「彼は僕の古い友人でね、最近会って話をしたんだよ」

「へぇそうなのか・・・。

ミクリにーちゃんとは随分会ってないな。」

「そうそう、君の事も話していたよ」

「え、なんていってたの!?」

 

クウヤはミクリの反応をダイゴにうかがう。

なにしろ突然の事だからクウヤからは彼に何も言ってない。

ポケモントレーナーとして旅をして、リーグに挑戦してることも。

 

「1年見ないうちに、すっかり強くなったんだな」

「え・・・?」

「・・・って言っていたよ。

彼はどうやらアダンさんから色々聞いて事情は知っていたようだね」

「えぇうっそ!? いつの間に!」

「なんていわれると思ってた?」

「え、んーーーーーー・・・。

・・・・・・・・・・なんだっけ、忘れちまった」

「ハハハッ、面白いな君は」

「ちぇー」

 

ピーカを抱きかかえぶーたれるクウヤ。

 

「あ、そうだ」

 

ダイゴはそっと彼の前にあるものを差し出す。

 

「あ、その石!」

「父さんが君にって」

「え?」

「言わなかった?デボンの社長は僕の父さんなんだよ」

「え、え、えぇぇぇっっ!!!」

 

意外な事実判明に、さっきとは桁違いなオーバーリアクションで驚くクウヤ。

じろじろダイゴの顔を見てはツワブキ社長の顔を思い出す。

 

「マジで?」

「うん、マジで」

「ふぇあぁ~~~~~~」

「あ、でもくれぐれも他言はしないでくれよ。」

 

偉い人の子という目で見られたくないしそういうので優遇なんてされたくないからね。

 

と付け足すダイゴにクウヤは頷いて返答する。

とりあえず手紙のお礼として社長から受け取るはずだった雷の石を受け取る。

足元でピーカが使いたそうにしているのを見ているので膝くらいのトコまで雷の石を降ろすとピーカがそれを素早く奪い取った。

 

「ちょ、ピーカ!?」

「よほど進化したかったようだね」

「・・・・あ、進化する!」

 

ピーカが石をおでこに当てた瞬間、身体が強く輝きだしバチバチと電気の火花が飛び散る。

鋭い雷が落ちたとき、ピーカは新たな姿を手に入れていた。

 

 

「うぉー、すっげぇぇぇっ!!」

「ラッライ!」

「おめでとう、ライチュウに進化したね」

「ライチュウ!うぉー!

でっぷりしてて可愛いし強そうじゃん!」

「ラ・・・ライライ!」

 

でっぷりは余計だ、と思いつつも進化して強くなれた喜びの方が大きいためピーカはクウヤに飛びつく。

少し身体が大きくなり体重も重くなったピーカを抱きとめたためよろめくがその顔は笑っており、ピーカの喜びを分かち合っているかのようだ。

 

「嬉しそうだね、雷の石を渡して正解だった」

「ああ、サンキューなダイゴ!」

「礼を言うのはこちらだよ。

いつも僕達の変わりにアクア団やマグマ団と戦い人々を救ってくれている・・・このお礼だけじゃ足りない恩だ」

「んー、オレは元々お礼なんてもの求めてないよ、それに」

「それに?」

 

ピーカを降ろし立ち上がると空を見上げる。 

 

 

「オレはさ、人を助ける事も悪い奴を蹴散らすこともやって当たり前のことだと思ってるんだ。

誰かがきっとやってくれるなんて、納得できねぇし・・・それに金とか物とかのために当然のことをするのはちょっとなぁ・・・」

「・・・」

「がきくせぇとか正義の味方気取りなんて言われちゃうかもしれねぇケド、やっぱこれがオレの気持ちだし、嘘もつきたくねぇんだ。

単純って言われても曲げたくないんだよ」

「・・・そうだな、君はそれでいい。

その気持ちは絶対なくしちゃダメだよ」

「ああ!」

 

ダイゴはふっと微笑むとエアームドを出しそれに乗る。

 

「ではクウヤ君、また会おう!」

「うん、ミクリ兄や社長さんにヨロシクな!」

 

そのまま上空へ姿を消すダイゴを見送ってクウヤは足元のピーカに問いかける。

 

「お前の目的はおわっちゃったけどオレはまだ終わらない。

・・・・・これからも一緒に来てくれよな!」

「ライ!」

「よーっしゃ!行こうぜ!」

 

クウヤはピーカと共に再び歩き出した。

姿かたちは変わっても、心が繋がりあい理解しあえる。 

絆は変わらないままだ。

 


 
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