No.853398

ポケットモンスター トライメモリーズ 第44話

フウイさん

ラカイはヒーローみたいなヒロインです

2016-06-15 17:25:50 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:287   閲覧ユーザー数:287

第44話 見つかった古代の秘密

 

送り火山。

遙か古よりこのホウエンに存在し多くのポケモンや人の御霊が眠ると伝えられる場所。

 

「ここが・・・送り火山?」

 

その目の前までラカイはきていた。

ここのことはホウエンに戻る前から知っていたが実物を目にするのは初めてだった。

とりあえずここに眠るポケモンや人の魂を労ろうとその場で合掌し頭を下げる。

 

「・・・」

「おやおやお嬢ちゃん、

もしやきみのポケモンもここに眠っているのかえ?」

「・・・?」

 

ラカイに話しかけてきたのは一人の老人だった。

 

「いいえ、私はただ・・・こうしてあげたらいいんじゃないかと思っただけです」

「そうかいそうかい。

自分に関係のない命にそうすることができるとは・・・きみは、とても優しい子じゃな・・・。」

「私と同じくらいの子はやらなさそうですからね」

 

老人の言葉にラカイは苦笑いする。

こういうことは子供のうちはできても大人になるにつれどこか気恥ずかしさを感じていつのまにかやらなくなってしまうことなのだろう。

 

「でも、私は大人になってもやり続けたいと思います。

今みたいに手を合わせて頭を下げたいです。」

「うむ・・・そういう考えを持ってくれてるだけでもわしはいま嬉しいことですじゃ・・・」

 

ほっほっほと朗らかに笑う老人につられて笑う。

 

 

「じゃあここで失礼・・・」

「うわああああ!!!!」

 

ラカイがその場を去ろうとしたとき、山の中から悲鳴が響いた。

 

「な、なんじゃ!」

「っ」

「お、お嬢さん!?」

「お願い、アルッ!」

 

ラカイはアルをだし送り火山の上階層へ向かう。

入り口から入り階段を上がっていった矢先に以前戦った赤い軍団が目に入り叫ぶ。

 

「あんたたちは・・・アクア団!」

「・・・なんだ、お前は?」

 

アクア団の男はラカイが女の子と知るなりあざ笑う。

それに気づいたラカイはその男を挑発しバトルにもちこみ一瞬でコテンパンに叩きのめした。

 

「うぐぅ・・・」

「舐めたからよ」

「このやろう、ゴルバットエアカッター!」

「れいとうビーム!」

 

エアカッターごとゴルバットを凍らせる。

 

「なんでここにこいつらがいるのよ・・・」

「うわぁ、くせ者!!」

「曲者は・・・あんたたちの方よ!」

 

アクア団を片っ端からなぎ倒しつつラカイは送り火山の頂上を目指し進む。

 

 

「・・・」

「これでよし・・・あとは部下の帰りを待てば・・・」

「あーっ!?」

「・・・っ!」

 

出くわした少年にラカイは思わず叫ぶ。

そこにいた少年は以前出会った・・・シグレだったからだ。

 

「シグレ、くん・・・!」

 

彼のバンダナがシグレの正体を示している。

 

「あ、あんた・・・アクア団だったの!?

だったら奴らが今まででたところにいるのも納得がいくけれども・・・」

「信じられない?」

「当たり前でしょ!

でもあんたがアクア団ならわたしがとる行動は一つよ!」

「・・・アメモース!」

 

シグレはアメモースを出しぎんいろのかぜでアルを攻撃してくる。

効果抜群の一撃に耐えたアルはつばめがえしを使いアメモースを一撃でノックアウトした。

 

「・・・強い・・・!」

「もう終わり?」

「僕の目的は別にあるからね」

「シグレさまーっ!」

 

アクア団の下っ端が目的達成をシグレに告げる。

それを確認したシグレはそこを去ろうとするがラカイの言葉に遮られる。

 

「シグレさま!?

あんた結構階級高いのね、驚いたわ」

「・・・それで、なに?」

「でもあんたってなんか・・・アクア団らしさがないわね。

弱々しいっていうか迫力に欠けてる。」

 

はっきりものをいうラカイにシグレは黙り込む。

 

「あんたこんなことやめちゃいなさいよ、

こんなことで強くなったってなんもならないわよ!」

「それは・・・できない・・・」

「どうしてよ!?」

 

すぐにほかの部下がシグレを逃がす。

後を追おうとするラカイだったがしろいきりでそれを阻まれてしまった。

 

「・・・逃げられた、か」

 

シグレ達の去っていった方向をみる。

 

 

アクア団を追うことより目の前で傷ついてる男性のことが気にかかり彼に話しかける。

幸い男性にけがはなく薬で眠らされただけのようだ。

 

「大丈夫ですか?」

「ん・・・ああ・・・」

 

男性はゆっくり目を開ける。

ぱっと見て真面目そうな印象がある男性だ。

 

「くっ・・・まさか墓参りの最中で襲撃にあうとはな」

「墓参り・・・」

「お前がアクア団を追い払ったのだな、礼を言おう。

今日お前がきてくれなかったら

俺も墓も無事ではすまされんかった。」

「あ、いいえ・・・。

下まで、おくってあげます。」

「・・・すまん、お言葉に甘える」

 

ラカイは男性を送り火山の外まで送り届け見送るとそこに老夫婦が駆けつけ、ラカイは2人にさっきまでの出来事をはなした。

 

「なんということじゃ・・・まさか奴はあの珠を持っていってしまったというのか!

これでは・・・」

「珠?」

「・・・お嬢さん、きみにだったらあの話ができるやもしれん・・・聞いていっておくれ」

「なにをですか?」

 

お爺さんは真剣な顔でラカイに語り始めた。

 

「二つの珠のお話ですじゃ」

「二つの珠・・・まさか・・・」

 

 

ラカイが老夫婦に案内されてきたのは祭壇。

そこには何かがおかれていた形跡がある。

 

「ここに、藍色の珠と紅色の珠があったんですね?」

「そうじゃが・・・どこでそれを?」

「私がかつて世話になっていた人から聞きました。

ホウエンのどこかに、超古代ポケモンの争いを鎮めた幻の力を秘めた珠が眠っていると」

 

彼女の師匠ともいえるその人物は様々な伝承や歴史を知っており自らも伝説と呼べる存在に憧れを抱く青年だった。

ラカイもまたそんな師匠から興味本位で多くの伝承や歴史を聞かされている。

 

「でも、まさかここだなんて」

「それにしても・・・

あの男たちは何故珠を持っていってしまったんじゃ?

罰当たりめが・・・」

「罰当たり・・・そこまでの悪人ということなの?」

 

珠は超古代ポケモンの怒りを静めるためのもの。

いくら歴史的に価値があるといっても普通の人からすればただきれいなだけの石だ。

なんにしても、このままにしておくわけにはいかない。

 

「おじいさん、おばあさん。

あの二つの珠は私が取り返します。」

「え・・・でも大丈夫なのかえ?」

「大丈夫、奴らの相手にはなれてますから。

だからお二人はここで信じて待っていてください」

「そうかえ・・・それじゃあ」

 

お婆さんが手をたたくと一匹のロコンがでてきた。

 

「先日、卵からかえったロコン・・・お嬢さん、あなたを信じてこの子も託しますえ」

「お婆さん・・・ありがとうございます。」

 

おいで、とラカイが手をさしのべるとロコンが駆け寄ってくる。

どうやら先程の話で自分がするべきことを理解したらしい。

 

「あなたって賢いのね、これからよろしく!」

 

新たなる目標を掲げ、新しい仲間と共にラカイはおくりびやまをあとにした。

 


 
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