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ゼロの使い魔 AOS 第06話 城下町の使い魔

koiwaitomatoさん

平賀才人の新しい物語は王都トリステインから始まります。
生活基盤を手に入れて平和な暮らしを手にいれた才人。
才人とルイズの新しい物語がまた始まる。

2015-08-21 14:20:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1308   閲覧ユーザー数:1275

平賀才人は働いていた。

 

ここは王都トリステインの東地区である、平民が暮らす城下町の一つ。

 

王都トリステインは大まかに分けて五つに分かれている、お城に隣接する貴族達が暮らす貴族街。

 

平民達が暮らす、平民街が東西南北に分かれて四つある。

 

王都であり首都でもあるこの町は国号と同じくトリステインという名を頂いている。

 

魔法が存在するこの世界を平賀才人は生き延びた、大好きな人と二人で。

 

そして・・・才人の世界で中世レベルのこのトリステインで才人はどう生きてゆくのか?

 

 

 

「親方~こっちの仕上げ終わったんで確認お願いしま~す!!」

 

平賀才人は働いていた・・・大工として!!

 

「おう!!いま行くからちょっとまってな!!」

 

働かざるもの食うべからず、これはどこの世界でも同じである。

 

「ん~?問題ねえな、良しサイトは飯に入れ」

 

王都トリステインに着いてから予想外に早く仕事が見つかった。

 

「ウッス、サイト飯行ってきま~す」

 

平賀才人が異世界に召喚されてから一月が過ぎようとしていた。

 

 

 

太陽も大分傾き、町に明かりが灯りだした。

 

「よ~し、野郎ども今日はお終いだ」

 

一日の労働を終え仕事仲間が帰り支度をする、才人も作業着のまま自分の道具の片付けをする。

 

「サイト!」

 

親方が片付けをしている才人に声をかけてきた。

 

「親方、お疲れ様っす」

 

大工を始めてから、周りの言葉が移ったのか微妙に体育会系のしゃべりかたになった才人だった。

 

「サイト、何度も聞くがおめぇ本当に大工をやるの初めてなのか?」

 

「親方~、それこのあいだも言ったじゃないすか」

 

親方がこの話をするのは初めてではない、先週も先々週も聞かれた事だ。

 

「俺は大工どころかちゃんと仕事するのもここが初めてっすよ、槌(ずち)もノコも握ったこと無かったっす」

 

「・・・とても素人とは思えねえよ、力仕事はまだまだ甘めぇが道具使う仕事はうちのじーさん以上の腕だぞ」

 

「じゃあ、親方の教え方が良かったって事じゃないんすかね?」

 

「ふ~む、天才っていうのはいる所にはいるもんなんだな」

 

才人が大工になったのは王都トリステインに着いてからすぐだった、人が大量に止めて猫の手も借りたいほどだったらしい。

 

そして・・・才人の道具さばきは完璧だった、彼の右手に握った槌がノコが誰よりも早く正確に仕事をこなす。

 

「まあいいや、それよりもサイト今日も家に来いよ、じーさんもアナもお前に会うのを楽しみにしてるからよ」

 

「あ~すんません、今日はどうして外せない用があるんで・・・」

 

「なんでぇい!!家に来るより大切な用事って・・・あ~そうか!そうだよな!!そりゃ大切な用事だわ、良しすぐ帰ぇんな」

 

「・・・ははは」

 

親方は自分で言って、自分で答えて、自分で納得してサイトから離れて行った・・・とても下品な手の動きを見せながら。

 

 

 

ここは才人が住んでいる家、才人の世界で言うところのマンションに当たる規模の一室。

 

才人が王都トリステインに移ってきた時にルイズが借りてくれた部屋だ、こんな広い部屋じゃなくても大丈夫と言ったのだが...。

 

「このくらい広くないと私も住め・・・じゃなくて、狭い部屋じゃ飼い主として恥ずかしいでしょ!そう飼い主としてよ」

 

とのお言葉をいただき、どう考えても二世帯は住めそうな部屋で才人は現在一人で住んでいる。

 

正直に言うと非常に使いづらく掃除が大変である、大変ではあるのだがこの部屋で良かった事のほうが大きい・・・それは。

 

 

 

 

「遅い、遅すぎるわよ!!」

 

「わりぃ、ちょっと親方に捕まっちまってさ」

 

一年後に会うまで楽しみにしている~って別れたのが二週間前の話、ルイズがこの部屋に来たのはすでに五回目である。

 

週末になると必ず遊びに来る・・・泊まりで!!

 

学院であれだけの騒ぎを起こしていながら毎週の外泊を許されるあたりがヴァリエール家の力の強さなのか?

 

部屋の中にある物の比率は9対1で圧倒的にルイズのほうが上回っている、才人の私物が極端に少ないのも原因なのだが。

 

「お腹がすいたわ、早く食事にしましょう」

 

「いま材料切らしてるんだ、ちょっと買い物に行ってくるから」

 

「えっ!?そっ!そっ!それなら私もサイトと一緒にいくわよ、へんな物買ってきても困るし!めんどくさいけど私の出番よね」

 

(うお~~~!!!こっこれは憧れの一緒に晩御飯の買い物に行くシチュエーション・・・幸せすぎる)

 

「ううっ・・・」

 

「お財布もってるわよねって、ちょっ・・・サイト、なんで泣いてるのよ」

 

何だかんだ言っても惚れた弱みもあるのだが不便さよりもご褒美のほうが圧倒的に大きく平賀才人は人生の春を謳歌していた。

 

 

 

春は暖かいがすぐに過ぎ去り灼熱の夏が極寒の冬が訪れるものそれは才人の春とて例外ではない。

 

そしてトリステイン王国にも貴族たちにも平民たちにも例外はない・・・。

 

 

 

....第06話 城下町の使い魔

 

 

next第07話 貴族と平民

 

 

執筆.小岩井トマト


 
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