「ありがとうルイズ、約束を守ってくれて」
「えっ、何の話よ」
才人はルイズに感謝の気持ちを伝える。
「俺も良く覚えていないんだけどさ、ルイズが俺の事を大切にしてくれるって言っていたような気がするんだ」
気がするような事でお礼を言うなんて正直おかしかな?と才人は思った。
「それに、ルイズは俺にとても優しくしてくれた」
「いや・・・それは」
自分のせいで死に行く者への贖罪、ルイズの優しさにはそういう面もあったのだろう。
ルイズは自責の念でこれ以上、才人の話を聞くのが辛かった・・・が次の言葉で。
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「こんな時に言うのも卑怯かもしれないけど・・・俺はルイズの事がすごく好きだよ」
「えっ!?ちょっ!?あんた、バカじゃないの、いや・・・本当にこんな時になに言ってんのよ!?バカじゃないの!?」
この才人の告白には気持ちが沈んでいたルイズでもさすがに戸惑った、そして・・・少し嬉しかった。
「だって命がけの状況でも約束を守って俺を助けてくれているんだ、励ましてくれているんだ、俺のために泣いてくれるんだ」
「あっ・・・、バカ!?バカ!?う~~~バカ!?バカ・・・サイト・・・う~~~バカサイト~!!!」
ルイズは物心ついてから、ヴァリエール家の子女としてたくさん褒められてきた。
また、その美しい容姿から少なくない数の男性からも美辞麗句を並べられてきたルイズ。
たが、ルイズ自身を本気で褒めてくれた人がかつていただろうか?サイトのように飾らずにルイズに感謝と畏敬の念をぶつけてきた人は?
もはやルイズに落ち込んだ気持ちは微塵も無く、嬉しさと、恥ずかしさと、誇らしさが頭のなかを渦巻いていた。
「ごめん、こんな緊迫した時に混乱させちゃったよな」
「別にいいわよ、わ・悪気はないんでしょ!特別に許してあげるわよ!!ふふん!?」
「じゃあ俺行くからさ、ルイズも気をつけろよ」
「わかったわ、そっちも・・・・・・・あっ?サイト!ちょっと待ちなさい」
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「サイト、着いたわよ」
平賀才人がトリステインに召還されてから約10日が過ぎていた。
「腰痛て~、馬車ってこんなに揺れるものだったなんて」
「バカ、今日の馬車なんてぜんぜん揺れない方よ」
平賀才人とルイズは王都トリステインにいた。
「まさか、本当に逃げ切れるとは思わなかったな」
「ご主人様の力を見くびるんじゃないわよ、このくらい楽勝よ!!」
あの後は本当に大変だった、いやもう二度と体験するのはごめんだね。
三日間は学院教師とのかくれんぼでお腹が空くは、ルイズがベッドで寝たいと駄々をこねる・・・。
その後は厳つい貴族のおっさんが登場して教師の足止めをしてくれたりで色々ありましたが無事到着しました。
そういえば救援に駆けつけた厳つい貴族のおっさん、雰囲気が微妙にルイズに似ていたような気がしないでも。
「どう?ご主人様の能力をフルに使えばこんなものよ!」
「ああ、やっぱりルイズはすげーよ!!さすがは俺のご主人様だぜ!!ますます惚れ直したよ」
ルイズからこの世界のこと、使い魔のことはすべて聞いた。
「こまった使い魔ね、あなたは平民で私は貴族なのよ!あ~こまった、こまった」
最近は自分のことをマスターでは無くご主人様と呼ばせてくるが何か心境の変化でもあったのだろうか?
「ふふふ、平民がだめなら貴族になればいい!!貴族でもだめなら王様でも大統領にでもなってルイズと一緒になるかんな」
使い魔召還事件の結末はヴァリエール家とトリステイン学院で取引があったらしく来年の進級試験まで俺の学園への出禁で決着がついた。
「じゃあ一年後に会うまでに誰にもドラゴンにも負けないすんごい使い魔になりなさい、そしたら・・・ぐらいしてあげても~へへ~」
一年後に始まる本当の物語、未知数の現在の物語、どちらに進んだとしても大丈夫。
才人とルイズ・・・二人がいつも傍にいるならピンチな出来事が押し寄せてきてもどんなことも乗り越えられる。
...きっと。
....Ahead of schedule 01 終
next第06話 城下町の使い魔
執筆.小岩井トマト
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第03話&第04話の続きになります。
Ahead of scheduleで才人が進む未来を少し変えます。
そしてEp01のAOSの内容は?