No.79541

心・恋姫†無双 第十ニ話

南風さん

お待たせしました。夜には十三話を投稿したいと思います。オリジナルキャラ・設定が苦手な方は申し訳ありません。また三国志の歴史が好きな方も申し訳ありません。駄文ですが楽しんでいってください。

2009-06-17 13:03:23 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:11954   閲覧ユーザー数:9197

心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~

第十二話 ~鼓動~

 

反乱軍の勝利により用意された会合の席。

両軍の主要な武将が一同に顔を合わせている。

そんな席だが馬三姉妹と馬岱は縄の縛りも受けず、そして平然と反乱軍と席を挟んでいる母の無事の光景に喜んだ。

「ケ、ケガはないよな!?」

「馬鹿たれ、お前たちの方が傷だらけではないか。」

抱きついてくる娘達と馬岱の頭を撫でる。

 

そして、反乱軍の将全員もあることに気付く。

 

馬超の傷の異様さ。

 

千里が何かをしてつけただろう傷。

 

皆、不思議に思うが何も動じない。

 

心の底にしまうのみ。

 

それが反乱軍の強さ。

 

 

 

「えっと、再会中ごめんね。見てのとおり無事だから話をしてもいいかな?」

その言葉に皆が一刀の方を向く。

「・・・・・・・では、約束どおり話を聞こう。」

馬騰がじっと見つめてくる。

その瞳の鋭さに気圧されるが、心を強くし一刀は口を開く。

「俺たちに協力してくれないか?」

「な、何言ってるんだ!」

「静かに!・・・・・・・どういう意味だい?」

「そのままさ。」

「私たちに配下になれと言うのか。」

「違う。ただ俺たちの動きに干渉しないでほしい。そして、全てが終わったら俺たちを討ってくれ。」

「・・・・・・・・・・。」

「さっきも言ったと思うけど、天子を主と仰ぐ馬騰さん達にとっても今の現状は満足か?権力争いで民が苦しんで死ぬ世の中が・・・・・・・俺はそれは許せないんだよ。」

「だから反乱か?」

「あぁ。」

「反乱以外に方法もあっただろう。お主達の力があればなおさらだね。」

「・・・・・・・現状がそうさせなかった。一刻も早く民たちを救いたかったんだ。」

「・・・・・・・・・難儀な奴だ。ならば、私たちをなぜ殺さない。干渉するな・・・・・・か。なら、殺したほうがはやいだろう。」

「意味がない。」

「なに?」

「俺たちが戦うのは平和のため、民のため。私利私欲じゃない。ここで馬騰さん達に背後をつかれ負けたら益州の人たちがまた苦しむ。だから戦った。」

「・・・・・・・・だから私たちを殺さず、戦ったというのか?」

「兵は沢山死んだよ・・・・・・・・でも生きている人がいる。それが救いなんだ。」

「とんだ自己満足だね。」

「そうだよ。俺はそういう人間だ。」

「・・・・・・・・では、お主達はどこへ向かう?このまま益州を平定し誰かに滅ぼされるのを待つか?」

そう、反乱軍の当初の目的はそこまで。

「・・・・・・・・・・・・。」

「どうした?」

「この戦いが終わったら皆に話そうと思ったんだけど、俺たちの最終目標は平和だ。けどそれは一人による大陸統一か?・・・・・・・俺は違うと思う。俺の目指す平和は皆が手を取り合う世界だ。そのために俺たちは戦う。」

「手を取り合う・・・・・・・笑わせるな。今から乱世が始まるのに手を取り合う奴らがいるのか?」

「あぁ・・・・・・・俺たちはその夢みたいな話を実現させるために全てを犠牲にする。悪になる。」

一刀の言葉に誰もが頷き、馬騰を見つめる。

ここにいる全員に覚悟が出来ていた。

生きる覚悟と死ぬ覚悟が。

「・・・・・・・・とんだ馬鹿どもだ。」

顔を伏せる馬騰。

だが、うっすら見える顔は笑っているように見えた。

 

そこに凄い剣幕で、兵士が入ってくる。

「ほ、報告します!」

「何かあったの?」

「っは!成都より火の手があがりました!」

「何だって!?」

「紫苑は何をしておったのだ!」

「我らは何もしておりません。ただ、急に成都より火の手が上がり、今は黄忠さまの指揮により民の避難誘導と消火活動にあたっております!」

「わかった、千里!」

「はい!」

「急いで成都に向かう。皆の指揮をしてくれ。皆も急いで準備にあたってくれ。」

「「「御意!」」」

「おのれ、劉璋の小僧め・・・・・・・。」

「起きたことは仕方が無い!!急ごう!」

 

一刀は馬騰の前に跪く。

「申し訳ありません。事態は急をようしますので、この場はこれにて失礼させてもらいます。」

そして立ち去ろうとするが、

「待て!」

「・・・・・・・・・。」

「私たちを解放するのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・さっきも言っただろ。殺す意味がない。・・・・・・・戦にしろ何にしろ人を殺すことは嫌いなんだ。」

「私たちが背後を急襲する可能性があるのだぞ?」

「・・・・・・・ん~、今は勘弁してほしいかな。」

一刀ははにかんだ笑顔を残し、その場を後にした。

 

「どうするんだ、母様?」

「・・・・・・・・・・・・。」

 

 

 

 

一刀たちは急いで成都に向かった。

しかし、着いたときには成都は廃墟になっていた。

建物の形を残しているほうが少ない。

 

「申し訳ありません。」

「紫苑はよくやってくれたよ。民の人たちは?」

「はい、ほとんどの民は救うことが出来ました。今は一箇所にまとめ、寝る場所と兵糧を提供しています。」

「ありがとう。・・・・・・・その人たちに会えるかな?」

「はい、それは出来ますが・・・・・・ご主人さまは悪くありません。」

「それでも、住んだ場所を命を奪ったのは俺だよ。」

「・・・・・・・では、案内します。」

 

 

 

紫苑に民達のいる場所へ案内される一刀。

しかし、そこに広がるのは思いもよらない光景。

皆が一刀の登場に歓喜の声をあげたのだ。

 

「御使いさまーーー!!」

 

「北郷さまーーー!!」

 

「俺たちは元気ですよーーー!!」

 

顔も服もまだ黒く汚れている人も。

ケガをしている人も。

老人も子供も、一刀の登場を喜んだのだ。

 

 

 

そして、民達に導かれて現れるのは成都の長老。

「御使いさま、我々を救ってくれた事を皆を代表して感謝します。」

「・・・・・・でも、俺のせいで家が・・・・・・・家族だって亡くした人もいるはずです。」

「それでも、我々は生きています。亡くなった者も家族が生きている事を御使いさまに感謝するはずです。」

「・・・・・・・そ、そんな・・・・・・・・・・・。」

一刀の目から大粒の涙がこぼれる。

なぜだろう、その言葉が無性に嬉しかったのか民の元気さに歓喜されたのか涙が止まらない。

 

「みんな・・・・・・・ありがとう。」

膝をつき頭をさげ一刀は皆に感謝した。

こんな事になったのに、あびせられる感謝の声に感謝して。

 

「そ、そんな、わしらは何もしていません。頭をあげてください。」

長老の目にも涙が溢れる。

民に頭をさげ、しかも泣いてくれる、そんな一刀に感謝して。

 

 

そんな光景を見て笑顔をこぼすのは紫苑と心配でこっそり着いてきていた、反乱軍の主要の将たち。

そして、数多の兵達。

 

「御使いさまに栄光を!!大陸に平和を!!」

 

兵のたちの中から声があがる。

 

「「「「「御使いさまに栄光を!!!!大陸に平和を!!!!」」」」」

 

その声は掛け声となり、兵・民から声が上がる

 

「「「「「「「「御使いさまに栄光を!!!!!!大陸に平和を!!!!!!」」」」」」」」

 

そしてその掛け声は大地を揺らした。

 

だが、一つだけ不安な事があった。

劉璋を含め、劉璋に付き従っていた一部の文官と武官の亡骸が確認できなかったためである。

城が一番酷く炎上し、ほとんど炭屑のため仕方がないのかもしれない。

だが、形はどうであれ益州は一刀の率いる反乱軍により制圧されたのも確かであった。

こうして、反乱軍の戦いは幕を閉じたである。

 

 

 

 

 

その報が届いたのは連合軍が洛陽を解放して暫くしてからの事。

洛陽での董卓軍の影はなく、戦闘も起きなかった。

ただし逃亡を試みていた董卓は劉備軍によって発見、処刑されたとの事だった。

 

――曹操軍・天幕――

「支給の方は上手くいってるかしら?」

「はい、民達に食料と資材を万遍に配っています。」

洛陽の連合軍は民達に食料の支給と資材の提供をおこなっている。

「それで益州の動きはどうなったの?」

「はい、馬騰の軍は敗北。涼州に撤退しました。間諜の報告によると、太守だった劉璋は成都に炎を放ち自害。益州は反乱軍の手に落ちたの事です。」

最悪の報。

「そう、嫌なことが的中してしまったわね。」

それでも曹操は揺るがない。

「しかも益州の民達は反乱軍を支援、反乱軍も成都の復興に力を入れているとの事です。」

「・・・・・・・桂花、あなたはこれから何が起こると思う?」

「・・・・・・・各地に反乱が飛び火するかと。」

「そうね。その通りだわ。・・・・・・だからこそ例の件の成否が重要なのだけれども、大丈夫かしら?」

「そちらの方はぬかりありません。」

「ならいいわ。・・・・・・・絶えず反乱軍の動向に目を配りなさい。」

「御意。」

 

 

 

――孫家――

「反乱軍が勝ったそうだ・・・・・・が、これはこれで我々の手助けになりそうだぞ。」

鋭い眼差しで微笑む。

「どういう事?」

「反乱の飛び火を逆に利用するのさ。」

「できるの?」

「先程までの我々なら無理だったろう・・・・・・・・・・・だが思わぬものが手に入った。」

そういって取り出すのは一つの皮袋と書籍。

何か入っているだろう・・・・・・が、それは確認できない。

「気が乗らないわ・・・・・・・・・・・・・けど仕方がないかしら。」

「あぁ、我々に手段を選ぶ事は出来ないのだよ。」

 

 

 

――劉備軍・天幕――

「そうなんだ・・・・・・何かよくわからないや。」

はにかんだ笑顔をみせる劉備。

「ですが、これは間違っています。」

「そう・・・・・・だよね。ここで迷っちゃ駄目だよね。」

「はい・・・・・・この先どうなるか・・・・・・・・はっきり言ってわかりません。・・・・・・ですが諦めないでください!まだ終わりではありませんから!」

「・・・・・・・・・・うん、そうだね。今は洛陽の人たちを救おう!」

「はい!」

 

 

 

 

反乱軍の勝利、董卓軍の敗走から暫くたったある日、

成都復興、益州復興に力を入れている俺たちにある方が届く。

雍州での反乱、そして長安が半日ともたず陥落。

雍州で反乱軍を率いたのは姜維なる人物。

その人が俺たちの配下になると言ってきたのだ。

 

千里いわく

「頼もしい仲間ですよ。」

 

紫苑いわく

「あらあら。」

 

桔梗いわく

「お館さまも罪作りな人よのぉ。」

らしい。

 

意味がわかりません。

 

姜維か。まだこの時代にはいなかったはずだけど、俺の知ってる歴史じゃもうない・・・・・・当たり前の事だけどな。

 

 

 

そして俺の元に素性も名も教えぬ使者が来た。

こうもトントンと事が運ぶと後が怖いが、それが時代が歴史が動くと言うことなのだろう。

 

俺は野外の天幕で使者を迎えた。

素性も名も語らぬが俺に会いたいとの事。

千里たちに無理を言って通してもらったのは言うまでもない。

「俺が北郷一刀です。よろしく。」

「っは、お話は我が主より聞いております。今日はお目にかかれて光栄です。」

長い青い髪を三つ編みにまとめ右肩にかけている女性。

胸の大きさは馬超ぐらいかな・・・・・・?

 

・・・・・・・・・・・・・おっと!!

 

「えっと、詳しい話は書簡をみてほしいって事らしいけど。」

「っは!素性も語らぬ某を出迎えてくれ、なおかつ北郷さま自ら・・・・・・その心の広さに、某は感銘をうけました。」

「俺は、そんなたいそれた人物じゃないよ。」

「そんな事はございません。・・・・・・・・では、こちらを。」

「おう、ありがとう。」

字の読み書きはもうそれなりに出来るはず・・・・・・。

 

・・・・・・・・・。

 

・・・・・・・。

 

・・・・・。

 

「・・・・・・・・これ本当なの?」

「はい。」

「これだと、君たちに迷惑をかける。ここまでしてもらわなくても良いんだ。」

「我が主は、心より北郷さまの事をお認めでした。」

「・・・・・・・・。」

「お返事は?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかった。これからよろしくね。」

「はい!!・・・・・・では、また後日お伺いに参ります!」

そう言って足早に天幕をでた彼女は、馬にまたがりすぐに見えなくなった。

「はやいなぁ~、さすがだ。」

 

「結局あれはどこの使者だったのですかな?」

天幕の影から桔梗と紫苑が出てくる。

「ん~、今は内緒かな。後日来るって言ってたしその時に会えるよ。」

「あら、私たちに内緒ですか?」

「意地悪してみたくてね。それに桔梗にとってはその方がおもしろい事になりそうだし。」

「わしが・・・・・?」

「ご主人さまを見るに悪いことでは無さそうだから、いいんじゃないかしら?」

楽しそうに笑う紫苑。

「そうは言うがな、内緒にされる事は好かんぞ。」

「我慢してくれ。」

一刀も楽しそうに笑うのであった。

 

俺たちは徐々に力をつけている。

 

でもこれでやっと始まりだ。

 

これからが俺たちの・・・・・・。

 

 

 

 

 

――漢中――

満天の満月と星。

山中廃屋。

「まさか、こんな事になっているとは。」

「はい、勘が当たってしまったのです。」

「そう言えばお主一人とは珍しいな。」

「二人は兵達と食料の確保に行っておるのです。」

「ぬぅ・・・・・・すまん。」

「いいのです。それより早く傷を癒すのです。」

「あぁ、わかってる。」

 

 

 

 

 

――魏陣営――

月夜が照らす部屋に佇む二つの影。

「そう、そういう事ね。」

「はい、これからどうしましょう、華琳さま?」

「例の件は成功したのでしょう?」

「はい、それは抜かりありません。」

「それなら劉備に活躍してもらおうかしら。」

「・・・・・・・・そう言う事ですか。」

「えぇ、劉備なら文句のない逸材だわ。それに、今反乱軍と事をかまえるのは得策ではないでしょ?」

「はい、今はですね。」

「そういう事よ。・・・・・・今日は閨にきなさい。褒美をあげましょう。」

「華琳さま・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

――孫陣営――

窓から体を乗り出しお酒を片手に月を見上げる雪蓮。

「雪蓮、準備は整った。あとは機を待つのみ。」

「ありがとね、冥琳。」

振り向くことも無く月を見つめる雪蓮。

「・・・・・・らしくも無い。」

「何よ。」

「何でもない。・・・・・・・それより蓮華さま達がこちらへ来るそうだ。」

「そう、全員集合って事ね。袁術は何も言ってこないの?」

「あぁ、反乱軍に応じるためと言ったら素直に承諾した。」

「馬鹿ね・・・・・・。」

「何、その馬鹿の顔を見るのも後少しだ。」

「そうね・・・・・・・・・・・首を洗って待ってなさい。」

 

 

 

大陸の各地で交差する思惑。

 

果たして天は誰に微笑み、

 

地は誰を抱き寄せ、

 

人は誰に寄り添うのか。

 

それを目撃するのはあなた達。

 

 

 

第十二話 完

 

 

 

 

キャラ設定。

と言うか作者からの一言。新しくキャラが出てきましたが知ってのとおりまたオリジナルキャラですね。オリジナルキャラについてはこれからもバシバシ出していきますので、よろしくお願いします。あと、名を名乗ったときにキャラ設定のコーナーで説明しますので、今はご想像にお任せします。

 

 

 

 

 

予告

新たなる友を得る反乱軍。

 

曹操の秘密と野望。

 

次回 心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~

第十三話 「動き」

 

時代は流れる。

 

 


 
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