静かな曲が室内に流れている。落ちついた色調の部屋にあうように選曲されている。
年代物のレコードプレーヤーから流れる音は、普段はとても心地がよいくが、今日はどうにも落ちつかなかった。
いつも溜まるカフェの地下にあるバーカウンターで、タバコを吹かしアルコールと戯れていた。
くわえていたタバコを外して吸い口を、レッドアイの入ったグラスにつける。
そして、またタバコを吹かす。
「なにやってんの、またくお昼とは別人だね。」
吹かす、つけるを繰り返していたら、カウンターから、佳織が話しかけてきた。
「まったくだ、自分でもおどろいてる。」
そういい、グラスを手にして飲み干した。
「アンタらしいけどさ、どうするの?」
「どうするもこうするも、待つしかないでしょ。」
佳織は意外そうな顔した。
「ふ〜ん、あの話し方だと蹴ってでもて感じがしたけど。」
「あのな、俺そこまで傲慢じゃないよ。それに文がどちらを選んだとしても協力はする。」
「安心した。やっぱりそうか。突き放す分けないって思ってたけど、言葉で聞くまでアンタの場合不安だからね。」
『コツ』
目の前に血のように真っ赤な新しいカクテルがおかれた。相変わらずのタイミングだな。
そう思いながらカクテルに手を伸ばした時、佳織が神妙な面持ちで聞いてきた。
「で、文さんがもし覚悟決めてきたら、アンタはどこまで踏み込むつもり?」
どこまでかて、そんなの決まっている。
「お前が今、考えている通りかな。」
佳織は驚きもせず、アンタらしいよって顔していた。
「人の人生に踏み込む以上は、それぐらの覚悟しないとな。」
カクテルを飲みほし、タバコの火を消した。
「佳織、俺そろそろ、帰るわ。明日仕事だし。まぁ仕事が手につくかどうか分からんけど」
「いつも、手についてないから変わらないんじゃないの。クビになんないようにね。おやすみなさい。」
「はいはい、じゃな。」
店の外にでると、夏のにおいが漂っていた。
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どこかで起きていそうで、でも身近に遭遇する事のない出来事。限りなく現実味があり、どことなく非現実的な物語。そんな物語の中で様々な人々がおりなす人間模様ドラマ。