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真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第六十七回 第四章:潼関攻防編⑩・エピローグ

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

今回はエピローグです。これにて第四章も終了です。

果たして馬騰さんが一刀君を招いた理由とは、、、?

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2015-06-21 00:05:25 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4392   閲覧ユーザー数:3701

 

【涼州、金城郡、涼州連合本拠】

 

 

鳳統の援軍要請に応えるべく、急ぎ成都に戻った呂布、張遼たちと別れた北郷、陳宮、高順たちは、

 

馬超、馬岱たちに連れられて、涼州金城郡に向かい、現在、馬騰の待つ涼州連合の本拠地にある謁見室へと案内されていた。

 

 

 

馬騰「ケホッ、御遣い様、このたびは御助力、本当にありがとうございました」

 

 

 

馬騰は最奥の椅子から立ち上がり、拱手しながら礼を述べた。

 

 

 

北郷「いえ、オレたちにとっても、曹操軍の進撃をこのまま見過ごすわけにはいきませんでしたから」

 

馬騰「ケホッ、本当に、あれは厄介です。今までは河北に袁紹がいたおかげで、ここら涼州はほぼ被害を受けることがありませんでした」

 

北郷「けど、袁紹が敗れたことで、背中を気にする必要がなくなった、というわけですね」

 

 

馬騰「ケホッ、まぁ、実際のところは、南下に向けての地ならしといったところなのでしょうけど、ケホッ、あっさり撤退したところを

 

見るに、あわよくば涼州を抑えれば程度にしか考えていなかったのでしょう。ケホッ、あるいは、南下中に本拠に攻め込ませないための

 

牽制が目的だったのかもしれませんが。ケホッ、どちらにしても、長安をあっさりと見捨てたことについては計算の内なのか、それとも

 

御遣い様の軍の介入が不測の事態だったのか、疑問が残るところですけどね」

 

 

 

曹操軍がこの時期に急に涼州攻めを行った経緯については、あくまで想像の域に留まらざるを得ないのだが、

 

事実上曹操軍は長安を失ったにもかかわらず、あっさりと引き下がったことについては、どこか不気味なものを感じざるを得なかった。

 

 

 

陳宮「ところで馬騰殿、お話とはいったい?」

 

馬騰「ケホッ、単刀直入に申しますと、我ら涼州連合と同盟を組んでいただきたいのです」

 

一同「「「「「!!!!!?????」」」」」

 

 

 

馬騰の突然の同盟申し出に、北郷軍は勿論のこと、なんと馬超、馬岱までもが驚いていた。

 

 

 

馬超「母様!?そんな話あたし初めて聞いたぞ!?韓遂さんとかにはもう話してるのか!?」

 

馬騰「ケホッ、いや、私的に少し話したことはあるけど、正式にはまだ誰にも話しちゃいないよ」

 

馬超「けど、それってマズくないか?いくら母様が連合の盟主だからって勝手に―――」

 

 

馬騰「ケホッ、今回の戦いを見てもわかると思うけど、もはやアタシら涼州連合だけじゃ曹操軍の勢いは止められない。ケホッ、今回の

 

戦いも、御遣い様方のご助力がなかったら負けていたことは火を見るよりも明らかだ。今回の戦いだけで有力な群雄が何人逝ったことか。

 

そのことは戦いに参加した韓遂ら各地の群雄たちが一番実感したはずだよ。もちろん、アンタたちもそうだろ?」

 

 

馬超、馬岱「「・・・・・・」」

 

 

 

とても病人とは思えない馬騰の鋭い眼光とともに発せられる事実に、馬超、馬岱は反論することができず、俯いたまま押し黙ってしまう。

 

 

 

馬騰「ケホッ、お見苦しいところをお見せして申し訳ありませんでした。勝手な申し出だということは重々承知しております。ケホッ、

 

ですが、どうかもう一度、御遣い様の御慈悲を賜りたいのです」

 

 

 

すると、馬騰は北郷らに対して頭を深々と下げた。

 

頭を下げるのが得意な北郷も、頭を下げられるのは慣れておらず、おろおろしながら頭を上げるよう促した。

 

 

 

北郷「あ、頭を上げてください馬騰さん!同盟の話については、オレたちも望むところでした」

 

 

 

そして、同盟の件が北郷たちにとっても望むべき事柄であったことを伝えた。

 

 

 

馬騰「ケホッ、ほ、本当です―――――ゲホッゲホッ!」

 

馬超「母様!」

 

 

 

北郷たちの是の返答に喜びをあらわにしようとした馬騰であったが、興奮したせいか咳き込んでしまい、慌てて馬超が背中をさする。

 

 

 

陳宮「我らも、馬騰殿との同盟については頭にありましたのですが、なかなか涼州の情報が入りにくく、動けずにいたのです。ですが、

 

今回のお話、しかも馬騰殿だけでなく涼州連合全体としてのお話なら、なおのことこちらとしてはありがたいことなのです。仮に我らが

 

馬騰殿単独に同盟の申し出をしたところで、他の群雄との折り合いがつかないのではという懸念もあったのですよ」

 

 

 

陳宮はこちらの事情も踏まえ、北郷が返答を是とした理由を端的に述べた。

 

 

 

馬騰「ゲホッ、で、では・・・」

 

北郷「はい、ただし、一応他の群雄さんたちの了承をちゃんと得てくださいね。その後で、改めて同盟の件、謹んでお受けしますよ」

 

 

 

そして、北郷は馬騰の前に進み出ると、手を差し伸べた。

 

一方で、勢いに流されるまま考えなしに同盟を了承するのではなく、ちゃんと他の群雄の了承を得てからという条件を付けるあたり、

 

北郷も成長しているのだと、陳宮は感動の涙をぐっとこらえつつ、うんうんとうなずきながら感じるのであった。

 

 

 

馬騰「ケホッ、ありがとうございます」

 

 

 

馬騰も北郷の手をつかみ、お互いに握手を交わした。

 

この瞬間、北郷軍と涼州連合の同盟がほぼ確定したのであった。

 

 

 

 

 

 

その後、韓遂たちが追撃の任から戻ったことにより(曰く、徐晃の殿が巧妙で、あまり結果は芳しくなかったとのこと)、

 

戦勝祝い及び、今後の両陣営の良好な関係を祈念して、金城にて盛大な宴が催され、北郷たちも招待された。

 

北郷たちは本国の様子が気になるとこころではあったが、

 

一方で今後涼州と良好な関係を築く上で、ここであっさり誘いを断るのも忍びなかったため、

 

宴には北郷と陳宮と高順、それに必要最低限の数名の護衛が残り、残りの兵は成都へと帰還させた。

 

 

 

 

 

 

馬騰「ケホッ、さあさあ御遣い殿、もう一献!」

 

北郷「ははは、いただきます・・・」

 

 

 

張遼や厳顔の影響でそれなりに酒には強くなった方だと自認していた北郷であったが、世の中は広い、と北郷は素直に思った。

 

しかも、病弱で物腰も落ち着いているように見えた馬騰が、

 

酒を飲んだ瞬間豪胆な女頭首の風格が前面に出てくるのだからなおさらである。

 

 

 

馬騰「ケホッ、ところで御使い殿、アタシの予想が正しかったら、まだ身を固めていないんだろう?」

 

 

 

馬騰が自分の席、円卓のちょうど北郷の正面に戻った瞬間に発した予想外すぎる問いかけに、

 

当事者の北郷は勿論のこと、両サイドにいた陳宮と高順までもが飲んでいた酒やら食事やらを吹きだしてしまった。

 

 

 

北郷「ぶぶーーーッ!?な、何言ってんですか馬騰さん!」

 

馬騰「馬騰さんなんて堅い堅い。アタシのことはどうぞ、(ュエン)と、真名で呼んでくれて構わないよ」

 

北郷「は、はぁ・・・」

 

 

 

突然馬騰から真名を預けられ、こんな酒の勢いみたいなのでいいものなのだろうかと、

 

改めてこの世界における真名の価値について真剣に悩んでみる北郷。

 

 

 

馬騰「ケホッ、どうさね、ウチの娘や姪なんかは、どっちも若くて健康的な娘だよ?」

 

 

 

今度は馬騰の隣にいた馬超が盛大に酒を吹きだしてしまった。

 

 

 

馬超「ぶーーーっ!?な、何言ってんだよ母様!!御遣いさんに失礼だろ!?」

 

馬岱「きゃー、もうやだーおば様ったらー♪たんぽぽ本気にしちゃうよ♪」

 

 

 

対して馬超の隣に座っていた馬岱はわざとらしく両手を頬に当てながら照れて見せた。

 

その刹那、馬超馬岱に対して陳宮と高順の鋭い視線が向けられる。

 

 

 

韓遂「馬騰殿、少し酒が過ぎるようぞ」

 

 

 

すると、馬騰の隣、馬超の反対側に座っていた韓遂がグイッと盃を空にすると、馬騰を窘めた。

 

 

 

陳宮(ふぅ、どうやら韓遂殿が抑え役というわけで―――)

 

韓遂「鳳徳を候補に挙げぬとは、涼州連合盟主は身内贔屓と思われてしまうぞ」

 

 

 

しかし、窘めたと見せかけて、その内容はさらに事態の悪化を加速させるものであった。

 

 

 

馬騰「ケホッ、おっと、これはアタシとしたことが、玲衣(レイ)を忘れるとは、少し呑み過ぎたかね」

 

鳳徳「心外っ!」

 

 

 

馬騰の言葉に、韓遂の隣に座り、表情を変えずに頬を膨らませながら鳳徳は短く反論した。

 

今は戦時ではないため、自身の得物である銀製の宝剣が入った大きな黒い棺は背負っていない。

 

 

 

高順(なっ・・・!?)

 

馬超「韓遂さんまで悪ノリするなよ!玲衣もその気になるなー!」

 

馬岱「むむむ~、レイレイも御遣い様争奪戦に加わったか・・・これは血の雨が降る予感だね・・・」

 

馬超「何がむむむ~、だよ!コラ、たんぽぽ!!」

 

 

 

ひたすら悪ノリを続ける馬岱に対して拳骨を見舞おうとするが、馬岱は慣れた身のこなしで躱してみせた。

 

 

 

馬休「そっかー、姉上とたんぽぽちゃんがもし御遣い様に嫁ぐことになったら、僕たち御遣い様の親戚になるんだね」

 

 

 

馬岱の隣に座った、馬騰と同じウェーブのかかった茶色い髪をショートに切りそろえ、

 

馬一族お馴染みの凛々しい太眉のある表情にあどけなさが残った、

 

どことなく気弱な雰囲気の青年・馬休は、夢見心地で一人つぶやいていた。

 

 

 

馬鉄「かっかっか、そうしたらおれらの株も絶対上がるな。頼むぜ姉う―――あっちぃっ!?」

 

 

 

対して、鳳徳の隣に座った、短めの茶色い髪を無理やりポニーテイルに結い、

 

こちらも馬一族の血脈がなす凛々しい太眉ではあるが、兄馬休とは違いどことなくやんちゃな雰囲気の青年・馬鉄は、

 

馬鉄の独り言に乗っかり、馬超をからかおうと口を開けようとしたが、その刹那、

 

ほぼ正面に座っている馬超が見事に馬鉄の口の中に熱々で肉厚な羊肉串を投げ込み

 

(さすがに串ごと投げはしなかったが)、馬鉄は口内を熱で侵されのたうち回っていた。

 

 

 

陳宮「(こ、これは・・・ッ!)」

 

高順「(・・・危険すぎます・・・!)」

 

 

 

陳宮と高順は、共にこの酒の席独特の空間が北郷にとって、命の危険とはまた別の意味で危険地帯であると本能で感じ取っていた。

 

 

 

北郷「いや、オレにはまだそういう話は早いって言うか、そもそも会ってまだ間もないうちからそういう話は―――!」

 

馬騰「ケホッ、では、関係を密に結べば、あながち満更でもないと?」

 

馬超「★■※@▼●∀っ!?」

 

北郷「あばばばばば―――ぐはっいでっ」

 

陳宮「何奇声を上げて鼻の下伸ばしてるですか!」

 

高順「反論してください!」

 

 

 

馬騰の発言に馬超が言葉にならない奇声を上げている中、北郷は泡を吹きそうになりながら、

 

右サイドから陳宮の本気のストレートをくらい、左サイドから高順に割と本気で小突かれた。

 

 

 

陳宮「馬騰殿、困りますぞ。一刀殿をからかわれては」

 

高順「一刀様はこのような話にめっぽう弱いのですから」

 

北郷・馬超「「へ?」」

 

馬騰「ケホケホッ、あっはっは、冗談さね。まあ、本気でこんな話をしたら、御遣い殿の周りの女性が黙っていだろうからねぇ」

 

 

 

咳き込みながらも大声で笑う馬騰。

 

顔を真っ赤にしながら俯いている馬超。

 

それを見てニヤニヤしている馬岱。

 

うんうんとしたり顔で新たな酒を注ぐ韓遂。

 

戦争っ!と表情を変えず短く発する鳳徳。

 

み、密な関係…とポーっとしながら呟く馬休。

 

ただ無心に水を飲んで口内を冷やしている馬鉄。

 

 

 

北郷(本当に、開けてびっくりって感じだな、涼州の人たちは・・・)

 

 

 

その後、賑やかな宴は夜通し行われたという。

 

 

 

 

 

 

【豫洲、許、曹操居城】

 

 

荀彧「改めまして華琳様、御無事のご帰還お喜び申し上げます」

 

 

 

曹操たちが本拠に帰還するにあたり、真っ先に出迎えていた荀彧は、留守の間の報告もかねて曹操の執務室に入っていた。

 

中では曹操ほか、郭嘉、程昱も待っている。

 

 

 

曹操「桂花、留守番ご苦労様。やはりあの娘(●●●)の言う通り、馬騰ら涼州勢は元々私たちに刃向うつもりだったみたいよ」

 

荀彧「・・・・・・と、仰いますと?」

 

 

 

曹操のねぎらいの言葉に頬を染めながら喜ぶのもつかの間、後半の言葉に荀彧は口を堅く結んだ後、間を置いて尋ねた。

 

 

 

程昱「どうやら涼州勢と益州の北郷軍とに密接なつながりがあるようなのですー」

 

荀彧「何ですって!?」

 

 

 

曹操の代わりに間延びした調子で程昱が答えると、荀彧は声を荒げて驚いた。

 

 

 

郭嘉「あと一歩のところで北郷軍が援軍として涼州勢に加勢したのです。今回、我らが撤退を余儀なくされたのも、北郷軍介入の影響が

 

大きかったと言えます」

 

 

荀彧「あのブ男・・・華琳様から賜った恩を仇で返すなんて・・・!」

 

曹操「そういえば、高順が売られた恩は合肥で返したとか言っていたわね」

 

 

 

郭嘉の補足に荀彧が戦慄いていると、曹操はくだらないものでも思い出すように適当につぶやいた。

 

 

 

曹操「けれど、これで結果的に北郷軍を盤面に引きずり出すことが出来たわ。漢民族に対して排他的な涼州勢が北郷軍と手を結んだのは、

 

将来的に私たちが降伏するよう通告したところで、全面的に抵抗しようという意志の表れ、つまり、ここ許にいる帝に対する反逆の意思

 

表明を意味するわ」

 

 

 

曹操は長安での樊稠・張済の暴政を鎮め降した後、長安から洛陽へ逃れていた献帝を本拠である許に招き入れて以来、

 

後漢の丞相としての地位を確立していた。

 

そのため、曹操軍への攻撃の意志はそれ即ち帝に対して刃を向けるも同じという構図が成立しているのである。

 

 

 

荀彧「なるほど、はじめ涼州に最後通告を出した時に帝の名を出さなかったのは、北郷軍を盤面に引きずり出すためでしたか・・・では、

 

アイツを牢から出しますか?どうやら出まかせを言っていたようではなさそうなので」

 

 

曹操「ふむ、ちなみに聞くけど、あの娘はまだ私に従う気はないの?」

 

荀彧「はい、華琳様のために振るう知恵はこれ以上持ち合わせていない、と頑なに」

 

 

 

荀彧は曹操の手前、冷静にふるまおうとするも、忌々しいものでも思い出すかのように顔をゆがませながら答えた。

 

 

 

程昱「やれやれ、困ったものですねー」

 

郭嘉「風、あなたのやり方が問題だったということでもあるのですよ?」

 

程昱「・・・・・・・・・ぐぅ・・・」

 

郭嘉「寝るな!」

 

程昱「おぉ!これはこれは、手厳しいですねー」

 

 

 

郭嘉に耳の痛い事実を突き付けられたことにより、程昱は狸寝入りを試みるも、

 

すぐに郭嘉に起こされるといういつもの展開が繰り広げられた。

 

 

 

曹操「まぁ、あの娘の才は是非とも欲しいところだし、気長に待つことにするわ。ところで桂花、留守の間孫策たちの動きは?」

 

 

荀彧「はい、何人かの斥候を放ちましたが、あまり目立った大きな動きはないようです。しいて言えば、国力の増進に力を注いでいると

 

いったところでしょうか。ですが、我が軍の動向を気にかけているのは間違いありません。今回の涼州攻めの動きに対しても過剰に反応

 

していました」

 

 

曹操「劉備軍との接触は?」

 

 

荀彧「華琳様が遠征なさっている間に3度ほど、劉備軍が孫策陣営に入っているのを確認できています。ですが、まだ劉備本人が動いた

 

様子はありません」

 

 

 

曹操からの質問に、荀彧は的確かつ簡潔に報告していく。

 

 

 

程昱「ふむー、間違いなく我らの南下対策でしょうねー」

 

 

 

程昱は眠たそうに眼を閉じながら自身の見解を述べる。

 

 

 

曹操「まぁ、劉備みたいな弱小をいちいち気にかけていても仕方がないのでしょうけれど、あの娘の元に集まっている人材は逸材ばかり。

 

ここで孫策軍との結びつきがより強固なものになれば後々厄介になるわ。長坂橋で張飛に邪魔さえされなければこのようなことにはなら

 

なかったのでしょうけれど・・・とにかく、やはり南下は急務のようね」

 

 

 

劉備軍単体では流浪を繰り返す弱小集団であるが、関羽、張飛をはじめとした個々の将の実力は一騎当千と謳われる猛者ばかりであり、

 

さらに臥龍と称される天才軍師、諸葛亮の加入もあり、言うなれば劉備軍は少数精鋭の一軍となっていた。

 

当然そのようなやっかいな勢力を曹操が捨て置くはずもなく、すぐさま滅ぼそうと攻撃を仕掛けたのだが、

 

荊州南郡の長坂橋にて、殿を務めた張飛に足止めを食らい、まんまと孫策軍の領地に逃げ込まれたのであった。

 

そのような一軍が、仮に孫策のような大規模な軍と手を結んだとしたら、

 

確実に今後曹操軍にとって障害になることは目に見えて明らかであった。

 

 

 

荀彧「しかし、今回の戦いで涼州勢が大人しくなるでしょうか」

 

 

郭嘉「少なくとも、今回の戦いで涼州勢は我らを退けましたが、その損害は相当なもののはずです。例え北郷軍や異民族の力を借りたと

 

しても、すぐ我が方に攻め込むということは難しいでしょう」

 

 

 

郭嘉が分析するように、今回の潼関の戦いで涼州勢の被害は、5万のうち半数以上、3万に迫るものとなっており、

 

仮に今すぐ曹操軍が南下を開始したとしても、涼州勢には手薄の許を突けるほどの余力は残っていないのが実情であった。

 

 

 

程昱「あとは、我らが南下を開始した時点で、どれほど回復しているか、ということでしょうねー」

 

 

曹操「そういう意味でも南下は急務ということよ。まぁ、欲を言えば援軍に来た北郷軍をもう少し叩ければよかったのだけれど、仕方が

 

ないわね。不本意ではあるけど、北郷軍については一度捨て置くしかなさそうね」

 

 

郭嘉「そのことなのですが華琳様、北郷軍について、私に一つ策があります」

 

 

 

曹操がやれやれといった様子で告げた言葉に対して、郭嘉はずれた眼鏡を片手で押し上げながら妙案があると進言した。

 

その刹那、押し上げられた眼鏡が不気味に煌めいた。

 

 

 

 

 

 

曹操「・・・なるほど、確かに、その策が上手くいけば北郷軍を弱体化、いや、国そのものを潰せるかもしれないわね。けれども、あまり

 

私好みの策ではないわね」

 

 

 

郭嘉から策の内容を聞かされた曹操は、その効果を認めるものの、あと一歩採用に踏み込めずにいるようであった。

 

 

 

郭嘉「もちろん、この策が華琳様のお気に召さないことは重々承知しております。しかし、大陸の統一、そして、天下泰平という大業を

 

成すには、多少の好みには目を瞑っていただかなければなりません。覇道を貫くにしても、時には己が信を曲げることも必要なのです」

 

 

 

しかし、郭嘉は簡単に退くことはせず、あくまで自身の策が採用されるよう曹操を説き伏せにかかった。

 

 

 

曹操「・・・・・・わかったわ。稟、あなたの策でいきましょう。やはり北郷を一時的にも捨て置くのは危険だわ」

 

 

 

曹操は暫しの間黙考していたが、北郷に対する懸念要素が頭をよぎった刹那、最近大人しかった頭痛がぶり返したのか、

 

しかめっ面を作りながら、自身の信を曲げてでも北郷を抑える郭嘉の策を採用する決断を下した。

 

 

 

曹操「それで、誰が策を実行するかだけれど―――」

 

程昱「それならば、一人適任がいますよー」

 

曹操「誰かしら?」

 

程昱「北郷軍と、といっても特定の人物ですが、その人物と再戦を希望してやまない、あの娘ですよー」

 

 

 

策の実行者にとある人物を推薦した程昱の眠たそうに閉じられた瞼が開き、

 

透き通った緑色の瞳が、楽しげな、しかしどことなく不気味な煌めきを見せた。

 

潼関の戦いで一応の決着がついた矢先、休む間もなく動き出す曹操軍なのであった。

 

 

 

【第六十七回 第四章:潼関攻防編⑩・エピローグ 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

第六十七回終了しましたがいかがだったでしょうか?

 

さて、今回で全10回に渡ってお送りしました第四章もようやく終了です!

 

今回の章は最初一刀君勢力がほとんど出てこず、side呂布軍?状態でしたが、

 

これは本章のコンセプトが他勢力から見た北郷軍とは?というものを書きたいというのがありまして、

 

(合肥ではどちらかというと霞無双が書きたかっただけということもあり似てるけどちょっと違う)

 

北郷軍という存在がかなり厄介な勢力となっていると感じて頂ければ幸いです。

 

さらに、一刀君と翠たちが同盟を組むことで、北西部はほぼ北郷色に染まったと言っていいでしょう。

 

ここ数年で急成長を遂げ続ける北郷軍。今回の同盟の結果、劉表軍を抜いて曹操孫策に次ぐ第三局に躍り出たことになります。

 

華琳が焦るのもやむを得ないのです。

 

果たして稟が提案した策とは、、、少なくとも軽くあしらえる様な生易しいものではないことは確かです。

 

 

では、今回涼州勢では賑やかなオリキャラたちが多く登場しましたので、ここで一気にご紹介をば、、、

 

 

馬騰:バトウ、字:寿成(ジュセイ)。真名:鳶(ュエン)。涼州の群雄が集まった涼州連合の盟主。本拠は涼州漢陽郡。翠の母、蒲公英の伯母。地に着くほど長い茶色のウェーブがかったポニーテイル。燃えるような緋色の瞳。凛々しい太眉。豊乳。深緑の衣装。白を基調としたスリット入りロングスカート。黒タイツ。病気がちで少し危ない咳をしている。一方、行動派で、また国や仲間のために頭を下げることを厭わない。大酒のみで、常時は先方に対しては丁寧な物言いだが、酒が入ると身内や仲間に接する時のような豪快な素が出る。全盛期は相当な使い手だったようだが、今は病気のため馬超や韓遂が主として動く。しかし未だに氐族などからは絶大な信頼を得ており、そのカリスマ性は健在。

 

 

韓遂:カンスイ。字:文約(ブンヤク)。二つ名:涼州の乱雄(腐敗した中央政府に対して乱を起こす英雄・中央政府に対して問題を起こす乱れた群雄の両方の意が込められている)。~ぞ口調。涼州を代表する群雄であり、馬騰の盟友。壮年男性。本拠は金城郡。鎧兜に緑翠色のマントを羽織り、首や腕、足といった要所要所に毛皮をあしらっている。三日月形の立派な鼻下の髭がシンボル。得物は幅広の大きな斬馬刀。武力値は全盛期の馬騰、翠、鳳徳に次ぐ程度。知力等を加味した総合力なら翠より上。父親が華琳の父親と親友。馬騰同様偉い人なのに国や仲間のために平気で頭を下げる。普通にいい人で、翠や蒲公英たちからは父親のように慕われている。潼関の戦いでは潼関の正面で春蘭と対峙していたが、風の離間計にかかり、翠に戦場を追われるも、氐族の援軍を従え再出陣。追撃の任を務める。

 

 

鳳徳:ホウトク、字:令明(レイメイ)。真名:玲衣(レイ)。馬騰配下の少女。トロンとした大きなスカイブルーの瞳に、白銀の長い髪を、紫色の菊を模した造花の髪留めでツインテイルに結っている。黒を基調にした服の胸元には緋色の大きなリボン。緋色のプリーツスカートのようなものを穿き、健康的な程良い肉付きの足は黒のタイツで覆われ、足元まである黒の外套を羽織り、その上から大きな黒い棺を背負っている。イメージは葬儀屋。胸部は平均よりは少しある程度。あえて表現するなら美乳。表情を変えず(無表情というわけではない)二字熟語で話すスタイル。得物は十字架を逆さに向けたような、鍔の異様に長い巨大な銀製の西洋風宝剣。棺の中にしまってある。潼関の戦いでは、涼州連合本陣の潼関の守備に着いていた。実は異民族たちや群雄からは涼州の白馬将軍と恐れられていたというのはここだけの裏話。

 

 

馬休:バキュウ。馬騰の長男。翠の弟。たんぽぽの従兄。馬鉄の兄。ウェーブのかかった茶色い髪をショートに切りそろえ、凛々しい太眉のある表情にあどけなさが残った、どことなく気弱な雰囲気の青年。頑張り屋。潼関の戦いでは、遊撃部隊として馬鉄と共に陣を展開するも、張郃に蹴散らされ敗走。得物は鈹。実力については触れないでおこう。

 

 

馬鉄:バテツ。馬騰の次男。翠の弟。たんぽぽの従兄。馬休の弟。短めの茶色い髪を無理やりポニーテイルに結い、凛々しい太眉。どことなくやんちゃな雰囲気の青年。お調子者。潼関の戦いでは、遊撃部隊として馬休と共に陣を展開するも、張郃に蹴散らされ敗走。得物は鉾。実力については(ry

 

 

千万:センバン。天水白項の氐王。隆々とした上半身に、蜘蛛の巣のような幾何学模様の刺青を施し、毛皮で作ったであろうベストのようなものだけを羽織っているガタイの良い男。ドスの効いたバリトンボイス。得物は一対の細長い投槍。ガラ悪い。馬騰のことは姐さんと呼び慕う。潼関の戦いでは韓遂の援軍要請に応じ途中参加。追撃隊にも任じられる。

 

 

阿貴:アキ。天水興国の氐女王。流線的な模様の刺青を入れ、千万同様毛皮のベストのようなもののみを羽織っている女性。巨乳。ハスキーボイス。得物は真っ赤な花槍。ガラ悪い。馬騰のことを慕う。潼関の戦いでは韓遂の援軍要請に応じ途中参加。追撃隊にも任じられる。

 

 

モブ名有り:侯選(コウセン)、楊秋(ヨウシュウ)、程銀(テイギン)、成宜(セイギ)[死亡]、李堪(リカン)[死亡]。たぶんみんな男。

 

 

ついでに曹操軍のオリキャラもご紹介~

 

 

徐晃:ジョコウ。字:公明(コウメイ)。二つ名は不敗将軍。敗けずの徐晃。小柄な少女。ショートカットのシルバーブロンドはちょうど両目を覆う長さでまっすぐきれいに切りそろえられ、どこかシスターのベールを髣髴とさせるシルエット。小柄な体に対して若干サイズの合っていないブカブカの軽微な鎧をまとう。とにかく声が小さい。しかしなぜかはっきりと聞き取れる。「すいません」が口癖。得物は一対の巨大な両手斧。つまり両手持ちの武器を片手で振り回す怪力を備えている。曹操軍でも五指に入る猛将。『常勝』ではなくあくまで『不敗』。また、勝つ敗けの定義についても色々考えている模様。このことに関してはこだわりがあるようで、か細い声ながらも熱く反論する。潼関の戦いでは、最初は曹操の護衛。後続隊到着後は潼関北部蒲阪津方面から進軍。馬岱隊と激突し追い詰めるが、張遼隊の介入で拮抗。本陣撤退により殿の任を果たす。

 

 

張郃:チョウコウ。字:儁乂(シュンガイ)。二つ名:不死身の張郃。「きゃははは」という甲高い笑い声と怪しげな片言で話す。手入れのあまり行き届いていなさそうな、燃えるような真っ赤な髪に、黒の大きなリボンを結わいつけて腰のあたりまで無造作に伸ばし、淡いブラウンの瞳は狂気の色に染まり濁っている。身に着けた衣装は、黒を基調とし、華美なレースやフリルといった装飾で飾られたドレス、つまりゴスロリファッション。しかし動きは俊敏で無駄がない。極度の戦闘狂で、自身が傷を負おうが猛攻をやめない。ハイになるとモジモジする(察しましょう)。得物は一対の鉤爪。元は袁紹配下だったが、官渡の戦い時に愛想を尽かし曹操軍に降る。本人曰く「アンタとこいっぱい戦えそうネ」。かなり特殊な人格だが意外にも仲間からは慕われているようで「チョコ」と呼ばれている。潼関の戦いでは後続隊として出陣した後遊撃隊として馬休馬鉄隊を撃破。その後高順隊とぶつかるも高順に討ち取られる?

 

 

今思えば、馬休馬鉄に関しては恐らく本作ではそんなに活躍の場はないと思われるのでいいのですが、

 

徐晃ちゃんについては、今後それなりに活躍の場があると思うので、

 

本家様の香花ちゃんを是非とも反映させたかったところなのですが、

 

如何せんパッケージ版が出るまで英雄譚は買わないと決めたため、

 

キャラのことまだよく知らないのでやむを得ないんですよね 汗

 

まぁ、本作の公明ちゃんもけっこうお気に入りの子なので、いいかと割り切ってるんですけど。

 

 

それでは前回も宣言いたしましたが、次回から拠点を挟むことは話の流れ上出来ませんので、

 

かわりに息抜き用の短編をお届けし、その後すぐ第五章に突入という流れで行きたいと思います。

 

ダラダラのんびり進行の御遣い伝説も、この辺りの話が前半のクライマックスになりますので、

 

どうぞこれからも気長に気楽に気安くお読みいただければと思います。

 

それでは、次回からの気になるラインナップはこちら、、、!

 

 

 

 

 

 

 

<ゃぁ・・・か、一刀殿ぉ・・・ふみゃぅ・・・なら・・・せめて・・・優しく・・・・・・>

 

 

 

『番外編:陳宮一線を越える(前編)』

 

 

 

 

 

 

 

<た、たたたた例えば、か、かかかかず、一刀様の、あ、あまあまあまりにもはげ激しいちょ、ちょちょちょ寵愛を受けけけけけけkk>

 

 

 

『番外編:陳宮一線を越える(後編)』

 

 

 

 

 

 

 

<ワタシは今日の宝探しを通してリューホーを触れるようになるまで慣れてみせる!>

 

 

 

『番外編:宝を掘り当てんと呂布起ち、犬を克服せんと魏延奮う(前篇)』

 

 

 

 

 

 

 

<・・・・・・一日中、みんなで掘った・・・焔耶も頑張った・・・けど、>

 

 

 

『番外編:宝を掘り当てんと呂布起ち、犬を克服せんと魏延奮う(後篇)』

 

 

 

 

 

 

 

と、いうわけで、『陳宮一線を越える』はねねとななが、

 

『宝を掘り当てんと呂布起ち、犬を克服せんと魏延奮う』は恋と焔耶がメインのお話となります。

 

本編派の方々には脱線となり申し訳ありませんが、このダラダラ進行もまた本作の特徴とご容赦いただきたく 汗

 

 

それではまた次回お会いしましょう!

 

 

 

恋たちのエピローグがないのは実は第四章第五章はパートABが本来の形だからという言い訳 汗

 


 
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