【 十常侍の企み の件 】
〖 司隷 洛陽 都城 にて 〗
都城の一室では……年老いた宦官たちの……悪巧みの声が響く。
部屋の主は、十常侍筆頭………張譲!
そして、その周囲に……残りの十常侍が……醜悪な顔を奇妙に歪め、この洛陽に来る『天の御遣い』について……相談していた!
ーーー
張譲「皆の者! 何進が城門に来たら……私に知らせよ! ここにある陛下の詔を見せて、『天の御遣い』不要になった旨を何進に申し渡せば……! そのまま……御遣いを連れて屋敷に帰るだろう!!」
趙忠「ふむふむ……。 して……どうなさるつもりかえ……?」
張譲「クックックッ……簡単な事よ。 陛下の余命……後僅か。 崩御されれば……偽の詔もいつの間にか散失、何進が御遣いに懸想して我が者にしたと噂が流れる! そこに、詰問の者を行かせ対応を促せば……!!」
孫璋「ホホホホッ! 何進如きが、幾ら世迷いごとを語ろうとしても、我々が核心を掴んでいるからに、信じるに値されず………!」
張譲「何進の処分は決まり……我々の下に御遣いが付く事になるッ!」
夏惲「じゃが………じゃがの? 御遣いが我に………力を貸さない場合は?」
郭勝「─────殺せ! 殺してしまぇえええッ!!!」
段珪「いやいや……かなりの傑物との報告が参っておる! 金でも色でも権力でも……掴ませて───我々の虜にすればぁ……のぉ?」
栗嵩「それに……御遣いに付く女共も……美女揃い……! 人質に取るのも良し、売りさばいても……また良し………!」
畢嵐「しかしのぉ………あのぉ笑い声がぁ……頭に響く煩い名族ぅ! それとぉ……小難しい小娘がぁ……残りおるぅ! あの者達もぉ……早よぉ排除したいものよぉ………!!」
張恭「いやいや~あの者には、あの者達で使い道があるものよ~? 馬鹿は馬鹿なり、頭が回る者は回るやり方で、下僕に落とせば良いことだ~!!」
韓悝「とりあえず……何進の侵入を防ぐのが第一! 御遣いの事は、その後じっくり………ノ──ッホホホホッ!」
『ホホホホ───ッ』
『ノーホホホホッ!』
張譲「一同……控えいぃ! アノ方も……大層楽しみにしている! ほれッ! アノ方よりの褒美の黄金だ!! 皆で分けようでないか!?」
『お、黄金でごじゃるか!!』
『おぉおおお─────ッ!?』
ーーー
張譲が叫ぶと……十常侍の面々が、醜い笑顔で近寄ってくる!
『アノ方』……張譲にしか連絡をしない謎の人物は、豊富な財源を持つのか、黄金の小さな塊を複数の箱に入れて渡してくる。
そして、今回も……また。
他の十常侍は、『アノ方』の意見に逆らわない。
黄金と云う妙薬で……思考を既に止められているから。
人として……大事な物と引き換えにして……………
◆◇◆
【 洛陽城門へ の件 】
〖 司隷 洛陽城門 にて 〗
今日も洛陽の門前は、大賑わいだった!
漢王朝の首都、陛下のお膝元であるがゆえ、人々の活気に溢れ往来も激しい!
『人馬の動く事、大河の如し! 人の行き交う様子、芋を洗うが如き!』
───っと、どっかの偉いさんが言った……かも知れない語句が浮かぶ程の、賑わいだったのだ。
ーーー
商人「お勤め、ご苦労様です!」
番兵「うむ! 符節は持っているか? 符節が無いと入る事は出来んぞ?」
商人「へぇ! へへへっ……こ、これで、如何ですかね?」ニギッ!
番兵「ほぅ……五銖銭の符節か。 しかし、形は良いが……重さが少し足りないな? これでは許可が……」
商人「じゃ……これで!」ニギッ!
番兵「………良し! 通れ!!」
商人「はぃ! ありがとうごぜぇやす!」ペコペコ
ーーー
そんな繁栄する洛陽は……宦官の介入により……洛陽の政治は腐敗を極め、賄賂、売官がまかり通る。 正史でさえも、この時代に『三公……司徒、司空、太尉』まで売りに出されたと云われる。
上が腐れば、下にも腐りは回る。 宦官の腐敗政治は、下級役人まで及んでしまっているのだ!!
★☆☆
そんな中、大勢の豪華な騎馬隊が、洛陽の門前に現れる!
何進「大将軍何進! 陛下の勅命を済まし帰還した! 大事な賓客もいらっしゃる! ────早急に通行許可を願いたい!!」
袁紹「中軍校尉『袁本初』ですわ! この気品溢れる、このぉわたくしの美貌が───符節も同然! さっさと小難しい手続きなど止めて、ここを通らせなさい!!」
番兵「しょ、少々お待ちを───ッ!!」
何進の顔を見た番兵は、関を守備する隊長に連絡!
隊長は、番兵に上役に伝えるように申し渡すと……何進の前へ恭しく礼を行う。 そして、事情を説明した!
隊長「閣下! 陛下の勅命を無事に果たされた事、お喜び申し上げます! しかし、十常侍の張譲様より、陛下の新しき詔が発せられたとの命を受け、閣下の御帰還をお待ちしておりました! 今、暫くの御辛抱を………!!」
何進(…………やはり、動いたか………)
何進は、鷹揚に頷き了解すると……隊長はホッとした顔になり、一礼して下がった。
ーーー
何進「………一刀! 準備はいいか?」
一刀「少し肌寒いけど……大丈夫だよ! お、おいっ! 皆で寄り添わなくてもいいから!! 外套が結構厚くてあったかいから、心配いらな……なんだよ? その残念そうな顔は………!?」
騎馬隊に囲まれる荷馬車の上に一刀が立つ。
恋姫、艦娘たちが、その後ろに従い……付いている。
………★
しかし、貂蝉だけが……姿を消す。
貂蝉「だってぇ~! 都一の踊り子と天の御遣いのスキャンダルだなんてぇ、恥ずかしいわよぉん!!」
それが、理由……との事だ。
ーーー
長門「加賀ほどでは無いが……私の身体は熱いのだ! 提督の身体を心配しての行為、我慢して寄り添わせろ!!」
焔耶「北郷様! 外は思っているより寒いですから!!」
一刀「………大丈夫だから、静かに付いて来てくれ!」
アリゾナ「へぇ~、提督の胸板……結構厚いんだねぇ~。 うふふふっ!!」
一刀「い、いつの間に! やめぇ! さ、触るな───ッ!!」
ーーー
何進「思ったより……大丈夫だな………フン!」
…………
…………
『荷馬車の積載重量』は………?
はいはい……細かい事は黙っておけですネ………
◆◇◆
【 一刀の策? の件 】
〖 司隷 洛陽 城門近辺 にて 〗
黒き官服を着用した張譲と不愉快な、護衛の兵と共に現れる!
ーーー
張譲「これは、これは! お待ち頂き……申し訳ない! 大将軍何進殿!!」
何進「張譲殿か……。 今回は……貴殿の周りに屯する(たむろする)残りの中常侍たちはどうしたのだ? 取巻き者たちが居れば、厚着代わりになるだろうが。 貴殿の細身の身体、外に出るだけでも辛かろう……」
張譲「この老骨の身は、既に陛下に捧げておりますれば。 このくらいの寒さなら、大丈夫でございますよ! それに、他の者も仕事がございますれば。 ご心配を御掛け頂き……申し訳ありませぬ………」
何進「いや……年老いた者を労るのも孔子の教え……当然の事だ。 して、此方に出向かれた理由は、一体何なのだ? 陛下からの勅命で……『天の御遣い』様にお会いし、御足労を願ったのだが……? 早くせぬと……陛下の命数が!」
張譲「さてさて……その事で御座います! あの後、陛下は『天の御遣い』様を必要とされないと申し上げられ、勅命を翻すように承り申したが、何進殿は既に出立! 何とも気が早い方だと……御嘆きになられ……」
何進「………………」
張譲「陛下からの大事な使命! 行き違いにならぬように、ここで……こうして御帰還を、今か今かと待っていた次第。 これ、このとおりの詔でございます! ですので、何進殿には申し訳ありませんが……その方の謁見は……」
何進「………ふむ、丁度いい。 張譲殿、この『天の御遣い』様を拝見して貰わないかな?」
張譲「おぉ……儂のような老骨に、そのような方を拝見させて頂き、宜しいのですか!?『構わん……是非、感想を聞かせて貰いたい!』……わかりました。 では、失礼致しまして………」
ーーー
騎馬隊は既に下馬をして……地面にて顔を伏せる。
艦娘たちも、恋姫たちに倣い……顔を伏せて礼をとる。
ーーー
何進「張譲殿、この方は『天の御遣い』! 言わば、陛下と同じ位の高い方だ! だから、その方が我々に礼をする事は無い! 左様、心得よ!!」
張譲「ホホホホ……分かり申した。 それでは……『天の御遣い』様、中常侍張譲にも、そのお姿を拝見させてくだされ!!」
一刀「…………………」
一刀は、今まで羽織っていた外套を……左右に広げる!!
天の御遣いは、『白き輝く服を纏っている』と聞いていたため、張譲は元より、近くの護衛兵、番兵、洛陽の民や通行人も……近寄って固唾を飲んで見守った!!
張譲「お、おおぉおおお─────ッ!? な、なんじゃ!! これは!?」
『ーーーーーーーーーー!!』
張譲を始めとする、見物人がどよめく!!
何とぉ────『天の御遣い 北郷一刀』は、下着一枚の裸だったのだ!!
◆◇◆
【 一部の人には不可視 の件 】
〖 司隷 洛陽 城門近辺 にて 〗
何進「どうだ! 素晴らしい衣服じゃないか!? 私もお会いして、鳥肌が立ったぞ!! 王朝に数多くの宝物があるが……どの宝物も、この衣服の前にはガラクタ同然! この衣服の輝き、正に『天の御遣い』に相応しい!!」
張譲「バッ──ッ!!」
張譲は、何進の説明に───額へ青筋を立てて反論しようとしたッ!
すると、何進が─────こう付け加えた。
『……だがな、《天の御遣い》様の衣服の素晴らしさは外見だけでは無い! 《馬鹿には、全然、全く、少しも見えないのだ》!!』
張譲「────────!?!?」
『…………………………』
唖然とする張譲と護衛兵達の後ろから、民衆の歓声が聞こえる!
ーーー
洛陽民1「おぉ──ッ! 何と煌びやかな衣装だ!」
洛陽民2「素晴らしい! 素晴らしいですわ!!」
洛陽民3「何と美麗な衣服! あの白さこそ御遣い様の心を表し、あの輝きは御遣い様の位の高さを! 陛下と謁見されれば、漢王朝は更に栄えるッ!!!」
ーーー
張譲「( ゚д゚) ・・・ 」
張譲「(つд⊂)ゴシゴシ 」
張譲「(;゚д゚) ・・・ 」
護衛兵『( .:;@益@)・・・』
何進「───皆、その顔は何かな? ま、まさか……この服が見えない……とでも? 中常侍と云う陛下直属の臣下の主従が……揃いも揃って───!!」
張譲「ノ、ノーッホホホホッ! いやぁ──このような衣装! 生まれて初めてみましたわい! お、お前たち、お前たちも、そう思うじゃろう!?」
護衛兵「はっ、はいっ!! とても感激でありますぅ!!」
何進は、鷹揚に頷く。
何進「で……張譲殿!」
張譲「な、なんでござろうか!?」
何進「このような『天の御遣い』様を、陛下にお会いさせねば、誠に申し訳ないと思わぬか? このような……見事な服を羽織られているのに関わらず、陛下に謁見もせず、ただ御帰還を願うのは……忠臣とは云えぬではないか?」
張譲「しかし、陛下は…………」
何進「おぉ───ッ! 陛下は確かに詔を翻したが、張譲殿が己の責として罪を被り、我らや御遣い様を陛下に合わせたいと言われるか───ッ!?」
張譲「な────っ!?」
何進「なるほど! いやはや、漢王朝には、まだ気骨溢れる忠臣が此処に居る!! この何進、またまだ張譲殿には、到底及びもつきません! 皆の者、全員──聞いたなぁ!? 張譲殿の見事な覚悟をッ!!!」
ーーー
洛陽民4「流石だぜぇ───ッ!!」
洛陽民5「かっこいい────ッ!」
洛陽民6「そこに痺れるぅ、憧れるぅ──ッ!」
ーーー
張譲「ぐぅ~~~~!!」
何進「張譲殿……まさか、御遣い様の衣装に目が眩み、この衣装を我が物にしようと企んでおられるのか!?」
張譲「い、いやぁ!! そんな、わ……訳が………」
何進「ん~? 何やら変ですな? やはり……御遣い様の衣装が見えない! 即ち………馬K『わ、分かったッ! あ、案内する! 案内させて貰う!』────はっ! 宜しくお願い申し上げる! 張譲殿!!」ニヤッ!
何進が、勝ち誇ったように笑った。
◆◇◆
【 一刀の姿を見て の件 】
〖 司隷 洛陽 城門近辺 にて 〗
長門「…………うむッ! こ、これは………!?」
金剛「HEY! 長門、一人だけ顔上げて狡いネ! 提督の裸……Wow! 意外とsophisticated(洗練された)身体ですネ! 益々惚れ直しマース!!」
雷「うわぁ…………」
電「一刀さん………綺麗……」
スチュワート「あわぁ………」
暁「…………お、大人………」
響「か、肩を貸した時に………分かったが、司令官……かなり鍛えている!」
ビッグE「────これが……大和男子か!」
比叡「て、提督の裸……初めて……ひえぇ~!」
榛名「あぁ~! 提督ぅ────!」
霧島「………マイクチェック………大丈夫ね?」
サラ「……………主よ!」
龍田「流石──私たちの提督ね~! そう思うでしょう、天龍ちゃん!?」
天龍「あ、あぁ…………」
木曾「そうこなくっちゃなぁ! 俺たちの提督は──よぉ!!」
翔鶴「……………………」
瑞鶴「へぇ~! 提督さんって、何げに鍛え上げてるんだねぇ───あれっ? 翔鶴姉? ちょっ! 翔鶴姉ぇ!! 気絶してないでぇよぉ!!!」
雪風「か、かっこいいですぅ───司令ぃ!!」
アリゾナ「───やるわねぇ!!」
港湾棲姫「─────///////////」
桔梗「ほほぅ………これは、女心が蠢くな………」
焔耶「お、お館よりも……逞しい!」
朱里「………八百……ブンブン! 今回は真面目、真面目にやらなきゃ!!」
顔良「わ、私は………見てない。 何も見てない、男の人の………見てない」
ーーー
貂蝉「私は、別の場所で見てるわよぉん! だぁてぇ~、一刀ちゃんと比べられたらぁ! もおぅ、漢女心が鈍い人ねぇ~!!」
◆◇◆
【 劉宏の対面 の件 】
〖 洛陽 都城内 広間 にて 〗
この後、張譲が渋々と何進と一刀、恋姫、艦娘を引き連れて、劉宏の部屋へ案内する。
話を聞いて集まって来た十常侍たちも……一刀の『見えない服』を見て、賞賛の言葉を掛けた!! 事情は、全て護衛兵から聞いている。 張譲は、残りの十常侍たちも、同じ過ちをしないために、護衛兵に知らさせていたのだ。
結局……総勢40人近い者たちが、劉宏に拝謁する事になった。
勿論、さすがに大人数ゆえ、別の広間に案内される。
前後左右に大扉が配している、百人ぐらい入れる広間。 そこに、十常侍と護衛兵が左側に、何進、一刀、恋姫や艦娘が右側に並ぶ。
劉宏の体調は、幸いな事に小康状態が続いていたが、念のため寝台を用意。
─────異例の謁見となった。
ーーー
張譲「へ、陛下! 何進大将軍及び『天の御遣い』様方をお連れ申し上げました!」
何進「────陛下! 何進! ただいま……戻りました!」
劉宏「……構わぬ。 来る衆無い近う寄れ! 『天の御遣い』殿もな……」
劉宏の声が掛かり、何進と一刀が前に進みでる。
何進「陛下! 此方が……かの天の御遣い『北郷一刀』様でございます!」
劉宏「………うむ、うむ!」
一刀「お、お初にお目にかかります! 北郷一刀と──」
一刀が膝を付いて礼をしようとすると、劉宏が片手を上げて、それを制す!
劉宏「どうぞ……そのままで。 朕と同位以上の方が……ご挨拶されては、立場が………ゴホッゴホッ!!!」
張譲「───陛下ぁ!」
何進「陛下! 大丈夫ですかぁ!!」
劉宏「あ、案ずるな……。 して、北郷……殿で宜しいか……?」
一刀「は、はいっ!」
劉宏「その……お召し物………は? 確か、天の御遣いは『白き衣服』を纏うと聞いておりましたが……」
劉宏が、衣装に興味を示すのを見て、張譲が説明をする。
張譲「おぉ──ッ! 陛下──どうか、お聴き願いたい! かの御遣い様の衣装は、とても素晴らしい御服でございますぞ!! 白く輝き眩い光が、闇夜の月光のように淡く照らし、その質は絹のような手触りと光沢が───!!!」
劉宏「ゴホッ! ……そ、それは……見事だ。 是非……朕にも……」
劉宏は、病で痩せ細った顔をユックリと見せ、一刀に懇願した。
何進は、一刀の顔を伺うと……一刀が力強く頷く!
何進「…………一刀!」
一刀「(コクッ!)………どうか、御覧下さい………」
一刀は、何進に外套を取り外させて──その姿を見せた!
★☆☆
劉宏「────? 張譲……お主は………見たのだろうな?」
張譲「はっ! 恐れながら、陛下より先に拝見させて頂きました! 陛下に危害を加えんと欲する輩が多い今、不肖……この張譲、陛下の楯になるため、先に確認をと!!」
劉宏「……………幾ら凝視しても……朕には御服は見えぬ! ………これは、如何なる事……や!?」
張譲と残りの十常侍たちは、ザワザワし始めた!
趙忠「………陛下は……見えませぬかえ………?」
畢嵐「恐ろしや~、恐ろしや~!」
張譲「な、何と!? 陛下には……この照り輝く美しい御服が見えませぬと! 巷では、民が御服を見て伏し拝む程にも関わらず! しかも……御遣い様と何進殿が申すに、この御服を拝見出来ぬ者……恐れながら………!!」
劉宏「良い……許す!」
張譲「はっ! …………馬鹿であると! 即ち、御遣い様を拝む資格も無いと……云う事ですな? あぁ~~~ッ! 何と忌むべき事かぁあああッ!!」
一刀「……………………」
その張譲の言葉を聞いて……劉宏は……寂しく笑う。
劉宏「ハハハ………ゴホッ! そ、そうか………。 いや、さもありなん! 朕は、多くの民を見限った! 自分の仕事を放棄して……欲に赴くまま、この日まで生きてきた。 これは、天が朕を見限ったとの……宣告だろう………」
劉宏は、目を瞑り涙を流した!
自分の行ってきた事を省みて……もう取り返しができない事を……悔やんでいた。 そして、その罪を償う時間さえも……既に無い事も………
何進「───陛下! どうぞ、お心を鎮めて下さい!! これは、陛下に仇なす不心得者を欺くための……策でございます!!」
『──────!?』
一刀「……陛下。 非礼と余計な事で、心を乱させてしまい……深くお詫びさせて頂きます! 実は……何進大将軍より、陛下の御側に巣くう痴れ者が、多数居るとの事、お聞きしました!」
何進「天の御遣い様は、その事を憂い……あえて肌着だけとなりて、お前たちを試されたのだ! 嘘を平気で語る『馬鹿』な者かどうか!!」
張譲「な、何と無礼な──ッ! 陛下を試されたのか──御遣い様はッ!?」
孫璋「し、痴れ者が! は、恥を知れぇ! 恥をぉおおおっ!!」
一刀「試したのは、陛下じゃない! その側近として……悪名高い張譲、お前と十常侍だ! 悪名は、既に天まで知り渡っているぞッ!?」
張譲「な、何を証拠にほざきおるッ! へ、陛下! この者達、陛下を貶め善良なる儂を騙し、有能なる十常侍を政権から追い出して、漢王朝を己の物にしようと企む……憎き者達ですぞ!! 陛下、然るべき裁きをッ!!!」
騒ぎ立てる張譲と十常侍たち!
すると、何進が劉宏の傍により……恭しく尋ねた!
何進「陛下……! 陛下は……北郷様や私と会う事は不要と、詔を発しられたそうですが……!?」
劉宏「ば、馬鹿なぁ! 朕は……お前が北郷殿をお連れして……戻る日を、一日千秋の思いで待っていたのだぞ!?」
何進「やはり……張譲殿! 我々を謀ったな!?」
張譲「は、話の論点をずらすでは無いッ!! へ、陛下の前で肌着姿で拝謁するなど、前代未聞!! ───者共! この愚か者共を捕らえよ!!」
『ハ─────ッ!!』
────バンッ! バンッ! バンッ!!
─────ドドドドドドッ!!
三方の扉から……多数の武装した兵が入り込む!!
恋姫、艦娘たちは、何進と一刀を守るように囲むが、何進が前に出て張譲に叫ぶッ!!
何進「────張譲! 貴様が私達に偽の詔を読み上げた事、覚えているか!? 貴様の服を探せば……その詔の竹簡がある筈! それが証拠だ!!」
張譲「ノッーホッホッホッ! これは──異な事を言われる、何進よ! 私がそのような物を持っている証拠があるのか? 今、此処で官服を脱いでも良いぞ! もし……無ければ……罪を認めると云う条件ならばな!」
張譲は、こんな事態もあろう事かと、知らせに護衛兵に竹簡を持たせ、十常侍たちに渡してある。 だから、幾ら探しても持って無いため、このような態度がとれた。
何進「───────くっ!!」
何進も、張譲の様子を見て、手許に竹簡が無い事を悟り、顔が苦しげに歪む!
張譲は、勝ち誇った余裕の表情を浮かべたッ!!
─────その時、ある『男の声』が流れた。
『──あの後、陛下は《天の御遣い》様を必要とされないと申し上げられ、勅命を翻すように承り申したが─────』
その声を聞き─────張譲の顔色が変わる!
霧島「提督が用心のため、貴方の声を録音するようにと、依頼されましたが……こうも早く役に立つなんて………」
霧島が録音していた機材を片手で持って、それを示す!
一刀「───己の醜悪さを認めたらどうだ? 張譲!!」
騒然とする中───着替え終わり───白の海軍将校の衣服を着た、北郷一刀が、何進の傍に立っていた。
ーーーーーー
ーーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
半日時間が空いたので───急いで小説の元を書き上げ、色々と推敲しまして、なんとか仕上げました。
策の元は、皆さん、ご存知かと思います『裸の王様』からです。
今度こそは、忙しくて時間が取れないと思いますので、来週頃になるかと。
また、よろしくお願いします。
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ある童話が策の元です。