No.740418

恋姫†無双〜私だけを見てください〜 第7話

マットさん

こんな小説にもちゃんとコメントがされているのが嬉しいと思っている、マットです。

今回は、ちょっとだけ戦闘シーンも入ってます。

…………戦闘シーンって難しいですよね。描ける人……スゲェ……

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2014-11-29 20:38:01 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2067   閲覧ユーザー数:1865

『うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!』

 

一刀様とのお話の時間もすぐに終わってしまい、私は部隊の指揮を執ってクズの賊軍と対峙をしていました。

 

基本的な当たり方は「前衛部隊が常に二人一組となり、賊軍をけん制しつつ、後方の弓部隊が援護射撃を行って賊軍を壊滅させる」と言う、非常に簡単な当たり方です。……まあ、クズの賊軍を相手に兵法と言うのが一番の理由だったのですけど……

 

『うおおおぉぉぉ!!死ねええぇぇぇ!!』

 

『こんな所で死ねるかよおおぉぉぉ!!』

 

……どうして戦の最中なのに、こんな掛け声が飛び交うのでしょうか?まるっきり子供の喧嘩じゃないですか……

 

まあ、そんな事よりも……

 

(一刀様は大丈夫でしょうか……)

 

私は、本陣に居るはずの一刀様の事が気になって仕方がありません。

 

(ちゃんと私の事を待っていてくれているのでしょうか?賊に襲われたりなんてしてないでしょうか?……!!?そ、そうなってしまったら私は……私は…………い、今からでも行って一刀様の様子を見てきましょうか?で、でもそんな事をしたら一刀様はきっと私の事を『あつかましい女』だと思われてしまうかもしれません。ああ、でも私は……)

 

私が本陣に戻るかどうかを考えていると……

 

「おぉ!!こんな所にいい女を発見!!」

 

何処から湧いて出てきたのか、賊の格好をしたクズ達が私を取り囲んでいました……今、私はすっごく悩んでいるのに、このクズ達は……と言うより、部隊の人達は一体何をしていたんでしょうか?

 

「野郎ども、今日はこの姉ちゃんで楽しむぞ!!かかれっ!!」

 

「「「おおおぉぉぉぉ!!」」」

 

……こう言うクズ達はこんな事しか頭に無い馬鹿なんですよね。仕方がありません、私が『お仕置き』しましょうか。

 

「邪魔です……閃空衝裂波!!」

 

私は回転をしながら剣圧でクズ達を浮かし、浮き上がったクズ達に追い討ちを仕掛けました。当然ながらクズ達はあっという間に力尽きました。……あっけなさ過ぎです。

 

「……こんなにあっさりとクズが進入をしてくるなんて、本当に部隊の人達は何をしているんでしょう。でも、この様子じゃ一刀様が居る本陣も……もしかしたら……」

 

私は一瞬、不安を感じて一刀様の居ると思われる方向に意識を集中しました。

 

「……!!絶風刃!!」

 

一刀様の辺りから良からぬ気を感じた私は、剣戟を高速で重ねて生み出した絶風の衝撃波を一刀様の方向に向けて(もちろん、微妙に位置をずらして)発射しました。

 

「誰か、誰か居ませんか!?」

 

私はすぐさま誰か居ないかと叫びました。すると一人の男性がやって来ました。

 

「へい、司馬懿様……どうしたんですか?」

 

私は男の態度に少々苛立ちましたけど、今はそんな事を気にしている場合ではありませんでした。

 

「本陣の方向から妙な気配を感じました。敵軍の伏兵の可能性があるので私は単身で一旦、本陣に合流して一刀様の護衛に当たってきます。」

 

私は男に状況を説明すると、男はキョトンとした表情を浮かべて、こう言いました。

 

「へっ?……いや、司馬懿様……それなら俺達は一体、どうすればいいんですか?」

 

そんな男に私は平然な顔で言いました。

 

「貴方達は基本方針に従って賊を殲滅してください。それで、皆さんに必ず勝機が訪れます。」

 

「い……いや、でも、どうせ戻るんでしたら……俺達も一緒に……(チャキ)…!?ヒ、ヒィィ!?」

 

男が小さくブツブツと呟いている時に、私は剣を男の首元に近付けます。……少し、教訓してあげましょうか……

 

「……つべこべと言わずに、貴方達は私の指示通りに動いていればいいんです。……それと貴方、私に対して馴れ馴れしく話しかけないでください。今度、そんな風に話したらその時点で貴方の首を刎ねますからね。……それに、私の所にまで賊の侵入を許してしまう貴方達のような、役立たずを連れていた所で邪魔になるのは確定的なんですから。そんな役立たず達を、わざわざこちらは使っているのですから役立たずは役立たずらしい功績を挙げればいいんです。……あっ、だからと言って本当に役に立たずに、私や一刀様を失望させるような結果であったら……貴方に責任を取ってもらいますからね。」

 

私は思っていた事を、男にそのまま伝えると……

 

「は、はいっ!!りょ、了解致しました!!」

 

と、男は顔を引きつりながら大声で言いました。

 

「♪……それじゃあ、後はお任せしますね。」

 

「はっ!!必ず、ご期待に応えてみせます!!」

 

私は男に指揮を任せて一刀様の所に向かいました。……あんな風にすぐに態度を変えるなんて、教訓は成功ですね。

 

「テメェ等!!死にもの狂いで戦うんだ!!司馬懿様と御遣い様の……俺達の勝利の為に……賊徒狩りじゃああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

……何だか、ちょっと変わり過ぎたかもしれません。

 

 

~一刀SIDE~

 

零里が部隊を率いて賊軍に攻撃を仕掛けた後、俺は零里の言葉の通りに本陣の指揮を取っていた。

 

正直に言って俺はどうしたらいいのかと、戸惑っている。……今まで平和な国で暮らしていた俺の周りではニュースの中でしかありえなかった人殺し。……それが今、俺の目の前で起こっている。……それも『戦争』と言う大規模の物だ。

 

(ウッ……)

 

見ているだけでも吐き気がする。この世界の人達だって、きっと幸せな一生を送りたかったはずだ。……でも、それも叶わない夢だ。

 

『弱者が強者に殺される。』……この世界ではそれが当たり前の掟なのだ。

 

……俺の立場は間違いなく『弱者』だろう。一人では生きていくような事も、ろくに出来ない。そう考えたら、今戦っている街の皆の方が間違いなく『強者』だろう……

 

そんな俺を、皆は『天の御遣い』だなんて言って、主とあがんだ。……そして零里も。

 

……だから俺は決心をした。

 

(絶対に……強くなってみせる!!皆を……零里を守れるくらいに!!)

 

そう決心をした直後だった……

 

『『『『ワアアアアァァァァァ!!!!』』』』

 

突然、本陣の後ろの方から叫び声が聞こえてきた。

 

「ど、どうしたんだ!?」

 

俺は突然の事に驚いて、何があったかを知ろうとした。すると、男の人が現れた。

 

「み、御遣い様、逃げてください!!……後方に、ぞ、賊軍の……伏兵が……(ザシュッ!)……ア!?……アガッ!?」(バタッ)

 

男の人は俺に逃げる事を伝えようとした時、男の人の左胸から槍の穂先が突き出て倒れた。……そしてその後ろには、槍を刺した男を含めた、二十人ぐらいの賊が居た。

 

「へへっ……『御遣い様』って事は、お前が大将の『天の御遣い』って奴か……へへっ、確かに良い服を着てやがる。」

 

賊の一人が確認をするかの様に、言葉を放つ。その後、すぐさまその横に居た賊も口を開く。

 

「んじゃあ、早速で悪いが……お前には死んでもらおうか。」

 

槍を持った賊が、穂先を俺に向けてきた。

 

「ま、待ってくれ!!……あんた達は何が目的で、街を襲うんだよ。せめてそのくらいは聞いてもいいだろう!!」

 

俺は何とか、賊達の気を逸らそうとして、賊達に話しかける。

 

「へっ……そんなの決まってるだろ。お前達にやられた仲間の仇討ちさ。」

 

賊のリーダーのような風格の男がそう言った。しかし……

 

「な、何だよそれ……俺、そんなの知らないぞ。」

 

そう……そんな話、俺は初めて知った。賊達の仲間がやられたって言うが、俺は賊に襲われた事なんて一度も無い。

 

すると男は、また口を開いた。

 

「……まあ、お前は覚えがなくて当然だろうな。聞いた話ではお前は気を失っていたみたいだったしな……それに、仲間を殺したのは『女』だって話しだしな。」

 

『女』……その言葉に、少々の不安を感じた。

 

「ちょ、ちょっと待て。……その『女』の特徴は!?」

 

俺は、居ても立っても居られなくなって、男に特徴を聞き出した。

 

「あぁ?……確か『黒くて長い髪に、見るからに小さい服を着た、胸のデカい女』だ。」

 

男の言った特徴を聞いた俺は、その『女』に見覚えがあった。

 

 

 

 

 

……間違いなく……『零里』だ。

 

俺がどう言う事か、考えていると痺れを切らした槍を持った賊が……

 

「……そんな事は、お前にはもう関係の無い事なんだよ!!さっさと俺にやられてくたばっちまいな!!」

 

そう言って俺に突進してくる。

 

(!!……くそっ!!せっかく、強くなるって決めたばかりなのに、こんな所で終わるのかよ……)

 

俺が、自分がやられるのを覚悟していると……

 

ビュュュュゥゥゥン!!……

 

「へっ?……!?ギャアアァァァァ…………」

 

突然、×の形をした衝撃波が、賊を巻き込んで通過した。その後に……

 

「かぁぁぁぁぁぁぁずぅぅぅぅぅぅぅとぉぉぉぉぉぉぉさぁぁぁぁぁぁぁまぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

聞いた事のある叫び声が聞こえてきた。

 

「!!?零里!!」

 

俺は思わず零里の名前を叫んだ。

 

「大丈夫ですか!?怪我はありませんか!?お腹はすいてませんか!?私の事は愛していますか!?」

 

……何だか関係ない事も聞かれている感じがするけど、何か返事をしないといけない気がしたので……

 

「あ、ああ……大丈夫、だよ。」

 

と、答えた。

 

「♪良かったです。本当に良かったですぅ~……」(だきっ)

 

返事を聞いた零里は、俺に抱きついて来た。む、胸が……当たってる!?

 

「ちょ、ちょっと零里!?……あ、あの離れて……くれないか?」

 

俺は慌てて零里に離れるように指示をするが、零里は俺の胸に顔を埋めたまま離れようとはしなかった。

 

「嫌、です!!私……一刀様の事が心配で心配で、仕方が無かったんですよ!!」

 

そうして上げた顔には、涙の痕が残っていた。だけど……

 

「おい!!俺達の事を無視してんじゃねぇ!!」

 

……今は賊達と対峙している最中なので、当然、無視をされて目の前でイチャついてたのを見た賊は怒り出す。しかし零里は……

 

「でも、一刀様……ご安心ください。これからは私が護衛をしますからね。」

 

賊達には見向きもせずに、俺の事だけにかまっていた。その光景を見た賊は……

 

「おい!!いい加減にしやがれ!!……あぁ、もういい!!野郎共、こいつ等をぶっ殺せ!!」

 

リーダーが、他の賊に俺達を襲わせた。すると零里は小さな声で……

 

「(一刀様……私の側から離れないでください……)」

 

と、呟いた。

 

そして俺は、言われる通りに零里の側に近づくと……

 

「地に眠りし聖なる光よ……我と愛する者を守りたまえ。……ハアアアァァァァ!!守護方陣!!」

 

零里は地面に剣を刺した。すると同時に、俺と零里を中心に直径三メートルの円が現れて、そこから光が溢れ出した。

 

「「「「うわああぁぁぁぁぁ!!」」」」

 

光に触れた賊達は悲鳴を上げながら倒れた。

 

「なっ!?どうしたんだよ!?」

 

賊のリーダーは、一体何が起こったのか分からずに困惑していた。そんなリーダーに零里は……

 

「私と一刀様の時間を邪魔をしないでください。……貴方のようなクズは、愛する人と言う者が居ないから襲ったに決まってるでしょうけれど、私と一刀様の恋路を邪魔をする様なクズには私が直々に『お仕置き』をしてあげます。」

 

リーダーに向かって怒りの表情を露にした。

 

「う、うるせぇ!!お前は、前に俺の仲間を三人殺しやがったんだ。そして、今も俺の仲間をやりやがった。だからてめぇは仲間の仇!!てめぇは俺が殺す!!」

 

リーダーは、あくまで零里を自分の仲間の仇だと、言い張る。そんな態度にカチンと来た俺はリーダーに対して、「零里はそんな事はやっていない。」と反論しようとしたが……

 

「……だからどうしたって言うんです?」

 

零里が先に言葉を発した。……えっ?この言い方からして、まさか……

 

「……あの時のクズ達は、一刀様を殺そうとした上に私の体を見て嫌らしい事を考えてたんですよ。……そんな無礼なクズに一瞬で判断しましたよ。『このクズ達は生きる資格はない』って。」

 

零里はリーダーの言葉を否定をせずに、自分から賊の仲間を殺した事を申告した。

 

……そんな、零里が…………賊を殺したなんて……

 

「それにさっきから貴方……仲間の事を大切に思っている様な言い方をしていますけど、だったらどうして最初に仲間を私に襲わせたんですか?本当に仲間の仇を討ちたいのだったら、死にもの狂いで立ち向かうものでしょう。」

 

「そ、それは……てめぇの力がどれ程か見るために……」

 

「果たしてそうでしょうか?……仲間が殺された事を聞いたのであれば、その力はどれ程の事かってぐらいは聞いているはずです。それなのに貴方は『仲間に私を襲わせて、力を見極めた。』……この時点で、貴方は私の力を聞いていない事が分かり、更に貴方は仲間を『自分の為の道具』の様な扱いをした事から、貴方は『仲間の事を大切に扱っていないクズ』だと言う事が確定しました。」

 

「ウッ!?……」

 

零里に図星をつかれて、賊は一瞬たじろぐ。

 

「う……うるせぇ!!うるせぇ!!俺はクズじゃねぇ!!本当にクズなのは、俺の何の役にも立たなかったこいつ等と、てめぇ等なんだよ!!うおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

賊はそう言って開き直って、零里に剣を振り下ろした。

 

しかし……

 

「……フッ!!」

 

零里は難なく賊の剣を受け流して、賊の体を自分の剣を斬りさいた。

 

「……自分がクズである事を自覚せずに、開き直って他人の事をクズ呼ばわりする時点で、もう貴方はそれ以下の存在です。」

 

零里は賊の死体に向かってそう言い放った。

 

「………………。」

 

俺は零里と、賊のリーダーを交互に見つめた。事実俺も、こいつはクズ以下の存在だと思った。……しかしそんな事はどうでもいい……本当に重要な事は。

 

「……零里。」

 

「何でしょうか、一刀様?」

 

俺が知りたい事は……

 

 

 

「……嘘偽り無く、全ての事を、俺に教えてほしい。」


 
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