No.741516

恋姫†無双〜私だけを見てください〜 第8話

マットさん

第8話になります。

グダグダになってるかもしれませんが、見ていって下さい。

2014-12-04 21:57:46 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2655   閲覧ユーザー数:2249

「君の全てを、嘘偽り無く教えて欲しい。」

 

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一刀様の言葉を聞いて、私は一瞬だけ時が止まったように感じました。

 

『私の事を全てを嘘偽り無く知りたい』……私の聞き違いで無ければ、そんな言葉が聞こえてきました。

 

「ちょ、ちょっと待ってください……一刀様、貴方は一体何のお話をしているのですか?」

 

私がとぼけてみても……

 

「とぼけないでくれ、零里。……俺は真剣に聞いてるんだ。」

 

一刀様の眼は、真剣な眼差しをしていました。……それでも私は、正体を明かす訳にはいきません。だってそんな事をしたら、一刀様は……

 

「い、一体何を……「零里!!」…!!?」

 

私がまた、とぼけようとしたら一刀様が怒鳴ってきて、私は驚いてしまいました。

 

「さっき言ったはずだろう!!とぼけずに全てを、俺に教えろって!!……これ以上とぼけるって言うなら、俺はお前の事を『嫌い』になるぞ。」

 

「!!??」

 

……『嫌いになる』…………一刀様が…………私を…………

 

 

 

……イヤダ。

 

…………また、一刀様が……私を……愛してくれなくなる…………

 

そんなの、絶対に……イヤ……

 

「い、嫌………嫌いに……私を、嫌いに、ならないで……くださ、い。」

 

私は涙を流しました。

 

……一刀様に愛してもらえない。

 

その経験を、私は800億回も味わいました。

 

私……もう……どうしたらいいか……分かりません……

 

嫌われないようにするには、一刀様に全てをお話しなければいけません。……でも、そうしたら一刀様は、私の事を『嘘つき』として嫌ってしまうでしょう。

 

……話しても地獄、話さなくても地獄。

 

私にとっては、一刀様に嫌われる事が何よりの地獄と感じられました。

 

……そんな事を考えていたら、突然、何か暖かい物に包まれました。

 

「……大丈夫だよ。」

 

「……へっ?」

 

包んでいた物の上から、一刀様の声が聞こえてきました。

 

……どうやら私を包んでいたのは一刀様のようでした。…………てっ、一刀様!?

 

「あ、あああああの、あの、あの……か、か、一刀様!?な、何を///」

 

私が抱きついてきた理由を、聞きだそうとしたら、一刀様が口を開きました。

 

「安心して……ちゃんと正直に話してくれたら、俺は零里の事を嫌ったりなんてしないから。……むしろ、本当の零里を知る事が出来るから、もっと君の事が好きになれるよ。」

 

「…………あっ」

 

……そうです………一刀様はこんな事をを正直に話したところで嫌いになったりはしません。

 

その事は私だって分かっていたはずでした。……でも私は、『嫌いになる』と言葉に過剰に反応してしまって、勝手に悪い方向に話を持っていってしまいました。……それがいけなかったんです。そんな事をしたら、一刀様も嫌いになってしまいますよね。

 

「……分かりました……全てを正直に貴方にお話をします。……その代わり、私の事を……嫌いになったり、引いたりしないでくださいね。」

 

私はそんな心配は必要ない事が分かっていながらも、念を押して聞きました。

 

「勿論さ!!どんな事があっても、君の事を拒絶したりなんてしないさ!!」

 

一刀様は笑顔で仰ってくださいました。

 

「ありがとうございます。では、まず始めに…………」

 

そう言って、私は全てを話しました。

 

私がこの世界の人間では無い事……

 

私が、別の世界で一刀様に会って恋をした事……

 

一刀様が、別の女を最終的に選び、消えていった事……

 

左慈さんと于吉さんの事……

 

正史と外史の事……

 

この外史にも存在している『諸葛亮孔明』であって、『司馬懿仲達』と言う偽名を使い、姿を変えてこの外史にやって来た事……

 

一刀様を、この外史に来た私の側に現れるように仕込んだ事……

 

私が殺したクズ達の事……

 

……そして、一刀様を奪っていった女達に対して復讐をする事……

 

ありのままに、全てを話しました。

 

 

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「……以上が本当のことです。」

 

「………………。」

 

私が本当の事を話したら、一刀様はずっと黙ったままでした。

 

……やっぱり、さっきは大丈夫と言ってても正直驚いているのでしょうね。何せ、私の身勝手な行いで戦争を引き起こしているのですから。

 

と、そんな事を考えていると一刀様が……

 

「……ごめん、零里。」

 

いきなり私に頭をお下げになり謝りました。

 

「……えっ?……ど、どうして一刀様が謝られるのですか?」

 

私が謝られた理由も分からず、一刀様に聞きだしました。

 

「……だって、俺が別の世界で……えっと、外史って言うのか……その中で俺が、君の事を選んでいたら君はこんなに悲しい気持ちを抱かなくてもすんだってのに……ホントに……ごめん。」

 

一刀様はさらに深く頭を下げて、謝られました。

 

「そ、そんな……謝らないでください。第一、貴方は私の愛していた一刀様とは違うんですから、だから、頭をお上げに……「それでもだ!!」……!?」

 

私が一刀様に頭を上げるように言おうとすると、一刀様の声に遮られて私は驚きました。

 

「それでも……君の事を選ばなかったのは俺が悪いんだ。例え、俺が君が愛した『北郷一刀』じゃなくても、全ての『北郷一刀』を代表して謝らせてくれ!!」

 

「…………。」

 

私は正直、驚いてました。全てを打ち明けた上で尚、引かないどころか、全ての『一刀様』を代表をしてまで謝ってきたのですから。

 

この時私は、こう思いました。

 

(あぁ、この人を愛して良かった……)と。

 

私は、まだ頭を下げている一刀様の前まで歩き、そして、抱きつきました。

 

「……ちょっ!?れ、零里///」

 

一刀様は抱きつかれた事に驚いていらっしゃいましたが、私は構わずに言葉を告げました。

 

「でしたら……私を選んでくれなかった分、私の事を愛してください。」

 

私なりの……『愛の告白』を……

 

「ああ、勿論だ。」

 

……一刀様はそう言って、抱き返してくれました。

 

 

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それから、しばらくして私達の義勇軍が賊軍を殲滅する事に成功しました。

 

主に私の奮闘によって軍の士気が上がり、賊軍が総崩れになった所を一刀様の指揮の元、突撃命令が下されました。

 

結果は勿論、犠牲者は出ましたが、私達の完勝でした。……これほどの完勝は、朱里の時では無かったです。

 

……やっぱり愛の力は強いです!!

 

私達が意気揚々と街に凱旋をしたら、残っていた街の人達が私達の事を歓迎しました。そんな民衆を相手に一刀様は……

 

「……皆さん、ごめんなさい!!」

 

頭をお下げになって謝られました。この突然の行動に、私や街の人達が一刀様の行動に驚きました。

 

「み、御遣い様……どうして急に謝れるのですか?」

 

一人の街の人が一刀様に聞き出しました。

 

「『皆さんを守る』なんて言っておきながら、結局犠牲者も出してしまって……犠牲になった人の家族や友人の皆さんに対して、どんな言葉で謝罪をしたらいいのか分からないんですけど……本当にごめんなさい!!」

 

一刀様はそう言って、また頭を下げました。……一刀様は本当にお優しい方なのですね。

 

……ここは私が、頑張らないと!!

 

「……一刀様、頭を上げてください。そして……見てください。……この街の人の中で、一体誰が一刀様の事を憎んでいるような顔をしてるんですか?」

 

「……えっ?」

 

私の言葉を聞いた一刀様が、顔を上げました。……そして、私も街の人達の顔を見つめました。

 

……そこには、たくさんの笑顔が浮かんでいて、誰一人として、一刀様を憎らしく見ている人は居ませんでした。

 

「何を言ってるんですか、御遣い様!!……あんたと司馬懿が居なかったら俺達は一生、賊達に怯えながら生活をしていたんだ。」

 

「そうだ!!……それに、犠牲になった奴らだって自分達の愛する街を守って死んでいって、本望でしたでしょうよ。そんな気持ちを持たせてくれたのも、御遣いのおかげだ。」

 

「ああ、御遣い様と司馬懿様は私達に勇気をくれたんだ。」

 

「「「御遣い様、ばんざーーい!!」」」

 

「「「司馬懿様、ばんざーーい!!」」」

 

そんな街の人達の喝采を受けて、一刀様は目に涙を溜めていました。

 

(ふふっ♪かわいいです。)

 

やがて喝采が止むと、一人の男の人がこう言いました。

 

「なあ、皆。御遣い様にこの街の県令になってもらったら、いいんじゃないか?」

 

「えっ……県令?……」

 

男の人の言葉を、一刀様は小さくつぶやきました。

 

「なあ、零里……県令って何?」

 

一刀様が県令の事について、聞いてきました。

 

「県令とは……平たく言えば、『街の長』という物です。……本来なら、朝廷から正式に任命をされて就き、その街の治安活動などをする役職なのですけど……でもどうして、一刀様を?」

 

私が県令について、簡単に説明をすると、一刀様に県令になる事を提案した男の人に理由を聞いてみました。

 

「……実は、御遣い様達が来る前に一度、この街が賊に襲われた事がありまして、その時赴任をしていた県令が、賊の襲撃にかまけて逃げたんですよ。」

 

「県令が……街を捨てたという事ですか?」

 

「……はい。」

 

男の人の言葉を聞いて、私は怒りを覚えました。

 

県令が逃げたという事は、その街を守るための軍事機関も停止したと言っても過言ではないので、そんな風にさっさと逃げてしまうようなクズを赴任させるなんて、この外史の朝廷は腐っていると言ってもいいでしょうね。

 

「……県令が逃げたって言うのは、かなりマズイんじゃないのか?」

 

一刀様も、不安を感じているようでした。……私は県令が居なくなると起こる事を伝えると、一刀様の表情も怒りを露わにしました。

 

……怒っているお顔も素敵です///

 

「そうなんですよ!!だから、俺達はあんな奴を赴任させた朝廷をもう信じないんだ!!俺達の事をここまで思ってくれる御遣い様に、この街を治めて欲しいんだ。……だから、お願いします。俺達を導いてください!!」

 

男の人を始め、他の街の人が頭を下げました。

 

「え、えっと……零里、どうしよう?」

 

一刀様は、私に対して助けを求めました。……こ、困ったお顔もかわいいですぅ~///

 

私は、一刀様の困っているお顔を見ていたい気持ちを抑えて、言いました。

 

「……この街から初めていきましょう……私達の夢の第一歩です。」

 

そうです、私と一刀様の夢……そして、私自身の復讐|(ゆめ)への第一歩です。

 

「……分かった。皆の命を俺と零里に預けてくれ。……必ず、皆を守ってみせるから。」

 

一刀様がそう言うと……

 

「「「「「ワアアアアアアァァァァァァ!!!!」」」」」

 

街の人達の雄たけびが街中に響き渡りました。

 

(……やっぱり一刀様は凄いです。)

 

私は、一刀様を見て改めてそう思いました。

 

 

~管理者SIDE~

 

「……司馬懿が自らの素性を、北郷一刀に教えたようですね。」

 

于吉が、鏡を通して零里の様子を観察していた。

 

「クソッ!!……あんな奴に迫られた位で、素直にペラペラと何でもかんでも喋りやがって!!」

 

左慈が苛立ち気に強く足踏みをする。

 

「……ですが、ここは我慢ですよ左慈。彼女の復讐心は幸いにも消えてはいません。……まだ、復讐をする事を諦めてはいないようですからね。」

 

「……分かっている。」

 

于吉に言われて、左慈も落ち着く。

 

「……もうしばらく傍観していましょう。……我々が手を出すかは、彼女の行動次第なのですから。」

 

「チッ……事がうまく動いてくれればそれでいいがな……」

 

そう言って、二人の姿は闇の中へと消えていきました。

 


 
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