【 華琳の快進撃 の件 】
〖 兗州 陳留 華琳居城 にて 〗
華琳「────雪蓮達が? 直ぐに会うわ、謁見の間に通して頂戴!」
曹兵「はっ!」ダッ!
本拠地陳留を取り戻したのは、颯馬と久秀が激突してから三日目。 何進達が危機に陥った日より二日が経過していた。
華琳達の怒涛の攻めは、兗州内の城を悉く(ことごとく)落城させた。
豫州小沛は勿論、豫州相県、陳県付近も、予定以上に早く制圧して治め、桃香達も陳留攻めに参加。 内応の手配もしてあったため、瞬く間に華琳の手に戻る結果になったのだ。
その桃香達の軍勢には、途中で合流した雪蓮達の軍勢も合流している。
冥琳『この軍勢で、敵地を動くのは危険過ぎる。 辺りの小規模の城を落とし実力を示し、華琳達の軍勢が動きだせば、それを土産に合流。 功ある者は正当に評価する華琳の事だ! 我らを快く迎えてくれるだろう!』
冥琳の思惑は当たり、汝南周辺の城を落とし、献上した事が好印象をもたらし、現在陳留で曹操軍と共に行動していた。
★☆☆
華琳「ようこそ、我が居城へ───! って迎えた方がいいのかしら? 雪蓮、冥琳、蓮華、祭、小蓮!」
雪蓮「久しぶりね! 華琳!!」
蓮華「お邪魔するわ! 流石、曹孟徳ね! 『風林火山』の用兵術で、瞬く間に領土を広げてしまうなんて!」
祭「失礼させて貰う! 冥琳の予測通り、軍事行動を別にして正解だったわい! 晋軍の領土を、こうも容易く打ち破るとは…………!」
小蓮「へぇ! 凄いじゃない!!」
冥琳「流石は曹孟徳だけある。 晋軍が颯馬達に掛かりきりになったのを見定めるや、民の一斉蜂起、旧臣下の内応で、一気に豫州一帯を支配下に置くとは……。 私でも、ここまで鮮やかな裏工作など出来はしないぞ?」
華琳「アレは桂花や朱里、雛里のお陰よ。 あの子達独自の組織と連絡手段で、各城へ私達が立ち上がる事を知らせたのよ。 元々、晋軍の圧制で不満が高まっていたから、蜂起や内応させるのは簡単だったわ!」
冥琳「ほぅ~? 晋軍の監視網を破るには、並大抵では行かないのだが。 余程の組織力と強固な団結力があるようだな?」
華琳「私も詳しくは知らないわ。 桂花が会長で、朱里と雛里が副で付いてる事しか。 そういえば……何故か名誉会長に、小蓮の名前が入っているみたいね? 蓮華達は知っているの?」
蓮華「な、何をやっているのよー! シャオは!? 王族の立場でありながら、危ない組織の片棒担いでいるなんてぇ!!! 」
小蓮「いぃーだぁ! お姉ちゃんにシャオの辛さなんて、分かんないもん!」
華琳「……あとね。 連絡手段は、朱里と雛里が握っている。 八○一本の内容を暗号化して、各地で販売しているみたいなの……。 妙手なのか奇策なのか判断は悩むわね………」
冥琳「手段としての有効性は認めれる。 幾ら検問の厳しい晋兵も、八○一を声に出して朗読する訳にもいかんしな。 そんな恥ずかしい物なら、少し中身を見て、すぐに返したんだろう。 恐るべし臥竜鳳雛の策だ……」
祭「しかし、それが通じると言う事はじゃな? 需要もかなりあると云う事だが、どれくらい欲しがる輩がおる? まさか、万単位………とか?」
華琳「………軽く万を越えるそうよ。 愛読者も他の地域の重臣辺りに居るそうだから。 貴女達にも居るんじゃないかしらね?」
蓮華「………そういえば……穏が華佗と颯馬を見て『受け』か『攻め』と呟いていたけど……まさかぁ! てっきり兵法の勉強をしていたかとばかり!」
祭「まぁ……穏の事じゃ! 書物を読めば、すぐに発情するしの。 分かりにくいから仕方はないが………」
華琳「今は、ゆっくり休んで頂戴。 颯馬達の軍勢は士気旺盛、数十万に囲まれているとは思えない程、有利な展開を広げているわ! 明朝に出発して、背後より晋軍を叩く! そうすれば……私達の勝利!! 安心なさい!!」
そう……華琳はニッコリと笑い、雪蓮達を侍女に任せ、それぞれの部屋へ案内させたのだった。
◆◇◆
【 その裏にある想い の件 】
〖 兗州 陳留 華琳居城 にて 〗
──────トスッ!
全員が立ち去った後、玉座に腰を下ろす華琳。
華琳「…………一刀。 私は……どうすればいいの?」
華琳は、先程の自信に満ちた態度と違い、急にしおらしくなり……両手で顔を覆う。 覆った手の指の間から……涙が流れ落ちる………。
雪蓮「───やっぱり、何かあったのね?」
華琳「────ハッ!」バッ!
不意に声が聞こえ……泣き顔を上げると、目の前に雪蓮が立っていた。
華琳「な……なんで……わかったの? 演技に関しては完璧だった筈!? 十常待、他の敵対勢力を欺いてきた私が!?」
雪蓮「理由は簡単♬ 本拠地を奪還して喜んでる割には、目の隈が濃いわよ……華琳?」
華琳「─────!」
雪蓮「綺麗に化粧をしたつもりのようだけど……お互い慣れない事するモノじゃないわね! 顔全体の血色が悪くて……浮かんできたみたいよ? それにあの態度! いつの間に、覇王から太鼓持ちになり果てたの!?」
華琳「ふぅ………。 貴女達が急に登城すると聞いて、侍女に頼む事も出来なかったから。 それに、雪蓮から見たら……私は、そんなに気が滅入っているように見えるのね。 これじゃ、覇王なんて……もう名乗りも出来ない……」
雪蓮「華琳……。 どうしたの? そんな覇気の無い姿……華琳らしく無いわよ! 颯馬達を中心とした、最後の戦いが始まるのに……いったい何があったの!? こんな事じゃ晋軍に……『松永』に勝てる事など出来はしないわ!」
華琳「………………」
雪蓮「華琳……。 一人で抱えてないで……相談してみない? 私は、貴女の配下でもなんでもない。 ただ、同じように国を背負った立場の身だから、解決できる『答え』を持っている……かもしれないわよ?」
華琳「……私の悩みを? もしかしたら……雪蓮が気に掛ける颯馬の身が危ないかもしれないのよ? それでもいいの!?」
雪蓮「なら、尚更じゃない! 颯馬が関わるなら、私も混ぜなさい! 私の知らないところで、颯馬の生死が決まるなんて……絶対嫌よ!!」
華琳「……………わかったわ」
★☆☆
華琳は……一刀が晋軍に人質で攫われてしまった事。 于吉の言葉から推測する『最悪な策』を雪蓮に話す!
華琳「────私達の軍勢は、将兵共に一刀を慕っている者が多い。 一部、事情を知る天の御遣い達が、颯馬寄りだけど……私達には協力的よ。 だけど……颯馬が殺されれば、どう動くなんて予想は出来ない!」
雪蓮「…………それは私達も同じ! 孫呉は、心情的に颯馬寄りよ! 冥琳の命を救い、孫呉の独立を助け、尚且つ晋軍の攻撃を命懸けで跳ね返してくれた! 私と蓮華、冥琳は……特に……その気持ちが大きいわ!!」
雪蓮は、そういうと言葉を一旦切り、再度ゆっくりと紡ぎ出す。
雪蓮「………もし、愛紗が颯馬を殺し、洛陽側が報復に動けば、私達は洛陽側に味方をして───華琳達を攻めるかもしれない!!」
華琳「────!」ビクッ!
雪蓮「でもねぇ……一刀は言っていなかった? 虎牢関の時に?」
『 華琳!! まだ、俺達は死んではいない!! 戦えるんだ!! ………なら、諦める訳には、いかないだろう!? 』
華琳「………………あっ!」
一刀が虎牢関で、偽火牛の攻撃により、半ば放心した華琳を励ました言葉。
諦めて死んでしまえば、そこで何も出来ず終わるだろう。
だけど、死んでいなければ、劣勢を一気に覆す事が出来るかもしれない!
一刀や颯馬を救い、久秀達を倒せる策が浮かぶかもしれない!!
雪蓮「分かったようね。 華琳は結論を早く出し過ぎるわ! まだ、二人が死ぬなんて決まっていないでしょう? だいたい……そんな事! この私達が許すと思ってるのかしら!? その道士は!!!」
華琳「雪蓮……ありがとう。 ………気付かせてくれて」
雪蓮「いいのよ! 私達だって華琳達と戦いたくないんだもん。 それに、外で心配している曹操陣営の皆にも、よく言っておきなさい。 華琳が思っている以上に、顔や態度に出ているのよ。 一刀を心配する乙女心がね!」
華琳「──────えっ? えっ! ////////////」
雪蓮「何か出来る事があれば……手伝うわよ! 遠慮なく言いなさい!!」
雪蓮は、片目を瞑り笑顔でそう言うと、謁見の間を退出して行った。
◆◇◆
【 『ふぢの病』の件 】
〖 洛陽 宮殿内 詠私室 にて 〗
わ、私は……侍女より報告を受けて、詠ちゃんの部屋と向かっていた!
────バンッ! ハァ~! ハァ~!
机で、竹簡を読んでいた詠ちゃんを見付けて、急いで呼び掛けた!
月「え、詠ちゃん───!! 天城様達が戦闘を開始したって!?」
詠「えぇ! 晋軍が此方の罠に食いついたわ! 天城達は総勢八万! 晋軍は約三十万で戦闘開始! 晋軍は、弱小と侮り戦を仕掛けたようだけど……お生憎様! 相手は……あの『天城』なのにね……ふふふっ!」
あの詠ちゃんが……楽しそうに笑顔で私に応える。
やっぱり、自分が認めた軍師が活躍するのは嬉しいんだよね? 私も嬉しくなったけど……それは一時置いて、詠ちゃんに相談したの!
月「詠ちゃん! そろそろ天城様が望んだ頃合いじゃないかな?」
詠「月もそう思う? それなら……間違い無いわね! 私達も準備して出陣するから、皇帝陛下に奏上して出陣を促して頂戴! 稟と風も付いてきて貰いたえば、非常に助かるのだけど……」
ーーー
風「ごめんなさいー! 貴女とは、お友達からでぇお願いしますー!」
詠「ア、アンタねぇ! これじゃ、ボクが交際を申し込んだように見えるでしょう!? ちょっ! 月~ぇ! お願いだから、ボクから下がらないで!」
ーーー
詠ちゃんは風の部屋に入り、お二人が洛陽軍の軍師と任命された事を話す。
そうしたら、風さんから丁寧にお辞儀をされて、断られた。 べ、別に……詠ちゃんとは、良き友人としていたいだけで、一線を越える気は無いからね?
そんな、私の思惑を行動で悟った詠ちゃんは、素晴らしい軍師だと思います!
詠「───だから、違うのぉ!! そんな悲しそうな目で視ないでぇぇ!!」
★☆☆
稟「申し訳ないですね! 私達は、洛陽で待機しなければならないのです!」
月「……どうしても行けないのですか? 稟さんや風さんが居てくれれば、もっと早く戦が終わると思うのですが……」
稟さん、風さんは……固持して受けてくれなかった。
あっ、詠ちゃん?
詠ちゃんは……ちょっと……私がね? からかい過ぎてぇ部屋の隅っこでいじけちゃたの。 御免ね……詠ちゃん。 クスッ!
あ、あぁ──! すいませんっ! この話の続きですね?
ーーー
そんな事を考えていましたら、風さんが…!
風「…実はぁ……稟ちゃん……『ふぢの病』なんです~!!」
『えええぇぇぇ──────!!』
私、詠ちゃん、稟さんが……揃って声を挙げたんですっ!!
だっ、だって『不治の病』ですよ! 稟さん……こんなに元気そうなのにぃぃ! 私は驚いて、詠ちゃんに聞いたんです!
月「そ、そうだったの!? 詠ちゃん!?」クルッ!
詠「そうなの!? 稟!?」クルッ!
稟「そうだったんですか!? 風!『バコーン!!』 キュ~!!」バタッ!
風「……と、本人もー! このように錯乱しておりますぅー!!」
稟さんが何か……言ってましたけど、『宝譿』と言う可愛い人形で、風さんが張り倒していました。
ーーー
まさか、そんな理由だったなんて!
……急に病名を宣告されれば、誰だって錯乱していまいますよ! 『不治の病』なら尚更です! なんて……可哀想な稟さん。
私達は、風さんに猛抗議しました!
そんな大事な事を、なんで直前になって教えるんですか!
せめて、私達だけでも教えてくれれば、対処のしようがあったかも知れないのに!! しかも、目の前の本人が居るのに、名指しで喋るなんて!
風「風も辛いのですよー! 華陀さんにも診て貰いましたが、手の施しようがないのですー! そんな重大な事、本人にも話せられないのに、月様に話せられないじゃないですか~!? だから、この場で報告したんです~!!」
詠「仕方がないわね…。 稟には無理しないよう伝えておいて。 勝利したら月と二人で見舞いに必ず───行くからっ!」
月「はぁいー! ありがとうございますー!! 稟ちゃんにも、伝えておきますねー!?」
ーーー
いつも……冷静に物事の先読みをする稟さんが……不治の病。
だけど……地面に寝そべて、気持ち良さそうに寝ている姿を見ていると、とても病気とは思えない……。 きっと……無理して、そう見えないように努力したから、気絶してもボロが出ないようになっちゃたんだろうな………。
私は、尊敬の眼差しを稟さんに送りながら……( 亡くなった華水母様も、よくおば様に『 精神安定剤 』と宣って『 お盆 』を振り上げてたなぁ ) ……と懐かしく思い出していた………。
◆◇◆
【 最終戦に向けて! の件 】
〖 兗州 陳留 華琳居城 にて 〗
華琳率いる曹操陣営、雪蓮率いる孫呉陣営、伊達、大友、島津勢が率いる洛陽軍が合流し、約二十万の大軍が陳留に集結!
明朝での出陣もかなり手間取り、結局……明後日の出陣と変更になった。
大陸の命運を………決する為に…………!
ーーー
〖 城内の一室 にて 〗
政宗「おぉ! 久しいな! 九国の雄達に会えるとは……先行きがいい!」
道雪「政宗殿や伊達勢の皆様も、息災の御様子で何よりかと!」
ーーー
義久「成美ちゃんは……相変わらず可愛いはねぇ~!」
成美「可愛いと言われるのは好きじゃない! 義弘みたいに勇猛=『鬼』と言われた方が嬉しいよ!!」
義弘「えぇー!? 鬼より可愛いの方が良いじゃない! 私なら可愛いの方が絶対いい! っていうか、可愛いと呼んで欲しいのよぉ!!」
ーーー
景綱「私は、こんなひねくれた性格だ。 政宗に『 もう少し素直になれ! 』と言われても……今更、可愛げの無い性格を直す事なぞ、出来ない話なのだがな。 これも、軍師の性というものか………」
歳久「軍師と云う者は、皆……自ずとひねくれるようになるんですよ。 相手の思惑の裏をかくのが我らの役目。 自分の心を欺いてまで考えて、始めて成り立つ役目ですから。 ですが、心労が激しい損な役目でもあります……」
紹運「されど……居てくれなければ、真に困る者達だ。 私みたいな猪突猛進の猪には欠かせない! 標識みたいな者達だからな!」
元綱「心が荒れそうな時は、仲間や家族に言えば良いんじゃないかな。 溜めとくばかりだと……気が滅入って、早死にしてしまうかも知れないよ? そうなったら、家族や仲間達が悲しむ結果を齎すんだからね?」
家久「そうだよ! せっかく日ノ本を統一して皆が仲良く出来たのに、最後の最後で死んだら……思いっきり悔いが残るよ!! あたしだったら、大泣きしちゃうよ!!!」
宗茂「でも、何で急に……そんな話になったのですか?」
政宗「景綱がな……颯馬の事『ばっ! 馬鹿っ! 黙っていろ!!』──黙っていても伝わらないと言ったのは、景綱じゃないか!!」
道雪「はぁ~! なんとなく察しが付いてしまっ───誰ですっ!」
皆で、雑談をして親睦を図っていたところ、立花道雪の鋭い誰何(すいか)が飛ぶ! 周りの者達は、手持ちの得物で対抗しようと構える。
伯約「私ですよ……御遣いの方々! 姜伯約です! 天城様の指示をお伝えに参上致しました!」
『──────────!』
★☆☆
〖 桂花 私室 にて 〗
桂花「また……アンタと話をする事になるとはね? 冥琳!」
冥琳「ふふふっ……虎牢関の時を思い出すよ。 あの時は、双方味方の振りをした敵だったからな。 互いの腹を読み合い、『どう動くか?』『どう攻めて相手を出し抜くか?』と策謀を巡らせたものだ!」
朱里「あの時は疑心暗鬼のままで、天城様を攻める事になりましたが、今は違います! 明確なる敵! 明確なる相手の思惑! 明確たる頼もしき味方!! こんな総毛立つ程の戦に加えるなんて──感動ですぅ!!」
雛里「でもでもぉ! 一刀さんが人質に捕らわれているんだよ? 生半可な策謀じゃ……松永久秀と于吉なる道士に見破らちゃうよ!! それに、この事……天城様だって情報を持っていないはずだよ!?」
桂花「あの道士は……危険よ! 斗詩を一時とは言え、一刀を殺すように命じた者よ? あの真面目な斗詩さえ、簡単に従わせる妖術! それに、数万の白い兵士を自在に出現させる術も使われたら、私達は何も対応できない!!」
冥琳「だが……一刀は言っていたそうじゃないか? 『死んでいなければ、戦える!』と! 絶望に身を焦がすのは、我々の力を尽くした後にした方が、後悔がないのではないか?」
『─────────!』
朱里「そうだね! 相手は確かに私達より知謀は上かも知れない! だけど、今の戦の相手は……あの天城様だよ! 手を抜いて攻める事なんて無い!」
雛里「うん! だから……必ず隙が出来る! その隙に皆の力を合わせれば、必ず!! 桂花しゃん! 力を貸して下さい! 一刀さんを! ご主人様を助ける為に────!!」
桂花「ふ、ふん! 私が華琳様に言上するつもりの言葉を、二人で全部喋ちゃてどうするのよ! 隙を突くのは、アンタ達に任せるわ! 私は道士達の術を止めるのに全力で考えるわ!!」
『はい! 頑張りましょう!! 桂花しゃん!!!』
ーーー
冥琳「北郷一刀……! お前の残した言葉で、曹操軍が立ち直って行くのが、手に取るように分かる。 雪蓮とも華琳とも違う王の器か……。 天城達に出会うのが後だったら、お前に興味を抱いていたかも……しれないな!」
★★☆
〖 城内 練兵場 にて 〗
祭「なんじゃ! そのへっぴり腰はぁ!!」ブン!
桃香「きゃああああ!」ドン!
蓮華「祭! 少し厳し過ぎない!? これじゃ……桃香が戦の前に潰れてしまうわ!!」
桃香「あ、ありがとうございます……蓮華さん! だけど、これは私のけじめ!! 私が弱かったばかりに……一刀さん! うぅん! ご主人様や愛紗ちゃん、鈴々ちゃん、星ちゃんが前に出て戦ってくれた!!」
蓮華「桃香…………」
桃香「もう、守られたままは嫌ぁ! 嫌なの!! 私は……気付いていなかった! 自分の手で勝利を掴み、生死与奪の権利を得て……そこから話し合いが始まる! それが、この世の理だと……やっと……気付いたの………!!」
祭「休んでばかりでは──訓練にならん! もう一度、掛かってこんかぁ! この腰抜けがぁぁ!!!」
桃香「こ、腰抜けなんかじゃ──無いぃぃぃ!!」 ブゥーン! ガキィーン!
ーーー
小蓮「二人共、磨きが掛かっているわね! シャオも頑張らなくちゃ!」
流琉「私だって………兄様を助けるんです!」
ーーー
〖 城内 練兵場 にて 〗
鈴々「当たり前なのだぁ! 悪い奴を全員ぶっ飛ばして、お兄ちゃんを助けるのだ!!」
季衣「なんだとぉぉ! 兄ちゃんを助けて感謝されるのは……ボクなんだ! ちびっ子は、他の悪者でも倒していろぉ!!」
鈴々「にゃにぉぉ! ツルペタ春巻きこそ、別の悪い奴を倒せばいいんだ!! 鈴々が、お兄ちゃん助けて、頭撫でて貰うんだ!!!」
流琉「あぁ───! 喧嘩は駄目! 喧嘩して怪我でもしたら、兄様が悲しむよ! 『二人の怪我は、俺のせいなんだぁ!!』っと云って……」
『うぅ~~! あり得る(のだぁ)~!!』
小蓮「えぇぇ! もう終わっちゃうの? シャオ……つまんない!!!」
ーーー
〖 城内 練兵場 にて 〗
星「…………………」シュッ! シュッ!
雪蓮「あらっ? 珍しいわね……星がお酒を呑まずに、鍛錬に励むなんて?」
星「私は……なっ! 主を目の前に……してぇ! むざむざ……ぁっ! 敵に奪われた……ぁっ! 不忠者だ─────ぁぁぁ!!」シュシュシュシュ!!
雪蓮「………………」
星「ふぅ────! ……だから、主を救う為『酒断ち』を行い、更なる力を付けなければならないのだ! 今の私では『筒井順慶』に勝てぬ! 二度の勝利は、全て薄氷の勝利! どちらが勝っていたかは……運次第だった!!」
雪蓮「何時もの星とは思えない……鬼気迫るものね……?」
星「愛しい男と敬愛する主を取られたのだ……冷静になる方がおかしい! さて、私は……もう少し鍛錬を続けるからな!」スッ! シュシュシュシュ!
ーーー
〖 城内 練兵場 にて 〗
斗詩「えぇぇい────!」
猪々子「どおぉぉりゃ!!!」
二人が得意の得物で、麗羽に襲いかかる!
だが、それは麗羽に当たる事もなく、簡単に排除される!
麗羽「─────ふっ!」ガッ! ドンッ!
斗詩「えぇっ!」トスッ
猪々子「うわぁぁっ!」ドンッ!
二人の攻撃は、優雅に流され地面に当たり、その隙を見逃さない麗羽が、二人を掴み綺麗に投げ飛ばされた!
麗羽「猪々子さん、斗詩さん! 本気でやってくれません? これでは、練習どころか遊戯に近いですわよ?」
斗詩「そ、そんなぁ~! 全力で立ち向かって、これで十回戦目ですよ!?」
猪々子「麗羽様が……それだけ強ければ、敵だって楽勝ですよ~!」
麗羽「馬鹿を仰い! かの敵……筒井は私や秋蘭、華琳さんを物数にもせず、我が君を害しようとした、とんでもない化け物ですわ! 鍛錬を重ねて、勝てると思っていましたのに……星と戦い、あれだけの苦戦を負わせるなんて!」
秋蘭「それなら、私達と訓練しないか?」
ザッザッザッザッ!
麗羽「あらっ! 秋蘭、春蘭!」
春蘭「私の武では、悔しいが──あいつらに遠く及ばない! 華琳様を嘆き哀しませ、左校や大洪達の仇を取れないのは、武人の信義に背く行為だ! だから、付き合え麗羽!! 今度こそ、あいつらに目に物を見せてやる!」
麗羽「まぁ~! 熱烈な誘いだ事。 本来なら我が君以外に寄り添うのは嫌ですけど……いいですわ! お付き合いしましょう! ほらっ! 斗詩さんに猪々子さん。 そして、後ろで物欲しそうな気配を漂わせる……雪蓮もね!」
練兵場の傍に生えている木の後ろから、雪蓮が詫びれる事なく現れた!
雪蓮「へぇ~気配を消していたのに、気付くなんて流石ねぇ! 虎牢関の時より、かなり変わったわね……袁本初様!?」
麗羽「その名は、今は不要ですわ! 我が君に仕える『麗羽』が……今のわたくしですもの! 我が君の光あってこそ、わたくしも存在感が示されるのですわ!!」
ーーーーー
僅か一日に伸びた出陣だが……将兵達には更なる成長をも与えてくれた。
さて……この大陸全土を巻き込んだ戦の決着は……どうなるのか?
全貌を知る者は………誰も居ない。
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
やっと次回に最終戦となります。
于吉の策、颯馬の謀、敵味方どうでるか?
色々と考えてみたいと思いますので、よろしくお願いします!
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義輝記の続編です。 宜しければ読んで下さい。 10/4前半部分の蓮華の台詞変更と新たに小蓮の台詞を付け加えました。ご迷惑お掛けします。