No.717488

とある傭兵と戦闘機   IS編第12話   ”邂逅”

特になし・・・

2014-09-14 23:23:01 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:3285   閲覧ユーザー数:3091

 

 

 

 

 ピピピッピピピッ

 

 「もしもし」

 

 「”フレイシア、なんか物騒な連中があんたの娘を探してるぞ。SASじゃない・・・恐らくーーー」

 

 「CTAKs。クルクの私兵部隊だわ」

 

 「そうかい・・・よく判った。アンタが居ると厄介事しか来院して来ない」

 

 「そのようですね・・・わたくしの騎士達の配置は?」

 

 「各員、指示通りって所だな・・・患者増やすのはいいが死体は増やすなよ?」

 

 「民間人の状況は?」

 

 「大丈夫だ。既に病室に待機しておくように指示はしてあるし

 

  誘導した医師達も患者の護衛位置に着いている。問題ない」

 

その電話の向こうでジャキっと重い金属の音が聞こえた

 

そうね・・・

 

 「・・・いいかしら?」

 

リファリーに許可を求める

 

相手は、リファリーの娘の私兵・・・

 

 「私は関係ないわ。それに・・・」

 

と、優しい寝顔でベットに横たわる愛娘の方を見て

 

 「従姉妹であり、自身が仕えるべき主君であるこの子を手にかけるという事がどういう事かを

 

  知らないあの子の過ちという事よ」

 

 ピリリリリッ

 

 「あら、噂をすればかしらね・・・」

 

端末を取り出したリファリーは着信を確認して手放した

 

自由落下する端末が床に落ちた瞬間

 

 バキィッ!!

 

リファリーは携帯端末を踏み砕いた

 

 「さて、何十年ぶりかしらね・・・”実戦”は」

 

髪を後ろでくくって、足につけている拳銃をホルスターから引き抜いた

 

 「あまり無理はしないでくださいね?」

 

 「しかし、あなたの身を危険に晒す訳にはいかないわ」

 

 「いえ・・・私は、大切な家族を失いたくないだけよ

 

  その家族には、あなたも、クルクちゃんも入っている事を忘れないで」

 

 「・・・・わかったわ」

 

 

 

 

  ~ 一階ロビー ~

 

 

一階の受付案内ロビーの窓口前で

 

 「我々はクルク現王妃の御意向により、この病院で療養されている少女の身柄を預かりに来た」

 

スーツ姿にサングラスを着用した、どこぞのSPみたいな格好の男は

 

 「CTACsがこんな病院に何の用だ。さっさと帰りやがれ」

 

私服。ダルそうにしている民間人”風”の男と言い合いをしていた

 

 「黙れ。アンタがどうしてここに居るのかは判らないが

 

  これは現王妃の勅命でもある。道を開けろ」

 

 「悪いな。こっちも命を賭して仕えている人からの勅命でここに居るんだよ」

 

 「何?」

 

サングラスの向こう側で、鋭く殺意を持った目が睨みをきかせる

 

 「お前は”娘との大切な時間”を邪魔されたらどう思う?」

 

 「それは腹が立つな」

 

 「そういう事だ。この病院に居るのは”ただの親子”だ。お前達の出番じゃあねーよ」

 

そうして、若干の沈黙の後

 

 「・・・だが、命令である」

 

 「・・・そう言うと思ったぜ」

 

お互い同時に、ホルスターから拳銃を引き抜いて互いに向け合う

 

それとほぼ同時に、ロビーに居る人間全てが同じように拳銃を構えた

 

そしてーーー

 

 「「”我が姫君の名の下に”!!」」

 

銃撃戦が幕を上げた

 

 

 

 

 

 「フィレイア。私の言う事をよく聞きなさい」

 

と、お母さんが私にネックレスを渡してきた

 

 「これは・・・?」

 

 「貴女は今、追われる身になっているの。

 

  追っている人間は貴女を捕えようと考えているはずよ」

 

そう言って、お母さんは窓を開け放った

 

その向こう側に広がる町並みと・・・青く晴れ渡った空が

 

どこまでも広がっていた

 

 「私から貴女へと伝えられる事はたった一つ・・・」

 

 「?」

 

その言葉は・・・私にとっての枷を

 

私にとっての重しを、簡単に砕き尽くした

 

 「自由に、自分の居たい居場所に

 

  貴女の心の赴くままに、飛んでゆきなさい・・・さあ」

 

と、窓の所まで手をつながれて歩む

 

その枠の向こう側には、私が行くべき場所に続く道がある

 

それは、私が居るべき場所がここではないという事の証明でもあった

 

 「お母さん・・・」

 

そして、私は感覚的に察してしまった

 

 「どうしたの?」

 

少し心配したような顔で私を見るお母さんに

 

私は、言った

 

 「私が生まれ変わっても・・・一緒に暮らしてくれる?」

 

 「ーーーーーっ!!」

 

その瞬間、お母さんは私に泣きついてきた

 

 「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・

 

  私は何一つ・・・貴女にしてあげる事ができなかったのに・・・」

 

そして、発砲音が聞こえて我に返ったお母さんは涙を拭った

 

 「・・・さあ、行きなさい。そして・・・元気でね・・・」

 

 「うん・・・」

 

私にできる事・・・それは

 

 「ありがとう・・・お母さん」

 

いまできる・・・最大限の安心を・・・

 

そして・・・最大限の感謝の気持ちを

 

忘れてしまった、ただ純粋な気持ちで

 

ーーーーーーー笑顔を見せる

 

そしてお母さんに背を向け、窓枠の向こう側に足を踏み出す

 

 「行くよ。ストラティア」

 

 ”行きましょう・・・私達の居場所へと”

 

ストラティアを展開し、そのまま音速巡航モードで市街地の空を飛んだ

 

 

 

 

 

 「さようなら・・・またね。フィレイア」

 

窓の向こう側に行った娘を見送る

 

ふと、無意識にその後姿に手を伸ばしそうになった

 

それを抑え込み、私はベットに横になった

 

もう・・・私にできる事は何も無いわ

 

 「・・・フレイス?」

 

夢は叶わなかった・・・

 

 「フレイス!?駄目よ!!起きなさい!!」

 

だけど・・・

 

 「意識を保って!!お願い!!ドクター!!」

 

 ピーーーーーッ

 

電子音が途切れ無く鳴っている

 

その計器が示す心拍数は私のものだろう

 

でも・・・その瞬間まで意識はあるものね

 

 「そんな・・・フレイス!!まだ眠ってはだめよ!!起きて!!」

 

もう・・・いいの

 

 

 

  あの子とお話できた事が

 

  私にとっての・・・たった一つの幸せだったの

 

  

   望みは・・・もう、叶えられたから・・・・

 

 

 

 

 「・・・あれ?なんで・・・何で涙が出てくるんだろう?」

 

私の頭で、どういう事になったのかは判っていたけれど

 

心が・・・それを理解する事を拒絶する

 

 「お母さん・・・っく・・・ひっぐ・・・」

 

巡航速度が落ちる・・・

 

心が・・・失速する

 

私の家族は・・・もうこの世界には居なくなってしまった

 

さっきの会話が最後だと思うと・・・とてつもなく苦しい感覚に苛まれる

 

 

  本当は・・・帰りたかった

 

    いっぱい話したい事もあった

 

      あのままずっと一緒に居たかった

 

 

 ”警告 前方二時よりIS接近”

 

 「”所属不明IS機に告ぐ。今すぐ巡航を停止してこちらの指示に従いなさい

 

   さもなくば攻撃態勢に移行すーーーー”」

 

 ”目標を指定・・・接近する英国所属IS ベルベモット・ライド"

 

その帰る場所を私から奪ったのは何だろう?

 

 

 

 ”精神状況制御容量オーバーロード

 

  EIBS制御リミッター強制解除”

 

 

 

 

HMDの表示が一度オフライン表示され、けたたましい警告音が鳴り響く

 

 

 

 

 ”EIBS 制御不能”

 

 

 

 

それでいい

 

 

 

 

 打鉄零式

 

 

 

 

それデイイカラ・・・

 

 

 

 オーバーバースト

 

 

 

ヒトリニサセテ・・・

  

  

   暴走ーーーーー開始

 

 

 

 

 

 

    ~防空監視司令室~

 

 

 

 「ランサー1 交戦に入った模様・・・!?」

 

 「どうした?一瞬でカタが着いたとか言うなよ?

 

  それにしても運が悪いな所属不明機も。まさか相手が”ヴァルキリー”とは」

 

モニターに映し出されるのはランサー1から送られてきている映像だ

 

後姿は・・・日本の量産ISの打鉄だな

 

形式番号から登録されている機体の名称も打鉄

 

日本の所属機か?それにしても国籍表示が無いのはおかしい

 

 

 

 「何故攻撃をしないんだ?」

 

と、監視員が言いかけた瞬間

 

 「”うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!”」

 

無線から飛び込んできた少女のの悲鳴

 

それが何かを拒絶するような叫びだったのは確かだ

 

そして、その搭乗者の瞳がこちらのセンサーのレンズに写りこむ

 

 「なっ・・・何だ・・・あの瞳は・・・」

 

思わず疑問を抱く程に殺意を孕んだその蒼い瞳は

 

画面の向こう側に居るはずの俺達を完全に捕捉していた

 

 

 

 

 

 

 「こっ・・・これより所属不明機の捕縛、もしくは破壊の行動に移ります!!」

 

ベルベモット・ライドのサブマシンガンの安全装置が解除され、その銃口がその打鉄を捉える

 

そして引金を絞ろうとした瞬間に、異変は突然始まった

 

 パキパキパキ・・・・

 

サブマシンガンに突然、何らかの結晶体が侵食を始めたのだ

 

 「なっ!?パージ!!」

 

サブマシンガンを放棄したランサー1だが、そのランサー1の機体にも異常が始まる

 

 ”警告 シールドエネルギー不安定化”

 

その警告表示と同時に、機体のスラスター噴射が不安定になる

 

そしてHUDに表示される警告が赤色に変わる

 

 ”警告 シールドエネルギー制御不能

 

  搭乗者は直ちに使用を停止してください”

 

その文字が表示された瞬間

 

 パキィッ

 

何かに亀裂が入る音が聞こえた

 

それが何なのか、搭乗者であるヴァルキリーは直ぐに気が付いた

 

ーーーー私の機体からだ

 

 ”各部装甲エネルギーバイパスよりシールドエネルギー漏出”

 

その文字がHUDから表示されると同時に

 

 ビキビキビキビキッ

 

私の機体の装甲がひび割れ、その亀裂の隙間から透明なクリスタルの破片のようなものが現れる

 

 「何!?これは・・・!!」

 

その時だった

 

 ズキン・・・

 

搭乗者の心に、何かが突き刺さった

 

その何かは情報化するにはあまりにも不鮮明で曖昧なものだったが

 

その搭乗者は理解してしまった

 

それが何なのかを

 

そして、いつの間にか向かい合っている所属不明機の方を見る

 

 「貴女は・・・あなたは・・・」

 

所属不明機は蹲っていた

 

苦しみもがき、そして全身の装を私と同じようにクリスタルが侵食していた

 

そのクリスタルがヘルメットまで到達し、その表情をを隠すバイザーを砕く

 

 瞬間、私は硬直してしまった

 

 そこには・・・

 

 「・・・・・フィレイアおばさん?」

 

写真でしか見た事のない、母親の従姉妹と同じ容姿のヒトが居た

 

そしてその体を、クリスタルの破片は否応なしに飲み込んでいく

 

 「ーーーー・・・・」

 

こちらに腕を伸ばした

 

それは助けを求めているものなのか・・・私には判らなかった

 

ただーーー私はその手を握る事ができなかった

 

その事実がーーー

 

 ”警告 機体制御システムダウン”

 

私に、戦闘継続不可のアラートを鳴り響かせる

 

クリスタルに飲み込まれ、閉じ込められてしまった搭乗者

 

もしかしたら、私は”空席”に座る人を目の前にしているのかもしれない

 

なんだろうか・・・確信はないけど

 

そんな気がする・・・なんだろう

 

だからーーー

 

 「ランサー1!!どうした!?」

 

 「交戦できません。スラスター系統をなんらかの形でクラッキングされていて身動きが取れない」

 

 「援護はどうする!?」

 

 「要らない。だから、ただ見守っていて 

 

  それだけでいいから」

 

 「・・・何をする気だ?」

 

 「お話・・・できたらいいなぁ」

 

 「・・・それは、ヴァルキリーとしてか?」

 

 「いや、私個人として」

 

と、司令室の指揮官は黙り込んだ

 

少し心配しながら応答を待つ

 

 「・・・了解した。貴機の幸運を祈る。”ガルーダ”」

 

 「ありがとう。”ゴーストアイ”」

 

そうして、搭乗者であるランサー1”ガルーダ”は

 

自身の感覚をISと同調させる

 

・・・まるで彼女の・・・”ガルム”のように

 

 

 

 

 

 

 

 

 「シース・ストラティア、スラスターコントロールが切り替わりました・・・!?」

 

場所はIS学園、ここにはとある機体の監視の為”だけ”に設けられた部屋がある

 

その機体の名は、打鉄零式ーーー正式名称、シース・ストラティア

 

篠ノ乃 束という天才科学者が生み出した

 

他のISとは異なる”特殊な機体”の解析用のコントロールルームである

 

 「これは・・・」

 

機体状況を知らせるモニターには、スラスターシステム系が赤く表示されている

 

赤く表示されているという事は、なんらかの異常が発生しているという事でもある

 

だが、その部屋に居る織斑千冬は別のモニターに目を向けていた

 

 「・・・F-45・・・いや、”フィア”」

 

そこに写るのは、とある機体の衛星による追尾監視映像だった

 

悠然と、ただ空を進んでいく戦闘機

 

コックピットには誰も居ない・・・でも、その機体の中には意識が存在する

 

だから、飛んでいる

 

だから、向かっている

 

その場所へと、ただ自らの意思の赴くままに

 

その場所は・・・

 

 「母親・・・か」

 

千冬がふと、呟いた

 

 「?」

 

その小さな呟きが、やがて大きく彼女自身を左右する事を

 

首を傾げる麻耶が理解できる訳が無かった

 

 

 

 

 

 

 私は、湖畔に半分程足を浸した状態で目覚めた

 

でも、おおよそ自分が居る場所は現実世界では無いので省略するよ

 

 「これは・・・」

 

ここは、ISのコアに存在する”空白”の世界

 

ISと親しくなっていくにあたり、絶対に通る道である”対話”

 

その為のテーブルであり、その為の場所である

 

しかし・・・通常ならば静かな湖の畔であるはずのそこは

 

今は・・・青色の水晶によって殆ど埋め尽くされていたからである

 

 「これは・・・」

 

その畔に足を踏み出し、湖畔の芝に足を乗せる

 

するとふと、顔を上げると

 

 「・・・・・・・」

 

居た

 

静かに横たわって、静かに寝息を立てている

 

 「フィレイア・・・おばさん・・・?」

 

私の、たった一人の親戚が居た

 

 「・・・あなたは誰?」

 

 「・・・っ!?」

 

その一に、私は揺らいだ

 

何故か、その一言には底知れない重みが圧し掛かっていた

 

 「っ・・・貴女の・・・従姉妹のクルクの娘です」

 

 「・・・・・そう」

 

一呼吸置いて、その人は続けた

 

 「貴女、パイロットだよね」

 

ーーーーーっ

 

 「何故、わかるんですか?」

 

確かにーーー私はパイロットだ

 

それも、戦闘機のパイロットだ

 

だからこそ、私はこの事実を表沙汰にしている

 

未来で、私はこの国の人たちを引っ張らなくてはならないから

 

何よりも、国を背負わなくてはならなくなるのだから

 

 

 

 

 

 

これは、実母であるクルクの提案だった

 

自身の一族が、リーファフロイスの跡を引き継ぐ為に

 

その一族が持つカリスマ性を手にする為に

 

クルクは、絶対にありえないであろう”戦闘機のパイロットとして

 

英雄を育てる計画を立てていた

 

空の頂点に君臨するという事は

 

即ち、世界の頂点に君臨するという事だった

 

その立役者が・・・・ガルーダ1  カリア・ダグロイヤ・レディバイス

 

クルク・ダグロイヤ・レディバイスの娘にしてエメリアの”天使”

 

彼女はーーーーエメリア・エストバキア戦争において

 

多大なる戦果を挙げた、エースパイロット・・・英雄だった

 

 

 

 

 「何故わかるかって?

 

  それはねーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

       ”同じだから”     」

 

 

 

 

私は、踏み込んでしまった

 

入ってはいけない領域に、無知なままに

 

 

 

 

 かくして、邂逅してしまった二人のパイロット

 

 

 円卓の鬼神 ガルム1 サイファー

 

   エメリアの大怪鳥  ガルーダ1 タリズマン

 

 

 

 

 

 

 「一つだけ言わせて」

 

 「?」

 

 「おばさんはやめて。まだ二十歳いってないのにそう呼ばれると悲しいから」

 

弱冠16歳のフィリアは少し複雑な様子で寝返りをうった

 

そんな拗ねた様子のフィリアを見て

 

 「はっ!?す、すみません!!(なんか・・・かわいいおばさんだなぁ」

 

少しほっとするような、あるいは安心するようにカリアは思った

 

 

   なんだが・・・勝てなさそうだなぁ・・・

 

 

本能的になのか、それとも感覚的なのか

 

カリアはそう思った

 

 

 

 

そんな二人の邂逅は・・・なんかゆるゆるだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハイッ  作者デス

 

 エエカゲン長イナコノ話

 

 ソシテオモワズ思イ付キ投入・・・誰カハイイマセン

 

 ナンデカタカナトカイワナイヨウニ(意味なし)

 

 意見感想募集中

 

 ヨロシクオ願イシマス 

 

 

  

 

 

 


 
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