No.705592 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2014-08-02 08:06:52 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2453 閲覧ユーザー数:2275 |
~遊撃士協会・レグラム支部~
「え……あの時、バリアハートにいらっしゃったんですか?」
「ああ、サラのヤツからお前さんたちの話を聞いてな。何かあった時にフォローするよう頼まれてたんだよ。あくまで『さり気なく』って注文だったんだが、フォローする前にエステル達がお前達に思いっきり関わっていたから、あいつらが手を貸すなら必要ないと思って見守っていたんだ。………まあ、今考えるとエステル達に言い含めておくべきだったと後悔しているけどな……ハア……案の定領邦軍相手に大暴れしたどころか、メンフィル軍と領邦軍がぶつかり合う寸前まで持ち込みやがって……」
話を聞いて驚いているリィンに説明したトヴァルは疲れた表情で溜息を吐き
「あの時は凄かったよね~!”ブレイサーロード”には翼が生えるし、”黄金の百合”とツーヤは竜になって、”アハツェン”を薙ぎ払ったし!あれを見た時はホントに驚いたよ~!あ、後リィンの使い魔のえ~と……ベルフェゴールだっけ?隕石を呼び寄せたのを見て、ビックリしたよ!」
「ハ、ハハ……」
「へえ、エステル達、相変わらず大暴れしているようだね。エヴリーヌも参加したかったよ♪」
「というか先程から気になっていたが、お前、あの時の俺達を見ていたんだな?」
はしゃぎながら言ったミリアムの話を聞いたリィンは冷や汗をかいて苦笑し、エヴリーヌは興味ありげな表情をし、ユーシスはジト目でミリアムを見つめた。
「え、えっと……私達をフォローしようとして頂き、ありがとうございました。」
そしてエマは苦笑しながらトヴァルにお礼を言い
「俺達の為に動いて頂き、ありがとうございました。」
「話を聞く限り結局何もしていないようだが、まあ一応礼は言っておく。」
リィンとユーシスも続くようにお礼を言った。
「はは、どういたしまして。もっともその時の借りはサラに返してもらってるから気にしないでくれ。」
「ふむ、そのような縁があの時のA班にあったとは。――――しかしトヴァル殿。ギルドはここ2年ほどで随分状況が変わったようだな?」
「ああ、帝国政府の圧力以来、各地の支部が軒並み休業してね。サラみたいに再就職したのもいれば他国の支部に移籍したのもいる。一部の者達は復活した帝都支部とケルディック支部にも集まっている。ま、いずれ活動を再開できたらみんな戻ってくる話になっててな。それまでの間、目立たない拠点とメンフィルとエステル達のお蔭で復活した拠点で細々と食いつないでいるわけだ。」
「そ、それは大変そうですね……」
「しかし規模を縮小したとなると仕事量も膨大になりそうだが?」
「エヴリーヌ、めんどくさい事は嫌なんだけど。」
「エ、エヴリーヌさん……それだと特別実習の意味がないじゃないですか……」
トヴァルの話を聞いたエマは驚き、ガイウスは尋ね、ジト目で呟いたエヴリーヌの意見を聞いたセレーネは疲れた表情で溜息を吐いた。
「うーん、代わりに鉄道憲兵隊が色々とカバーしてるからなぁ。そこのお嬢ちゃんの知り合いも随分と頑張ってるみたいだし。」
「クレアのこと?すっごく頼りになるよねー。いつも忙しそうにしてるから恋人はいないみたいだけどー。」
「まあ……あんなに綺麗な方なのに、恋人はいらっしゃらないのですか。」
トヴァルに視線を向けられたミリアムは嬉しそうな表情でクレア大尉のプライベートはサラッと呟き、美女のクレア大尉に恋人がいない事を知ったセレーネは目を丸くした。
「あのな、ミリアム……」
「もう、プライベートな情報を勝手に話したら駄目ですよ。」
一方ミリアムの発言にリィンは苦笑し、エマは呆れた表情で指摘した。
「ハハ……まあ、そんなわけで細々とこの支部で活動を続けているんだ。子爵閣下のお墨付きもあるから大手を振って看板を上げられるしな。」
「なるほど……しかし、子爵閣下は随分、ギルドに協力的みたいですね?」
「どうも、父上の気風に通じる所があるらしくてな。独立独歩、人を助ける理念、そして誇り高さ……叶うならギルドに所属して働きたいと前々から仰ってたくらいだ。」
トヴァルの説明を聞いて疑問を感じたリィンにラウラは説明した。
「そ、それは……」
「領主の方が遊撃士を務めるのは少し無理があるような……」
「ああ、セレーネの言う通り、領地を持つ身では無理がありすぎる。」
ラウラの話を聞いたエマとセレーネは言い辛そうな表情をし、セレーネの意見にユーシスは頷き
「んー、”光の剣匠”が遊撃士協会入りかぁ……格にしても実力にしてもカシウス・ブライト並みだろうし、いきなりS級に迎えられそうだねー。」
ミリアムは考え込みながら呟き、ミリアムの言葉を聞いたトヴァルは顔色を変えてミリアムに視線を向けた。
「カシウス准将……」
「前の特別実習で出会ったかの”剣聖”だな。」
ミリアムの口から出た聞き覚えのある人物の名前を聞いたリィンとラウラは目を丸くし
「確かメンフィルに来た時にそいつと戦ってボロボロにされたんだっけ?エヴリーヌはカシウスと直接戦った事はないからよくわかんないけど、やっぱりエステルの父親だけあって相当強かったんでしょ?プリネとツーヤ、後ついでにレーヴェがいながら負けたんだから。」
「え、ええ。そ、それはもう圧倒的に……」
「まさに天と地の差だったな。」
「あの時にも思ったが俺達と同じ”人間”なのかどうか疑わしいぞ。」
「アハハ……」
興味ありげな表情をしたエヴリーヌの質問にエマは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、ガイウスは静かに答え、ジト目で言ったユーシスの意見を聞いたセレーネは苦笑した。
「はあ、お嬢ちゃん……ホント情報局の人間なんだな。……まあいいや、そんな縁で子爵閣下に頼まれてお前さんたちの実習課題を纏める事になったんだ。さあ、受け取ってくれ。」
一方トヴァルは溜息を吐いた後リィン達に実習課題の内容が書かれてある資料が入った封筒を渡し、リィン達はその場で封筒を開けて課題内容を確認した。
「へー、特別実習ってこういう感じでやるんだねー。」
「ああ、基本的にはね。」
「……ていうか、やっている事が遊撃士と同じじゃん。」
「エ、エヴリーヌさん……」
「お前もミリアム同様、少し歯に衣を着せることを覚えろ。」
課題内容を興味ありげな表情を読んだ後リィンに確認したミリアムとは逆に呆れた表情で言ったエヴリーヌの意見を聞いたエマは冷や汗をかき、ユーシスは呆れた表情で指摘した。
「すると、明日も同じようにこちらのギルドで課題を?」
「ああ、それ以外にも幾つか仕事を頼むつもりだ。何せ人手が足りなくて色々溜まりまくってるからな。エステルに頼んで、セリカ達にも手伝ってもらっているとはいえ、遊撃士でないあいつらをあんまりこき使う訳にはいかないし、クロスベルの支部の受付から早くクロスベルに戻せってうるさいしな。セリカより手伝ってもらってラクさせてもらうから頼んだぜ?」
「はは、わかりました。」
「よし、それでは早速、実習活動を始めるとしよう。」
トヴァルの期待にリィンは苦笑しながら受け取り、ユーシスは全員に促した。
「ふむ、練武場の依頼はどうやら爺からのようだ。」
「手配魔獣……街道にも出る必要があるな。」
「住民の方々の依頼もできるだけこなしたいですね。」
「さっさと終わらせて屋敷に戻って休もう?」
「エ、エヴリーヌさん……課題が終わってもレポートが残っていますよ……」
ラウラ達がそれぞれ話し合っている中、エヴリーヌが呟いた言葉を聞いたセレーネは冷や汗をかいて指摘し
「それじゃあ、レッツ・ゴー!」
ミリアムは無邪気な笑顔を浮かべて片手をあげた。
その後リィン達は実習課題の消化を開始した。
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第170話