No.705540

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第169話

2014-08-02 00:26:10 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2049   閲覧ユーザー数:1905

 

 

 

 

アルゼイド家の館に向かう階段を昇っていると、館に向かう途中の建物から剣戟と掛け声が聞こえて来た。

 

~レグラム~

 

「剣戟と掛け声……」

「なるほど、ここが……」

「”アルゼイド流”の練武場というわけか。」

「うむ、私にとっても馴染みすぎる場所だな。父上とクラウスに何度叩きのめされたことか。」

「まあ……」

「へえ。年寄りなのに強いんだ。」

ラウラの話を聞いたセレーネとエヴリーヌは目を丸くした。

 

「ハハ、恐れ入ります。」

そして苦笑しながら答えたクラウスの言葉を聞いたリィン達は冷や汗をかいた。

(薄々、感じていたけど……)

(この老執事、凄まじい手練れのようだな。)

苦笑するリィンに続くようにユーシスは静かに呟いてクラウスを見つめた。

 

「―――そしてこちらがアルゼイド子爵邸となります。」

「へー、ここがラウラのおうちなんだ。」

「さすが立派な佇まいだな。」

「それと、ずいぶん高い場所に建てられているんですね。」

丘の上にあるアルゼイド家の館を見たミリアムやリィン、エマは興味ありげな表情をした。

 

「ふふ、いざという時に砦として機能するためにな。―――ようこそ、アルゼイド子爵家へ。父に代わり、娘の私が当家を案内させてもらおう。」

その後リィン達はクラウスとラウラの案内によってアルゼイド子爵邸に自分達が泊まる客室に荷物を置いた後バルコニーに出た。

 

~アルゼイド子爵邸~

 

「うっわああああ~っ!」」

「……凄いな……」

「……綺麗……」

「幻想的ですわ……」

「……見事な光景だな……」

バルコニーから見える光景にリィン達はそれぞれ見惚れていた。

 

「あれは……」

「お城だね。」

その時城に気付いたリィンは首を傾げ、エヴリーヌは呟き

「そうですか……あれが。」

(んふふ~、宝物が眠っていそうな匂いがするわね~♪)

エマは真剣な表情になり、ヴァレフォルは興味ありげな表情をしていた。

 

「うむ、”槍の聖女”が本拠地にしたという古城……”ローエングリン城”だ。」

「湖のほとりにそびえたつ”聖女の城”か……」

「でも、移動がめんどくさそうだね。船を使わないとダメっぽいし。」

「フフ、それも風情があっていいと思いますよ?」

ラウラの説明を聞いたユーシスは静かに呟き、エヴリーヌの意見を聞いたセレーネは苦笑し

「これは相当……絵心をくすぐられるな。」

「はは、写生するにはもってこいの場所だな。」

ガイウスの感想を聞いたリィンは苦笑した。

 

「さて、景色は後で存分に堪能してもらうとして。そろそろ”特別実習”の課題を受け取りに行くとしよう。」

「そ、そうだった。」

「えっと、クラウスさんが預かっていらっしゃるんですか?」

「それなのですが……今日の課題については”プロフェッショナル”の方にまとめて頂く事になりまして。」

「プロフェッショナル……?」

「なんだ、それは?」

クラウスの説明を聞いたガイウスとユーシスは仲間達と共に首を傾げて尋ねた。

 

「お館様の一存でして。―――街の広場の一角にある”遊撃士協会”にお行きください。そちらで今回の課題を用意してくださっている筈です。」

「遊撃士協会……!?」

「このレグラムに支部があるんですか?」

クラウスの説明を聞いたリィンとエマは驚き

「何で驚くの?リベールの各都市もそうだけどクロスベルにもあったから驚く事はないと思うけど。」

「え、えっと……色々と事情があるんですよ。」

首を傾げているエヴリーヌを見たセレーネは言い辛そうな表情で言った。

 

「ああ、レグラムには昔から小さな支部があるな。当家とも懇意にしていて色々、助けてもらっている。」

「んー、そうだったんだ。……まあいっか。別に何も言われてないし。」

「……?何の話だ?」

ラウラの説明を聞いて考え込んでいるミリアムの様子に気付いたユーシスは尋ねたが

「あはは、こっちのこと。」

ミリアムは無邪気な笑顔で誤魔化した。

 

「まあ、とにかく行ってみるとするか。」

「ああ、一日目の課題はなるべく片付けたいしな。」

「それでは爺。さっそく出かけてくる。」

「はい、お気をつけて行ってらっしゃいませ。

その後リィン達は遊撃士協会の支部に向かった。

 

~遊撃士協会・レグラム支部~

 

「ギルドの紋章……霧も出ているからさっきは気付かなかったな。」

「しかし、不思議だな……帝都の支部は圧力を受けて休止状態になっていたが……」

「レグラム支部は昔と変わらず活動を続けているはずだ。だから帝都支部の話を聞いて私も意外に思ったのだが……」

「んー、帝都の支部ならこの間復活したよ。」

リィンとガイウス、ラウラの会話を聞いていたミリアムは静かに呟いた。

 

「へ……」

「でも、以前わたくし達が支部に泊まった時は休止状態でしたが……」

ミリアムの話を聞いたリィンは呆け、セレーネは戸惑った。

「夏至祭の時にテロリスト達が都内に魔獣や人形兵器を放ったでしょ?あの時、”たまたま観光に来ていた””ブレイサーロード”達が避難誘導とかして活躍したから、市民達の間で何で帝都の支部がなくなったのかっていう疑問の声が多くなって、それでオジサンが仕方なく、遊撃士協会に依頼して帝都の支部を復活させたんだよー。」

「オレは出会ってないが、確か相当の腕前の遊撃士だそうだな?」

ミリアムの説明を聞いたガイウスは不思議そうな表情でリィン達に尋ねた。

 

「うむ、あの時見せた強さの片鱗を見る限り、私達の実力より遥か高みにある。」

「フン、それより俺は”鉄血宰相”が”仕方なく復活させた”の言い方が気になるな。」

「確かサラ教官の話だと”情報局”の手で撤退させられたって話だけど……」

リィンはユーシスと共にミリアムを見つめ

「そだよー。ホント、”ブレイサーロード”達ってバリアハートの時と言い、帝国でも暴れまくっているよねー。しかも一番厄介なのはあの人達にはメンフィルの後ろ盾があるから、圧力をかけて行動を制限させられないし。」

ミリアムが呟いた言葉をリィン達は冷や汗をかき

「くふっ♪というか、武力で圧力をかけてもエステル達なら返り討ちにするけど?」

エヴリーヌは不敵な笑みを浮かべて言った。

 

「エステルさん達と言えばバリアハートで初めて出会いましたけど……バリアハートに支部はなかったですよね?」

「……1年前に閉鎖している。帝国政府ではなく、公爵家から圧力がかかったとは聞いたな。」

「そうだったのか……」

「ま、遊撃士って基本的に偉いヒトには目障りだからねー。ミラにも権力にもなびかずに、民間人を守るのを第一に動く……そりゃ、大義名分さえあれば圧力かけてツブされちゃうかも。その中でメンフィルの後ろ盾を手に入れた”ブレイサーロード”と”黄金の百合”は権力者にとってとんでもなく厄介かつ、できれば抹消したい存在だろうね。まあ、”ブレイサーロード”達自身もそうだけど、”六異将”に最近突如前触れもなく現れて”ブレイサーロード”達の手伝いを始めたフェミリンスって人も圧倒的な戦力差があったにも関わらず領邦軍をボロボロにした上”アハツェン”の砲撃まで防いで生身で”アハツェン”を破壊したから、下手に本気にさせたら冗談ぬきで国を滅ぼすかもしれないから、下手に手を出せないし。」

ミリアムの発言を聞いたエヴリーヌを除いたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

 

「ミ、ミリアムちゃん……」

「身も蓋もないな……」

「フン、お前の所属する情報局も一枚噛んでいるんじゃないのか?」

「んー、情報局というよりギリアスのオジサンかな?直接、帝都総支部に乗り込んで大幅な活動制限をしたみたいだし。」

「そ、そうなのか。」

「道理で、サラ教官が宰相殿に物言いたげな態度だったわけか。」

「サラさんにとっては、色々と思う方なんでしょうね……」

ミリアムの説明を聞いたリィンは驚き、ラウラとセレーネは静かに呟き

「……まあ、それも全部”ブレイサーロード”達の帝都での活躍で水の泡と化して、おまけにアルバレア公爵の独断でメンフィルに脅されたせいで、ケルディックを手放す羽目になったどころか、ケルディックの支部も復活して遊撃士達がケルディックと帝都支部を中心に帝国内で活動し始めたから、ギリアスのオジサンにとって”ブレイサーロード”達は厄病神か天敵みたいな存在だろうね。下手に手を出したら冗談ぬきでメンフィルが介入して、アルバレア公爵みたいにとんでもないしっぺ返しを受けるかもしれないし。」

「フン……」

(くふっ♪エステルが”神”って事は間違ってないね♪というかエステルは空の女神の子孫だから、天罰って奴かな♪)

ミリアムの話を聞いたユーシスは鼻を鳴らし、エヴリーヌは不敵な笑みを浮かべていた。

 

「ったく、さっきから聞いてりゃ、全部あの暴走娘が悪いみたいな言い方じゃねえか。」

その時支部から金髪の青年が出て来た。

 

「あ……」

「貴方が遊撃士の方ですか?」

青年を見たリィンは呆け、セレーネは尋ね

「トヴァル殿、久しいな。」

ラウラは懐かしそうな表情で青年―――トヴァルに話しかけた。

 

「お久しぶりだ、ラウラお嬢さん。サラと”剣帝”の所で励んでるみたいだな?」

「ということは……」

「俺達の担任教官の元同僚というところか。」

「それにレーヴェさんの事も知っていたんですか……」

トヴァルの答えを聞いて何かを察したガイウスは目を丸くし、ユーシスとセレーネはトヴァルを見つめて呟いた。

 

「そういうこと。それに”剣帝”は俺達遊撃士どころか、他の裏組織でも割と知られているぜ?―――帝国遊撃士協会所属、トヴァル・ランドナーだ。よろしく頼むぜ、”Ⅶ組”の諸君。」

その後リィン達はトヴァルと共に支部に入って詳しい説明を受けた。

 

 


 
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