No.696820

機動戦士ガンダムSEED 夏の始まりからやってきた白の騎士

プロローグ

2014-06-27 00:51:53 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:3055   閲覧ユーザー数:2962

太平洋上空。

世界初の男子IS(インフィニット・ストラトス)搭乗者“織斑一夏“は幼馴染みの“篠ノ之箒“を凶弾の嵐から庇って、アメリカの軍事IS銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)に撃墜された。

薄れゆく意識の中で、一夏の心は守りきることができなかったという後悔で満ちていた。一夏の意識が消える寸前に見たのは、何か大切なものを失ったような、そんな顔をした箒だった。

C.E.(コズミック・イラ)30年代にピークを迎えた遺伝子改変ブームによって、人類は新たな対立の図式を作り出す事となった。

受精卵の段階で遺伝子を操作されて生まれた、『コーディネイター』と呼ばれる新たな人類は、旧知の『ナチュラル』にとって の脅威となった。彼らコーディネイターは知力、体力、全ての能力においてナチュラルを凌駕し、その数こそ少ないものの、学術、スポーツなど、あらゆる分野のトップを占めるようになる。やがてその格差が対立を生み、数において不利なコーディネイターは地球各地で迫害を受ける事となった。住み慣れた土地を追われ、彼らが目指した安住の地は、宇宙だった。

のちにコーディネイターたちの本拠地となる『プラント』はC.E.50年代から着工し、エネルギー問題に悩む地球に、豊富な宇宙資源から得られたエネルギーと、無重力を生かした工業産物を供給する役割を負っていた。その利益は一部の地球におけるオーナー国が独占し、彼らはプラントに武器と食糧の生産を禁じる事で、自らの支配を覚悟たるものとした。

いわれのない支配と搾取。当然コーディネイターたちはそれに反発し、独立と対等貿易を地球側に求めた。繰り返し話し合いの場が持たれたが、そのたび決裂に終わり、両者の緊張は徐々に高まっていく。そして━━

C.E.70年、『血のバレンタイン』の悲劇によって、地球、プラント間の緊張は、一気に本格的武力衝突へと発展した。

誰もが疑わなかった、数で勝る地球軍の勝利。が、当初の予測は大きく裏切られ、戦局は疲弊したまま、既に十一ヶ月という時が過ぎようとしていた━━。

ヘリオポリスにある工業カレッジのキャンパスにて。

 

『━━では次に、激戦の伝えられる華南戦線、その後の情報を……』

 

キラ・ヤマトは、いつの間にかあらぬ方をさまよっていた視線をコンピューターに戻し、投げやり気味にキーボードを叩いた。茶色い髪に黒い目の小柄な少女だ。まだ幼さを残す繊細な顔立ちは、東洋系のようだが、一見して人種を判別できない。

コンピューター画面の上方に開いた別窓の中では、アナウンサーが相変わらず深刻そうな顔で喋っている。

 

『━━新たに届いた情報によりますと、ザフト軍は先週末、華南宇宙港の手前の六キロの地点まで迫り……』

 

きらり、と、小さな翼で日光を跳ね返し、キャンパスの上空を一巡りして、トリィが戻ってきた。メタリックグリーンの翼を羽ばたかせてキラのコンピューターに止まる。トリィは小鳥を模した愛玩ロボットだ。キラの大切な、小さな友達。

トリィを見る度、キラの脳裏にはこれをくれた親友の面影が浮かんだ。

 

『━━父はたぶん、深刻に考えすぎなんだと思う』

 

別れの日、少年は大人びた口調で言った。黒い髪、穏やかで物静かな面差し、伏せられた目は印象的な緑だった。

彼とキラは四歳の時から、月面都市『コペルニクス』で幼年学校時代を共に過ごした。二人はいつも一緒だった。

 

『プラントと地球で、戦争になんてならないよ』

 

うん……と、キラは頷いた。

 

『でも、避難しろと言われたら、行かないわけにはいかないし』

 

キラはずっと、俯いていた。

彼らは賢明な子供だった。それでも所詮子供でしかなく、社会の情勢や親の意向に従うしかない。別れを受け入れることしかできなかった。

友は俯いたキラを励ますように言った。

 

『キラもそのうち、プラントに来るんだろ?』

 

その言葉に込められた希望が、少しだけキラを慰めてくれた。やっと目を上げて見ると、友は綺麗な緑の目を細めて笑った。その色が、キラはとても好きだった。

 

━━きっとまた、会える。

 

そう信じて別れた。あの時からもう三年━━。

 

「お、新しいニュースか?」

 

突然、ぬっと肩越しに覗き込まれて、キラは我に返った。

 

「トール……」

 

覗き込んできたのは、同じ工業カレッジのゼミに所属するトール・ケーニヒだった。隣には恋人のミリアリア・ハウの姿もある。コンピューターの画面では、ニュースの続きが映し出されていた。立ち昇る黒煙と爆音、逃げ惑う人々、ビルの立ち並ぶ街並みは半壊し、どこか近くで戦闘が続いている らしい。

去年、プラントの擁するザフト軍は、地球への侵攻を開始した。中立国オーブのコロニーであるここヘリオポリスでも、開戦当初はみな、地上で行われている戦況を息をつめて見守っていたものだが、最近はもうそれにも慣れてしまった。

 

『こちら、華南から七キロの地点では、依然激しい戦闘の音が……』

 

リポーターが上擦った声で報告する。

 

「うわ、先週でこれじゃ、今頃はもう陥ちてちゃってんじゃねぇの、華南?」

 

トールがお気楽にコメントする。キラは苦笑し、静かにコンピューターを閉じた。

少々軽率なところがトールの欠点だ。だが、開けっぴろげで裏のない彼が、キラは好きだった。いつも朗らかでしっかり者のミリアリアとは、似合いのカップルだ。

 

「華南って結構近いじゃない?大丈夫かな、本土」

 

ミリアリアは対照的に、不安そうな口調になる。

 

「そーんな。本土が戦場になるなんてこと、まずナイって」

 

どこまでも楽観的なトールの観測が、かつて親友の口にした言葉に重なる。キラはふいになんとも言えない不安を感じた。

それでも彼らは、『戦争』なんて、自分たちと関係ないものと思っていた。コンピューターを閉じたら終わってしまう、画面上の単語に過ぎないと━━この時は、まだ。

 

『トリィー!』

 

「えっ」

 

キラがパソコンを鞄へとしまい、腰を上げようとすると、トリィが突然トール達と正反対の方向へ飛び立つ。

キラは慌てて、トリィを追いかけると、その後をトールとミリアリアが一旦不思議そうに顔を合わせて、自分達もキラの後を追い始めた。

そして、キラは林のだいぶ奥の方に来ると、トリィが不意に何かに止まった。

 

「ッ!?」

 

「な、何だよこりゃ!」

 

「酷い傷……」

 

そのトリィの止まっているのは、妙にボディラインがくっきりと分かってしまうピッチリとしたスーツのようなものを着た全身傷だらけの少年だった。

意識を覚醒した一夏は、何故だか浮遊感を感じていた。おそらくは福音に撃墜されたはずなのだから海に落ちたはずだと思ったのだが……しかし肌は海水の冷たさを感じない。不思議に思い、一夏はその瞳を開いた。

 

「うぅ……ここは……ッそうだ、箒は?福音はどうなったんだ!?」

 

気がつけば、一夏は闇の中をさまよっていた。状況も分からず、上下前後左右を見渡して見るものの、そこらはただ一面の闇だった。

 

「こんな事している場合じゃ無い!早く箒の……みんなの所に戻らないと……」

 

━━その必要はないよ。

 

「ッ!?」

 

いきなり背後から声をかけられた一夏は反射的に後ろを振り向いた。そこにいたのは、ポォっと白く光る少女だった。

 

「必要無いって……どういう事だ?」

 

━━無意味って事。

 

「え?」

 

━━だって、あなたはもうあの世界にはいないんだもの。

 

少女の言葉に一夏はサーっと血の気が引いた。ふつうに考えてしまえばあんな高所から海に落下してしまえば、確かに無事で済むはずがなかった。

 

「そ、そんな……」

 

━━心配しないで、別にあなたが死んだわけじゃないから。

 

「え、そうなのか?」

 

━━うん。ただ、戻れないっというだけだから。

 

「どう言う、ことだ?」

 

━━そうだね……簡単に言ってしまえば、あなたは世界を越えてしまったの。

 

一夏の頭に更にハテナマークが増えていく。

 

━━……じゃあ、まずはあの後、何が起きたきたか説明してあげる。あなたはあの福音にやられて海に落ちた。そして、そこで異変が起きたのよ。

 

「異変……?何が起こったんだ」

 

━━海底に次元の歪みが発生したの。

 

「……はい!?」

 

━━あなたはそれに飲み込まれてしまい、帰れなくなってしたったってわけ。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!次元の

 

歪み?意味分かんねぇよ!どこの世界にそんな漫画みたいな事が起きるんだよ!!」

 

━━……ここ。

 

「……」

 

一夏は開いた口が塞がらないとはこの

とだと、身思って実感した。しかもあまりに信憑性のない話だというのに、何故か頷きかけている自分がいる。

 

━━……信じられないって顔してるね。でも、あなたが目が覚めたら嫌でもそのことを実感するしかないでしょうけど。

 

「……そういえば、何で君がそんな事を知っているんだ?」

 

━━それは、私があなたの“剣“であり、“翼“だから。

 

「?それってどういう……」

 

しかし、一夏がそれを聞く前に、少女の体が霧のように徐々に薄れてゆく。

 

━━もう、時間ね。

 

「っ待ってくれ!君はいったい何者なんだ!!」

 

━━言ったでしょう?私はあなたの“剣“であり“翼“だって。大丈夫だよ、私はずっとあなたのそばに……

 

「待、待って……って、うわああああああ!!?」

 

次の瞬間、一夏は眩い光に包まれた。

この作品は、作者が続きを読みたいがためにリアルが忙しくて一年以上書けてないと仰るトモヒロさんに代わり書くことになった作品“機動戦士ガンダムSEED白式“のリメイク的作品です。

まあ、他の作品もあるので波に乗ってる時以外は更新遅いやもしれません。

 

では早速アンケートです。

一夏君の機体は機動戦士ガンダムSEED白式のように白式をモビルスーツ化させるか、それとも六機目のガンダムにするのか……

後者にするなら名前はシードです(ベ、別に名前が思い浮かばなくって、そういえばタイトル機なかったなぁって思ったからじゃないんだからね!)

 

あとヒロイン、どうしよう(汗)

原作からだと彼氏持ち(ミリアリア)と屑(フレイ)と危険因子(ラクス)と馬鹿(カガリ)しかいないし……ああでもオーブで死んじゃうマユちゃんがいたか。救済がてらフラグ建てるのも……大丈夫だよね!だって一夏だもの。

あとはオリキャラとして三馬鹿に劣るけど精神正常なブーステッドマン、奴隷として売られて傭兵になったコーディなんて考えてるけど、みなさん要望とかあります?出来るだけトモヒロさんのをベースにしつつもオリジナルにやりますが、ある程度は受け止められそうですので

 

……ちゃんと感想、くださいね?


 
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