北郷一刀の外史紡ぎ二篭 第八話―虎の戦
一刀「逃すな!追え!奴らを一人でも逃せば罪のない民が一人死ぬと思え!!抵抗をしてこない奴は縛し後方へ下がらせろ!!」
俺は今荊州との州境の黄巾党討伐に出ている。行きすぎると劉表辺りにどやされるから注意しなきゃ。ちなみに此処の劉表は女らしい。美羽と会わせてみたかったが仕方がない。・・・同性でもいけるか?いや、美羽にそんな趣味に目覚めてほしくないからやめておこう。
あ、それと穏はさっさと建業に帰ったよ。思春にも警告されてたから纏めた竹簡を明命に頼んで括り付け、七乃に頼んで送りだしてもらった。私の出番これだけなんですか~とか言ってたけど無視した。
一刀「それにしても・・・こうも小出しにされるとイライラが募るな。」
副官「そうですね。ですが奴等も呉の旗を見るなり逃走、あるいは降伏の形をとっています。ま、あくまで一部ですが。」
一刀「それでも規模が小さくなるのはありがたいけどね。」
伝令兵「も、申し上げます!南から黄巾党、数は二千!!」
一刀「ちっ!こっちは三千しか居ないってのに!!」
七乃「ここは万夫不当の一刀さんにお任せしますね~」
一刀「あ、七乃。俺に振りやがったな!?」
七乃「新しい武器の具合も試したいんでしょう?丁度いいじゃないですか~。私や結璃さんよりそっちの武器がいいんですもんね~」
おう・・・いじけておられますか。
一刀「・・・はぁ、帰ったら街で飯行こうか?勿論二人きりだ。」
七乃「約束ですよ?」
一刀「ああ。」
七乃「五百ほど連れて防御に徹して下さい。こっちを片づけてから援護に向かいます。」
一刀「了解。」
機嫌治ってよかった・・・あの目は本気で一人で行かせようとしてた目だったよ。
一刀「さて・・・お前ら、味方の援軍が来るまで守り一辺倒で行くぞ!」
北郷隊「「「「「応!」」」」」
一刀「とは言え・・・」
副官「ですね。やはり数に呑み込まれますか。」
一刀「方円陣にも限界がある。さすがに向こうも物量の戦いを心得てやがる。だが・・・」
だが・・・なんだ?僅かに感じるこの嫌な感じ。いや怯えてる奴がいるのか?
副官「隊長。奴等の後方・・・騒がしくありませんか?」
一刀「・・・なあ、人ってあんなにぽんぽん飛ぶ物か?」
副官「黄蓋様辺りと、程普様辺りはやってのけてます。」
一刀「あ、そうなんだ・・・」
やれる人がいたんだと頭を抱えてみたり。あ、そう言えば本気でやれば俺も吹っ飛ばす事で来ました。テヘペロw
華陀「炎蓮殿!あれほど無茶は辞めるようにと!!」
炎蓮「ははは、無茶?これがか??こんなもの準備運動だよ。よっと。」
ブシャァアアア
彼女は炎蓮、孫堅文台その人である。
炎蓮「よ、ほ、それ、あらよっと。」
彼女が剣を振るう度黄巾党の体から鮮血が吹き出し、剣の腹で叩かれた奴は数人を巻き込んで天高く舞い上がる。それを見た黄巾党は恐怖にかられ、一刀達の方へとその矛先を向けたのだった。
炎蓮「・・・ふむ、逃げ始めたな。」
華陀「ああ、もう・・・向こうに居る部隊に押し寄せてるではないか・・・」
炎蓮「なぁに、あの程度捌けなくて何が呉の兵か。」
華陀「そ、そう言うものか?」
炎蓮「そう言う物だ。」
そう言って彼女は賊を追いたてる。さながら鬼神のごとく・・・いや、もはや遊び半分な物だから賊からしてみれば化け物が暴れてるのと同義だった。
華陀「それにしても・・・さすがに見てられん・・・やはり戦など不毛だ。」
炎蓮「そんな事言いなさんな。戦あってこそ、万事の発展があるんだ。」
華陀「戦が無くとも発展はする。」
炎蓮「どうだろうね?ま、私は私の治める国が発展すればそれでいいのさ!」
華陀「酷い考え方だ。」
炎蓮の考えを頭の中で否定しながらも、彼女に付いて行くあたり思う所もあるのだろう。いや、医者としての責務なのか・・・
華陀「そろそろ、向こうの軍と接触できそうだな。どうする?炎蓮殿。」
炎蓮「勿論、会って拳骨一発。不甲斐無いと叱りつけるさ!」
華陀「部隊長さんも可哀そうだな。」
これから会う人物に憐みの感情を抱きながら、華陀と炎蓮は一刀の部隊へと近づいて行った。
一刀「盾を中心に、槍は隙間から突き出せ!弓兵矢が尽きてもいい、撃ちまくれ!!」
副官「隊長、賊を吹っ飛ばしていた奴が近づいてきます。・・・一人のようです。」
一刀「一人ぃ!?」
副官「正確には戦ってるのは一人でもう一人は何やら安静がどうのと・・・」
一刀「・・・俺が行ってみた方がいいな。指揮は任せる。弓兵の矢が尽きたら槍を渡してやれ。」
副官「御意」
副官の報告を受けたものの状況が理解できない。さすがに一人で戦っていたのなら一角の人物なのだろう。まずは賊を片づけることからやって行かないといけないのに・・・面倒事が増える気がする。
一刀「敵に斬り込む。道を開けろ!」
呉兵「は!」
一刀「俺が抜けたら穴はふさげよ!後は守りを徹底させろ!!」
呉兵「は!」
しばらく賊を斬り倒しながら進み報告の有った人の所に近づいて行く。
賊「うらぁぁぁぁ!」
賊「死ねやぁぁぁぁぁ!!」
一刀「はいそうですかって言う訳にもいかないだろ!」
俺はそのまま賊の首と胴を斬り分けながら進んでいく。
賊「ああぁぁぁああぁぁぁああああああ!!!!!」
一人異常な叫びを上げながら突っ込んでくる奴がいた。そいつの剣が振るわれる前にそいつは腹から真っ二つになって、地面に転がった。
一刀「!?」
炎蓮「・・・ほう?お前、雪蓮の新しい配下か何かか?」
一刀「あなた・・・は?」
炎蓮「わたしは孫堅文台。現王、孫伯符の母よ!」
一刀「・・・へ?生きて・・・いらした?」
炎蓮「あぁ。しぶとくな!はっはっは!!」
豪快な人だ・・・それよりも。
一刀「しぃ!!」
炎蓮「はぁ!!」
俺は彼女の後ろに回り込んでいた賊三人を一振りで斬り伏せた。と、同時に彼女は俺の後ろに居た賊五人ほどを剣の腹で吹き飛ばした。
炎蓮「やるじゃないか。名は?」
一刀「姓を北郷、名を一刀。字、真名は有りません。それと・・・俺は蓮華の所に厄介になってる者です。よ!」
ぶしゃぁぁぁ!!
炎蓮「へぇ、あの子男に真名を許したのかい?面白いねぇ。はぁ!!」
どがぁぁん!!
華陀「談笑しながら戦わないでいただきたいものだ!?」
一刀「・・・貴方は?」
華陀「俺は華陀。ゴッドヴェイドーの医者だ!」
一刀「あぁ、ゴッドヴェイドーね。」
華陀「・・・」
一刀「どしたの?」
華陀「素晴らしい!!その発音は俺や師匠以外うまく発音できるものが居ないと言うのに!!」
そう言うと華陀は俺の肩を掴みぶんぶんと前後に振り始めた。
一刀「ちょ!?今、戦場、戦って、やめ、死ぬ。」
炎蓮「はははは!いいよ?周りの賊は私が屠っておくから、思う存分漫才を続けてくれ!!」
一刀「それは、ありがた、いけど!漫才、を続け、る気は、無い!」
華陀「はっ!す、すまん。つい。」
一刀「とにかく、孫堅さん、華陀さん。俺の部隊へ合流をお願いします。味方の増援がくるまで耐えないと・・・」
だが、孫堅さんはどこ吹く風。守る事を考えてなように見えた。
炎蓮「これぐらい、攻め立てればすぐに壊滅出来るわ!憶病風もいい所だぞ!!」
はい?いま・・・なんて言いました?え?この人実は猪さん???だったら・・・お説教だね?
一刀「・・・(ゴゴゴゴゴゴゴゴ)」
炎蓮(あ、この怒り方は旦那に似てる・・・まずい。)
一刀「孫堅さん?俺、此処の責任者。部隊を率いてる。兵の命預かってる。無謀、許さない。分かった?」
炎蓮「わ、分かった。よし、行こうか。」
華陀「・・・すごい、あの炎蓮殿を・・・すばらしい!」
こうして俺達は無事に部隊に合流、古参の兵達は孫堅さんが生きていた事に驚き、喜び、士気が異常に上がったのだった。とは言え数の差は埋まる訳でも無く・・・しかし、その士気のおかげで、なんとか七乃の増援まで持ちこたえる事が出来た。
一刀「七乃、確認だけど・・・本当に孫堅さん?」
七乃「・・・はい。まさか生きてるとは。私も噂で死んだと聞いただけでしたので。」
炎蓮「・・・あんた、袁術の所の張勲だろ?何で此処にいるんだ!」
七乃「ひゃぁ!そ、そんな事言ったって。蓮華さんにお世話になってるからに決まってるじゃないですかぁ!?」
一刀「・・・ははは。」
七乃を見た瞬間、激昂した孫堅さんは七乃を追いかけまわす。それを俺と華陀は苦笑しながら見る事しかできなかった。あの猪を止めるのは疲れるんです。
一刀「・・・蓮華。驚くだろうなぁ。」
俺はそう一人呟きながら寿春の方の空を見上げた。
あとがき
ユウヤ「さて、今日はゲストに恋が来てくれた。何で来た?」
恋「最近一刀とデートをいっぱいしてる。それを・・・晒す。」
ユウヤ「・・・え?これ・・・日記?ダイアリー?Really?」
恋「・・・(じー)」
ユウヤ「・・・二つの呂旗外伝?やれと?」
恋「・・・(こくこく)」
ユウヤ「・・・待て、さすがに俺はこれ以上抱えるのは無理(チャキ)待て、現実に居る君が何故方天画戟を所有してる!?」
恋「・・・だめ?(うるうる)」
ユウヤ「武器を首に突き付けながら涙目とか・・・そう言った甘え方は一刀にしてください。」
恋「・・・赫い雨見たい?」
ユウヤ「書きます!書かせていただきます!単発になると思いますが書かせていただきますぅ!!」
恋「・・・ならよし」
ユウヤ「・・・仕事忙しいのに・・・仕方ない・・・頑張るか。今日中に。」
恋「じゃ、お願い。」
ユウヤ「・・・帰ったよ。日記置いて帰ったよ。・・・さて、郭嘉。じゃなくって、書くか。」
ユウヤ「・・・ふ、なんだこれ?これが・・・現実でリア充の一刀の現実?もげればいいのに。」
Tweet |
|
|
22
|
1
|
追加するフォルダを選択
第八話~です!
はい、今日中にはアップします。だからその得物を下げてくれませんか?
恋「・・・まだ・・・一割も書いてない」
続きを表示