No.674237

真・恋姫†無双~華佗√(偽)~

九条さん

次回予告なんてするもんじゃない

2014-03-28 09:20:37 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2246   閲覧ユーザー数:2022

「ゴ、ゴットヴェイドォー?」

 

「!! 初見でほぼ完璧の発音をして魅せたのはお前が初めてだ」

 

「お、おう。ありがとう……?」

 

 

 

 

 

「北郷の言う通りかもしれないな。少なくとも俺はしばらく妻を娶る予定もないし、まだ見ぬ患者を助ける為にはそんな暇はない。

それならば薬の調合法を書物に纏め、俺が認めた者に広める、というのも悪くないな。

しがらみに囚われすぎて今ある患者を死なせては本末転倒だ」

 

「その時はもちろん俺も手伝うよ、華佗。どうやら俺の身体には常人を遥かに超える量の氣があるらしいし、それが人の助けになるなら尚更だ」

 

「お前はそう言ってくれると思っていたよ。またしばらく男二人の旅に戻るが、これからは今まで以上に仕事量を増やすからな!」

 

「望むところだ!」

 

 

 

 

 

「雪蓮……本当に雪蓮……なのか?」

 

「……馬鹿ね、私の偽物なんてものがいたら、私自身で叩き切ってるわよ」

 

「……本当に……こんな奇跡のようなことが……っ……」

 

寝台に身体を横たわらせていた孫策が、今にも泣きそうな周瑜を抱き寄せた。

 

「間違いなくこれは現実よ。ごめんね……心配かけて」

 

孫策の謝罪で周瑜の我慢は限界に達した。堪えていた涙が、将達の前では見せまいとしていた涙が止まらなくなっていた。

 

「その通りだ……馬鹿者。罰として、今日はずっと……ずっと私のそばに……」

 

いつの間にか孫策の瞳にも涙が溜まっていた。

 

「もちろんよ……今日はずっと、あなたのそばを離れないわ。冥琳……」

 

これ以上は必要ないと、俺と華佗は孫策の自室を後にした。

 

 

 

二日後。

ここでやるべきことは全て終えた俺と華佗は身支度を整え街の外に出ていた。

 

「もう行くの?」

 

「……しばらくは絶対安静と言っておいたんだけど」

 

声をかけてきたのは孫策。数日前に死の淵から這い出した女性だ。

病み上がりの彼女は、本来こんなところにいていいわけがない。

 

「私は床に伏せるよりもこっちのほうが性にあってるのよ」

 

この一言でこの女性の本質が読み取れたかもしれない。

なるほど、人の話はあまり聞かない、と。

 

「君を助け、医療に適性のあるものに薬の作り方と簡単な応急処置の方法は教えた。それに、当初の目的も達成した。つまり、俺達に与えられた仕事は果たしたはずだが?」

 

先の質問に対して華佗が返答する。

初めは孫策から依頼があったからここにやってきた。

軍師である周瑜の具合が悪そうだと。

その要請に応えた俺達は、本来の移動先を変更してここにやってきたのだ。

二人の経過は言わずもがな。無茶をしなければ快復していくものになっている。

役目を終えたなら次の街に行く。それを繰り返すことが俺と華佗の決まり事だった。

 

「……一つ、聞きたいことがあるのだけど」

 

「答えられる範囲でなら」

 

「貴方達は呉を助けてくれた。もちろんそれには感謝してるわ。でも、他国でも同じ事が起きたら助けるんでしょ?」

 

孫策と目が合った。疑問など宿してはいない、確固たる確信を以って質問してきている。それほどまでに真っ直ぐな瞳だった。

それでも俺達の答えは変わらない。

 

「……もちろん助けるよ。目の前の患者は必ず助ける」

 

「まるで死の商人……いえ、死の医者ね……」

 

孫策から漏れた小さな呟き。おそらく無意識だったんだと思うその言葉は、俺の心に深く突き刺さっていた。覚悟はしていたというのに。

死の医者……そう言われるのも仕方ないだろう。

今は呉を助けたが、次は別の国かもしれない。魏の曹操、蜀の劉備、あるいは各国の将達か。

将を助ければ、それだけ戦いが続くかもしれない。不必要な犠牲が増えるかもしれない。

全てを理解していながら、俺達はこの道を選んでいた。

 

「ごめんなさい、失言だったわ」

 

「なら、その失言を取り消すかわりに見逃してもらえるかな?」

 

努めて明るく言えたと思う。華佗はすでに馬上で待機している。

 

「……あなたの前だと調子が狂うわ」

 

「……あ、あははっ……」

 

それについては乾いた笑いしか返せなかった。

 

 

最後は笑顔で別れることが出来た、と思う。

あの後すぐに呉の将全てが見送りに来て、孫策との会話は時間稼ぎも含まれていたことに気付いた俺達は、互いに苦笑しながらもしばしの別れを惜しみ黙礼を捧げた。

次に顔をあげた時にはしっかりと前を向き馬を走らせていた。

 

「なぁ、華佗。次はどこに行くんだ?」

 

「……涼州だな。あそこでは流行病が続いている地域があると聞いた。そこに行ってみようと思う」

 

「……それって、俺達がかかったらどうするんだ?」

 

「それなら俺達が被験体になれば済むことだしいいじゃないか」

 

「…………」

 

「? どうした北郷」

 

拝啓、孫策殿

俺だけでも呉に戻ってもよろしいでしょうか……。

 

 

 

 

 

 

【あとがき】

 

皆様、おはようございます

九条です

 

また1ヶ月も空いてしまいました……

一応の言い訳としまして

・リアルお引っ越し作業(2/28~3/10までネット回線遮断状態)

・年度末にかけての大量の滑り込み(駆け込み)による仕事量大幅増

・ネトゲ再燃

おもに3つ目は自業自得ではありますが……

 

過ぎ去った時間は取り戻せない。ならば! ということで

今回はこのあとがきの後に、更新が遅くなったお詫びのおまけとしまして

華佗√本編のその後の話を載せてあります

それほど長くはありませんが、さらに華佗の存在が希薄になってしまうので削除の予定でした

呉が大好きな私個人としましてはどこかで載せようかと思っていた作品になりますので、ちょうどいい機会かなと

いつも、この長ったるしいあとがきを読んでくださっている方々、ぜひともこのままお進みください!

 

では続きは後半にて

 

 

 

 

 

 

 

「珍しいな、お前がみすみす見逃すとは……」

 

すぐそばに愛しの軍師様がやってきた。

私が笑みを浮かべていることに気づいていないみたい。精神的にかなり負担をかけちゃったみたいね。

それなら、ちょっとは申し訳ない気持ちも湧くのだけど……表面上は、ね。

 

「……涼州よ」

 

「は?」

 

告げた言葉に即座に反応できない冥琳なんて、そうそう見れないのだけれど。

やっぱり今日は、私にとって大きな分岐点になるのかもしれないわね。

 

「彼らはこれから涼州に向かうはずよ」

 

「雪蓮……あなたって人は本当に……」

 

世話が焼けるって言いたいんでしょうね。

それでもなんだかんだ言いながらも私の事を手伝ってくれる、ますます好きになるわね。

そして、私が『言い出したら止まらないこと』も分かってるわよね?

 

「家督はすぐに蓮華に譲るわ。曹操はしばらく攻めてこないでしょうし、劉備は内政を整えるのにもう少しかかるんでしょ?」

 

「それはそうだが……」

 

「なら、私は彼らを追うわ。そして必ず手中に収める。……だって私の心を持って行ったままなんて許せないもの? もちろん、冥琳の心もね」

 

 

 

病み上がり早々にかつての姿を取り戻した孫策に、いつものようにため息を吐く周瑜。

一度は失いかけた皆の笑顔が、呉に再び返り咲いていた。

 

 

 

【あとがきのあとがき】

いかがでしたでしょうか

……完全に華佗の姿は欠片もありませんね、はい

修正前の華佗√は、ずっと「元気になぁれぇええええ!」としか言ってなかったので

さすがにそれは無いなと(苦笑

修正したらしたで、今度は華佗の要素が無くなっていって、ほんと両極端すぎぃ! と悶たり……

アレですね、次回予告とかするからそれに囚われてしまうんですね

たぶん、華佗に拘らなければ2作品ぐらい短編が書けたかと。いまさらですケド……自業自得ですケドも!

 

なので、次回は未定 とさせていただきます

それほど待たせるようなことはないとは思いますが……

(まじ○いA-3が終わったと思ったら今度は銃○士が発売じゃないか! 宅配はよはよ!←ぁ

 

毎度同じくリクエストは随時受け付けております

稚拙な文章でも読んでみたいぞー、という方がおりましたらリクエストをどうぞ

※ただし、既に登場済みのキャラは遠慮することがあります(白蓮を除く

※どんな内容で~なども書いていただくと、創作意欲が湧くかもしれません(ただし白蓮をのぞry

 

ではでは、また次回お会いいたしましょう~


 
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