No.666692

英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

soranoさん

第14話

2014-02-28 00:00:08 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1371   閲覧ユーザー数:1311

リベール王国の工業都市『ツァイス市』――――王都グランセルを守る『レイストン要塞』が近郊にあり、また東の大国カルバード共和国の領地と隣り合っている土地でもあり、ツァイス地方にある『エルモ村』は東方の文化も取り入れた村であり、また温泉がある事から観光地としても有名な場所であった。そしてツァイス地方に降り立った遊撃士協会の次代を背負う事を期待されている2人を迎えるかのように一人の赤い作業着を身につけ、赤い帽子を被った金髪の少女が嬉しそうな表情で2人に近づいてきた。

 

~ツァイス・発着所~

 

「レンちゃーん!」

「あら、この声は。」

聞き覚えのある声を聞いたレンは目を丸くし

「どうやら向こうの方から来てくれたみたいだな。」

ルークは口元に笑みを浮かべた。

 

「ハア、ハア……」

「うふふ、ティータったら慌てん坊さんね?レンはどこにも逃げないわよ?」

自分達の目の前に到着し、息を切らせている少女―――ティータをレンは苦笑いをしながら見つめていた。

「で、でもでも……!レンちゃんにはちょっとでも早く会いたかったし。」

「うふふ、相変わらずティータはレンにとって嬉しい事ばかり言ってくれるわね。―――まあ何はともあれ、久しぶりね、ティータ。」

「うん、久しぶり!」

レンに微笑まれたティータは無邪気な笑顔を浮かべ

「よ、ティータ。また背が伸びたんじゃないのか?」

「えへへ、そうですか?あ、それと挨拶が遅くなりましたね。―――お久しぶりです、ルークさん!」

「ああ、久しぶりだな。」

ルークに声をかけられたティータはレンに見せたように無邪気な笑顔を浮かべてルークを見つめた。

 

「そう言えば、どうしてレン達がこの時間の定期便に乗って来るって知ってたの?」

「それに俺達がツァイスに来る事も何で知っているんだ?」

「あ、はい。昨日たまたま帰り道に出会ったキリカさんにお二人が来ることを教えてもらったんです。」

自分達が来ることを知っていた事に不思議そうな表情をしているルークとレンにティータは意外な答えを口にした。

 

「あいつがか?冷酷女に見えて、意外と気が利く奴だなぁ。」

「ふえ、そうですか?キリカさん、優しい人だと思いますけど。」

「うふふ、お兄様。それにそんな事を口にしたら、後でキリカお姉さんに何か言われるかもしれないわよ?」

首を傾げているルークの話を聞いたティータは目を丸くし、レンはからかいの表情で見つめて忠告し

「う……あいつならあり得そうで洒落になっていないぜ……」

忠告を聞いたルークは異様に鋭いツァイスの受付の顔を思い浮かべて表情を引き攣らせた。その後3人はギルドに向かった。

 

~遊撃士協会・ツァイス支部~

 

「……そう、やはりレンも一緒に来るのね。ええ、ええ……」

東方独特の服を身に纏った腰までなびかせている黒髪の麗人―――ツァイス支部の受付であるキリカ・ロウランは通信機で誰かと通信をしていた。そしてキリカが通信を終えたその時、ルーク達が支部内に入って来た。

 

「来たわね、ルーク、レン。それにティータも。」

「相変わらず勘のいい奴だな……」

「うふふ、お久しぶりね、キリカさん。」

「あのあの、こんにちはです、キリカさん。」

自分達に背を向けたまま、自分達の事を口にしたキリカにルークは驚き、レンとティータは気にせずそれぞれ挨拶をした。

 

「こんにちは、レン、ティータ。―――ツァイス常駐のブレイサーが出張の関係でしばらく離れることになったから人手が増えて助かったわ。貴女も来たという事は勿論、貴女も数に数えていいのよね、レン?」

「うふふ、特別扱いで準遊撃士扱いされているんだから、働くのは当たり前じゃない。これもブレイサーを目指す者としての義務よ。」

キリカの問いかけにレンはいつものような小悪魔な笑みを浮かべて答えた。

 

「お、言うようになったな、レン。」

「わぁ、レンちゃんカッコイイ。」

「うふふ、だってレンは”仮”とは言え、遊撃士なんだもん。」

「そう、ならいいわ。後貴女が来たら本部から貴女に渡す物を預かっていたから、渡しておくわ。」

レンの答えを予め予想していたキリカは小箱をレンに渡した。

 

「?何かしらこれ?」

「おい、まさかとは思うが……」

渡された小箱にレンが首を傾げている中、先日同じ光景を見た事があるルークは目を丸くした。

「ええ、ルークの予想通りよ。―――開けて中身を確認してちょうだい。」

「わかったわ。」

小箱の中には先日エステル達が手に入れた準遊撃士の紋章(エンブレム)が入っていた。

 

「あら、準遊撃士の紋章じゃない。これをもらったら、レン、本当の意味で”準遊撃士”になるけどいいのかしら?」

「ええ。私達の方で本部に掛け合っておいたわ。貴女の実力を知っている私達としてもいつまでも”仮”扱いは勿体ないと思うし、本部の方でもA級クラスの実力を持っていながらいつまでも”仮”扱いにする訳にはいかないって事で、規定年齢に達していないけど、貴女を”特例”として正式な準遊撃士に任命する事にしたわ。―――今この時点を持って貴女は協会の一員として人々の暮らしと平和を守るため、そして正義を貫くために働くこと。」

「うふふ、勿論わかっているわ♪」

キリカの宣言に頷いたレンは服に準遊撃士の紋章を付けた。

 

「わあ……!おめでとう、レンちゃん!」

「よかったな、レン。」

「うふふ、二人ともありがとう♪」

大好きな親友と兄に祝福されたレンは嬉しそうな表情で微笑んだ。

 

「それにしてもよく本部の上層部達は規則を破ってまでレンを準遊撃士にする事をよく決めたよな?」

「まあ、エルナンさんの話では正遊撃士でしかわからない問題も混ぜた筆記試験も満点を取った上、”生誕祭”の闘技大会ではあの”武神”モルガン将軍を破った上”剣仙”直々から二つ名を貰った事が一番の要因でしょうね。」

ルークの疑問にキリカは静かな表情で答え

「ふえ~……レンちゃんって、本当にすごいんだね!」

「ありがと、ティータ♪頑張った甲斐があったわ。」

親友に感心されたレンは嬉しそうな表情で答えた。その後ルークとレンはそれぞれが受ける依頼を決めた後ティータと共にギルドを出た。

 

「さて、本当はもう少し話したいけどお仕事があるからティータとは一端お別れしなくちゃね。お兄様、泊まる所はどうしようかしら?」

「俺が仕事の間に予約しておくよ。」

「あ、その事なんだけどお2人に提案があるんです。」

残念そうな表情をした後すぐに気を取り直したレンがルークに尋ねたその時、ティータは目を輝かせながら二人を見つめて言った。

「ん?なんだ?」

「えっと、えっと…ツァイスにいる間は私の家に泊まっていきませんか?」

「あら。」

「へ?いいのか?俺達は適当な値段の宿を探してそこでしばらく泊まろうと思っていたんだが……」

ティータの提案を聞いたレンは目を丸くし、ルークは不思議そうな表情で尋ねた。

 

「はい、大丈夫です。二人がツァイスに来る事を知って昨日、お爺ちゃんに相談したらいいって言われましたから大丈夫です。えっと、もしよかったら私の家に泊まりませんか?勿論、お代とかもいりません。」

「お兄様、レンは賛成よ。いいでしょ?」

「そうだな……せっかくの好意だし受けておくか。」

「わあ……!今日からしばらくいっしょだね、レンちゃん。」

「うふふ、そうね。本当に楽しみだわ。何だったら一緒のベッドで寝る?」

「うん、勿論!」

その後3人はそれぞれの仕事に取り掛かる為に一旦別れ、仕事を終えた後ティータの実家に向かった。

 

 


 
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