No.666759 英雄伝説~焔の軌跡~ リメイクsoranoさん 2014-02-28 09:08:41 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1197 閲覧ユーザー数:1141 |
ルークとレンがティータの実家に入るとティータが台所で食事の用意をし、作業着を身に纏った老人―――――”導力革命の父”と称されるアルバート・ラッセル博士が椅子に座ってコーヒーを飲んでいた。
~ラッセル家~
「お、帰ってきおったか。」
「あ、お帰りなさい、レンちゃん、ルークさん。」
ルーク達に気付いた祖父の声に反応したティータは振り返って笑顔で居候となる二人を出迎えた。
「ただいまティータ。しばらくお世話になるわね♪」
「博士、久しぶり。俺達の為にわざわざ寝床を用意してくれてありがとうな。」
「博士、ありがと♪」
「な~に、エリカ達は留守にしてベッドは余っているし、何よりカシウスの子供達なら大歓迎じゃ。それにリベールでも有数の遊撃士である”焔”と”剣姫”がウチにおったら、防犯も完璧じゃしの。」
「ハハ……いざとなったら、任せて貰って大丈夫だぜ。」
「うふふ、宿代代わりにしっかりと二人を守るから安心してね♪」
そしてその日はレンが正式に準遊撃士になった事で話題が盛り上がった。
「ほう、まさかギルドの本部が長年守り続けた規則を曲げてまでレンを遊撃士にするとはのぉ。闘技大会でモルガン将軍を破った事といい、相変わらず型破りな娘じゃな。」
「まぁ、レンの日ごろの熱心な仕事っぷりを知ったから、本部もレンの事を”特例”扱いにしたと思うぜ。」
話を聞き終えたラッセル博士は興味深そうな表情で幼き天才剣士を見つめていた。
「うふふ、レンは遊撃士を目指す者の一人として当然の事をしたまでよ。」
「わあ……!レンちゃん、カッコイイ……!」
一方ティータは親友の謙虚さに目を輝かせていた。
「ふむ……しかしそれはそれとして、お主の才能を知る儂としては勿体ない気分じゃ。導力技術や開発の点でもお主はティータ……いや、ティータ以上の才能を持っているしの。」
「お、おじいちゃん。わたしに才能があるなんて、言い過ぎだよ。」
祖父の称賛の言葉を聞いたティータは冷や汗をかきながら苦笑したが
「あら、その年でもう工房見習いをしているんだから、ティータには導力技術者や開発者として才能が秀でているとレンは思うわよ?」
「えへへ、そうかな?あ、そう言えばレンちゃんが書いた論文、みせてもらったけど凄かったよ!」
親友から褒められると嬉しそうな表情をした後ある事を思い出して表情を輝かせてレンを見つめた。
「ろ、論文!?レン、お前、いつの間にそんな物を書いて世に出したんだよ?」
一方初耳のルークは驚いた後レンを見つめた。
「時間ができた時に暇つぶしに書いたのを提出したのよ。勿論、ティータや博士にも読んでもらって感想をもらってから出したわ。」
「正直、お主の歳であれほどの内容を書けるとは思わなかったぞ。」
「わたしは半分くらいしか理解できなかったけど……それでも凄いって事だけはわかったよ!」
「ハ、ハハ……(俺が読んでも絶対半分も理解できねぇぜ。そんな難しい文章を半分もティータも十分、スゲェって。)」
レンが書いた論文を幼いながらも半分も理解しているティータをルークは渇いた声で笑いながら見つめていた。
「うふふ、ちなみにだけどその論文を提出したら、博士号をもらっちゃったわ♪受賞式はめんどくさいからパスしたけど、後日賞状が郵送されてきたわ。」
「ふえっ!?」
「ハアッ!?は、博士号!?」
「やはりか。しかしそれじゃったら、エプスタインあたりからスカウトが来なかったのか?」
レンの口から出た予想外の言葉にティータとルークは驚き、ラッセル博士は納得した様子で頷いた後ある事が気になって尋ねた。
「ええ、来たわよ。エプスタインに加えてラインフォルトとヴェルヌからも来たわ。勿論、”丁重に”お断りしたけどね。」
「ふええええええええええっ!?」
「オイオイオイッ!?どれも大企業ばかりじゃねえか!?」
幼いながらも才覚を見せる少女を大企業はほおっておけず、それぞれスカウトしようとしたがレンは頑なに遊撃士になる事と家族と一緒に暮らしたいからという事を理由に断り続け、ある者は才能の無駄使いと言い、その際に保護者として一緒に聞いていたレナを説得しようとしていたが、レナはレンの人生はレンだけが決めるものと言って説得に耳を貸さず、更には業を煮やしたレンがさらけ出す膨大な殺気やレナがさらけ出す膨大な威圧を纏った微笑みに圧され、逃げ帰ったという逸話もあった。
「ねぇねぇ、レンちゃん。ずっと気になっていたんだけど、どうして遊撃士になろうと思ったの?」
「ふむ……それはわしも常々疑問に思っていたな。お主程の才能があれば選択肢は色々あったろうに何故、その年で危険な仕事でもある遊撃士を選んだのじゃ?」
孫娘の疑問を聞いたラッセル博士は頷いた後首を傾げてレンを見つめた。
「そうね……お兄様やパパの背中を見て選んだっていうのもあるけど、一番の理由は遊撃士がレンに”本当の幸せ”をくれたことよ。」
「ふえ……?”本当の幸せ”??」
「む……?」
レンが口にした訳のわからない答えにティータとラッセル博士はそれぞれ不思議そうな表情をした。
「ティータになら前に一度話してあげた事があるでしょ?レンの”偽物の家族”のことを。」
「あ……………」
以前親友と親友の家族であるルークやカシウスと全然似ていない事を疑問を抱き、その事をレンに聞いた後、レンの口から語られた”昔の家族”の話を思い出したティータは気まずそうな表情をし
「…………………」
カシウスやルークからレンの”事情”を聞いていたラッセル博士は真剣な表情で黙ってレンを見つめていた。
「”あの人達”に捨てられてから、レンはずっと願っていたの。”本当の家族”が迎えに来ますようにって。そうしたら遊撃士のお兄様がレンを迎えに来てくれて”本当の家族”――――レンの”本当の幸せ”をくれたの。だからお兄様がレンを迎えに来たきっかけを作ってくれた遊撃士には感謝しているのよ。」
「レン………」
「ふむ……それがお主が遊撃士になる事を決めた”きっかけ”という事か?」
レンの話を聞いたルークは静かにレンを見つめ、ラッセル博士はレンに問いかけた。
「ええ。―――勿論、他にも理由があるけどね。」
「ふえ、まだあるの?」
「ええ。遊撃士は色々”しがらみ”があるとはいえ、他の組織と比べると”自由”だし、それに天才美少女遊撃士ってステキだと思わない?」
「レ、レンちゃーん。」
「ハア、自分で”天才”とか”美少女”とか言うか、普通……?」
「しかもそ奴の場合は、事実だから洒落になっていない所が笑えないの。」
重々しい空気を吹き飛ばすかのように笑顔で答えたレンの話を聞いたティータは冷や汗をかいて脱力し、ルークは呆れた様子で溜息を吐き、ラッセル博士は苦笑していた。
「そう言えばお兄様。エステル達の事、博士たちに言わなくていいのかしら?」
「っと、そうだったな。実は……」
レンに促されたルークは自分達と同じカシウスの子供であるエステルとヨシュアが準遊撃士になり、修行で各都市を回る事になる二人がいづれツァイスに訪れる事を説明した。
「ほう。ようやくカシウスの残りの子供達の顔を拝める訳じゃな。」
「わぁ……レンちゃんのもう一人のお兄さんとお姉さんが来るんだ。一体どんな人達なのかな?ドキドキ……」
話を聞き終えたラッセル博士は目を丸くし、ティータはまだ見ぬ親友の家族の顔を思い浮かべていた。
「うふふ、エステルはそそっかしいけど笑顔が似合う明るいお姉さんで、ヨシュアはカッコイイお兄さんよ?」
「もし二人が何らかの理由で博士を頼ってきたら、できれば聞いてやってくれねぇか?」
「ふむ、まあいいじゃろう。」
その後ルークとレンはしばらくラッセル家の世話になりつつ依頼をこなしていった。
そんなある日、カシウスより手紙が届いたことにより、2人が今、静かに動き始めているリベールの闇にかかわることになる…………
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第15話