第一章‐壱話 『 荒野に降り立つ御使い二人 』
「んっんん~。あれ?どこだここ?」
「なんだ、やっと起きたか。」
目を覚ました時目の前には青空が広がっていてそのおかげで自分が外にいてかつ仰向けに寝ていたのだと一刀は理解した。
対して一刀より先にめを覚ましていたらしい和輝は胡坐を掻いて煙管を吹かしていた。
「今何時?」
「大体昼過ぎくらいだな。」
和輝は懐から時計を取り出して一刀に答える。
「…なんで懐中時計?」
「こういう半永久モンはいざって時に役に立つんだよ。値は張るがな。」
「なんかたまに和輝と住む世界の違いを感じるんだけど。」
「そりゃ気のせいだ。」
そう言っておどけた調子で言ってのけると懐中時計を懐に仕舞い込む。
「それより翁にもらったモン開けてみろよ。」
「あ?あぁ~あ。」
和輝に言われて、思い出して傍らにあった桐箱の蓋を開ける。その中には一振りの刀が納められていた。鞘は白塗りの鉄拵え、鍔と柄頭には龍の装飾が施されているそれ以外には目立った装飾は無いシンプルな造りだった。その刀を鞘から抜き放つ。反りはやや深く、幅広の大段平造りの薩摩刀でその刀身は日の光を受け眩く輝いている。
「かなりのモンだなぁ。俺のと同じか、下手すりゃそれ以上の業物だぜ。」
「ああ、それに不思議と手に馴染む。」
「もしかしたらこの件、翁も一枚絡んでんのかもな。」
言われてみれば確かにそうだ。訳も分からず『外史』に送られて、しかも祖父からは和輝曰く業物であるという刀を贈られた。考えてみれば確かにタイミングがいい。だが、今それを確かめる
「それで、これからどうしようか?」
「その前に客みたいだな。」
煙管を仕舞い、見据える先に三人の男がいた。
一人は太った奴、もう一人は背が低い、最後の一人は髭面の中年だ。
「おい、兄ちゃん達。随分珍しい格好してるじゃないか。その服と金目の物全部置いていけば、命だけは助けてやるぜ。」
「アニキの言うとおりにするんだな。」
「チッ、三下かよ…。」
いかにも小悪党らしいセリフに和輝は吐き捨てるように呟くと刀を持ってゆっくりと三人組に近づいて行く。
「ちょっ、なにするつもりだ?」
「心配すんな『オネガイゴト』は得意分野だ。」
なんだろう、ものすごく頼もしいはずなのに嫌な予感しかしない。
「おう、オッサン達、邪魔だから失せろ。」
案の定、早速喧嘩売りましたよ。相手は…まぁ見なくても分かる気がするけど一応見てみると、思ったとおり顔が赤くなるくらい怒っていた。
「―てめぇ!ナメてんのか!」
どうやら完全に怒りを借ったらしく中年の男は剣を抜き、それに倣うようにあとの二人も剣をギラつかせてくる。
「へへっ。どうした?怖くて声も出ねぇか?だがもう許さねえぜ。」
男達は完全に自分達が有利だと思っている。当然だろう、男達は既に抜刀しているのに対して和輝は微動だにせず、今だに刀は鞘に納まっているのだから。だが、和輝が得意としているのは居合いでありわざわざ抜刀して構える必要は無く。つまるところとっくに臨戦態勢なのだが、そんなことなど男達は知る由もない。
「血で汚れるがしかたねぇ。てめぇら!やっちまえ!」
「――
三人が斬りかかるが、和輝が低くそう呟くとほぼ同時に三つの火花が散る。
男達が振り下ろした剣には既にその刀身は無く、何をされたのか理解できていないようである。
「もう一回だけ『オネガイ』してやる。」
「ひっ。」
「―失・セ・ロ…!。」
「「「すんませんでしたーーー!!」」」
決して怒鳴ったわけではない。だが、背筋に寒気すら感じさせる和輝の『オネガイ』に男達は我先にと逃げ出していった。
後には荒野に二人の男が残った・・・
あとがき
気付いたら『Re:道』の序章が閲覧数500超えててびっくりした。昨日の早朝に投稿したやつなのに(ちなみにツナまんの作品平均閲覧数だいたい300前後…)
思いのほか多くの方に呼んでいただけてうれしいかぎりです。
てな訳でとりあえず今回は外史入りの部分だけ書いてみました。
次回は恋姫キャラとの絡みです。
では、また次回!
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今回は外史入りの話になります
『Re:道』と書いて『リロード』ということで
注:リメイク作品です。オリキャラが出ます。