No.639688 【獣機特警K-9ⅡG】狙われた鉄路 Part2【交流】2013-11-24 22:57:44 投稿 / 全8ページ 総閲覧数:721 閲覧ユーザー数:673 |
相次ぐ列車脱線を受けて、トリッカーズは動いていた。
「こちらディア。ヴィクセン、聞こえる?」
「感度良好。状況はどうですか?」
トリッカーズはスーツに仕掛けられた極秘通信機を使って連絡を取り合うことができる。
怪盗ヴィクセンと通信をしているのは怪盗ディア。
「東駅から中央駅までのエリアは異常なし」
「そうですか…何か手がかりがあるはずです。南方向はどうです?」
ヴィクセンは通信の相手を南方向にいるルプスとラピヌに切り替えた。
「見つからなかったらどうしましょ…」
「大丈夫、必ず見つけるさ」
「でも、でも…」
「大丈夫だってラピヌ。俺を信じろ!」
「ルプス…」
「ラピヌ…」
…全くこんなときにまでイチャコライチャコラ。バカップルもいいとこである。
そのとき、ディアの怒号が響いた!!
「遊んでないで状況を報告しなさあい!!」
「「は、はいいいい!!!」」
「え、えー。南部方向は今のところ異常なし。また見つけ次第通信…」
と、ルプスが状況を報告しようとしたとき、メンバー全員にバニーの声が聞こえた。
「こちらバニー、北方向に黒のルートバンを確認!」
「黒いルートバンですって!?」
「線路際にぴたっとくっつくように走って…あ、止まった」
その瞬間、ディアの目が光る。
「バニー、そのルートバンの様子をしっかり見てて」
「うん…あ、待って!中からなにか降りてきたわ!!」
バニーがいたのは車両基地のすぐ近く。
このあたりは基地の周りが木々の生い茂る小高い丘に囲まれた地形であり、
バニーが発見したという黒い車は、車両基地からは見えない位置に停車していたのである。
そのとき、ルートバンの中から、一匹のオオカミが降りてきた…。
「あのオオカミ一体何かしら?」
「オオカミ?なんで車の中からオオカミが…?」
「さぁ…あ、車両基地の方に向かっていくわ!」
オオカミは車両基地の方へ向かっていくと、出発していく直前のアーバンコミューターの先頭車両の台車に2、3回触れ、
かと思うとすぐに車のほうへ引き返していった。
「…こちらバニー。オオカミが車に戻ったわ」
「そう…それで記録はしっかり取れたの?」
「大丈夫。髪飾りに仕掛けたマイクロカメラでバッチリ録画済みよ」
「おおっ!それは本当か!!」
「こちらヴィクセン。バニー、ご苦労様です。あとはこれをラミナ警察署に」
そう言うと、トリッカーズの5人は軽快な足取りでその場を立ち去ったのだった。
…数時間後、ラミナ市北部にあるスワニーパーク駅でアーバンコミューターが脱線、対向線を走っていた別のアーバンコミューターと正面衝突する事故が発生。
その事件は直ちにラミナ警察署に報告された。
「…というわけだ。エルザ署長から聞いたとおり、ここのところアーバンコミューターやFREXの脱線事故が相次いでいるけど、今日もまた事故が発生した…」
事故の状況を説明するクオンの表情は険しかった。
「でも、レールに異常は見つからなかったんでしょ?」
と、K-9隊のベルタが答える。
「そうなんだ。でも、事故が起きる直前にレールが何者かによって剥がされた形跡がある」
「じゃあ誰かが人為的に?」
と、イシス。
「そうとしか考えられないんだ。でも知ってのとおり鉄道用地に入ってこのような工作をすれば保線作業員が気づくはずだし…仮に入りこめたとしても列車が運行中の線路に入れば危険なことぐらいは…」
「それじゃやっぱり事故なんですね。誰かが手ぇ抜いてるんだ!」
と、ミライが拳を突いて声を上げる。クオンは頭を抱えてため息をつきながら答える。
「あのさ…最後まで聞いてよ。関係各所の話ではそういった人為的なミスはないって言うし、ファンガルド鉄道の線路整備も完璧だったって話だ。不正はらしい不正は見当たらないな」
「しかし内部犯って可能性もあるでしょ?」
と、ジョニー。
「その可能性も否定できないけど…ともかく日常点検のミスが原因でないってことだけは確かだ」
と、クオンが捜査に乗り出そうとしたとき、どこからともなく声が聞こえた。
「そう、これは事故ではありませんわ」
「その声は!」
「怪盗ヴィクセン!?」
K-9隊が振り返ると、そこにはトリッカーズの怪盗ヴィクセンが立っていた。
「辺りが暗くて鮮明な映像は映せませんでしたが、バニーがこのディスクに証拠を捉えています」
そう言うとヴィクセンはクオンにメモリディスクを投げ渡した。
「ヴィクセン…」
「…さて。届けるべきものは届けました。これにて失礼いたします…とうっ!!」
「あ、待て!」
ヴィクセンは、メモリディスクを渡すと風のようにどこかへ消えていった。
「…また、トリッカーズにしてやられたわけですね隊長」
「どうやらそのようだ。とにかく中身を見てみるんだ」
クオンはプロジェクタにメモリディスクを差し込み再生した。
「これは…」
映像には、小高い丘に停まっている一台のルートバン。
その荷台からオオカミが飛び出してきたかと思うと、車両基地の方へ走っていく。
そして出発しようとするFREXの台車に数回触ったかと思うと、そのまま引き返して車のほうへもどっていったのだ。
「あのオオカミと車…怪しいな…」
「でも犯人はわからない…決定的な証拠にはならないんじゃ…」
と、ソウとタツヤが映像を見ながら考え込んでいた。
その時、K-9ルームのドアが開き、ミンスターが息を切らして駆け込んできた。
「皆さん大変です!今回脱線した車両の先頭台車を調べてみたところ、妙な物が!!」
「妙なもの?」
「ええ、この鉄道は運行状況を車両と地上センターとにあるコンピュータ同士の通信で把握しているんですが、都市部エリアに入った途端にこの装置が作動したようです」
ミンスターが持ってきたのは、脱線した車両に取り付けられていた謎の機械の残骸だった。
「相手もずいぶん物騒なもの持ってきたわね…」
と、ソラ。
「やっぱり、あのオオカミが積まれていたあの車が怪しいですね…」
と、ナタリア。
「ふーん…これはますます捜査の手を緩めるわけに行かなくなってきたぞ…」
中央ロビー。
「…で、犯人探しをしているんだけど手がかりゼロでさ…」
と、クオンがライドアーマー隊のリクに話す。
「そうだったんですか。やっぱりあの連続脱線は仕組まれた罠…」
「そうとしか考えられないんだ。だけどトリッカーズが持ってきた情報だけじゃまだ証拠が不十分だ。確証がなきゃ、警察としても動けないからな…ん?」
ロビーに設置されているテレビが、あるコマーシャルを映し出していた。
「アヌビス350Mか。アヌビスモーターズめ、こんな時にまで商売熱心だな…」
「仕方ないですよ。折からの鉄道連続脱線もあって、バカみたいに売れてるって言いますし」
「…そうか…ん?…鉄道連続脱線…そして飛ぶように売れるアヌビス350M…まさか、な…」
クオンが何かを思い出したかのように立ち上がる。
「どうしたんですかクオンさん?」
「いや、ちょっとね…僕とした事が諦めかけるなんて…。もう少し捜査してみるよ。ありがとうリク!」
「は、はぁ…」
クオンが再びK-9ルームに戻ると、なにやら様子が騒がしかった。
「みんなどうしたんだ!?」
「イシスさんが、何かに気づいたみたいなんです!」
「なんだって?イシスさん、一体どうしたの?」
「ええ、まずはこれを見て欲しいんです」
映し出されたのは先ほどのオオカミの映像。
「このオオカミ、何か変じゃありませんか?」
「変?」
「ほら、野生のオオカミに比べて動きが少々ぎこちない。まるで何者かに操られているみたい…」
「操られている…ってことは」
「おそらく、マリオネット(遠隔操作ロボット)でしょうね。それと首元に妙な物が…」
イシスが映像の中のある部分を指差した。それはオオカミの首元である。
暗くてわかりづらいが、銀色の首輪が光っているのが確認できた。
「首輪?」
「はい。これは間違いなく野生のオオカミじゃない。しかも…」
イシスがその首輪の前面部分をアップにすると、そこには驚くべきものが映し出されていたのだ!!
「こ、これは…」
「アヌビスモータースのマーク!!」
「そうか!だんだん見えてきた…この
何者かによって仕組まれた連続脱線。その真相がついに明らかになる!?
次回、解決編!
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■出演
K-9隊の皆さん
およびトリッカーズの皆さん
リク:http://www.tinami.com/view/556937
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