No.640010 【獣機特警K-9ⅡG】狙われた鉄路 Final Part【交流】2013-11-25 23:53:34 投稿 / 全8ページ 総閲覧数:733 閲覧ユーザー数:679 |
…アヌビスモーターズ本社工場。
「社長、今度の脱線装置もうまく作動してくれましたよ」
と、少々太ったブルドッグ形ファンガーが社長らしき人物に声をかける。
「そう、ご苦労様」
そのテーブルに座っていたのはジャッカル形ロボットの美女。
彼女こそ、アヌビスモーターズの社長、
「ふふふ…列車の脱線が続けば、やがて人々は鉄道へ不信感を募らせる。そうすれば車を買いに来る客が増えるってわけ…」
と、冥華はタバコをふかすと立ち上がりながら叫んだ。
「そこに私たちが次々に車を売りつければ、そうよ!どんどん利益が上がる!大もうけよ!!あーっはっはっはっは!!」
冥華が大笑いをしていたそのときである。
「なるほどな、やっぱりあんたらの仕業だったってわけか」
入ってきたのはK-9隊の中でも経験豊富なベテラン勢・クオン、イシス、ジョニーの3人だ。
「あら、警察が何の用なの。あなた方を呼んだ覚えはないわよ!!」
怒鳴り散らす冥華に、ジョニーとイシスが喰らいつく。
「お生憎様、こちとらネタはあがってるんでね」
「つまり、自分のところの車を売りつけたいがためにわざと列車を脱線させたというわけね」
「あら、それがどうしたというの。残念ながら350Mは絶賛完売続出。私を逮捕したところで止められやしないわ」
と、なおも悪態をつく冥華。そのときオフィスの天井から声が聞こえた。
「ふふふ…果たしてそう上手くことが運びますかな、美人社長どの」
「なっ!何者なの!?」
突然の出来事に冥華は動揺する。声の主はK-9隊も聞き覚えのあるあの男だった。
「おまえは!」
「怪盗ノワール!!」
ノワールはクオンに話しかける。
「失礼。私も少々気になることがあって調べていたのですが…このアヌビス350M、実に厄介な車でしたよ」
「厄介!?どういうことなんだ?」
クオンが訊ねると、ノワールは数枚の図面を持ち出した。
「こちらが今回ヒットを飛ばしているアヌビス350M…そしてこちらはベティ社の主力商品で大人気のモデルであるセリア」
と、ノワールが図面を見せた途端、イシスとジョニーが何かに気づいた。
「ああっ!?こ、この2車種って…ほとんど設計が同じだわ!!」
「ホントだぜ!フロントとリアをちょっと弄ってるだけで、スペックもまるでそのままじゃねえか!?」
「ええ。しかも部品はベティ社の純正ではなくより廉価な部品を使って仕上げている…」
その話を聞いていた冥華はすぐに切り返す。
「フン、設計が同じ車なんてどこのメーカーでもあるじゃないの。OEMとか、共同設計とかでね」
「いいえ。ベティ社のデータを調べてみたところ、そのようなOEM提携を行ったという情報はありませんでしたよ。つまり…」
「…無断でベティ社の設計データを盗み出して作ったのが350Mってわけか…!」
クオンが、イシスが、ジョニーが冥華に詰め寄る。
「うっ、くっ…!」
「さぁ、観念してお縄につけ!!」
「不正競争防止法違反、ならびに列車転覆致死罪の現行犯で逮捕します!!」
「あと一歩…あと一歩というところで…!くっ!!」
冥華は懐から円筒形の物体を取り出すと、床面に叩きつける!!
「うわっ!ゲホ、ゲホ…イシスさん!ジョニー!大丈夫か!!」
「ま、前が…ゲホ、ゲホ…見えません!」
「くそっ…あいつどさくさに紛れて逃げた…ゲホ、ゲホ…ドコ行きやがった!!」
すると、いつの間にかマスクを着用していたノワールが窓の外を指差す!
「あそこです!彼女は車で逃亡を図りましたよ!」
「なんだって!?すぐに追うぞ!!」
「了解!…感謝するわ、ノワール」
「どういたしまして。くれぐれもお気をつけて」
K-9隊は付近に止めてあったナインチャリオットで追跡に向かった。
ノワールはそれを見届けると、また風のようにどこかへと去っていったのだった。
「待てっ!焔堂冥華!!逃亡しても罪が重くなるだけだぞ!!」
クオンが冥華の乗った車に向けて怒鳴りつける!3台のパトカーが、距離を詰めていく。
「くそっ!くそっ!アタイの、アタイの夢が…こんなところで、こんなところで!!」
冥華はハンドルを右へ左へ切り、必死で振り切ろうとする。
「ジョニー!体当たりしてアイツの動きを止めろ!!」
「ラジャー!!」
ジョニーのチャリオットが冥華の車の右側に回りこんで、ハンドルを左に切る。
激しくぶつかり合う逃亡車とパトカー。
「ち、畜生がぁ!!」
「うわ!!」
「ジョニー!!おのれ…危険運転と公務執行妨害も追加だ!!」
3台は再び体勢を立て直すと、右側車線へと追い詰めていく。
「このままじゃ…そうだ、アレだわ!!」
冥華は右へ分岐する横道へと急ハンドルを切り、3台のチャリオットを振り切ろうとする!!
「くそっ!右に逃げましたぜ隊長!!」
「あわてるな!ナインチャリオットの機動力を見せてやれ!!」
3台もやはり急ハンドルを切り、細い路地へと入っていく。
だが、そのカーチェイスも長くは続かなかった。
追い詰められた先は工事中の立体交差。完成すれば道路が線路の上をまたぐ陸橋になる場所だ。
「うっ…こんなときに限って…!!」
途切れた道の手前ですっかり追い詰められた冥華。
「さあ、もう観念したらどうだ!!」
クオンたちも車を止めると、すぐに車外へ乗り出し冥華の車へ近づく。
しかしその瞬間、冥華の車が突然動き出した!!
「なっ!?」
「ウソでしょ!?行き止まりになってるのが見えてないの!?」
「血迷ったか!無駄な逃亡はよせっ!!」
「あははは!そう簡単に捕まるもんですか!!」
3人の声にも耳を貸さず、冥華は車のアクセルを全開にして発進したのである!!
だが、彼女が線路に差し掛かったその時、イシスが線路上の移動物体に気づいた。
「あれは…アーバンコミューターだわ!!」
「なんだと!?おい止まれ!!列車が来てるんだぞ!!止まれー!!」
クオンが叫んで間もなく、金属同士がぶつかる音がして冥華の車の右側面にアーバンコミューターが激突。
そのまま10メートルほど進んだところで停止したのである。
「はぁ、はぁ、ちくしょう…うう、ちくしょう…!!」
冥華は、どうにか這い出すとそのまま車を乗り捨て、なおも逃亡を試みる。
「逃げてやる…、この地平の果てまで逃げて…」
「待て!もう逃げられないはずだ!!すぐに引き返せー!!」
クオンの声も聞かず、冥華は破損した右肩を押さえてさらに線路の奥へ奥へと歩いていく。
だがその逃亡劇も、これまた長くは続かなかった。今度はFREXが冥華めがけて迫ってきていたのである!!
「え…そ、そんな…ウソよ!ウソ…!!」
と、言い切らないうちに、冥華にFREXが衝突。
衝突の衝撃で冥華の身体は次々に砕け、その配線が火花を上げて千切れていく。
美しかった腕が、脚が、みるも無残な残骸へと姿を変えていく。
あんなに美しかったジャッカル形ロボットの女が、ほぼ一瞬のうちにガラクタと化したのである。
悪徳女社長の最期にしては、なんともあっけない幕切れであった。
それから数日。アヌビスモーターズは度重なる不祥事が原因で業務停止処分が下され、強制的に解散となった。
…さらに数日後、カフェ・ラ・ヴォルペ。
「…そんなことがあったんですね…」
と、モニカがクオンに話しかける。
「ああ。一連の連続脱線はすべてあの女社長が仕組んだものだったんだ…自分の金儲けのために大勢の命を犠牲にした…」
そこに、リクが声をかける。
「結局、目の敵にしていた列車に轢かれて死ぬなんて、皮肉なもんですよね…」
「なるほど。列車を笑うものは列車に泣く、ってわけね!」
「おいおいモニカ、上手いこと言ってる場合じゃないよ。大変だったんだから!」
「えへへ、そうでしたクオンさん」
談笑しているリク、モニカ、クオンの3名。
その傍らにあるテレビには、ある会社のコマーシャルが流れていた。
『安心、安全、そして正確。ご旅行ご出張には、便利で快適な鉄道をぜひご利用ください!!』
『』
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いよいよ完結です。
■出演
クオン:http://www.tinami.com/view/551025
イシス:http://www.tinami.com/view/609970
ジョニー:http://www.tinami.com/view/552054
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