No.631220

超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ルウィー編

さん

その11

2013-10-25 17:56:14 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:442   閲覧ユーザー数:440

突然消えた空の行方が気になる所だが、俺達はランドームシティを離れて別の町に移動していた。

本来大陸一つにしかない教会だが、ルウィーの街は自治都市として幾つも教会が存在する。

謎の失踪事件は混乱を避けるために秘密裏に処理されている。俺達は近く変わった事がないかを調べるために個人的に特に怪しいと思う裏では、ギルドと繋がりがあるといわれる町にやってきた。昔、大陸を回っていたことがあるので、ギルドが多く住んでいると言われる町を俺は知っていた。

 

「ギルドって確か自分の住んでいる大陸の女神様を信仰しない人達のことでしょ?」

 

「所謂、お尋ね者ね」

 

「だ、大丈夫なんですか?」

 

「何が合っても俺が守ってやるから安心しろ」

 

不安がるコンパの頭をポンポンと優しく叩くと顔をほんのりと紅くした。このメンバーの中で一番ひ弱な彼女だ。ここはこのパーティー黒一点である俺が守らないとな。

 

「むぅ……こぅちゃんって特にコンパを特別扱いするよね」

 

「そうか?んー……でも、特に何にもない所でも転びそうだから心配になるんだよな」

 

「あー、分かるわ。コンパって天然系だからね」

 

何故か口を尖らせるネプテューヌ。コンパは恥ずかしそうに更に顔を真っ赤に染めた。アイエフは俺が言ったことに同感するように腕を組み深く頷く。白い木々が立ち上る雪道を歩いていると要約開けた場所に出た。

ランドームシティより小さいがそれども耳を澄ませば、人々の声が聞こえる活気あふれた町だ。

 

「今更だけどね。実は私はギルドのメンバーなの」

 

「「えっ?」」

 

「……そうか」

 

頬を掻きながらアイエフは静かな声音で告白した。コンパとネプテューヌは目を丸くした。

 

「紅夜は驚かないの?」

 

「いや、自信ある訳じゃないけど、アイエフお前ってルウィー出身だろ?」

 

「!」

 

アイエフが驚く様に目を開く、ネプテューヌ達もそうなの?と疑問の眼差しを向けた。

 

「どうして…分かったの?」

 

「大陸を旅しているって聞いていたが、ルウィーに来た時のお前の行動は機敏だったからな。雪国に生まれ育ったならそうなるだろうと思って……後は、お前がグリーンハートを信仰していることくらいか?」

 

「……紅夜は名探偵か、超能力者なの?」

 

降参するようにアイエフは手を上げた。

ラステイションでグリーンハートのことを聞いてきた時の反応はどう見ても、信仰していますって感じだった。

 

「至って普通のモンスターハンターだ」

 

デペアか送られる思考波、そして全員が俺の言葉を否定するように手を振っている。そんなに変なことを言ったか?

 

「とにかく、この町については紅夜より知っている自信があるわ。ギルド所属として、ちょっとした集まりもあるし、私はちょっと一人で情報を集めてくるわ」

 

「えー、一緒にはダメなの?」

 

「さっきも言ったけどギルドはよそ者には敏感なのよ。あまり上下関係のない組織だけど、流石に手順があるわ。今回は勘弁して……それにちょうど三人っきりでしょ」

 

最後の部分だけ何故かコンパとネプテューヌの近くに言うので聞き取りにくかった。女性同士秘密事か?ならば、俺は不干渉で聞こえないふりをしておこう。アイエフは手を振りながら人混みに消えていった。残されたのはネプテューヌとコンパだけだ。以外にこれまでなかった組み合わせだ。

 

「えい!」

 

元気な声と共にネプテューヌが右腕に抱き着いた。

 

「あ、あの……手を繋いでいいですか?」

 

「あ、ああいいけど…」

 

頷くとコンパが空いた左手に手を伸ばして絡ませてきた。

 

 

ーーー世の中の男が見たら、嫉妬のあまりグールの如く狂い襲ってきそうだ

 

 

頭の中でデペアがそう語った。確かにいきなり周囲からの視線から殺意と敵意が混じった恐い眼光が刺す様に向けられる。この状況は、小説などで見た両手に花状態なんだろう。主に左からの柔らかい感触が物凄く気になる。

 

「こぅちゃん、鼻が伸びてる」

 

「そ、そんなことはナイゾ…」

 

いかんいかん、煩悩は切り捨てろ。

アイエフがいなくなった瞬間の行動には、絶対に訳があるはずだ!コートの機能が暴走したのか体中が熱くなっていく主に顔に血が集まっている感じだ。だから、冷静になれ!そして俺はこの甘い匂いがする二人に震えた声を出した。

 

 

「新しく来た町だから、迷子にならないためか?ははは、お前ら子供か」

 

そう言った瞬間、二人が俺の足を思いっきりに踏んだ。なぜ………?

 

 

 

 

 

 

 

ガリガリガリガリガリ。

 

 

暗い空間の中でコツコツと歩く音が空間に響く。そして嗚咽に顔がぐしゃぐしゃになった男性が逃げ場を失い壁に縋りつく様に手と足を動かす。全ては、死神とその横にいた見たこともない剣を持つ男性から逃げるために。

 

「ち、ちくしょう……ど、どうして……!」

 

ある日のことだ。謎の男から上物の女達を渡され、金に換えてくれと依頼された。幼い女から熟女まで揃って、そういう趣味をしている(・・・・・・・・・・・)奴らは、喜んで汚い金をどんどん渡してくれるこの仕事は、常に危険と隣り合わせだ。支配人ーーー彼は最初、その男の依頼を断った。近く、孤児院が潰れたなど聞いたことがない、なにより商品として出す彼女たちは、まるで愚人形の様に静か過ぎたからだ。お客を喜ばす要素として容姿は第一条件だが、表情や感情も重要だ。家族の為か、それとも借金に追われて人生を諦めたか、仕事上で山ほどのそういう女を見たことがあるが、数十人が感情があるか怪しむほどの反応だった。謎の男から開示された情報は、完璧だったが完璧しすぎて逆に不安が溢れた。

 

だが、悩む彼に謎の男は微笑んだ(・・・・)

 

それを見た時、彼は頭に浮かんでいた疑問が嘘の様に消えた。着々と話が進んで、気分が今までにないほどに爽やかになり、いままでしなかった商品を少しいただいた。最高に気持ち良かった。

 

 

ガリガリガリガリガリ。

 

 

いつも時間と場所。

相場が始まる。

彼は、今日の売り上げを期待していたがーーーお客様は何故か二人だけだった。それも見ない服装だった。

白いコートで性別すら分からない。見た所シンプルだが貴公子を連想させる美しさがあった。もう一人は執事服を着た彼の執事だろうか?とにかく気味が悪いほど感情がない商品をステージに並べて値段を開示すると突然歩き出した。その足先は商品ではない、自分だった。

 

フードから微かに薄暗い空間でも、はっきりと分かるほどの美しい銀眼が垣間見えた。その瞳に映ったのはーーー間違いなく殺意だった。

 

「はぁ、ハァ…はぁ、はぁ!」

 

理解した時、彼は全力で走りその場から逃げた。生物としての危機本能が叫んだ《殺される》と。

耳に聞こえてしまう、その足音は正に地獄からの招待状を持った死神が逃げられないと囁いているように聞こえた。

会場を飛び出し、路地裏に隠れる。ゴミの生々しい臭いがする。吐き気がする。痒い痒い痒い。

 

 

 

ガリガリガリガリガリガリ。

 

 

 

「か、ゆい……喉が…痛い」

 

止まらない嘔吐感。息が詰まったように苦しくて呼吸が出来ない。喉に何かが詰まっている早く取り出さないと死んでしまう。

 

「あ…っ……」

 

爪が折れた。痛い痛い。

けど、呼吸が出来ない方が苦しい。

 

 

ガリガリガリガリ、ぷちっ。

 

 

「…………」

 

 

やっと、とれた。つまっていたもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ポチ」

 

「テケリ・リ」『無理です頸動脈を自分で引き千切って絶命です。全くどこのカメラマンですか』

 

心の中で舌を打った。こいつが一番ナイアーラトホテップと接触した痕跡があると思って、捕縛しようとしたら既に怪異に浸食されていた。足が既に人ものではない禍々しい物へと変貌している。妙に足が速かったのもこれが原因か。

 

「テケリ・リ」『私達の魔力に触れた瞬間、自殺を誘発させる呪法が彼の脳に残っています。……しかし』

 

「分かっているよ」

 

その程度で奴の尻尾を掴むほどの情報と痕跡が残っている筈がない。合ったら逆にトラップかと慎重に行動しないといけなかったのでむしろこっちのほうが気が楽だ。

プラネテューヌの一角、誰も近づかないような土地開発半ばで中止になってしまった廃墟と言うべき場所で、ため息を吐いた。

 

「テケリ・リ」『主様、ため息を吐くと幸せが抜けますよ』

 

「そんなんで幸せが抜けるなら、一緒に不幸も抜けてほしいよ」

 

喉を自分の手で掻き毟った狂気の自殺した屍を見つめる。とても幸せなそうな顔で死んでいた。

まるで苦しかったものから解放されたようなそんな表情だ。一応、瞳孔が開きっぱなしの目を隠すように瞼を隠す。喉から見える血管から湯水のように流れて名も知らない彼は血でその体を汚していく。

 

「こいつの家族は?」

 

「テケリ・リ」『リンダ……っという幼い娘がいるそうです。既に離婚して元奥さんは薬で発狂死しています』

 

「なるほど、話は変わるけど、こんな仕事をしているんだ。こいつはかなりの蓄えあるんじゃない?」

 

「テケリ・リ……」『いえ、儲けた金のほとんどは酒と女に注ぎ込んでいたようで……』

 

「はぁ……じゃ、僕の口座から成人になるまで困らない程度の必要金を出して渡しておいて、こいつが娘に愛情があったかは確かめようがないけど、それぐらいはしておこう。看取った側として」

 

「テケリ・リ」『ふふ、分かりました』

 

……なんで笑うんだろう。この従者(ポチ)は。

 

「あの女たちに掛けられた洗脳呪法を壊して記憶操作をするよ。体調がちゃんと回復するまではそっちで預かっておいて」

 

「テケリ・リ」『御意』

 

空を仰いだら、不潔を呼ぶような灰色の空が覆っていた。

一雨来そうだ。大きい所は、ここで終わりのはずだ。後は小さい所を虱潰していく必要がある。

隣にいるポチもお体に障りますと言っている。いつの間にかその手には人身売買の会場に突入するときに門番を気絶させたバルザイの偃月刀ではなく、市販の傘が握られていた。

 

「どこに隠していたの?」

 

「テケリ・リ♪」『執事だからこそ成せる技です♪』

 

そりゃすごいと棒読みに評価して、死体を保有空間に入れる。

血は、それほど地面には流れていないので、雨が少しでも降れば洗い流してくれるはずだ。

 

「行くよポチ」

 

今頃、紅夜は何をしているんだろう?生真面目に情報を探して怪異に一歩踏み出さないでほしいけど……。

うん、なんか考えていたら絶対に足突っ込みそう、そう考えるととても不安になってきた。早く終わらせて合流しようっと。

 

 


 
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