場面変更するために多少文章が長くなったかも。
とまぁ、これが本来の百十一話です。
次は百十四話の内容を書く予定です。
それではどうぞ!!
「なに、これ……」
デュナ・シルフィアとリィナ・シルフィアの二人の姉妹は目の前の光景に驚きを隠せないでいた。
二人がエメリア・ラスティルから言われた場所へと向かうと、フィルノ・オルデルタとアリシア・テスタロッサが地面に倒れており、倒れているアリシアに向けて女性が向かっている姿が見られた。
その彼女の顔立ちをシルフィア姉妹は知っていた。だからこそ、この光景には驚いていた。
「…………」
その彼女――アマルナ・ラスティルはシルフィア姉妹たちの存在の気付いたのか、アリシアに歩いていた足を突然止め、シルフィア姉妹の方向へと体を向ける。
こちらに体を向けてきたことにシルフィア姉妹はすぐに構え、いつ何が来てもいいように準備した。
「……対象者、デュナ・シルフィア、リィナ・シルフィアの二名を確認。アリシア・テスタロッサは即座に立ち上がれないため、フィルノ・オルデルタと同様、殲滅を後回しにしてデュナ・シルフィアとリィナ・シルフィアの二名の殲滅を最優先にします」
その言葉の直後、アマルナは一瞬にしてその場から姿を消し、デュナの目の前に現れて即座に蹴りをかまして吹っ飛ばす。
「がっ!?」
「お、お姉ちゃん!?」
突然の出来事にデュナはあまりにも理解できておらず、リィナはお姉ちゃんが吹っ飛ばされたことにすぐさま気づき、思わず叫んでいた。
さらなる追撃をかますためにと、アマルナは即座にデュナへと一瞬で近づき、腹に向けて思いっきり殴る。
「がはっ」
防御させる暇もなく、今度は地面に体を何度もぶつけていきながらデュナはさらに吹っ飛ばされた。
「……お姉ちゃんに、これ以上攻撃するなぁ!!!!」
自分の姉の姿を見て、リィナは切れていき、エンドレスケル・シューティングをアマルナに向けて大量に放たれた。
ティアナ・ランスターみたいに意識を集中していなければ気付かれないような魔法であるため、背後を向かれていたりしていたら避けることもできない。そのため、アマルナはリィナの攻撃を直撃するまで気づかず、デュナの目の前に移動したときにリィナの攻撃を受けることとなった。
「っ!?」
突然の攻撃に驚かされ、もろに直撃を受けたアマルナではあるが、あまりにもダメージが少ないように思えた。リィナは殺傷設定で攻撃し、さらに直撃をしたというのにもかかわらずほとんどダメージがないことに驚いた。
そして、リィナはデュナへの追撃をやめ、リィナの方へと体を振り向けた。その視線を見たとき、リィナは恐怖し、体が動かなくなるほどだった。
別に彼女の視線が怖いというわけじゃない。彼女から出す威圧による恐怖であり、先ほどのダメージを与えられていないことからもして恐れてしまったのだ。
「……リィナ・シルフィアからの攻撃を確認。デュナ・シルフィアの殲滅よりも、危険度の高いリィナ・シルフィアの殲滅を優先します」
「い、いや……こないで……」
先ほど、管理局員を殺したときのようなリィナの顔とは違い、爆弾などが爆発して怯えるような少女にしか見えなかった。
だがアマルナがリィナに向けて歩き出そうとしたとき、右足首を何者かに捕まれるような感覚を突然と感じた。すぐに足首を確認すると、アマルナの足首を掴んでいたのはデュナだった。
「……フィ……ルノや……ア……リシアさん……が倒れ……てた……ことから……なん……となく……危険……だと……思った……から……」
「お、お姉ちゃん!!?」
デュナ・シルフィアは魔導師ランク的にもない。フィルノだって攻撃に特化していなくても相手を操るほどであるし、アリシアもフェイトの魔導師ランクからして努力してかなりの実力をつけているし、リィナに関しては実験によって聖王ナノハ以前のなのは並みに魔力が跳ね上がっている。そんな中でフィルノとアリシアが倒されたということを考えれば、かなりの危険人物だということでありシルフィア姉妹では勝てる要素がないことには気づいていた。
そして、デュナがこのような行動をとることにしたのかと言えば、先ほどのリィナの攻撃を見て気付いたことだった。正確には確証がなかったが、アマルナの足首を掴めたことによって確証が求められた。
操られていると言っても、先ほどから言葉が機械口調のような言い方。多分彼女は近戦のみに特化され、一対一にしか対応できないのではないかと思ったのだ。自分への攻撃から近くにいたリィナへと攻撃をせずに、デュナへ追撃を仕掛けようとしたことリィナの攻撃に気付いていなかったことから推測し、一人ずつしか対処できないようにされていると思ったのだ。今の管理局からしてもあまりにも失敗作のような気もするが、どうしてそうなったのかはデュナにも解らないけども、それは勝ち目があるというチャンスでもあった。
ただ――最初に受けた一撃があまりにも強かったために大幅なダメージを負ってしまったから、何とかして足首を掴むことしかできなかった。それでも、デュナにとってはあまりにも十分な事ではあった。
「足首に障害物有り。ただちに排除します」
「がっ」
空いていた左足首でデュナの頭を蹴り、右足首を掴んでいる両手を話そうとするが、デュナは蹴られても話そうとしなかった。
《リ……ィナ……今すぐ……こいつに……》
「っ!? 分かった!!」
突如デュナからの念話にリィナは多少驚いたが、すぐさま消えていたデバイスが姿を現し、砲撃型のフォームへと変化する。
これがリィナのデバイス――スケルトフィア。元々こんなフォームはなかったのだけども、実験の影響によってデバイスのフォームを増やすしかなかった。
そして、すぐさまデバイスの先で魔力を収束させ、カートリッジを二発使用して一気に打ち放った――
「ディバインバスター・エクステンション――っ!!!!」
魔力光は翡翠色ではあるが、かなりの威力を持ってすぐに動けないアマルナに向けて放たれた。
もちろん、その近くで倒れてアマルナの足首を掴んでいるデュナに砲撃が当たらないようにと気を付けていた。
アマルナはなんとしてでもデュナを蹴って動けるようにとしているが、すでに遅し、先ほど言った通り一つの事しかできないような感じではあったために、リィナから放たれた砲撃も避ける行動は一度もせず砲撃をまともに受けていった。
砲撃を終え、なんとかダメージを与えることができたかもしれないと思ったリィナはほんの少し安堵し、すぐさまデュナの方へと近寄った。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「なん……とかね。すぐに……立ち上がれそうではない……けど……フィルノと……アリシアのほうを……」
「うん、分かった!!」
デュナに言われた通り、リィナはフィルノとアリシアの様子を見に行くことに移動した。
フィルノとアリシアはデュナほど怪我をしているようには思えるが、意識があるし時間が経っていることもあって自力で立ち上がるほどには回復をしていた。二人はリィナの言葉が近くで聞こえるとすぐに立ち上がり、とりあえず立ち上がれないデュナのところへと集まって状況を確認することを始めた。
「どうやらアマルナはリィナの砲撃を受けて死んだようではないが、すぐに意識を目覚めてこちらへと攻撃を仕掛けてくるだろう。そのための作戦会議をしておく」
「とりあえず倒れていたからの状況聞かせて? あまり詳しく様子見れなかったから――」
「それは同意だ。あまりにも早いアマルナをどうやって倒したのかということを聞きたい」
フィルノの言葉でアマルナが復活してからの作戦を模索するようにするが、アリシアからどのようにしてアマルナに砲撃を当てることができたのかということを聞きたいと言われ、フィルノもそれに同意した。
二人に言われたシルフィア姉妹はどうやって砲撃を当てたのかということを説明する。もちろん、デュナがアマルナの行動で気づいたことも――
説明をすべて聞いたフィルノは納得し、頷いていた。
「なるほど、多人数対戦には向いていないのか」
「どうして、そんな風に操らせたのかな? あまりにも不必要な気もするけど……」
「多分、そのようにしなければならない理由があったのだろうな。一体どんな理由かは分からんが……」
と、そのようなことを話し合っていると、何かが立ち上がるような音が聞こえてきた。
すぐにアマルナの様子を確認しようと振り向くと、アマルナが立ち上がっている姿が見え、やはりあれだけでは倒せないかとリィナは思っていた。
すぐさまアマルナと対戦してもいいように構えようとするが、アマルナはフィルノたちの方へと姿を見ることがなかった。アマルナの視線は空を向いており、フィルノ達もいったい何があるのかと顔を向けた。そこにあったのは――上空でナノハがフェイト達と対戦している姿が遠くだが見られた。
先ほどまで平地を見ていたからこそアマルナは気付いていなかったのだが、リィナが放ったことによってアマルナは仰向けとなり、その時にナノハの姿を見かけてしまっていた。
そこでフィルノはある仮定が浮かんだ。アマルナが一対一にしか対応していない理由は、ナノハと互角にわたるためにほかの敵の視線を無視させるためではないかという仮定を――
「……そういうことかっ!!」
操るということは機械を操ると同じようなものだ。システムに組み込まれた内容を行動するようにし、その通りに動かさせるには実際バグというものも存在する。それを回避するために、緊急として一対一の措置を取らざるを得なかったのではないかと。
そう――あの一対一はナノハと対戦した時のことを対応したための措置であり、多人数対戦には向いていない操りにしていた。実際それでもフィルノたちに対しては強かったし、勝てるだろうと思ってそうしたのだろう。
そしてナノハが聖王としての姿へと変化しようと突然輝きだした刹那、アマルナはその場から姿を消すのだった――
時間は少し遡る――
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J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。
その青年はなのはに関わりがある人物だった。
だがなのはにはその記憶が消されていた。
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