No.621951

魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第九十六話 奪われた者達のその後…

神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。

2013-09-23 15:48:05 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:35212   閲覧ユーザー数:31602

 「長谷川君、これまでの無礼の数々、本当に申し訳ありませんでした」

 

 「……………………」

 

 どうも、長谷川勇紀です。

 現在、俺は学校の屋上にいます。理由はとある人物に呼び出されたからです。

 呼び出した人物は暁。

 百合ハーレムを構築しようとしている『自称オリ主』の1人で西条、吉満を『豚』…俺と亮太を『モブ』呼ばわりするあの暁澪本人なんです。

 その暁は今俺に向かって頭を下げ、謝っているのです。

 

 「(……これは夢か?)」

 

 そう思い、自分の頬を抓るのだがしっかりと痛みを感じ、目が覚める気配が無い。

 つまり夢では無く現実なのだ。

 うーん……。

 

 「(もしかしてシュテル達に違った形でアプローチするための下準備とか?)」

 

 その線は有りそうなんだけど、コイツの俺を見る目が今までと違うんだよね。いつもみたいに嫌悪感出したり見下そうとしたりする目じゃない。

 

 「長谷川君は許してくれないかもしれませんが謝らせて下さい」

 

 しかし俺の呼び方が『長谷川君』になってるのが違和感バリバリだ。

 普通なら『モブ』と呼ばれるのより名前で呼ばれている今の方が正しい筈なのに。

 

 「本当に済みませんでした」

 

 「あー…もう良いから良いから。とりあえず頭上げてくれ」

 

 何で俺が罪悪感を感じてるんだろうか?全くもって解せぬ………。

 

 

 

 「……ていう事があって謝られた」

 

 「「「「まさか……有り得ませんね(有り得ないね)(有り得んだろう)」」」」

 

 夕食後…。

 リビングで寛いでる俺は今日の出来事を報告した。

 当然の如くシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリは否定する。

 分かるよ君達が否定する理由ぐらい。今までの暁がアレだったんだから。

 

 「けど事実なんだよ。シュテルは同じクラスだろ?」

 

 「忌々しい事ですが。しかし……」

 

 「「「「しかし?」」」」

 

 何か思い出した様子のシュテル。やっぱ何かあったのか?

 

 「あの女は管理局の仕事があったんでしょうね。昼から登校してきました。けど今日は全く絡まれませんでした」

 

 「「「嘘ぉっ!!?」」」

 

 俺が驚くよりも前にレヴィ、ディアーチェ、ユーリが大声を上げる。コラコラ、近所迷惑にならない程度の音量で頼むよ。

 

 「放課後向こうから話し掛けてきたりは?」

 

 「そんな事になる前に学校から飛び出しましたからね。なのは達はあの女と入れ替わる様に昼から管理局に行きましたし」

 

 つまり誰も暁と話してないのね。

 

 「そういう事です」

 

 「むー…ユウキよ。奴が迫真の演技でお前を騙しているという可能性は無いのか?」

 

 「無い」

 

 俺はハッキリと断言する。

 

 「わ、ユウが言い切ったよ」

 

 「やけに確信的ですね」

 

 レヴィは目を丸くし、ユーリはここまで言い切った事に対し、驚いた表情を浮かべる。

 

 「会話中に日輪庭園(ヘリオスガーデン)使ったけど、心の色の中に『嘘』の色が一切混じって無かった」

 

 「「「「まさか!!!?」」」」

 

 やっぱりそう思いますよね。

 ぶっちゃけ、暁は自分の本心しか喋って無い。

 これで騙されてたとしたら正直凄過ぎるわ。日輪庭園(ヘリオスガーデン)をも騙すとか出来るとは思えんぞ。

 

 「とりあえず本人と出会った場合は話してみて自分で確かめてくれ」

 

 「「「「……分かりました(……りょうかーい)(……うむ)」」」」

 

 未だ半信半疑ながらも頷いてくれる4人。

 

 「おにーちゃん、おはなしおわったー?」

 

 そこへトコトコと近付いてくるルーテシア。さっきまでメガーヌさんと部屋にいた筈だけど。

 

 「終わったよ。俺に何か用?」

 

 「わたしのおみみそうじしてほしいのー」

 

 ルーテシアの右手には耳かきが握られている。

 

 「良いよー。じゃあここに頭のせてー」

 

 俺は自分の太ももをポンポンと叩く。

 

 「はーい!」

 

 耳かきを俺に手渡してからソファの上に乗って寝転がり、俺の太ももの上に頭をのせるルーテシア。

 

 「動いたら駄目だよ」

 

 そう言って耳掃除を始める。

 

 「~~♪~~♪」

 

 気持ち良さそうな顔をしているルーテシア。

 

 「「「「(膝枕に耳掃除のオプション付き……ルー、羨ましいです(ルー、良いなあ)(ルー、役得だな))」」」」

 

 俺に4人の視線が向けられたまま時間は静かに過ぎていった………。

 

 

 

 次の日…。

 

 「……ユウキの言っていた事が本当だったと理解させられました」

 

 「夢を見ていた訳でも無かったな」

 

 「アレ…偽物じゃないよね?」

 

 「今でも信じられないです」

 

 学校が終わり、家に帰ってきた時にシュテル達が言った開口一番が『暁に頭下げて謝られた』との事だった。

 なのは達もその場にいたそうで、謝られた後はしばらく混乱状態に陥っていたという。

 

 「というかホント、あの女に何があったのだ?」

 

 「結局、固まったり放心したり混乱したりで、その辺の事聞きそびれましたもんね」

 

 誰も暁が心変わりした理由を聞いていないらしい。

 確かにあそこまで態度が一変したら気になるわな。

 誰か知ってそうな奴はいないかな?

 

 「あ、でもあの女の態度が変わる前の事だけど、本局の偉い人の部屋にカチコミに行ったらしいよ」

 

 レヴィがハッとして思い出した様に言う。

 

 「本局の偉い人?誰でしょうか?」

 

 「クロノの尊敬している少将さんだったかな確か」

 

 ……オーケー、誰かはすぐに心当たりが付いた。

 けど鳴海少将が暁を呼んだというより、また神様が関わっていそうだ……ていうか絶対関わっていると俺は思う。

 

 「レヴィ、よくそんな事知ってたな」

 

 「コンビニでクロノに会ったんだよ。その時に言ってたから」

 

 コンビニ……リンディさんに何か買い物でも頼まれたのか?それにクロノがいたって事はアイツ、今日は管理局に行ってないのか。

 仕事が休みなのかねぇ?『提督』って忙しそうな雰囲気あるけど。

 

 「…途中で別れたと思ったらコンビニに行ってたのですか」

 

 「また何か無駄遣いしてないだろうな?」

 

 「無駄遣いしようにも今日は財布持ってくの忘れてたから何も買えなかったよ」

 

 『お菓子買いたかったのに…』と肩を落として呟くレヴィ。

 コイツはもう少し、お菓子にばかりお金を使わないで貯金するという事を覚えられないのかねぇ?

 いつも小遣い渡す前には財布がスカスカだからなぁ。まあ、管理局で働いてるお金は地球の硬貨に換金せずにいるから実際はちゃんとあるんだろうけど。

 

 「(ま、そんな事より今は暁が心変わりした理由だな)」

 

 幸い明日は学校休みだし、朝から会いに行くとしましょうか………。

 

 

 

 「……って訳で理由知ってますよね?包み隠さず教えてほしいのですが?」

 

 『…まあ、知っていると言えば知ってるよ』

 

 モニター越しの神様は軽く溜め息を吐く。

 

 「一体何をしたら暁があそこまで変わるんですか?」

 

 『……元々は貴志に魔力とレアスキルを奪われた事から始まったんだよ』

 

 は?

 魔力とレアスキルを奪う?

 そんな能力アイツ持ってたのか?ならなんで今の今まで使わなかったんだ?

 

 『勘違いしてそうだから言うけど、澪と英伸の魔力とレアスキルを抜き取って貴志に渡したのは、貴志がそう願ったから叶えただけだよ』

 

 そう言って神様は語る。

 何でも西条が神様の依頼をこなして、そのお願いを告げたらしい。

 結果、今西条には椿姫クラスの魔力に加え、王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)を所有しているらしい。

 …使いこなせんのか?

 

 『今では英伸はCランク、澪はEランク相当の魔力しか残っていないね』

 

 「…暁だけ何でEランクに?」

 

 差別か?

 

 『元々は英伸と同じCランクだったのだが、澪がEランクにまで落ちたのは今回彼女に依頼した一件の最中に起きた出来事が原因なんだ』

 

 原因……何か事件にでも巻き込まれたんかな?

 

 『まあ、貴志の時と同じで私が別世界に落とした物を拾って来て貰うという簡単な内容だったのだが…』

 

 そこで神様は一旦言葉を区切り

 

 『実際は落としたのではなく机の引き出しの奥に仕舞ってあったんだよ。うっかり『別世界に落とした』と勘違いしてしまってね』

 

 出た、うっかりスキル。

 だが何も言うまい。言った所で治る訳じゃないし。

 

 『気付いた時には澪をその世界に送り込んでいたんだよね。しかも術式も多少ミスってしまったから澪の魂だけ送った上にその世界の原作キャラに憑依させてしまったよ』

 

 『ハッハッハ』とか笑ってるけど笑い事じゃねーって。

 けど俺はそんな事より気になる単語があった。

 『原作キャラ』……ねぇ。

 

 「一体何処の世界に?」

 

 『『グ〇ーンマイ〇』の世界だよ』

 

 グ〇ーンマイ〇……そんなアニメや漫画あったか?

 

 『言っておくけどアニメや漫画の世界じゃなくて洋画の世界だからね』

 

 ……ああ、アレか。

 神様に言われて俺は思い出す。

 前世で見た事ある洋画だ。

 アレは良い映画だった。観てて泣ける。

 

 「ひょっとして登場するネズミの名前が『ミ〇ター・ジング〇ス』だったり…」

 

 『そうそう、その洋画で間違い無いよ』

 

 あの世界に暁は行ったのか。

 

 『そこで澪の魂は『ポー〇・エッジ〇ム』に憑依しちゃってねぇ…』

 

 確か看守主任さんだったよね?

 

 『うむ。そこでポー〇が『ジョ〇・コー〇ィ』に病気を治してもらうシーンは覚えているかい?』

 

 勿論覚えていますとも。

 口を開けて病気を吸い出すあのシーンだよな。

 あの能力で何度も奇跡を起こしてるから看守達からは『神が遣わせた特別な存在』と思われる様になるんだっけ。

 

 『で、憑依してる際にそのイベントが起きてねぇ。病気と一緒に澪の魔力と魂の一部を吸い取られてしまってねぇ。どうやら吸い取られた魂の一部が普段の人格を形成している穢れた部分って事になるのかな?』

 

 「……人格があそこまで変わったのは魂の一部を吸い取られたからだと?」

 

 『だろうね。あの世界では『病気』と判断されたんじゃないかな?』

 

 確かに見る人から見たら普段の態度は痛々しい病気に認定しても可笑しくないけど。

 しかし魂の一部を吸い取って綺麗な人格に矯正……ねぇ。

 

 「神様。俺はジョ〇・コー〇ィをこの世界に連れて来て貰いたいのですが?」

 

 そんな素敵能力は是非西条、吉満、後椿姫にも使用されるべきだ!!主に俺の精神の負担を減らすために!!

 アイツ等も絶対魂の一部を吸って貰うべきなんだ!!

 

 『残念ながらもうジョ〇・コー〇ィは刑が執行されて、この世にはもういないよ。映画を観た事あるのなら、その結末も知っているだろう?』

 

 「そんな……」

 

 絶望した!せっかくアイツ等をどうにか出来る方法が見付かったのに『ジョ〇・コー〇ィが死んでしまった』という事実を知って絶望したよ!!!

 

 『まあ勇紀の気持ちも分からなくは無いがね。今回は諦めてくれ』

 

 「うう……」

 

 精神負担の原因が1人分減っただけで僥倖と言わざるを得ないのか。

 俺は『ありがとうございました』と、神様に暁の人格が変わった真意について教えてくれた事に対し、礼を言って肩を落としながら退出しようとしたら

 

 『あー…勇紀。帰るのは少し待ってくれ』

 

 神様に呼び止められた。

 

 『君に渡す物があるんだよ』

 

 「はい?」

 

 振り返った矢先に、神様にそう言われた。

 

 『以前、約束しただろう?聞き間違いでサウザーを作った時に『何らかの形でお詫びする』と』

 

 そういや言ってましたねそんな事。すっかり忘れてたよ。

 

 「いらないです」

 

 しかし俺は拒否する。何つーかまた面倒事が増えそうな気がしてならない。

 

 『君の心配はもっともだが、今回は大丈夫♪』

 

 だから自信満々に答えられると余計に不安になるんだってば。

 

 『君に渡したい物というのは……コレだ』

 

 俺の目の前の空間が歪み、次の瞬間に

 

 ゴトッ…ゴトッ…

 

 と、歪んだ空間から出て来た物が足元に落ちる。

 

 「……何ですかコレ?」

 

 落ちた物を拾い、手に取る。

 ……水鉄砲と懐中電灯?

 

 『どうだい?私の手作りの水鉄砲と懐中電灯だよ。君にプレゼントしようじゃないか』

 

 水鉄砲の引き金を引くと水がピューって発射された。水入ってたんだ。

 懐中電灯もスイッチをONにすると点灯する。

 

 『気に入ってくれたかい?』

 

 「まあ…」

 

 神様の手作りとはいえ、こういう普通の物なら別に受け取りを拒否する理由は無い。

 

 『良かった良かった。あ、それと安全装置(セーフティ)を解除すると武器としても使えるから♪』

 

 「やっぱりそんな事あるだろうと思ったよ!!!」

 

 何で武器にしちゃうんだよ!!普通の水鉄砲と懐中電灯で良いじゃんかよ!!

 一瞬でも『普通のアイテムで良かった』と思った俺の喜びを返せコンチクショウ!!

 

 『それと武器になった際の効果だけど……』

 

 俺の思いを無視し、神様は語り出す。

 鳴海少将からは『気の毒だけどもう諦めなよ』と言った視線を向けられていた………。

 

 

 

 ~~澪視点~~

 

 どうも、暁澪です。

 ついこの間まで私こそ『自称オリ主』が当たり前だと思っていた痛々しい過去を持つ暁澪です。

 神様の依頼で憑依という形で訪れた世界で私はジョ〇・コー〇ィさんという方に身体の一部から魔力を吸い取られた訳ですが、魔力以外にも何かが無くなった感じがします。

 レアスキルとは違う何か……何なんでしょうか?

 元々は豚の1人である西条に私の魔力のほとんどとレアスキルを奪われた事から始まります。

 あの日……豚がいきなり模擬戦を挑んできて……私の招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)を展開した時、初めて気が付きました。私の力が奪われているんだと。

 その日の模擬戦では完敗を喫した私は自分の力が豚に渡った原因を模索しました。

 もっとも、そんな事が出来そうな人物なんて神様以外に思い浮かばなかったので次の日は直談判しに行きました。

 もしこれが『何らかのロストロギアのせいなら』とも考えましたが、それならば豚はロストロギアの不法所持と不正使用で捕まりますからね。ハーレム目指すならそんな展開は望まないでしょうし。

 案の定、神様は『自分の依頼を達成した報酬』として豚に私ともう1人の豚の魔力とレアスキルを渡していたのです。

 そこで私も以前より強大な力を貰って豚を叩き潰すために神様の依頼を受け……。

 

 「(何だか憑き物が落ちた様で心身共に軽くなった気がします)」

 

 けどその日は色々あったおかげでかなり疲れており、結局報酬に関しても貰わず仕舞いなんですよね。

 魔力とレアスキルを奪い返すという案もあったのですが、既に豚色に染め上げられた以上、もう一度手にする気にはなれませんでしたし。

 そんな事があった数日後、私は本局から地上本部への異動を通達されました。

 今までは高ランク魔導師という事もあったので強く出れなかったみたいですけど本局上層部の方々は以前の私の態度が気に入らなかった様で今回の魔力低下を理由に地上へ強制的に異動命令を出してきたんです。

 自業自得と言えばそれまで何ですけど。

 同じ理由で豚の1人も近い内に飛ばされるでしょうね。まあ豚に関してはどうでもいいです。

 

 「(ここが私の新しく配属される場所ですね)」

 

 隊舎の前で軽く深呼吸をし、気を落ち着けて私は足を踏み入れます。

 まずは受付で部隊長の部屋がどこにあるか聞かないと。

 

 「すみません。本日より救助隊(・・・)に配属された暁澪といいます。部隊長に挨拶したいので部隊長室の場所を教えて頂きたいのですが」

 

 「暁澪空曹ですね?お話は伺っております。部隊長室へはこちらの廊下を真っ直ぐ進んで……」

 

 部隊長室までの行き方を聞き、受付の人にお礼を言ってから足を進めます。

 ドアの前でもう一度、深呼吸をしてから

 

 コンコン

 

 ドアをノックします。

 

 『おう、入れ』

 

 部屋の中から部隊長だと思われる人の声がしたのでドアを開けて入ります。

 そこにいたのは部隊長らしき人でした。

 

 「本日より、救助隊に配属されました暁澪陸曹(・・)です。よろしくお願いします」

 

 敬礼して私は挨拶をします。

 

 「おう、上から話は聞いている………陸曹?お前さん、空曹(・・)じゃなかったっけか?」

 

 「すみません。とある一件で私の魔力がEランク相当まで落ちたのは聞いておられると思いますが、今の私は飛行魔法を長時間維持出来ませんので階級が若干変わったんです」

 

 「そうか。空曹から陸曹になった事は聞いてなかったからな」

 

 情報の行き違いでしょうか?

 

 「ま、しばらくは『救助隊の業務内容を覚えながら、お前さん自身を鍛え直さなきゃいかん』と言うのがお前さんのパートナーの言い分だからな。お前さんの事はソイツに一任する」

 

 「パートナーですか?」

 

 「おう…そろそろ来る筈なんだがな」

 

 コンコン

 

 『失礼します』という声と共に部屋に私のパートナーらしき人物が入って来ました。その人物は…

 

 「おう、長谷川。事前に連絡したから知ってるだろうがコイツがお前さんのパートナーだ」

 

 わたしと同じ転生者で同級生の長谷川君でした………。

 

 

 

 ~~澪視点終了~~

 

 お互いに顔見知りとはいえ、部隊長室で軽く挨拶をしてから現在隊舎の中を案内している。

 『同じ世界の出身だから』という理由でパートナーにされてしまった。

 後、先日西条に告白した鉄先輩は管理局で働いている際も西条と離れるのが我慢ならないらしく、本局…しかも西条のいる航空武装隊に異動していった。

 それと入れ替わる様に暁が来たから上層部の方でトレードでもされたんじゃないだろうか?

 鉄先輩の魔導師ランクはAA相当。充分な戦力になるだろうし。

 ……西条の心安らぐ場所が消えていくなぁ。俺にはどうでも良い事だけど。

 

 「……で、ここが喫煙室。基本隊舎内で煙草吸えるのはここだけだから」

 

 「私、未成年だから吸う事自体無いんですけどね」

 

 「まあ、そうだけどな」

 

 しかし本当に違和感が拭えない。かと言って以前の態度で接して来る様なら俺の胃に穴が開く。

 ……俺が慣れるしかないのだ。

 

 「で、業務内容だけど当面は知識の詰め込みと魔力の向上を重点的に置きたいから現場で働くのはしばらく無いと思っててくれ」

 

 「分かりました」

 

 素直に俺の言う事を聞いて頷く暁。

 

 「ていうか神様に頼んで魔力とレアスキル元に戻して貰わないのか?」

 

 「あの豚に奪われた招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)をこの身に戻したいとは思いませんから。かと言って新品の招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)は品切れらしいので、今頼んでも魔力しかどうにか出来ないんですよ」

 

 言葉遣いは良くなっても西条の事は未だに『豚』呼ばわりなんだな。

 それについて聞くと『生理的に受け付けないから』だとさ。

 この分だと吉満に対しても同様かな。

 

 「じゃあ他のレアスキルは?」

 

 「『無限の剣製(アンリミテッド・ブレイドワークス)』ぐらいしか残っていませんでした」

 

 「…Fate関連から離れりゃいいのに」

 

 「一応、他の作品に登場する能力からも候補はあったんですよ?『一方通行(アクセラレータ)』とか『境界を操る程度の能力』とか……」

 

 『一方通行(アクセラレータ)』?『境界を操る程度の能力』?

 ……ヤベエ。俺の知らない能力名が挙げられた。

 

 「…何だか眉間に皺が寄ってますけど、今言った能力知らなかったりします?」

 

 「…仰る通りで」

 

 「『一方通行(アクセラレータ)』は『とある魔術の禁書目録』に出て来る能力で『境界を操る程度の能力』は『東方』に出て来る能力です」

 

 「……すまん。タイトル聞いた事があるだけで原作には全く興味無かったわ」

 

 「興味無かったのですか?それなら仕方ないかもしれませんね」

 

 どんな能力かは知らんがコイツが上げるぐらいならさぞチート性能を発揮するんだろうな。

 

 「でもソレ等も全て品切れでして…」

 

 「……じゃあ『無限の剣製(アンリミテッド・ブレイドワークス)』にすれば?」

 

 「あの豚と被るじゃないですか」

 

 「けど、いつまで待っても他の能力手に入らなさそうなら素直に受け取れば?もしくはもう魔力だけで我慢するとか…」

 

 「良いんです!!あの豚と被るぐらいなら例え死ぬ寸前になるまででも待ちます!!」

 

 そこまで嫌なんだな。

 

 「けど今のままだと最前線で闘えないのも事実なんですよねぇ。Stsの時期までには何とかしたいんですが…」

 

 うーん…。

 

 「魔力は鍛えるとしてレアスキルねぇ」

 

 「はい。ここ一番っていう時に決定打になる様な切り札は欲しいんです」

 

 「……1つあるにはあるぞ」

 

 「ふぇ!?」

 

 俺は宝物庫から神様に貰った水鉄砲と懐中電灯を暁に渡す。

 

 「コレ……水鉄砲と懐中電灯ですよね?コレが切り札になるんですか?」

 

 「神様が作ったアイテムだからな。安全装置(セーフティ)を解除する事で真価を発揮するんだとさ」

 

 俺はその水鉄砲と懐中電灯の性能について説明する。

 説明を聞いている暁の表情はどんどん変わっていく。

 聞き終えた頃にはやや青褪めていた。

 

 「…他作品からチートな能力貰ってる転生者の私達が言うのも何ですけどコレ(・・)、『リリカルなのは』の世界に存在していいんですか?」

 

 「俺に言うな。神様に言え」

 

 「ていうか扱い処が難しいですね」

 

 「いや全く。けどソレなら充分切り札になり得るだろ?」

 

 「確かに今の私にはこの上ない切り札になり得ますけど…良いんですか?」

 

 「おう、持っていってくれ」

 

 王の財宝内の宝具だけで充分だよ俺は。

 

 「……じゃあ、私がレアスキルを再び手にしたらお返ししますね」

 

 「いや、マジであげるからソレ」

 

 「いえ…絶対にお返しします!!」

 

 しばらくは『やる』『返す』の言い合いが続いたが、結局暁の言う様に新しいレアスキルを手に入れた時点で返却される事になった。

 

 「それはそうと暁、お前同性愛者で男嫌いなのによく俺と普通に喋れるな」

 

 「失礼な。確かに私は男嫌いですけどそれは男の方が卑しい視線を向けてくるからです」

 

 …願い事に容姿を変える様に頼んだ自業自得じゃないのかソレ?

 

 「……向ける以前からお前の態度は酷かったぞ」

 

 「それに関してはご容赦を。前世では男絡みでかなり嫌な思いをしましたので」

 

 そう言う暁の表情は本当に酷いモノになっている。

 それ程辛い事があったのか。深く聞くのは止した方が良さそうだな。

 

 「その点、女の子は卑しい視線を向けて来る事もありませんから」

 

 そりゃ同性だしな。世の中には同性愛者もいるだろうけど、大抵はノーマルな子ばっかの筈だし。

 

 「長谷川君や大槻君は卑しい視線を向けてくる事も有りませんから男の方では例外的に好意が持てますね」

 

 これは喜ぶべきなのか?けど…

 

 「以前は凄い敵視されてたんですけど?」

 

 「あはは…ゴメンなさい。あの頃は百合ハーレム目指すので頭の中一杯だったので男は全て敵認識してたんですよ。今はもうそんな事考えてませんから気にしなくて良いですよ」

 

 …うん。日輪庭園(ヘリオスガーデン)使いながら会話してるけど、マジで嘘は吐いてない。

 完全に綺麗な人格者だ。

 

 「(何故もう少し生きられなかったんだジョ〇・コー〇ィ)」

 

 本当に…本当にもう少し長く生きていてくれたら目の前の暁みたいに他の連中を更生させることが事が出来ただろうに。その事だけが悔やまれる。

 

 「今後は可愛い女の子とお友達になりつつ、ノーマルな恋愛をしてみせます!」

 

 拳を握って宣言してるけど、今の台詞聞いて本当に同性愛を捨て切れたのか不安になる俺だった………。

 

 

 

 ~~英伸視点~~

 

 クソ、クソクソクソ!!!!!

 俺様が!オリ主で最強の筈の俺様の魔力とレアスキルが!!

 あの下種で踏み台の西条に奪われてしまった。

 結果模擬戦には負けてしまい、本局でもトップクラスの魔力を保有していた俺様の今の魔力量はCランク相当。

 おまけに上層部のクソ共が俺様を『地上に異動しろ』なんて命令を出してきやがった。

 ふざけんな!!何で俺様があんなクソ共の命令を聞かなければいかんのだ!!

 踏み台の1人である暁は異動しやがったみたいだが、俺様は異動なんてしねえぞ!!このままだと俺様の嫁達が西条の被害に遭っちまうじゃねえか!!

 

 「(第一どうやって西条の野郎は俺様の力を奪いやがった!!?)」

 

 あの踏み台に他人の能力(ちから)をパクるスキルなんて無かった筈だ。一体……

 

 「(っ!!!まさか、何らかのロストロギアの効果か!!?)」

 

 なら納得がいくぜ。あの踏み台が俺様の能力(ちから)を奪える方法なんてソレしか思い付かねえからな。

 しかし、本当に下種野郎だぜ。自分の実力じゃ勝てないからって最強オリ主の俺様の能力(ちから)を奪いやがるとは。しかもロストロギアまで使って。

 

 「(だが待てよ。ロストロギアを発見したなんて報告は最近無かった筈。なら西条の奴はロストロギアを不法所持、そして不正使用したという事になる)」

 

 …ククク、何だ何だ。西条の奴、能力(ちから)を手に入れたのは良いが管理局法を破ってるじゃねえか。

 

 「(なら奴を逮捕する様、上層部(うえ)から指示が出る筈だ)」

 

 遺憾ながら今の俺様じゃあ西条は倒せねえ。だがなのは達なら魔力ランクは下でも踏み台なんかに負ける事は無い筈だ。

 俺様の身を心配してるなのは達なら西条を激しく敵視し、奴を逮捕してくれるだろう。

 

 「(墓穴を掘ったな西条。テメエはなのは達に倒される運命にあるんだ)」

 

 もっとも、それだけじゃなく最近は恋姫†無双に出て来た貂蝉ソックリな奴に求愛されてるみたいだしな。

 

 「(いい気味だぜ。貂蝉となら喜んで祝福してやろう)」

 

 奴に止めを刺すには単にボコるより、あの貂蝉と結ばせた方が効果有りそうだ。

 

 「…ぃ、……おい、聞いてるのか?」

 

 「あ?」

 

 俺は思考の渦から抜け出し、意識を現実に戻す。

 

 「吉満英伸、お前さん未だに夏休みの宿題を出していないだろう?流石にこれは問題だぞ?」

 

 ここは生活指導室。

 俺様の目の前にいるのは1組の副担任で、この生活指導の担当、阿部だ。

 

 「他の先生方も『早く提出しろ』と言ってるらしいのに一向に出す気配が無いらしいじゃないか」

 

 「んなもんどうでも良いだろうが。今度出せば良いんだろ今度出せば」

 

 「今度?それはいつだ?」

 

 「知らねえよ。第一俺様は忙しいんだ。余裕が出来たらちゃんとやり終えて出してやるよ」

 

 「つまりまだ宿題は終えていないという事だな。なら仕方ないか」

 

 阿部はどこかに電話する。

 そして少しの間、会話してから電話を切る。

 その顔は笑顔に満ちている。

 

 「喜べ吉満。お前の親御さんから許可が出た」

 

 「許可?何の許可だよ?」

 

 「お前さんが宿題をやり終えるまでの間、学校で寝泊まりする事になった。監督役は俺が務める」

 

 「はあ!!?」

 

 ふざけんな!!何勝手に決めてんだよ!!

 

 「何か不服そうだな?」

 

 「たりめーだ!!俺様は忙しいっつっただろーが!!宿題なんかにかまけているヒマねえんだよ!!」

 

 そう言って出ようとすると阿部が出入口の前に立ち塞がる。

 

 「どけよ!!」

 

 「そういう訳にはいかんな。宿題をやり終えさせなければいけないし、それに……」

 

 ジロジロ…

 

 阿部は俺の全身を舐める様に見渡す。

 

 「やっとお前さんを食うチャンスがきたからな…」(ボソッ)

 

 ゾクリッ

 

 何やら小声で聞こえなかったが俺様に悪寒が走った。

 それと本能が告げている。『ここにいたらヤベエ!!』と。

 

 「オラアアアァァァァァッッッッッ!!!!!」

 

 ブンッ!!

 

 阿部の真正面から俺様は拳を繰り出し腹を攻撃する。

 

 ズムッ!!

 

 阿部の野郎は避ける事も無く、受ける……が

 

 「中々良いパンチだが、この程度では俺はイカせられないぜ?」

 

 「なっ!!?」

 

 オリ主である俺様のパンチが通用しなかった。

 いかに魔力強化していないとはいえ、俺様のパンチに耐えるだと!?

 この時、驚愕による硬直がいけなかったのだろう。

 

 「まあ、まだヤるには早い時間だからな。今はゆっくり休んで体力温存しときな」

 

 ドスッ

 

 「ぐふっ」

 

 強い衝撃を感じた瞬間、俺の意識は落ちていった………。

 

 

 

 「…………はっ!!?」

 

 俺は目を覚まし、ガバッと上半身を起こす。

 ここは何処だ!!?

 そう思い、キョロキョロと見渡す。

 見た感じ和風の部屋だが

 

 「お?起きたか?」

 

 突然聞こえてきた声に俺は身構えようとする。

 

 「ぐっ」

 

 だが多少の痛みを感じる。

 クソ!!俺様とした事が油断したぜ!!

 俺様をこんな目に遭わせた阿部の野郎に視線を向けるが…

 

 「何でマッパになってんだよ!!!」

 

 俺は目を見開いた。

 突如視界に入ったのが全裸の男だったからだ。

 ………オエ~。

 吐き気を催す俺。

 

 「何でって…これからお前さんとヤるから服は邪魔だろう?」

 

 ゾクゾクゾクッ…

 

 また悪寒が俺の全身を駆け巡る。俺様が意識を失う前に感じた時の比じゃねぇ。

 ジリジリと近付いてくる阿部。

 俺は痛みを堪えて立ち上がり、これからどうするかを模索する。

 

 「おいおい、まだ身体にダメージは残ってるんだろう?無理はするな。お前さんに負担が掛からない様に俺がリードしてやるから」

 

 「く、来るんじゃねえよホモ野郎!!」

 

 俺はデバイスを通じて身体を強化する。

 さっきは油断したが今度はそうはいかねぇ。

 コイツを相手にするのに、遠慮はいらねえ。一般人とは言え、そこそこ出来そうだからな。

 

 「心配するな。ある程度お前さんを堪能したらちゃんと宿題の面倒も見てやるから…な?」

 

 『な?』じゃねーよ!!

 このホモ野郎はここでブッ潰そう。幸いにもここは海中の和室みたいだしな。教師をボコろうが『絶対校則』のおかげで許される。

 俺の貞操はなのは達とヤる時まで守り切るぜ!!

 まあ嫁が多過ぎて誰に俺の『初めて』をくれてやるかはまだ未定なんだがな。

 ふっ、これもモテるオリ主の宿命というヤツか。

 

 「…という訳で死ねオラアッ!!」

 

 「何が『という訳で』なのかは知らんが、元気が有り余っている様だな。うむ、食い甲斐がありそうだ」

 

 俺は怒涛のラッシュで阿部に迫る。

 ハハハ、やっぱり俺様の方が強いじゃねーか。

 ホモ野郎の阿部は俺の攻撃を捌くので精一杯だ。

 

 「それとここは学園の一室だからあまり暴れて下手に壊したりするなよ?」

 

 「うるせーホモ野郎!!だったら俺様の一撃を食らってさっさと沈めや!!!」

 

 時折、フェイントも混ぜるが引っ掛かりやがらねぇ。野生の勘だけは大したもんだな。

 

 「…ふむ」

 

 何か頷いた後、ホモ野郎は距離を取る。

 

 「このままじゃれ合っていても時間の無駄だな。悪いが俺の奥義を使ってさっさとお前とヤラせてもらうぜ」

 

 「ほざけホモ野郎!!!」

 

 俺様は拳と両足に魔力を集中させ、次の一撃で決めようと決意する。もうすぐ魔力切れを起こしそうだからだ。

 クソ!本当にムカつくぜ。踏み台のせいで魔力量が低下した現実に。

 普段の俺様ならまだまだ余裕で魔力を振るえるのに。

 

 「今度こそ死ねやオラアアアアァァァァァッッッッッッ!!!」

 

 一瞬で間合いに踏み込み、魔力をのせた拳をホモ野郎の顔面に叩き込もうと繰り出す。

 

 「(()った!!)」

 

 勝利を確信した俺様。だが次の瞬間…

 

 ズムッ…

 

 「あ゛?」

 

 目の前にいた筈のホモ野郎は俺の背後に移動しており

 

 「あ……ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」

 

 尻に何かが突き刺された感触と全身に凄まじい快感が走る。

 

 「ふっ、どうだ?俺の奥義は?」

 

 「かはっ…が……」

 

 「言葉に出来ないぐらいの快感だろ?だがまだこんなモノじゃ終わらないぜ。過程(・・)はこれからなんだからな」

 

 ホモ野郎が何を言ってるのか聞く余裕は無かった。

 な、何故だ!?

 何故俺はマッパになっている(・・・・・・・・・)んだ!?

 いや、それよりも…

 俺の、俺の尻に感じるこの異物感はまさか……まさか!!

 

 「それにしてもこれ程とは。俺の目に狂いは無かったな。今まで食ってきたメインディッシュの中でも最高の味だぜ♪」

 

 「あ…ああ……」

 

 「ふう……よし、俺も落ち着いてきた。じゃあじっくり味わわせて貰うぜ♪」

 

 「や…やべど……」(や…やめろ……)

 

 そして腰は動き出す。

 ……………………

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 「まだまだこんなもんじゃNA☆I☆ZE♪♪」

 

 ……………………

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 ~~英伸視点終了~~

 

 ~~おまけ~~

 

 ~~吉満HAPPY END(笑)~~

 

 ~~英伸視点~~

 

 あの刺激的な一夜から数年の月日が流れた…。

 俺様は中学卒業と同時に管理局員を辞職し、海鳴市のある一軒家に住んで居る。

 俺様を愛してくれるあの人とだ。

 なのは達?はっ、あんなアバズレ共、どうでも良いわ。

 夜のオカズにしても勃つモンも勃ちやしねえ。

 俺様が全てを捧げ、人生の伴侶と呼べるのは一夜で俺様を籠絡し、本当の快感と言うモノを教えてくれたあの人だけなんだ!!

 

 「そろそろ帰って来る時間だな」

 

 俺は時計を確認する。

 

 ガチャッ

 

 「帰ったぞー」

 

 「お帰りなさい阿部さん。今日もお勤めご苦労様ッス」

 

 「おう、ただいま」

 

 笑顔を浮かべ、返事をしてくれる阿部さん。

 ああ…その笑顔だけでご飯三杯はいけるッス。

 

 「今日はお土産も買ってきたぞ」

 

 「お土産ッスか?」

 

 よく見ると阿部さんの片手にはビニール袋が握られている。

 

 「ああ」

 

 どうやら食事の後のお楽しみらしい………。

 

 

 

 「ご馳走様」

 

 「お粗末様ッス」

 

 夕食を食い終えた俺と阿部さん。俺は食器を流し台に持っていき、洗い出す。

 今や俺はこの家の家事を一身に引き受けている。

 当初は何も出来なかったがモブに頭を下げ師事して貰った結果、料理は人並、掃除や洗濯もそれなりに出来る様になった。

 好きな人に尽くせる事がこんなに幸せだとはな。モブには感謝しているぜ。

 

 「さて…お待ちかねのお土産タイムだ」

 

 阿部さんがニヤリと笑ってビニール袋の中に入っていた物をテーブルの上に出す。

 

 「こ、これは!!!」

 

 テーブルの上に並んだのは大量の精力剤と……卑猥な形をした物体が数個、所謂『大人のオモチャ』というヤツだ。

 

 「今までお前さんとヤる時にこういった器具を使った事は無かったからな。今日からコレ等を使って楽しむのも良いだろう?」

 

 「き、器具プレイ…」

 

 俺はゴクリと喉を鳴らす。

 

 「おいおい、そんな期待に満ちた目で見るなよ。今すぐ襲いたくなっちまうだろ?」

 

 「お、俺は別に襲われても…////」

 

 器具プレイ…僅かに不安があるがそれ以上に期待が胸の中を占める。

 

 「嬉しい事言ってくれるじゃないの♪明日は仕事も休みだし、今夜は寝かさないぜ♪」

 

 「お…お願いします////」

 

 精力剤を飲みながら言う阿部さんに俺は応える。

 

 「じゃあ、まずは寝室に行くか」

 

 「はい…////」

 

 ……………………

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 ……こうして夜は更けていく。

 俺と阿部さんの幸せな時間はこれからも続いていくのだ………。

 

 ~~英伸HAPPY END(笑)『完』~~

 

 ~~おまけ2~~

 

 ※これは英伸が阿部さんのテクで堕ちなかった時に起きた悲劇の結末だったり…。

 

 

 

 ~~英伸BAD END~~

 

 「ハア…ハア…ハア…」

 

 ある日の夜中。

 俺様は現在学校から脱出し、街中を駆けている。

 ホモ野郎に襲われ、俺の純潔を失ってから数週間後。

 野郎の隙を見て俺は逃げ出す事に成功し、必死に走って今は住宅街に入り込んでいる。

 

 「ハア…ハア…スゥ~…ハア~…」

 

 少しずつ呼吸を少落ち着け、額の汗を拭う。

 もう夜の気温は充分涼しいというのに汗を掻いてるという事はそれだけ走り回ったという事だ。

 

 「ハア~…さて、これからどうするか」

 

 俺様は今後の行動について思案する。

 明日また学校に行けばホモ野郎に捕まるのは目に見えている。ならばまたあの地獄に逆戻りだ。

 かと言って家に帰れねえ。両親は間違い無くホモ野郎に通報するだろうからな。

 こうなりゃStsの時期までミッドに引き籠もるか。

 

 「クソ!!ホモ野郎の分際で……痛ててて」

 

 尻の穴がヒリヒリしやがる。

 

 「嫁達よ、済まねえ。俺様は汚されちまった」

 

 脳内に浮かぶのは原作キャラであり俺様の嫁達だ。

 アイツ等と初夜を迎える前に俺様は汚されたのだ。

 アイツ等…悲しむだろうな。俺様と結婚する事を夢見ている乙女達にとっては今回の事実は堪えるかもしれない。

 

 「…いや、俺様が事実を話さず死ぬ時まで誰にも言わなけりゃいいか」

 

 アイツ等に事の真相を打ち明けられないのは気が引けるが…すべては俺達の幸せのためだ。

 

 「よし、早速ミッドに…」

 

 そこで俺様はデバイスを持っていないのに気が付いた。

 逃げ出す際に持ち出すのを忘れていたのだ。

 

 「クソ!!これじゃあ、また学校に戻らなきゃいけねえじゃねえか」

 

 どうするか?

 少しの間、考え……

 

 「明日の授業中にこっそり学校に忍び込んで取り戻すか」

 

 そう結論を出した。

 ホモ野郎にも授業中なら遭遇する事は低い筈だ。

 

 「なら今夜だけどこかで過ごさないと…」

 

 そこへ人の気配がした。

 

 「っ!!?」

 

 『ホモ野郎か!?』と思い、急いで振り返ってみると

 

 「……………………」

 

 ホモ野郎ではなかった。一般人の様だ。

 

 「(驚かせやがって)」

 

 『フゥ~』と一息吐く。

 

 「……………………」

 

 その一般人は立ち止まったまま、コチラを見ている。

 

 「んだコラ?」

 

 俺様は睨みを利かせながら言うが、一般人はピクリとも動かない。

 雲に隠れていた月が姿を現し、月の光によって暗闇に僅かな光がさす。

 その際、暗くてよく見えなかった男の顔が見えるが

 

 「(何だコイツ?)」

 

 その男の瞳には光が灯っておらず、ドス黒い濁った瞳だった。

 

 「(ひょっとして精神が病んでる奴か?なら相手にせずさっさとどっか行くか)」

 

 俺様は何も言わず立っている一般人に背を向けゆっくりと歩き出したその時

 

 タタタタッ

 

 後ろから小走りで駆け寄ってくる足音が聞こえ

 

 ブスッ

 

 「あ?」

 

 何かが背中に突き刺さった(・・・・・・)

 

 「あ……ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」

 

 少し遅れてからやってくる痛み。

 

 ドンッ

 

 後ろから押され、倒れた俺様はうつ伏せから仰向けにされ、何者かにマウントポジションを取られる。

 俺様の上に乗ってきたのは先程の一般人だった。

 一般人の男は濁った瞳で俺様を見下ろしている。

 

 「き……きさ…ま……」

 

 「………お前が悪いんだ」(ボソッ)

 

 俺様の耳にかろうじて届く程の小さい声で男が呟いていた。

 俺様が…悪いだと?何言ってやがる?

 

 「お前が僕から阿部さんを奪ったから…」(ボソボソ)

 

 男は両手で握っている何かを振り上げる。

 それは……包丁だった。

 おそらくアレで俺様の背中を刺したのだろう。刃の部分が赤い液体で染まっているからだ。

 男は力強く握りしめた包丁を一気に俺に振り下ろしてきた。

 

 グサッ

 

 「がっ…」

 

 「お前が…お前が…」

 

 グサッ…グサッ…

 

 「がはっ…やべっ……」

 

 「お前が…お前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガオマエガアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!!!!!」

 

 グサグサグサグサグサグサグサグサグサグサッ…

 

 男はひたすら『お前がお前が』と叫びながら俺様を刺す。

 段々と意識が朦朧として来た。

 死ぬのか?オリ主の俺様が?

 何で…何でこんな目に?

 俺…は……オリ………しゅ………。

 

 

 

 

 

 翌日、住宅街の一角で胸や腹を複数ヶ所刺され、出血多量で死んでいる少年の遺体が発見された。

 警察が付近をくまなく捜索し、犯人と思われる男を逮捕した。

 男は取調室にて虚ろな瞳で『僕はあの害虫を駆除したんだ…害虫を…害虫を…』とうわ言の様に繰り返しているという。

 男が所持していた所持品からは犯行に使われたと思われる凶器の包丁と身元を証明する運転免許証があった。

 運転免許証の名前にはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『道下(みちした)正樹(まさき)』と………。

 

 

 

 ~~英伸BAD END『完』~~

 

 ~~あとがき~~

 

 英伸が食われ、澪が改心しました。

 英伸に関しては2パターンのエンディングが書けた…。

 一応、正史の流れではHAPPY ENDの方でBAD ENDはあくまでIFです。

 英伸が刺されるシーンはスクールデイズ(アニメ版)の最終話で誠が刺されるシーンを脳内で置き換えて頂ければ多少は想像し易いかと(笑)。

 当然脳内に流れるのは『悲しみの向こうへ』です。

 それと阿部さんが本編内で使った奥義についての説明を。

 

 奥義名:『抉り込ませる俺の〇〇〇(フラガラック)

 

 これは阿部さんの奥義の1つで発動条件が

 

 1:自分が全裸で相手は衣類を着用している事。

 

 2:相手が先手を取って動く事。

 

 3:自分と相手のマンツーマンであり、発動の際の場所が室内または個室である事。

 

 4:相手が同性(・・)である事(これ重要)。

 

 以上の4つである。

 相手の行動より明らかに遅れて反応しながらも、絶対に相手の行動よりも先手を取り、尻に阿部さんの相棒を突き刺す。そして、因果を歪め『相手よりも後から行動、先に尻へ突き刺した』を『相手より先に行動して尻に突き刺した』という事実に改竄してしまう。『時間を逆行する一撃』だが、実際に過去に跳んでいるのではなく、『後から行動したが相手よりも先に服を脱がせて尻を捉え、突き刺した』という事実を誇張して、因果を歪ませているため、相打ちにはならない。

 『快楽の絶頂に至らせた』という結果を先に与えるため奥義が決まった瞬間、相手には多大な疲労を与え、反撃や逃亡しようとする余力も残らせない。

 そこへ阿部さんが『快楽に至るまでの行為』という過程を行い始めるため、相手は成す術も無く2度目の絶頂へ導かれる。

 なお、この奥義は公園の便所(ハッテン場)で使用されると感じる快感が数倍に引き上がる。

 

 

 

 という訳です。

 もっともこれは英伸を逃がさず、早く食いたいがために使った奥義であり、英伸を一晩で堕としたのは阿部さんの純粋な技量です(笑)。

 


 
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